黒曜帝国記   作:社畜新兵

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黒曜王国とアレスティアの戦い——それは単なる国と国の戦争ではなかった。
神と神がぶつかる戦場であり、新たな時代が始まる瞬間でもあった。





第五章「決戦!!アウダダ川の戦い」

「アレスティアーン!!」

物見台の男が叫ぶと、瞬く間に角笛が吹かれた。最初の村から次の村へと、音の波が駆け巡る。それを聞いた黒曜人たちは、訓練通りの動きを開始した。

砦へと撤退せよ!丸太で築かれた簡素な砦の門が開かれ、村の者たちが駆け込む。鍛え上げられた戦士たちは鉄砲を構え、隙間から狙いを定めた。

アレスティア兵たちは、急に無人となった村を前に、戸惑いの表情を浮かべた。どの村も同じように砦を築き、民たちはそこへと避難していたのだ。

「おい!出てこい!!このネズミどもめ!!」

赤黒い鎧をまとったアレスが、苛立ちと怒りを込めて怒鳴る。だが、返事はない。

「火矢を射かけろ!焼き殺せ!」

アレスの号令と共に、弓兵たちが弓を構える。矢じりに炎が灯り、一斉に放たれようとしたその瞬間!!

BAN!PAN!PAN!!ZUDO!!

突如、砦の壁に空いた穴から突き出された鉄砲が一斉に火を吹いた。鋭い閃光と共に、轟音が夜の静寂を切り裂いた。

アレスティアの弓兵たちは、矢を放つ間もなく次々と撃ち倒される。

「ぐぁあ!!」

 弓兵たちが悲鳴を上げ倒れた。

「何が起こった!!」

アレスは目を見開き、周囲を見渡した。聞き慣れぬ轟音。火花を散らし、遠くから撃ち抜く奇妙な武器。

兵士たちはもがき苦しんでいた。

「くそっ!!退け!!ひとまず退け!!」

アレスは剣を振りかざし、軍を撤退させた。初めて目にする武器に、彼はただならぬ脅威を感じていた。砦に立て籠もった民を、力ずくで引きずり出すつもりだったが、思わぬ迎撃を受けたのだ。

怒りに燃えるアレスは、軍を引き連れ神殿へと引き返すと、激昂したまま暴れまわった。

剣を振るい、近くにいた奴隷を次々と斬り捨てる。

「なぜだ!! 虫けらの分際で!!」

自身の誇りが汚されたかのように叫び、剣を壁に叩きつける。部下たちは畏れ慄き、誰も口を開けなかった。

「いいや! 俺は負けてなどいない!これはゼウスの気まぐれだ!!そうに決まっている!父上も意地が悪い!!」

アレスは自らを納得させるように呟くと、すぐに指示を飛ばした。

「軍を集めよ!! 全軍だ!!」

そして二万の兵が動員された。

宮殿の窓から、整列する壮観な軍勢を見下ろし、アレスはほくそ笑む。

「ははは! ヘーパイストスよ!今度こそ貴様らを亡き者にしてやる!!」

アレスティア軍二万の兵が、黒曜の土地へと進軍を開始する。

黒曜国へと続く道は深い森の先にあり、火山地帯へと至る自然の要害があった。兵士たちは、行軍の疲れを紛らわせるように歌を口ずさみながら、意気揚々と進んでいた。

しかし!!

ズダン!

突如、銃声が響いた。前列の兵士がバタバタと倒れる。

「何だ!? 敵襲か!!」

兵士たちは慌てて盾を構え、周囲を警戒する。だが、どこにも敵の姿はない。

そのとき、後列の荷馬車が炎に包まれた。

「ぐわぁっ!!」

 慌てて火を消そうとするがもう手遅れだ。荷馬車が一つ、燃えて落ちる。

「なんだと!!」

アレスは歯ぎしりし、剣を振るうが、敵の姿は見えない。黒曜人の戦士たちは、森に身を潜めながら奇襲をかけていた。鉄砲を撃ち、即座に別の位置へと移動する。反撃しようにも、どこから撃たれたのかすらわからない。

