迷宮と街と彼   作:はまゆ

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迷宮街の常識(2)

2人は2軒目のスピリタス専門居酒屋にやって来た。

 

「サンサ坊は酒が嫌いだったから飯でも食っときなさい!それでお腹いっぱいなら魔力に変換してからまた食いなさい。」

「ロックの水割りをお願いします。」

正直ガリで腹がいっぱいだったサンサはそう言われて腹の中のガリを魔力に分解した。

 

「で、確か純犯罪組織について話したところだったね。」

「そうですね、続きをお願いします。」

 

そうしてラランは注文が届く間に話し始めた。

「じゃあ次はハーダリア占領軍だな、ジパリアの構成員とかそういう次元じゃなく、ハーダリアの総人口700万が何らかに関わってるよ、母体はもちろんハーダリア王国、

そしてそれを率いているのが

第一王子シュルグスタイン・ハーダリア

第三王子エマ・ハーダリア

第四王子シュウェルト・ハーダリア

第七王子イオ・ハーダリア

第二は本国に残り、第五と第六と第八は戦死したからこいつらがハーダリアの王族どものほぼ全てだな。

 

こいつらは9年前に当時の王が迷宮街をハーダリアの物にしようと侵攻したんだ。

 

もちろん個人が力を持つ迷宮街からは散発的な反発を食らって最初は上手く行かなかったんだが、ここでエイタンとドスボスサが関わる!

2国とも迷宮街の利権を獲たかったけど被害は出したくなかったからハーダリアが丁度よかったんだろうね。

 

結果的に迷宮街のほぼ全ての勢力と2国の援助を受けたハーダリアの全面戦争状態に突入し、ハーダリア軍の7割が死亡したころ、迷宮街の2割を制圧して占領下に置いた。

これがハーダリア占領軍の始まりだよ。

活動内容は組織として軍を迷宮に派遣したり、占領地に税という名のみかじめ料をとったり、本国から滅茶苦茶人を送って陰謀を立ててるな。

迷宮街の全ての勢力から嫌われてるから第五はその戦争で死んだが、第六と第八は他の勢力から闇討ちされてる

 

後は王国と帝国に迷宮で手に入れた戦利品の6割を献上して、自国と迷宮街の国境沿いを王国と帝国の直轄地にされたりして色々制限されてるから今は普通に2国とは仲が悪い。」

 

「こんな感じ、迷宮内であったら戦闘を覚悟すべき存在だね。」

そう言ってラランは届いたスピリタスをイッキで飲み干した。

サンサは届いた焼き鳥のフランベを食べながら話す。

「しかし国がよく1組織に収まりますよね、次もお願いします。」

 

「早くしないと日が暮れるから少し巻きで行こうか。

次は太陽商会、組織員は推定量40万以上。元々存在したジパリアの領主を裏切ってできた組織だ。

さっき話した戦争の途中で生まれた組織で力が無いとはいえ、曲がりなりにも存在していたジパリア領主を暗殺してハーダリアに献上したことで名声を上げた組織。

戦争終結後はハーダリアとの縁を切って、ジパリアの商業の多くを担っているよ。

こいつはとても悪名高い組織でな、武装商人を迷宮に送って商売をして、相手が良い戦利品を持っていたら奪うという悪どい行為をしているから、地上なら良いが迷宮で会ったら避けた方が良いぞ。

仲間が何人か殺された。

商会長はウラリオ・ジパリア、こいつはまあ普通に強いだけ、

NO2の傭兵上がりの女、豪商シンはヤバい。豪将とも称されるそいつは1人でも最上位の力を持つのに人を使うのがとにかく上手い。自分をこの地に誘ってくれた奴もこいつに殺されたよ。」

 

ラランはそう言ってため息を吐いた。

サンサはスピリタスを燃やしながら相づちを打った。

それを見たラランは話を続けた。

 

「次に迷宮協会連盟、つまり私達の上位組織だ。窓口が広いから会員数は数えきれないが、実際の直属の職員は10万程度だろうな。

まあ知っての通り迷宮探索に特化した組織だ。

悪い奴もいるだろうがそれはそれだ。

説明することは殆どないな、一応ジバリア支部長はガロンだ。」

 

話し終わったラランを見て、サンサはスピリタスを口に含んでの火吹きごっこを止めた。

「これで7つですね。」

「あんまり食べ物で遊ぶなよ。」

「スピリタスは人の飲むものじゃないから許してくださいよ、食べるの飽きましたし。」

 

ラランはまあ良いかと話を続けた。

 

「次にジパリア緒勢力連合だ、構成員は大体40万程度、例の戦争の時にできた組織だ。

で、戦争が終わった後に連合に不満を持って離脱したのが反ジパリア連合同盟って訳だ、まあ無くなったけど。

色々と規模が大きくないとやれないことを下から募ってやる民主主義的な行動をしてるから何をやってるとは一概には言えんが、最近は反連合を全力で潰してたな。

今の代表はキム・パサパだが特に言うことはないね。」

 

食事に飽きて食べる手を完全に止めた2人は話に集中し始めた。

 

「次にジパリアレージョン、直接の構成員は80万人以上にも目されるな、思想から発展した組織だから全体像が掴めん。

人は迷宮に潜らないといけないという思想を持っている奴らだから迷宮内では安心だけど、街であったら滅茶苦茶宗教勧誘されるし、迷宮に潜りたくない奴も人攫いしてまで潜らせるヤバい奴らも居る。

リーダーは前身組織の〈聖五人会〉の1人だとは言われてるが、いつも迷宮に潜っていてはっきりとした事は分かってないな。

だから迷宮街教区長のテンマが顔役として色々やってりし、悪いことも主導してるよ。」

 

ラランがそう話すと、

「報告してたとは思うけど、私がこの前拾った奴はどうもそれっぽいな?」

とサンサは話した。

「まあ昨日聞いた感じ、組織に属してるかは知らんけど、確実に思想としてのジパリアレージョンではありそうだな。」

そう言い、ラランは会計の用意をしながら話し始めた。

 

「最後にハーベリア、構成員はあまりにも増減が激しすぎてまじでなんとも言えんがまともな奴らは7万人位だな。

各国の食い詰め農民や難民が作った互助会だ。

最初は普通の互助会として食べ物を分けあったり迷宮を一緒に潜ったりするだけの組織だったんだが、創設者の1人のアーサーが迷宮で戦利品を次々と手に入れるようになってから変わっちまった。

少し余裕ができてしまったハーベリアは人をどんどんと受け入れるようになってしまって、結果的に統率が全く取れないで膨らんでしまった。

だから下はゴロツキだらけの無法者達しかおらず、上はアーサーに感化されたまともで尚且つクソ強い奴らしかいない両極端な組織だ。

迷宮で出会ったら中層までは120%敵だが、深層からまともな奴がちらほらと増えて、大深層からまともな奴が多くなって、奈落には話の分かる奴しかいなくなる。

互助長のアーサーはこの街どころか王国帝国ソーライア全部含めたこの地域最強で大迷宮の秘密に一番近い男だ。

それ以外には裏も表もない組織だから付き合うのは簡単だな。」

 

そう言い終わるとラランは会計を完了してサンサと共に外にでた。

 

「おえ、飲み過ぎた。」

「いくら臓器を良いものに変えたっていくらなんでも飲み過ぎですよ?スピリタス8本は例え水でも多すぎて体壊しますって。」

そうして気持ちの悪そうなラランを抱えてその日は帰ったのだった。

いつも3行空白を入れて区切りや場面転換をしてきてましたが、どうも区切り方を変えるべきか気になって迷いました。他にも良い案があれば教えてください。

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