黒曜帝国記   作:社畜新兵

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大陸を支配する 軍神アレス の軍勢、アレスティアが王国を襲う。
それは、まだ若き黒曜王国にとって 最初の試練 だった。
鉄槌を振るいし神は、戦場で何を見たのか。
彼の築いた国は、炎に焼かれ、剣に斬り裂かれ、それでもなお 抗う。
これは、ひとりの神が 民と共に戦い、敗れ、そして再び立ち上がる 物語。
黒曜王国の誕生と、その最初の戦いを描く 「炎と鉄の叙事詩」 である。










第三章「アレスティアの襲撃」

黒曜王国は静かな夜を迎えていた。村々には灯火が揺らめき、農民たちは一日の労働を終えて家族と団らんのひとときを過ごしていた。戦士たちは鍛錬を怠らず、明日のために剣を磨き、鎧の手入れをする。

だが、その静寂は突如として破られた。

山の麓、黒曜王国の村が突如として軍隊に襲われたのだ。アレスティアの重装歩兵が家々に火を放ち、村は燃え上がる。駐屯していた黒曜の戦士たちは、剣を抜き、果敢に迎え撃った。しかし、アレスティアの規律ある軍勢の前に、寄せ集めの戦士たちは次々と斬り伏せられていく。

悲鳴が夜空に響き、子どもたちは母親に抱きしめられながら泣き叫ぶ。黒曜王国の兵士たちは奮闘したが、数の差はいかんともしがたく、生き残った人々は広場に集められ、人質となった。

そこへ、軍神アレスが姿を現す。赤黒い鎧をまとい、燃えるような赤い馬にまたがるその姿は、まさに戦そのものだった。彼は剣を片手に、不敵な笑みを浮かべながら広場を見渡す。

「ヘーパイストス、出てこい! お前の民が殺されたくなければな!」

アレスの声が轟く。

黒曜の民は恐れ、震えながらヘーパイストスを待った。誰もが願った。彼が来てくれることを。

そして、ヘーパイストスは現れた。

彼の背後には、鍛え抜かれた戦士たちが槍と剣を構えている。炎に照らされたその鋼の鎧は、黒曜王国の誇りそのものだった。彼は前に進み出て、アレスを鋭く睨みつける。

「アレス……なぜこんなことをする!」

彼の怒りに満ちた声が響く。

「ここはもともと、我がアレスティアの領地だ。」

アレスは馬上から見下ろしながら、愉快そうに言った。

「勝手に耕してはならぬ。もし住むなら、税を納めろ。この俺に。そして忠誠を誓え。」

「断る。」

ヘーパイストスは即答した。その目には一切の迷いもなかった。

「そうか、残念だ!」

アレスは剣を掲げ、「ならば殺せ!!」 と号令を下す。弓兵が矢をつがえ、一斉に放たれた。空を裂く矢が村人たちへと降り注ぐ。

「やめろ!!!」

ヘーパイストスは絶叫したが、矢は次々と人々に突き刺さった。倒れる者、血に染まる地面。子どもを庇う母親が、背中に矢を受けて倒れる。

ヘーパイストスは鉄槌を握りしめ、アレスに挑んだ。

「よくも!!許さんぞ!!アレス!!」

 

火花を散らしながら、彼は鉄槌を振り上げ、アレスに向かって叩きつけた。しかし!

ひらり。アレスは軽々とかわし、ヘーパイストスの鉄槌はむなしく空を切る。地面にめり込んだ鉄槌を再び振り上げようとするヘーパイストスに、アレスは風のように素早く、剣撃を叩き込む。ヘーパイストスの鋼鉄の鎧が砕け、血が地面に滴った。

「ぐっ……!」

膝をつくヘーパイストス。息が荒く、視界がかすむ。

「まだだ……!」

再び立ち上がろうとするが、アレスは勝者の笑みを浮かべながら、血に濡れた剣を振り払った。

「残りは雑魚だ。蹴散らせ。」

アレスの号令が下ると、兵士たちは雄叫びを上げる。

「アラララララーイ!!!」

アレスティアの兵士たちは狂気じみた笑みを浮かべながら、黒曜の戦士たちを次々と切り伏せていく。絶望の悲鳴が夜の空に響く。

アレスはその様子を満足げに見つめている。

「やめろ!」

ヘーパイストスは震える手で地面を掴みながら、血を流し続ける。視界が暗転しそうになる中、彼は最後の力を振り絞って叫んだ。

「まだ生きていたのか、虫けらのくせにしぶといな!!」

 アレスは煩わしそうに、再び剣を抜く。

「逃げろ!!皆、逃げるんだ! 私の神殿に!」

 最後の力を振り絞り、ヘーパイストスは叫んだ。

その声を聞いた黒曜の戦士たちは、我に返った。戦況はすでに絶望的。だが、王の言葉が彼らを奮い立たせた。

「撤退命令だ!!」

「角笛を吹け!!」

「銅鑼を鳴らせ!!」

火花が舞う中、黒曜の戦士たちは素早く行動に移った。角笛の音がこだまし、銅鑼が轟く。

ブォォォォォォ!!!

カンカンカン!!!