「おのれぇ……!!」

悔しそうに吠えながらも、アレスは冷静に判断を下す。

「このままでは危険だ! 見晴らしのいい河原まで進む!」

軍勢は森を抜け、広く開けた河原へとたどり着いた。日が暮れた。そこでアレスは軍を野営し、しばしの休息をとることを決めた。

「ここで野営を張る! 昼間のことがある、気を抜くなよ!」

兵士たちは素早くテントを張り、炊き出しを行う。火を囲みながら、彼らは昼間の襲撃について語り合っていた。

「今まで黒曜の奴らは、あんな武器を持っていなかったはずだ……」

「まるで雷神の槍みたいだった……」

「だが、ここは開けている! 今度はやつらも手出しできないだろう!」

兵士たちは安堵したように笑い合った。だが、その平穏は長くは続かなかった。

「王国万歳!!」

突如、森の中から響く雄叫び。

「敵襲!!」

兵士たちが慌てて剣を抜くが、すでに手遅れだった。

ドカン! ドカン! ドカン!

爆発音が轟く。

投げ込まれた爆弾が次々と炸裂し、野営地を混乱に陥れる。

火薬の煙が河原を覆い、次々と兵士たちが吹き飛ばされた。

「な、何だ!これは!!」

アレスティア軍は完全に虚を突かれ、隊列は乱れた。黒曜人たちは遠くの木陰から、狙い澄ました射撃を続けていた。

この爆弾もまた、ヘーパイストスの工房で作られた新兵器だった。ハデスは先の戦いに喜び、さらなる工房の稼働を許可したのだ。冥界に送られた魂の対価として、神の工房は新たな武器を生み出し続けていた。

アレスティア軍は、かつてない戦いに直面していた。

剣と盾の戦場ではない。槍と弓の戦いでもない。

それは、鉄砲の時代の幕開けだった。

アレスティア軍は、ついに黒曜の土地へとたどり着いた。

だが、彼らを待ち受けていたのは、思いもよらぬ防衛陣だった。

雑多な柵と、粗末な堀。

その向こうに陣取る黒曜軍は5000。対するアレスティア軍は1万5000。

「ハハハハハ!!!」

アレスティア兵たちは笑った。

「見ろ!アイツら、川を背にしてやがる!」

「逃げ道を失ったか!ド素人め!」

「しかもあの堀……小さいぞ!ひと一人がようやく入れるほどじゃないか!墓穴か!」

兵たちは嘲笑しながら、陣形を整え、ゆっくりと前進を開始した。その様子を、ヘーパイストスはじっと見つめる。

「まだ撃つな!」

じわじわと迫るアレスティア軍。

「まだだ!撃つなよ!!」

アレスティアの弓兵が弦を引く。

「アラララーイ!!!」

雄叫びが響き、矢が一斉に放たれた。

「くそっ!」

黒曜軍の兵士が数人、矢に貫かれ倒れる。

「盾を構えろ!盾兵!!」

 盾兵が鉄砲兵の頭を盾で守る、まるで傘をさすように。矢を防いだ。

アレスティア軍の歩兵隊がさらに前進する。

ヘーパイストスは彼らの目をじっと見つめた。

「まだだ!白目が見えてからだぞ」

そして、ついにその時が来た。

「今だ!!! 放て!!! 」

パーン! パンパンパン!!!

2000人の鉄砲兵が一斉に発砲した!

炸裂する火薬、弾丸がアレスティア軍の最前列を襲う!

「ぐあああああ!!!」

兵たちがバタバタと倒れ、悲鳴が河原に響き渡る!

一斉射撃を受けたアレスティア軍は、突如として動きを止めた。

「なんだ!? 何が起きた!?」

アレスは混乱する兵たちを見渡した。だが、悪夢はまだ続く。

「迫撃砲!!撃ち込め!!」

ヘーパイストスの号令とともに、新たな攻撃が始まった。

ハデスの工房で生み出された黒曜軍の新兵器「迫撃砲」

ヒューン!!

