双子に愛されている男 作:主義
二木久遠は第四高校で……一種のアイドルだ。本人はそんなことを微塵も思っていないかもしれないが、第四高校の中で二木久遠は特別な存在なのだ。
話し掛けることも躊躇われ、彼の気持ちを少しでも害するようなことはしてはいけない。そんな雰囲気が第四高校にはあり、彼が入学して2年という月日が経つのに関わらず、二木久遠に友人と呼べるような人はいない。
それには第四高校の中で二木久遠が……『神様』のように崇められているからなのだ。
――――――
第四高校の入学式には新入生と来賓、あと生徒会長が参加することになっている。風紀委員などは警備に当たっているけど、式典に参加するということではないので除外した。
これで2度目の新入生への挨拶などそこまで緊張することなく、いつものようにやり遂げた。
入学式も終わるとすぐに生徒会室へと戻って、書類作業に移った。そして視線を書類から前方に向けると僕と同じように書類作業をしているものが2人にシステムを使っての作業に2人いる。その4人は生徒会役員。とても真面目な人たちで毎度助かっているが、少しは気を抜いてくれても良いと個人的には思っていたりする。
「みんなも疲れていたら休憩してくれて構わないよ。それにそこまで急ぐような仕事でもないし」
そう言うと「大丈夫です!」「会長が働いているのに休むわけにはいきません!」とか聞こえて来る。もしかして、この子たちって休むことを知らないのかな。
そんなことを考えていると誰かから通話が来たことに気付き、席を外すことにした。そして誰からか確認するとそこには『七草真由美』と表示されていた。
「はい、二木です」
「あ、やっとでた!」
「すみません。生徒会の活動中だったもので」
「そっか…ごめんね。あんまり時間は取らせないから」
「はい、大丈夫ですよ。それで七草さんから連絡が来た時点である程度は察しています。あのことについてですね」
「うん!こっちは教職員の方に確認した感じだと大丈夫そうよ」
「え、本当ですか!?」
「はい、少しだけ脅しみたいなことをしちゃったけど、大丈夫よ」
「それは大丈夫とは言わないです」
まぁ…七草家に脅されたら首を縦に振る以外の選択肢はなかったと思う。
「大丈夫よ。久遠くんの方はどうだった?」
「…大丈夫でした。驚くぐらいにとんとん拍子で進んで行くので少し不安なぐらいです」
正直、教職員に許可を求めにいく段階で反対されるのはある程度想定されている。その時のために色々と用意していたのに全てが無駄になってしまった。
うちの先生たちは少し物分かりが良すぎる気もするけど。
「さ、さすが久遠くん!先生たちも手懐けているなんて……」
「手懐けているなんて言わないでくださいよ。僕はただ先生たちにお願いしただけですよ」
「そういうことにしておいてあげましょう。この感じだとどっちも大丈夫そうね」
「そうですね。予想以上に早く出来ると思いますけど、会場の手配とかは七草さんに任せて大丈夫なんですよね?」
「うん!元々持ち掛けたのはこっちだし、それぐらいはするわ」
僕も二木家の次期当主だから用意しようと思えば、用意できるけどここは七草さんにお願いしよう。
「そうですか。人数はどれくらいにしましょう」
「全校生徒でいいんじゃないかしら?」
「え、全校ですか?」
「うん。いいんじゃない。抑えようと思っている施設だったら両校の全員が参加しても大丈夫そうだし」
「そ、そっか…。じゃあ、こっちは生徒にアナウンスを明日にでもしようかな」
「わかったわ。それならこっちも明日に」
それから少し話して僕は七草さんとの通話を切って生徒会室に戻った。