迷宮と街と彼   作:はまゆ

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立ち昇る湯煙の山

そうして成り行きでツアーの間だけ三人旅になったサンサ達はは取り敢えず話し合うことにした。

 

「取り敢えず地上に戻るまでは心配だから面倒を見ることにしようか。」

サンサが事後承諾でカミーユに話しかける。

 

「まあ良いでしょう、私の時もこんな感じであっさりと仲間に入れていただけましたし、守られるツアーなのでそうそう大変な事は起きないでしょうし。」

自分の事を棚にあげるのを直ぐにやめたカミーユはそれを認めた。

 

こうして完全に認められたアリシアは、「これからよろしくお願いします。」と頭を下げ、そうこうしている内に時間が来た。

 

 

 

「これより、大迷宮アドベンチャーツアーを開始する。挨拶は滑舌の悪いキャプテン・デオに代わり、副キャプテン・ハンダが行う。」

サンサはハンダの方を見た。

周囲を見ると、参加者が40人弱、スタッフが20人程集まっていた。

これが今回のツアーに参加する人員全てであった。

 

ハンダは身体から真剣なBGMを出しながら説明を開始した。

「今回我々は大迷宮を最大50層まで降りるつもりだ、しかし料金プランによっては、途中のセーフゾーンで別れる者も居るだろう。

 

大迷宮は基本1日1層だが、上層で余裕があれば2層すすむ形になっている、食料は持参なのでセーフゾーンに着いたら迷宮街に戻って買うことをおすすめする。

 

そしてなにより!最悪死亡すれば、蘇生を試みるが、蘇生が不可能そうな場合は置いていく!

私達は最大限参加者を守るが、最低限自分の身は自分で守れるようにしてくれ!」

 

ハンダはそう言った。

そうして特に重要なことを言いきったからか、身体から出すBGMを可もなく不可もないよな物に変えた後に他細々としたことを話した。

 

そしてそれらを話し終わった後、ツアーが開始した。

 

 

 

「始まりましたね!確かにこれは結構安全そうな感じはしますよ。たどり着く前に殺られてしまいましたけど、始まったら安心感がありますね!」

アリシアはそう言ってツアー客の上空に浮かぶスタッフを見た。

ツアーは参加者39名が団子の様に歩き、その近くにキャプテン・デオと副キャプテン・ハンダともう1人が三角形の様に参加者を囲み守り、

空から参加者を見下ろす1人と空から上空を観察する1人が参加者の上空に陣取り、

ツアーの進行方向を5人で露払いする担当がおり、

残りの10人は各方向に散らばり危険がないかを確認していた。

 

「そうだな、ここまで厳重に守られたことはないから新鮮に思える。」

サンサはアリシアの言う高い金を払った記憶はないが、ラランがやってくれたのだろうと思いながらそう言った。

 

そうして3人はただ歩いているだけで1層目はその日の内に終わり、何事もなく1層目のセーフゾーンの1つに辿り着いた。

そのセーフゾーンは最初のセーフゾーンより狭く、少し密集具合がまだましだった。

 

参加者のチェックが終わると、ハンダは注目の音を出して視線を集めた。そして

「ここで本日のツアーは終了となります。参加者の皆さんはここで解散となります!明日のツアー開始時間朝8時からとなりますので、遅れないように気を付けてください。」

ハンダはそう言ってからツアーを解散させた。

 

 

「本当に何事もありませんでしたね?ここまで人が多いと襲う人も全然いませんね。」

カミーユはそう言って腰を伸ばして息を付いた。

「密集しすぎて疲れる以外は問題ないな、まあさすがに1層目だからまだまだ人以外に怖いものはないのはそうだが。」

首を回しながらサンサはそう言って、カミーユに答え、アリシアの方を見た。

「そう言えば君はあまり戦えないのは知っているけど、得物は剣だけなのか?」

 

サンサがそう言うと、アリシアは背中に掛けた1本の剣を抜いた。

「これだけですね。元々研究家は急に襲われた時用に片手でも扱える武器を使う人が多いんですよ!僕もその例に漏れず剣はそれなりに使えます。これでも襲われた時にはこれで2人は叩きのめしましたから!」

そう言って魔力の纏った剣で突きと切り上げを見せた。

 

そして申し訳なさそうにリュックサックからリボルバーを取り出す。

「あと中距離用にリボルバーを持ってはいましたが、襲われた時に一発も当たらなかったので、これは武器じゃありません。」

そう言ってそっとリュックに戻した。

 

「なるほど、純粋な剣士という感じか。」

アリシアの紹介が終わると、サンサはそう称した。

 

