空いた窓から風が入りカーテンが揺れる
揺れるたびに日差しが部屋の中に入っていく
「…レインさん」
「また来たのか?」
寝台の上に座り本を読んでいるレインに声を上げた青年は曇った顔のまま近づき、お見舞い品らしい果物が入った籠を寝台の近くのテーブルに置く
「調子はどうですか?」
「変わんないな、いつも通り普通だよ」
「それはよかったです」
椅子を寝台の近くまで引っ張り座る
「また、話をしに来ました」
「何の話をするんだ?」
本に栞を挟み閉じてから枕の近くにおき目を見つめてくる
片方は白い眼帯で覆われて見えない
「また、家族の話をしてください」
「あんたそれしか聞かないよな」
「記憶の混乱があってはだめ、ですから」
興味なさげな返事をしてから笑みを浮かべて
「何度も言うけど、弟がいるんだよ。大切な弟が」
「…」
レインの口から弟という言葉が発せられた瞬間青年は悲しそうに顔を歪める
それに気づかずレインは話を進める
「小さくって、柔らかかって必死に俺を呼んで手を差し出せばその手を掴んでくるんだよ」
「…そうなんですね」
「ああラインハルトはすげぇ可愛い俺の弟だよ」
「…その弟の年齢言えますか?」
「?まだ2歳だけど」
その言葉を聞き青年、ラインハルトは顔を歪める
パンドラからの奪還に成功したが、レインの精神は壊れてしまったらしくフェリス曰く記憶が幼少期1番幸せだった時に戻っているとのこと
「母様と父様とラインハルトで出掛けるって約束してたんだけど…父様も母様もラインハルトも今は会えないんだろ?いつ会えるようになるんだ?」
目の前にいる青年こそが自分の弟だということにはレインは気づいていなかった
ラインハルト自身レインに名前を何度も聞かれたが答えなかった
答えるのが怖かった
もしレインの今の記憶の中にあるラインハルトとは違い成長し切ってしまった姿を認識できないかもしれない、もしかしたらパンドラのことを思い出し今度は廃人になってしまうかもしれない
そう考えてしまったら言えなくなってしまった
それはハインケルやヴィルヘルムも同じらしい、2人はレインに顔を見せに来たことがなかった
「弟のこと、すき、ですか?」
「ああ、好きだよ俺のたった1人の愛しいラインハルトだからな」
目の前にいるというのに、何も言えなかった
何もできなかった、力だけあっても兄を救えない自分がただただ憎かった
兄様と呼びたかった
抱きしめたかった
ずっと約束を守って自分を守ってくれたことに感謝を伝えたかった
でもそれは許されなかった
兄の苦痛を見つけられなかった罪だと認識して今日もレインの話を聞く
ただ笑顔でラインハルトに自分の弟の可愛さを話してほしかった
ハッピーエンドに決まりました!
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ラインハルトルート(和解)
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パンドラルート
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どっちも