無味くんには抑揚というものがなかった。高揚もなければ、落ち込むこともない。
 表情を動かさないことで不便したことはないし、心が動かないことはむしろ、楽とさえいえた。
 ――しかし彼女は、そうは思わないらしい。

「無味くん無味くん、今日はこんなことをやるので、手伝ってください」

 乾燥さんは気軽に、これまた抑揚のない瞳でそう声をかけてくる。なので彼は、断る理由があれば断って、なければ今回も手伝うのだ。


 この作品は、まだ自分の好みを把握できなかった初期の頃に執筆したもので、挑戦的に書いたものです。
 小説家になろうとpixivに投稿したものをそのままハーメルンにも載せてます。旧タイトルは『無味くんと乾燥さん』。

追記 あらすじを変えました。元々の詩っぽいあらすじは、本編内にそのまま入れてます。
X(Twitter)  ▲ページの一番上に飛ぶ