Rebirth Of Gashly 作:KUNIEDAの植木鉢
「ふむ・・・君達の考えはよく分かった。これからよろしく頼むよ」
「あ、ありがとうございますっ・・・」
今、オール・フォー・ワンの前でみっともなく頭を地面に擦り付けているのは、アメリカ合衆国の大統領だ。
決戦後、オール・フォー・ワンと私は速やかに日本国内を制圧。
『アメリカ合衆国軍の戦闘機がヒーロー側に加担したことに対する制裁攻撃』を行うと宣告したら、アグパー司令をはじめとする責任者を捕らえて引き渡してきた。
あの超大国のトップがこの有様とは、無様だね。
他国も私達の新政権を認める方針で行くらしい。
反対デモが起こっていたフランスも、リヨンとマルセイユ*1を吹き飛ばしてやったら嘘みたいに大人しくなった。
私達は政治家じゃない。
従わない連中は殺せばいいし、従っている連中だからといって優しくしてやる必要もない。
「・・・ギャシュリー。僕の拠点を築くとすれば、どんなものがいいと思う?」
大統領が退出した後、オール・フォー・ワンが唐突に訪ねてきた。
シンプルに城ってのもいいけど、宮殿みたいなのとか神殿でも・・・あ、そうだ!
「建物を丸ごと移築できるような個性ってありますか?」
「あぁ。ヨーロッパから城でも持ってくるつもりかい?」
ソレもいいけど、もっと新しくてデカいやつがロシア辺りにあったはずだ。
「もっとスケールの大きなやつですよ。あるでしょう?ロシア辺りに無駄にデカいのが・・・」
「・・・あぁ、アレか。良いじゃないか、僕はあのデザインなかなか好きだぜ?」
だろうねぇ・・・そんな感じするもん。
「では、ロシアと東欧諸国には『友好関係を結ぶ対価』として、アレらを請求するということで・・・」
権力者は無駄にデカい建物を好む。
古事記にもそう書いてある。
『最悪の
オール・フォー・ワンは今や、数百年にわたって世界を支配する『魔王』である。
未だ世界はいくつかの国に分かれているが、それらの国の政府はオール・フォー・ワンの傀儡であり、事実上オール・フォー・ワンの独裁。
全ての国家で貧富の差が延々と拡大し続けるような経済システムを
貧民達はさらに困窮し、飢えや病によりバタバタと死んでいく。
ならば富豪達はどんどん儲けていい思いだけしているのかというと、無論違う。
金を持つ者、権力者達は常に秘密警察の監視下に置かれ、オール・フォー・ワンに対する『反抗の意思あり』と見なされれば、即刻処刑されることとなる。
密告が推奨されていることもあって、疑心暗鬼になった彼らは相互に監視しあい、じわじわと精神をすり減らしていく。
持てる者も、持たざる者も、みんな揃って不幸になる。
そのくせ学校では『どんな者でも努力すれば報われる』『夢は大きく持て』と言われ、社会に出た際の落胆と絶望は大きくなる。
「だから僕はね・・・世界中の未来を阻みたい」
世界中の夢を、『未来』を阻むことを目標としたオール・フォー・ワンが築き上げた、誰の夢も叶わない世界。
助けを呼ぶ声に答える者はなく、希望もなく、自由はない。
永遠に終わらない悪夢の世界である。
ならば、その根源たるオール・フォー・ワンを倒そう。
そう考えついた愚か者達は、その瞬間例外なく命を落とす。
共産主義の遺物を掻き集め、築き上げられた恐怖の象徴・・・通称『
民の怨嗟の声を啜り、夢破れた者の嘆きを楽しむ『魔王』は、思い上がった者を許さない。
どこにいようと、いつもいつでも、彼らは『魔王』の掌の上から逃れられない定めなのだ。
決戦の終結から数百年経ち、世界は終わらない地獄と化していた。
まぁ、『万魔殿』にずっといる私達には関係無いのだけれども。
この『万魔殿』は、スターリン様式の建造物やらチャウシェスクが建設させた『国民の館』やら、ソ連と愉快な仲間たちの遺産で構成された巨大都市である。
遠くから見ても分かる圧倒的威圧感は、まさに魔王城という感じ。
私の『赤子』によって管理されているから、モンスターが徘徊しているみたいでますます魔王城。
「それで、ロシアとアメリカの連中にはまだ海底トンネルを掘らせているのかい?」
「あぁ・・・完成すれば世界最長、かつ最も建設時間がかかったトンネルだぜ?」
「170年かけて無理なら無理じゃないかなぁ・・・」
私が『産み直した』ことによって、オール・フォー・ワンは私にちょっとだけフレンドリーな感じになった。
今フランクな感じで会話できているのもそのためだろう。
流石に何百年も一緒にいれば仲も良くなる。
私とオール・フォー・ワンは、恋人とか夫婦とか愛人とかそういう噂が流れまくっている。
しかし、実際は私と彼の間にそういうのは全然なく、私はただの秘書だ。
ついでに言えば、私は前世から『ずっと彼氏いない歴イコール年齢』だ・・・自分で言ってて恥ずかしくなってくるなぁ。
噂に話を戻そう。
いやぁ・・・だってオール・フォー・ワンだよ?
弟に向けてたのも、『愛』と言うよりは『所有欲』って感じだったし。
顔と声はいいんだけどさぁ・・・中身の邪悪さを考えるとね。
まぁ所業的には私も似たようなもんか。
「ほーんと、顔と声は好みなんだけどねぇ・・・」
「ふふふっ・・・嬉しいことをいってくれるじゃないか」
「嘘、声に出てた!?」
うわっ、恥ずっ!
・・・とまぁそんな感じで、私の日常は続いていく。
この後も地獄みたいな世界は続いていくけど、私達はそれを楽しんで見下ろし、嘲笑いながら生きていくだろう。
ずっと、永遠に。
ギャシュリーちゃんはチョロいので、もしオール・フォー・ワンに言い寄られたらコロッと落ちます。
尚、オール・フォー・ワンは初心な彼女をからかって楽しんでいる模様。
やっぱ悪人だわこいつ。