「ならまだ少し時間があるので、2層の魔物でちょっと実力を見せてくださいませんか?」

カミーユがそう言うと、アリシアが納得したため先に2層に行って試してみることにした。

 

 

 

2層は全体的に少し寒い、地面に突き刺さった管から煙が風が無いのか真っ直ぐと上に黙々と上がる岩山だった。

 

「2層目の〈立ち昇る湯煙の山〉ですね。ここで試しましょうか!ほら丁度あそこに1匹で魔物がいます。」

そう言ってカミーユは獣型の魔物を指差す。

 

「あれはここいらのボスじゃないか?2層の魔物にしては大分強そうに見えるが…行けるか?」

サンサはそう聞くと

「五分ですかね?」

と結構不安そうにアリシアは答えた。

 

「まあヤバそうだったら助ける、死んでから自信を失くしてそうだから行ってこい!もし死んでも蘇生薬が1本余ってるから死力を尽くして全力で行ってこい!」

サンサはそう言い、それを聞いたアリシアは勇気を出して足を魔物に向けた。

 

 

 

アリシアはスチーイヌに対して奇襲を試みた。

しかし鋭い犬の感によって接近に気づいたスチーイヌは急いでアリシアの初撃の振り下ろしを避けた。

 

そしてスチーイヌは白かった身体を急速に赤く変色させて、背中に抱えたタンクをグツグツとならした。

 

アリシアは初撃を躱されたため、少しバランスを崩してしまったが、そのままの勢いでおもいっきり蹴りを仕掛けた。

蹴りはスチーイヌの鼻っ面に直撃し、それによって怒ったのかスチーイヌは身体を完全に真っ赤に変え、背中のタンクに付いたノズルをアリシアに構えた。

十中八九ノズルから何かが発車されると考えたアリシアはノズルの射線から外れるために身体を右にずらす。

 

次の瞬間先ほどまでアリシアが居た場所には高温の蒸気が指向性を持って飛んでいた。

「熱っ!」

蒸気を躱すことは出来たものの、近くにいたため熱を受けてアリシアは思わず声を上げた。

 

アリシアは次が発射されるのを警戒して距離を取ったが、スチーイヌは高温の蒸気が外れたのを確認した後に、走ってタンクに残った熱湯を周囲に大量に撒きはじめた。

 

元々少し寒かった2層は撒かれた熱湯を急激に冷まし、冷まされた水は濃い湯けむりと変わり、風も無いためその場に滞留し、数メートルさえ見えない真っ白な濃霧となってアリシアの視界を奪い去った。

 

元々白い毛並みをしていたスチーイヌは霧の中に完全に溶け込み。アリシアは完全に姿を見失った。

 

アリシアは慎重に相手の位置を探った。

どうやらスチーイヌはアリシアを中心として円周上に回っているようだった。

(相手の攻撃手段は牙と爪とノズル噴射、しかしノズル噴射は赤くなってタンクを温めないと使えない、だが今は白い霧を活かすために牙か爪攻撃がくる。賭けるか!)

そこまで考えたアリシアは1歩前に進んでそのまま剣を真っ直ぐ前に構えた。

 

するとスチーイヌは最初にアリシアが居た右方向から突撃を仕掛けた。

しかしそこにはアリシアはおらず、飛び付いてきた事に気が付いたアリシアは前に真っ直ぐと伸ばした剣を全力で横薙ぎの回転斬りをすること試みた。

 

剣は直撃し、スチーイヌを大きく吹き飛ばした。

「ギャッ…!」

剣の直撃で大いに怒ったスチーイヌは身体を無意識に赤くしながら助走を付け闇雲にもう一度突撃を敢行する。

 

しかし、最初に熱湯が撒かれてから時間が経ち、少し薄くなった霧の中にアリシアは自分に一直線に走ってくる赤い影がぼんやりと見えていた。

 

アリシアは剣をスチーイヌに対して真っ直と向け、両者は激突した。

 

そしてスチーイヌは空を飛んでいた。

なぜ自分が空を飛んでいるのかと意表を突かれたスチーイヌは硬直する。

 

そうして勢いそのままに下から掬い上げられ空を飛ばされたスチーイヌは、急いで移動したアリシアによって上に構えられた剣の切っ先から顔面に重力によって叩きつけられ、

 

 

 

戦闘が終了した。

 

 

「ははは!勝ったぞー!」

1人で強そうな魔物を倒したアリシアは犬の血に濡れながらサンサとカミーユへと手を振って歩みより、

息を切らしてスッ転び掛けた。




ストックが切れてきたので更新が遅くなります

いつも3行空白を入れて区切りや場面転換をしてきてましたが、どうも区切り方を変えるべきか気になって迷いました。他にも良い案があれば教えてください。

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