轟音とともに砲弾が宙を舞い、アレスティア軍の陣地へと降り注ぐ。

ドォォォン!! ドォォォン!! ドォォォン!!!

爆炎が巻き起こり、最前列の兵士たちは粉々に吹き飛ばされた。

「な、なんだ、なんだあれは!!?」

アレスの顔が強張る。自軍の兵士が、まるで虫のように吹き飛んでいく。だが、アレスはすぐに気を取り直した。

「騎兵隊!!行くぞ!!!」

「は!!!」

アレスが率いる肝入りの精鋭騎兵隊が戦場へと駆け出す!ドドドドドド!!数百騎の重装騎兵が、一斉に突撃を開始した!

しかし、ヘーパイストスは微動だにしなかった。

「前列!後列へ後退!! 落ち着いて弾を込めろ!!後列!前へ!!」

「あ!アイサー!」

 新兵たちが気の抜けた返事をする。無理もない、彼らはまだ10歳の子供だった。

騎兵隊が迫る中、黒曜軍の鉄砲兵は冷静に装填を始める。

「迫撃砲、射角80度!! 近距離射撃!!」

「アイサー!」

 迫撃砲を任されていたのは熟練した親衛隊だった。

 ヘーパイストスの指示は縦笛の音色と太鼓のリズムに変わって全軍に伝えられた。音楽を奏でる「軍楽隊」の誕生である。

砲兵たちが迅速に照準を合わせ、再び砲撃を開始する。

ヒューン!!

ドォォォン!! ドォォォン!!

爆風と鉄片が騎兵隊を襲った。10騎の騎兵が砲弾の餌食となった。

それでも、アレスは叫ぶ。

「まだだ!! 突っ込め!!!」

 アレスは、砲撃と銃撃の弱点を本能的に理解していた。銃弾には再装填のスキが生まれる。砲撃は散らばって高速で移動すれば、当たらない。

ヘーパイストスはそれを冷静に見つめていた。

「柵を上げろ!!!」

その瞬間!!

バッ!!!

甲高い角笛の「音」を合図に、地面に隠されていた無数の柵が突如として持ち上がる。

柵には有刺鉄線が絡みつけられ、まるで巨大な棘の壁のように立ちはだかった。

「ヒヒーン!!!」

アレスの愛馬が悲鳴を上げ、転倒、柵に突っ込んだ。

次々と騎兵たちも馬から振り落とされ、混乱が広がる!

その光景を見下ろしながら、ヘーパイストスは静かに鉄砲を構えた。

「アレス、お前の時代は終わった。」

アレスが必死に立ち上がろうとするが、砲撃によって地面はぬかるみ、立ち上がれない、よく見ると、足に砲弾の破片が突き刺さっていた。

「ヘーパイストス!!! 貴様に誇りはないのか!!!」

「そんなものでは、民を守れない!!」

 ヘーパイストスはゆっくりとフリントロックライフルを構える。これは最初の1丁だった。忌まわしきいけにえの儀式によって作られた。10あるうちの銃の一つ。最初にアレスティアの弓兵を撃ち殺したライフルだった。

ドン!!!ヘーパイストスのフリントロック式鉄砲から、轟音が響いた。

弾丸は一直線に飛び、アレスの胸を撃ち抜いた。

「ぐっ!?」

アレスの目が見開かれる。

「俺は!!負けてない!」

アレスは膝をつき、そのまま崩れ落ちた。

それは、黒曜王国が神の軍勢に勝利した瞬間だった。

黒曜軍の兵士たちは、しばし沈黙した後、勝利の雄叫びを上げた。

「うおおおおおおおおお!!!!」

こうして、アウダダ川の戦いは終結した。

アレスの死によって、アレスティアの侵攻は終焉を迎えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 




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@CADdaisukiair
社畜新兵 Mk.5!
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