僕と七草さんは校門の前で学校説明会に参加してくれる子たちに挨拶をする。僕もなるべく、七草さんに見習って笑顔で挨拶をするようにしている。
見学にきた子たちを見ていて思うのは、緊張しているということ。よく考えれば魔法師として頑張ろうとしている子たちからすれば、僕たちのように通っている人間は『すごい人』として認知されていたりするのかもしれないな。
次の時はもっと緊張を解けるようなイベントを用意するのもありかもって考えていると隣にいた、七草さんから声を掛けられた。
「会長、そろそろ学校説明会が始まるので私たちも中に入りましょう」
「そうだね」
そして校門から説明会が行われる場所に行くまで、七草さんと他愛ない話をする。
「そう言えば、七草さんに聞きたいことがあったんです」
「なんでしょうか?」
「七草さんは珍しく婚約者とかがいると聞かないけど、心に決めた相手でもいるんですか?答えたくなかったら全然答えなくてもいいですよ」
七草さんは間髪入れずに答えてくれた。
「そんな相手はいませんよ。婚約者に関しては色々と打診を頂いていますが、私個人としてはまだ決める必要はないと思っています」
いつもの七草さんとしてではなく、七草真由美として答えてくれたように感じた。
「まぁ…でもそうだよね。僕も婚約者とか話は色々と聞くけど、先延ばしにしているよ」
「では私と会長は似た者同士ですね」
「そうだね。でも、さすがにそろそろと決めないといけないとは思っているんだ。母は早いうちに当主の座を僕に受け渡したいみたいだから、卒業するまでに婚約者は決めないと」
六塚家の次期当主として生を受けなければこんなことを考えずに、普通に恋愛したのかなと思ったりはする。でも、僕の性格からして独身で人生を終えそう。
「会長の婚約者になる方はしっかりと支えられる人がいいですね」
「…そう思いますか?」
「はい。会長はしっかりしている人ですが、たまに自分の身を顧みない行動をするのでその辺りを察知して止められたりする人の方がいいと思います」
「そうかなぁ…そんなに後先考えない程度は取んないと思いますけど」
「いや、取るのでしっかりと会長のことを分かっている方が良いと思います」
六塚家の次期当主の婚約者はどう考えても苦労の方が多い。当主の嫁に来るということは嫌でもお家騒動に巻き込まれる。うちの一族はそこまで権力争いが激化しているわけではないのは事実だが、それでもないということではないのだ。
母から僕が生まれなければ誰を次期当主に据えるかは色々と揉めることになったと母から聞いている。
だからなるべくなら…一族のごたごたに対処できるような相手であるといい。一つ一つのことに思い詰めるような優しい人だとこの世界で生きていくのは難しい。
――――
そして説明会の方は滞りなく、終わった。第一高校でどのようなカリキュラムを行うのか、待遇、教師との距離感などなど様々なことを話していた。もちろん、一科生と二科生の問題もしっかりと話してもらった。
自分たちが入学してからの状況などは知っておいた方がいい。この環境を知っても尚、入学してくれるのであれば問題ない。
いずれは撤廃を目指すが、今年中にそれが出来るとは思っていない。
でも、僕の次やその次では絶対にできるようになる。僕の次に生徒会長になる人にはそういう差別の撤廃を望んでくれている人だと個人的にはありがたい。
そして次は説明会から体験授業へと移っていく。