彼の導きのもと、「黒曜帝国」は誕生した。
これは、機械仕掛けの神が導く帝国の物語である。
ヘーパイストスの工房では今日もオートマトンが忙しく動いていた。
「よし!その部材はあちらに!そこを溶接しろ!おい、発電機の出力が落ちているぞ!炉にコークスを足せ!」
「AYE、SIR!!」
ヘーパイストスの命令に応じ、オートマトンたちは一斉に動いた。黒色の装甲を纏った機械仕掛けの騎士たち。赤い眼を輝かせながら、彼らは迷いなくヘーパイストスの指示を遂行する。
このオートマトンが生み出されたのは、アウダダの戦いに勝利したからだ。あの戦いは帝国の礎となった戦いだった。絶対的支配者アレスが天に登り、地上の玉座が空席となった。都市国家連合アレスティアは分裂し、かつての強大な王国は内戦に陥った。
ヘーパイストスは内戦によって疲弊した国を次々に併合していった。軍を派遣し、都市国家を次々に彼の支配下においた。その行為を火事場泥棒と揶揄する者もいたが、圧倒的な力を持つ黒曜軍の侵攻に国々は次々に膝をついた。占領した地域での略奪や虐殺は起こらなかった。ヘーパイストスは厳命していた。略奪者は死罪と。その言葉通り、略奪や強姦に手を染めた兵士たちは、次々と木につるされていった。
ヘーパイストスは併合した土地をその土地の有力者に任せ、税を納めさせた。緩やかな統治だった。
そして戦争によって故郷を追われた難民たちを受け入れ、彼らを飢えさせぬために、さらなる兵器と食料の生産に追われていた。
「ジリリリン!」
オートマトンの背中に備えられた無線機が鳴り響いた。
「こちらヘーパイストスだ。どうした?」
「ヘーパイストス様!こちら炭鉱のサマスです!また落盤事故が起きました!助けてください!」
「すぐに救助用のオートマトンを送ろう!」
ヘーパイストスは工房を飛び出し、格納庫へ向かった。そこには特殊装甲車「コオイムシ」が並んでいた。帝国軍の誇る装甲車であり、救助活動や戦場での輸送を担う万能機だった。
コオイムシの背中には八体のオートマトンを搭載でき、さらに十人の兵士が搭乗可能だった。
「救助班!乗り込め!」
兵士たちは迅速に装甲車に乗り込む。オートマトンもまた、静かに搭乗位置に立った。全員の準備が整うと、ヘーパイストスは力強く命じた。
「救助班!!出動せよ!」
キューポラから、顔を出した隊長が言った。
「コオイムシ、発進!」
装甲車は力強く唸りを上げ、黒曜帝国の鉱山地帯へと向かった。
「黒曜王国」は今やいくつもの国を併合し、「黒曜帝国」となった。
しかし、平定したばかりの地域は混乱に満ちていた。窃盗、強盗、殺人が横行し、秩序は崩壊していた。
これを放置すれば、せっかくの帝国の基盤が崩れることになる。
ヘーパイストスは治安維持のため、装甲車を使用することにした。
「コオイムシを治安維持にも使う」
もともと救助と戦闘を兼ね備えたこの装甲車は、治安維持にもうってつけだった。
各車両には広域多目的無線機を搭載し、オートマトンの背中にも無線機をつけた。すべてのコオイムシは「通信司令部」を経由して、遠距離通信ができ、各部隊間で連携ができた。オートマトンたちの背中にも同じ無線機がつけられているため、即座に通信で情報のやり取りができ、現場への急行も可能だった。
この治安維持部隊は「ケルベロス隊」と呼ばれた。
ケルベロス隊は昼夜問わず帝国の各都市を「特殊装甲車コオイムシ」で巡回し、犯罪者を見つけ次第、速やかに捕縛、あるいは射殺した。特に凶悪な犯罪に対しては容赦がなく、人々は彼らを「皇帝の犬」と呼び、蔑んだ。
しかし、ケルベロス隊員たちはその異名を誇りに思っていた。
「我々は皇帝の番犬だ!」
隊員たちは自らを「法の番犬」と語り、「皇帝の秩序を命を賭して守る」この誓いを胸に、帝国の治安を守り続けた。
帝国は強固な法治国家となった。
ヘーパイストスは法を厳格にし、犯罪を許さなかった。帝国の法は単なる抑圧ではなく、厳格な秩序をもたらすものだった。住民たちは次第に安全な生活を享受し始め、帝国の支配を歓迎する声も多くなった。
犯罪が激減したことで、都市の発展は加速した。市場は活気に満ち、工房では新たな技術が生まれ続けた。帝国全土をつなぐ街道が整備され、交易も活発になった。
「人類は心と技術と肉体によって繁栄する」
この「心、技、体」の三位一体が繁栄への道であると、ヘーパイストスは民衆に説いた。
ヘーパイストスは帝国の統治に全力を注ぎ、次々と改革を推し進めていった。
黒曜帝国はさらなる発展を遂げる。
新たなオートマトンが開発され、機械仕掛けの兵士たちはさらに進化を遂げた。帝国の技術は大陸随一となり、戦争をするまでもなく、他国を圧倒する力を持つに至った。
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@CADdaisukiair
社畜新兵 Mk.5!