黒曜帝国記   作:社畜新兵

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アウダダ川の戦いは、ただの戦闘に留まらない。黒曜王国とアレスティアの間で繰り広げられた壮絶な戦争は、運命をも変える出来事となった。軍神アレスが死し、その骸を抱えるヘーパイストスに怒りに震えたアリスティア軍が襲いかからんとする。


第六章「アウダダ川の戦いの終焉」

 アウダダ川の河原に立ち尽くすヘーパイストスの腕の中には、かつての宿敵、軍神アレスの亡骸があった。激しい戦闘の末、黒曜の軍勢が勝利を収めたものの、彼の胸には勝利の歓喜よりも深い哀しみが満ちていた。

「弟よ、なぜこうなってしまったのだ?」

 ヘーパイストスは静かに涙した

 アレスは戦そのものだ、戦いの狂気と暴力の神だ。アレスティアの兵士たちはアレスに絶対の忠誠を誓っており、アレスとともに戦うことを誇りとしている。そのアレスが討たれ死んだのだ。アレスティア軍に激震が走った。

 アレスティア軍の残存兵、およそ五千。彼らは王を失った怒りに身を焦がし、ヘーパイストスを睨みつけると、一斉に駆け出した。

「アラララララーイ」

 しかし。

「全軍!!撃ち方やめ!!その場に待機!!!」

 そう指示すると、軍楽隊が全軍待機のメロディーを奏でる。皆が戸惑いながら、その場に待機した。あるものは銃に弾を装填し、またある者は未だに銃を構えたままだ。

 するとヘーパイストスはアレスの亡骸を抱え、一人歩き出した。慌てて親衛隊の兵士たちが彼の後を追う。

「ついてくるな!!」

 叱責するヘーパイストス。

「しかし!!王よ!!」

「私はいい!!おまえらは私の代わりに全軍を指揮してくれ!!いいか!決して撃つなよ!!」

「YES!!SIR!!」

 短く敬礼すると、親衛隊長ミケラオスは自陣へと帰り、再び待機の命令を出した。

 ヘーパイストスはアレスの骸を抱えて再びゆっくりと歩きだす。

 敵陣がなおも襲いかかろうとする中、ヘーパイストスはゆっくりと前へ歩を進めた。彼の腕の中には、冷たくなったアレスの身体が横たわっている。

 騎兵も、歩兵も、弓兵も、すべてのアレスティア軍は、突如として襲ってきた沈黙に囚われた。彼らの前に、武器も持たず、ただアレスの亡骸を抱えた男が歩いてくる。戦場の喧騒が、まるで幻だったかのように消え去る。

 ヘーパイストスはゆっくりと口を開いた。

「聞け、勇敢なアレスティア人よ!!」

 その声は、戦場全体に響き渡る。

「貴様らの王は死んだ!アレスは立派に死んだのだ!!この戦いにもう意味はない!!」

 アレスティアの兵たちは剣を握りしめるが、誰一人として動けなかった。

「軍を引け!!故郷に帰れ!!」

 彼の声には威厳があった。だが、それだけではなかった。そこには誇り高き戦士の、敵への敬意が込められていた。

 そして、ヘーパイストスの目が一人の男を捉えた。アレスティアの将軍、パルタゴス。その勇猛さと知略で数々の戦を勝ち抜いてきた老将だった。

「パルタゴスよ!」

 呼びかけると、パルタゴスはゆっくりと歩み出る。彼の顔は怒りと悲しみに満ちていた。よくも我らの王を殺してくれたと。

 「ヘーパイストス!!我らが王を返せ!」

 パルタゴスの声には悲痛な叫びがあった。

 ヘーパイストスは一瞬、黙った。彼が倒したのは宿敵、そして兄弟だった。

「ああ、弟を丁重に弔い、葬ってくれ。無事天に帰れるように」

 静かにそう言うと、彼はアレスの亡骸をパルタゴスに渡した。

 パルタゴスは亡骸を抱え、膝をついた。それを見た兵士たちは次々と武器を下ろす。誰もが気づいていた。もはや、戦う意味はないのだと。

 ヘーパイストスは踵を返し、ゆっくりと自軍へと戻っていった。

 驚くべきことに、その背中に矢を射る者は一人もいなかった。

 自陣に戻ると、ヘーパイストスは軍勢を見渡し、深く息を吸った。

 「勝ったぞ!!!!」

 その一言が戦場に響き渡った瞬間、黒曜軍は一斉に拳を突き上げた。

 「おおおおおおお!!!!」

 大地が揺れるほどの歓声が巻き起こる。誰もがその瞬間、歴史が変わったことを感じていた。

 アウダダ川の戦いは、黒曜の勝利で幕を閉じた。

 アレスティア軍は、一万の兵と唯一無二の王を失った。この敗北により、アレスティアの権威は失墜し、各地で反乱が一斉に勃発することになる。

 こうして、黒曜王国はアレスティアの支配から完全に解放された。

 しかし、それは新たな時代の幕開けでもあった。

 ヘーパイストスの勝利が、戦の形を変えた。火と鉄が生み出した新たな戦術「戦列歩兵」

銃と砲撃が戦場を支配する時代が、ここから始まるのだった。

 




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@CADdaisukiair
社畜新兵 Mk.5!
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