原神IF -知っているようで、知らない世界-   作:白い花吹雪。

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21.モンドの夕暮れ

 町に戻り、男たちの身柄をジンたちに引き渡した。

「たち」というのは、ガイアも一緒にいたからだ。

なんでも、ジンに仕事の手伝いを頼まれてやっていたらしい。

 

「たった今仕事が終わったところだったんだが……まあ、仕方ない。それにこいつらは、前から話題のお尋ね者だったしな」

 

ガイアによると、この3人は1ヶ月ほど前からモンドのあちこちに出没しては露店の商品をくすねたり、人家に侵入して空き巣を働いたりしており、指名手配状態になっていたとのこと。

 

「まだ手配書は作ってなかったんだが、むしろこれは好都合だな。本当に手配書を作る手間が省けたぜ」

 

「それは、単にあなたが面倒臭がっていただけだろう?私はやれと言ったはずだ」

 

「あれ、そうだったか?まあ、いいんじゃないか?こうして対象者も捕まえたわけだしな」

 

 何というか……彼は相変わらずだ。

この性格が彼の売りであるような気もするが。

 

「とにかく、こいつらは俺が連れていく。……いいよな?」

 

「ああ……こういうことは、あなたに任せれば間違いないからな」

 

 

 

 

 そうして、ガイアが宝盗団の3人組を連れて行った後、ジンはリィルを見た。

もしかして初対面?と思ったが、そんなことはないようだった。

 

「リィルも、奴らを捕まえるのに協力してくれたのか?」

 

「はい。リサさんと旅人さんとで、捕まえました」

 

リサは、ジンと目を合わせると顔を少しばかり背け、妖艶な笑みを浮かべた。

……あの夜のことを思い出すので、正直やめてほしいのだが。

 

「そうなのか?」

 

「ええ。あの男たちを捕らえられたのは、この子たちがいたからこそよ。草元素と風元素……あまり合わないと思っていたけど、何事も考え方次第ね」

 

「旅人さんがいなければ、ちょっと苦労していたと思います。私とリサさんだけでは、彼らを1カ所に集められませんから」

 

「リィルこそ、すごくありがたかったよ。彼らを拘束して、草付着もしてくれるんだもの……モナみたいに」

 

 そんな話をしていると、パイモンがふてくされた。

 

「おい!おまえら、さっきからオイラを忘れてないか!?」

 

別に忘れてはいない……のだが、パイモンは今回に限らず、あまり活躍しないことが多い。

少なくとも、戦闘面では。

 

「忘れてなんかないよ。私が最初に彼らを吹き飛ばした時、私と一緒に受け止めてくれたもんね」

 

 狂風のコアに彼らが襲われていた時、私は彼らを助けるために元素爆発を使って、彼らを吹き飛ばした。

その際、パイモンは私と一緒に落ちてきた男たちを受け止めてくれた。

 

そしてその後は……まあ、控えというか、もしもの時に備えて後方で待機する役割をやってくれていた。

だから、決して無駄な立ち位置ではないし、存在を忘れていたわけでもない。

 

「それだけか!?おまえたちが戦ってる間、他の魔物が寄ってきたりしないか見張ってたり、アカツキワイナリーに入って紐をもらってきたりしてやったんだぞ!」

 

「ああ……そうだったね。ありがとう、感謝してるよ」

 

「むう……なんか適当な言い方っぽいな!」

 

「まあまあ、彼らを捕まえて、ここまで連れてこられたのは、パイモンさんのおかげでもありますから」

 

リィルがそう言うと、パイモンは納得したようだった。

 

 

 

「ところでジン……彼ら、怪しい物を持っていたの」

 

 リサが、男たちが持っていた例の薬品が入った瓶を取り出した。

 

「何だ、それは?」

 

「よくわからないんだけど……どうも、高濃度の風元素の液体みたいなの。彼らを捕まえる時に1本割られたんだけど、すごい濃度の風元素が噴き出して、私たちも吹き飛ばされそうになったわ」

 

「そうです……!これ、結局何なんでしょう?」

 

「ふむ……」

 

ジンは液体を見つめ、「あいにくだが、私にもよくわからないな」と言った。

 

「リサにもわからないのか?」

 

「調べてはみるつもりだけど……正直、ぱっと見ではよくわからないわね。かなり濃度の高い液体元素であることしか」

 

「そうか。なら、調べてみてほしい。それで結果がわかったら、報告を頼む」

 

「わかったわ。……でももう夕方だから、早くても明日の昼以降になると思うわよ?」

 

「構わない。しっかり調べてくれ」

 

 

 

 そうして、リサは先にモンド城へと戻っていった。

これから夜まで液体の調査をして、深夜にはまたジンと愛し合うのだろうか……いや、考えるのはやめておこう。

 

ちなみに、リィルは2人がそういう関係であることは知らない様子だった。まあ、知るべきことではないし、知っているほうがおかしいまであるのだが。

ウェンティに関しては……彼は神様だし、普通の人間とは価値観が違うから、知ってもさほど問題はない、と思うことにする。

 

「旅人さん、その……せっかくなので、『鹿狩り』で何か食べていきませんか?」

 

 リィルからの思わぬ提案に、私より先にパイモンが食いついた。

無論、私も断りはしない。

 

モンドの住民と、あのレストランで食事をするなんて……何年ぶりだろうか。

しかも、前の世界では見たこともない、新しい住民と。

 

 

 

 リィルは、鳥肉のスイートフラワー漬け焼きとパンケーキを頼んでいた。

バーバラとは違い、甘いものが好きなようだ。

 

パイモンはというと、好き嫌いなくいろんな料理を頼んでは食べまくっていた。

1人で、明らかに私とリィルが頼んだ以上の量を食べていた。

 

やはりというか、この非常食を連れて旅をするのは結構大変そうだ。

とはいえ、この世界では稼ぐ手段が豊富にあったはずだから、そこまで困らないと言えば困らないが。

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