ゴール・D・ロジャー。海賊王と呼ばれた大海賊である。
彼の最後の言葉により、世は大海賊時代を迎えた。
時代の波は海を越え、少年の人生を変えようとしていた。
東の海のゴア王国、フーシャ村。その名の通り風車が多く見られる長閑で平和な村である。
「俺ダッテ出来ルンダ!!!」
ドラゴンを模した船首の上で、カタコトで叫ぶ少年がいた。
少年の名前はモンキー・D・ルフィ。彼は海軍の英雄と呼ばれるガープの孫であり、革命家ドラゴンの息子である。
周囲は彼を面白がって見ていた。
ルフィが突飛な行動をするのはいつものことであり、それを子供のすることだと半ば受け入れていたのだ。
「フン!」
「な…何だあ?!」
しかし今日はなんとルフィは自分の顔をナイフで刺してみせた。
「共に分かちがたく…」
そう呟いて倒れ込んだルフィを手当てするべく、大人たちは酒場まで運ぶのであった…。
メリ…モニュ…ナポ…
「オイオイオイオイ」
「死ぬわアイツ」
マキノが看板娘をしている酒場の一角でルフィが果物を貪っていた。
海賊に憧れ、その夢を周囲に否定されたことでヤケ食いをしているのだ。
また、酒の席ということもあり食べ終えるまで誰も止めるどころか気づいてもいなかった。
「ほう…ゴムゴムの実ですか…」
「大したものですね」
キラリとメガネを光らせたのは海賊〈赤髪のシャンクス〉。
「ゴムゴムの実はヒトヒトの実モデルニカの別名で食べたものに『この世で最もふざけた能力』をもたらす…そのため世界政府もその存在を隠している程です」
「なんでもいいけどよう」
「戦利品が食われちまったぜ?」
あれは元々シャンクス達が戦闘で敵船から手に入れたものであった。
悪魔の実は希少性が高く売れば最低でも一億ベリーはするだろう。
「それに宝箱サイズの特大タッパのおじやとバナナ…あれも即効性の海賊飯です。梅干しも添えて栄養バランスもいい。」
「それにしても非常にまずい悪魔の実…それも人のものを勝手に完食するとは驚異的な食いしん坊という他ない」
「よし…と―」
「邪魔するぜ」
その時、乱暴にドアを開けて入ってきた男がいた。
その男こそ山賊ヒグマ。
彼はシャンクス達がやり返さないことに調子づき、ルフィの前でコケにした。
「エフッ、エフッエフッ」
ルフィの独特な笑い声が酒場に響く。
「てめぇ何が可笑しい!」
「ヒグマって言ったかい…もう勝負ははじまってるぜ」
ルフィはおもむろに背中を見せた。
「なッ」
「背中に海賊旗がッ」
筋肉が膨張し、通常の背面とはことなる輪郭を形作った。
「人がリアルに思い描くことは実現するッ!」
「まさか、ゴムゴムの実がここで覚醒を…!?」
シャンクスが思わず立ち上がったその時!
「ゴムゴムの〜鞭打ァッ!」
パァァァン!
人間が鍛えられない部位である皮膚に全身をゴムのムチと化したルフィの鞭打が直撃する!
「~~~~~~~~ッ!」
ニカッと笑うルフィの笑顔がヒグマの見た最後の光景となった。
勝負ありッッッ!
「相手を見下ろしている者こそ勝者だ…ルフィ」
「シャンクス…あんた勘違いしてないかい」
「何?」
「俺はアンタも倒すつもりでいるんだぜ?」
ユラァ…
二人の間の空間が歪む
「いつか海賊王になってアンタも超える」
「ほう…ならばこの帽子を預ける。地上最強の海賊になって返しにこいッ!」
-完-