サバンナゲーム 復讐の鉄狂鬼   作:お兄ちゃん

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数ヶ月ぶりの投稿です。読んでくれた皆様、待たせてすいません。


第2話 日常な日々

朝の目覚ましに洗面所の冷たい水で顔を洗う、それが茎丸が朝起きて一番始めににすることだ。

眠気が覚めずボーっとした頭に開けたくてもなかなか開かない瞼には冷たさという刺激が一番だと思っている。一度夢のせいで起きてしまいもう一度寝たが余計に眠くなってしまったので、いつもより長く顔を洗う。

濡れた顔をタオルで優しく拭き寝巻きの上だけ脱ぎ、日課になっている朝の鍛錬を行う。

鍛錬といってもただ木刀や棒を振り回す、自作の籠手を付け徒手空拳を行うなどだ。もちろん準備運動やストレッチも欠かさず行う。

朝食を食べて服を着替え、茎丸は今日のスケジュールを確認する。

「今日は昼まで仕事して早退、帰って荷物を車に積んで大阪で三室家に向かう…と」

スケジュール確認を終え、持ち物確認し茎丸は仕事場に向かう。

 

 

当時のことは覚えているし、覚えていないともいえる。

あの時声が聞こえた直後からの俺の記憶はない。気づいたら道の真ん中で右袖と裾が破られたまま歩いていた。後で保護してくれた警官の話だと服だけでなく四肢の見えるところは擦り傷だらけ、頭から血を流していたという。

警官を見て安心した俺は意識を失い、次に目覚めた時は病室のベッドの上だった。

目を覚まし警官に自分に起こった事を話し調べてもらうまで自分の町での事件は誰も知らず、発覚後は事情聴取やマスコミのインタビューで何度も起こったことを話した。

そのうち、事件の早期解決を目標に掲げる団体や弁護士が協力してくれるようになった。

俺を保護してくれる児童養護施設も見つけてくれた。

「どんな形であっても、君のために全力で真相を追う」

それを弁護士や団体の皆が口癖のようにいつも言っていた。俺は嬉しかった。これでみんなが見つかる、その思いで頑張った。

 

活動を始めて一週間後、弁護士から今回の事件から手を引くといった内容の手紙が届いた。弁護士に連絡を取ろうとしても連絡用の番号だけでなく事務所にもかからなかった。

 

その三日後には団体の事務所があった建物が取り壊された。現場の人に聞いても「老朽しているから一度壊して建て直す」とだけ言われた。

 

その日を境に弁護士からも団体の人からも連絡はなくなった。建て直すと言っていた土地はずっと更地のままだ。

俺は《また》一人になってしまった。

しかし、全てを失ったわけではない。

事件を追う手段を失くし施設で閉じこもって数日後、俺宛に小包が届いた。

差出人は【吉津良法律事務所・集団失踪事件捜索自治体】。

中身は今まで集めた事件の重要証拠とそのリスト、『島原 茎丸様へ』と書かれた手紙。

手紙は『活動は中止します。活動再開まで預かっておいてください』という感じの内容が読みづらい手書きで書かれていた。

住所が書いていないか探したが書かれていなかったので今も連絡がつかない。

それらは今も俺の部屋に厳重に保管されている。『来たるべき』時のために…

 

 

 

「…島原君、大丈夫かい?」

「…え?あ、すいません!」

茎丸はいつの間にか考え事をして止まっていた思考を再起動した。

「返却された本を棚に戻して置いてくれるかい?僕が受付代わるよ」

茎丸の肩を叩いて起こした中年の職員に仕事を頼まれた。

「分かりました。…では、貸し出しは今日から二週間までですので返却期限を過ぎないようにお願いします」

「ありがとうございます。茎丸君、大丈夫?少しボーッとしてたけど?」

「すいません、昔の事を思い出しまして…仕事中なのにごめんなさい」

カウンターの向こう側にいる貸出しに来た客が心配な表情で茎丸に話す。

心配してくれるのは嬉しいが、やるべき事を前にただ突っ立っていた自分が悪い。

「そう?なら良いのだけれど。体に気をつけてね」

借りた本を鞄に詰め出口に向かうのを見送り、茎丸は仕事に戻った。

すぐにいつもの平穏な日々が崩れるとも知らずに…

 




愛ある解釈は難しいですね。
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