RPGゲームの世界に転生したので、ゲーム知識を使って楽しもうとしたけど、自分だけ知識チートじゃ面白くないのでネットで共有します。

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第1話

現代ファンタジーRPGの世界に転生した少年には大きな不満があった。中ボスで行き詰まる名門クラン、至高のように謳われる不合理な成長戦略。つまるところ少年はこの世界に失望してしまったのだ。

 

やる気は削がれ、夢であった冒険者への憧れを捨てた頃、一つのアイデアが思い浮かんだ。それは今の秩序を劇的に終わらせてしまう悪魔的発想、後世では一つの時代の終わりと記されることとなる事件の始まりであった。

 

ゲーム知識をばら撒いたら面白そう。

 

そんな安易な考えの下、お手軽な稼ぎ方から一部の人間だけで独占される隠し職業まで、無数のゲーマーたちが積み上げたありとあらゆる攻略データがネットに放出された。

 

そして5年…

 

世は全冒険者最適ビルド時代!

ラストダンジョン踏破はできて当然、国宝相当の最高級アイテムの価値は今や通販で買えるほどにまで暴落した。そこに知識格差など存在しない、技量と戦略のみが純粋に評価される混沌とした新世界に人類はたどり着いたのだ。

 

 

「やあ、おはよう。」

 

クラスメイトの視線は冷たい。それもそうだ、クラスメイトの人生を狂わした元凶なのだから。5年前、ゲームシナリオに関わるキャラクターとその知識をばら撒いた元凶たる俺の身柄を巡って大戦が引き起こされた。終戦した後もシナリオ通りにこの学園に集められ、親類と共に付近に駐屯する連盟平和維持軍の庇護下にある。

 

世界の危機は回避され、人類の繁栄は絶頂を迎えていると言っても過言ではない。だが、傷跡もまた大きかった。大戦が起こり、七大ダンジョンを保有する列強は軒並み混乱に陥った。この大扶桑帝国も華族制度が崩壊したのだ。没落華族は珍しくもないし、クラスメイトの四人に一人はそうである。

 

「おはようございます。」

 

この子はテロリストとして学園に潜入するはずだった氷華ちゃんだ。数少ない俺の友人である。シナリオを暴露した結果、蘇聯と米帝と中華が激突しテロリストは壊滅、どさくさに紛れて救出されたらしい。

 

「うむ、おはよう。 今日もお前が元気で良かった。」

 

コイツは大英から留学してくるはずだった第三皇子だ。大戦時には、暗殺されるはずだった第一皇子と悪事をやる予定だった第二皇子、成り行きで最終的に王冠を被ることになるこの第三皇子で血みどろの継承争いが起こった。シナリオを知って豹変した第一皇子、行ってもない犯罪の責を問われる第二皇子、そして訳もわからず巻き込まれた第三皇子。結局は現王の采配の下、君主は廃位された。で、原作より流れた血が少なかったことに満足した第三皇子はこうして学園で余生を送っている。

 

 

今回はダンジョンに潜るにあたって、ビルドをどうするか考える授業だ。取り敢えず聞き耳を立ててみる。

 

「わたしは回避氷聖剣士かな。」

 

氷華のはゲームではありえないであろう器用貧乏ビルドだ。

 

「シナリオ通り、氷アサにしなさいよ。」

 

「意表をつかないと対策されるから… 焔ちゃんこそ、本当に純火魔女のでいいの?」

 

でも、そうじゃない。対人メタを考えるならありかもしれないビルドだ。

 

「アレはあたしの夢だったし、アイツの思惑に乗るのは癪に触るけどね。」

 

確か魔女は隠し職業だったか…

 

「君はどうするんですかあ? 安全保障?がどうとかで縛りプレイ?はダメですよう〜」

 

原作通りのロリ先生だ。最適ビルドがどうたらの勉強は大変だったろうな

 

「状態異常メインの罠師でいこうかと…。」

 

敵はダンジョンだけではない。ここ数年で対人には罠が重要だと学んだし、状態異常も最近は厳しいとはいえ戦闘に活かせるような当てはある。

 

「考えがあるのはいいことです〜 でも、仲間に石化や毒を使う時はよく相談しましょうね〜」

 

あっ、バレた。

 

 

ダンジョン前には冒険者が屯している。

配信で稼ぐRTA勢にアイテム市場を支えるマラソン勢、どいつもこいつもS級冒険者だ。たった5年前までは両手に数える程しかいなかったのに、今や冒険者の大半がS級である。しかも条件をラスダン踏破と難しくしたのにだ。一人のS級が軍事力を左右する時代は終わり、核で確殺するか冒険者の量と戦略で押し潰すか、どちらにしろ個人の武勇が重視されることは無くなった。

 

興行の対人戦も人気だ。今日も元気にメタのメタにメタのメタのメタとかやってる。自由度が高い分、ゲームよりも多様性に富んでいる。いつかは試合に出てみたいものだ。

 

危ないから学園に戻って? 続きはまた今度か…

 


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