その音は、周囲の村々に危機を知らせる合図だった。

「敵襲だ!! アレスティア人が来たぞ!!」

「銅鑼を鳴らせ!!」

「神殿に逃げろ!!兵を集めろ!!」

夜の静寂が破られ、黒曜王国全域に緊急事態が広がった。各地の村で角笛と銅鑼の音が連鎖し、人々は一斉に避難を開始する。                   

「おのれ……!!」

アレスは歯ぎしりしながら戦場を見渡す。

「何をした?いったいこれはなんだ!!」

彼は気づいた。黒曜王国の民は、無秩序に逃げ惑っているのではない。

それは計画された撤退だった。ヘーパイストスは、この日のために避難訓練を何度も行っていた。

「勝てない敵、アレスティア軍が襲来したときは、神殿へ逃げろ!」

「銅鑼を叩き角笛を吹き、皆に危機を知らせろ!」

村人たちは、ヘーパイストスの教えを忠実に守り、混乱することなく避難していた。戦士たちは殿となって敵を食い止め、家族や民を安全な道へと導く。

アレスの目が鋭く光る。

「面白い……! 貴様らがどれだけ足掻こうと、最後には俺様の前に屈することになる!!」

彼は剣を振り上げ、兵士たちに命令を下した。

「追え!! 一匹たりとも逃がすな!!」

アレスティアの軍勢が、一斉に追撃を開始した。

神殿の門が開かれる。

炎に照らされたその入り口へ向かい、民たちは次々と駆け込んでいく。

「まだだ!!まだ!戦える!」

 血にまみれボロボロになったヘーパイストスが、鉄槌を杖にして立ち上がった。

「来い……アレス!!」

傷ついた身体を引きずりながら、ヘーパイストスは鉄槌を振りかぶる。

「まだ戦うつもりか、ヘーパイストス!!」

刹那、アレスの剣が閃いた。剣が唸りを上げ、ヘーパイストスの身体を貫く。血飛沫が舞い、彼は地に伏した。

「往生際の悪い虫が……!!」

その瞬間

「放て!!」

シュッ!!シュシュシュッ!!

一斉に矢と投げ槍がアレスとアレスティア兵へと降り注ぐ。とっさに盾を構えるアレスティア軍、矢は盾に防がれ、投げ槍はむなしく地面に突き刺さった。

ヘーパイストス親衛隊の戦士たちが、絶望的な戦場へ突撃してきたのだ。彼らは、ヘーパイストスが手塩にかけて育てた、黒曜王国初の軍隊だった。鋼の鎧に身を包み、黒曜の旗を掲げ、死を恐れぬ覚悟で戦う精鋭たち。

「王よ!!」

そう叫ぶと、親衛隊の戦士たちは、地面に横たわるヘーパイストスを抱え、神殿へと走る。

 

「ここから先は通さぬぞ!!」

彼らは最後の防衛線を築き、槍衾を構えた。アレスティアの重装歩兵が迫る。

「雑魚が!!!蹴散らせ!!」

アレスの号令と共に、重装歩兵たちが突撃する。親衛隊の槍が敵兵を貫くが、次々に押し寄せる敵の前に、一人また一人と倒れていく。

黒曜の勇士たちは、仲間の屍を乗り越えながらも、最後まで戦い続けた。

しかし、戦場には、次第に親衛隊の影が薄れ、赤黒い死の風景だけが広がり始めていた。戦場は血の海だった。親衛隊の戦士たちは次々と倒れ、軍神アレスが兵を率いて追ってくる。

「王よ!!しっかりしてください!!」

全身に無数の傷を負いながら、親衛隊隊長は瀕死のヘーパイストスを背負い続けた。

彼の呼びかけに応えることなく、ヘーパイストスは意識を失いかけている。

「王よ!!王よ!!もう少しです!!神殿が……見えてきましたぞ!!」

目の前にそびえるのは、黒曜王国の最も堅固な防壁を誇る「神殿」だった。火山の中に築かれたその神殿こそ、黒曜王国の心臓部、ヘーパイストスの心臓である。

あと少し……

あと数歩……

しかし、背後からは轟音と共に、赤き馬の蹄が大地を揺るがせる。

「逃がさんぞ!!!」

軍神アレスが、血に染まった剣を振り上げながら、猛然と追いかけてくる。その瞳は、炎のように燃え上がっていた。

「ヘーパイストス!!」

間に合わない!!

そう悟った親衛隊隊長は、最後の力を振り絞り、ヘーパイストスを神殿へと投げ込んだ!!

「王よ!!!我々の未来を頼みます!!!」

「閉じろ!!!」

その瞬間、巨大な鉄の門が、「ゴゴゴゴ……!!」と音を立てながら閉ざされた。

親衛隊隊長は、門の前で堂々と立ち尽くし、勝ち誇ったように笑う。

「俺たちの勝ちだ!!!」

その言葉を聞いたアレスは、激昂した。

「ならば、死ねい!!!」

アレスの剣先が親衛隊隊長の胸を貫いた。血が噴き出す。しかし、隊長は膝をつくことなく、最後まで誇り高く立ち続けていた。

「王よ……どうか……この国を……守って」

最期の言葉を残し、彼はゆっくりと倒れた。その姿は、黒曜王国の盾として戦った者の、誇り高き最期だった。

 

 

 




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@CADdaisukiair
社畜新兵 Mk.5!
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