どちらが詰められているのか分からないぐらいの言葉を突然浴びせられたサンサは考える。考える。考える。
よく考え込んだあとこう言った
「私は本当は暫くは独りでいこうと考えていたのだが、君の目を見ていると裏切らなさそうだからよろしく頼みます?」
サンサは少し不安そうにしながらも覚悟を決めた目でカミーユを見る。
「あぁ、いままでしたことがありませんでしたが、雑用から戦闘までなんでもしましょう我が導き手よ!」
カミーユは心酔したようにそう言った。
そんなことをしているサンサとカミーユを見ているミカは気持ちの悪さで吐きそうになったが、植え付けられた恐怖と現実逃避から気を失い寝た。
サンサはそんなカミーユを憐れみながらも、このアジトの安全を確信して、カミーユに何かあったら起こすように言い、飯を食べて体を拭いて壁を背に座って寝た。
こうして、サンサの迷宮街の1日目が終わった。
サンサは夢を見ていた。
夢の中ではサンサはおぞましい怪物と戦っていた。
怪物は10個の手を持ち、訳の分からない行動をし、泣き叫び、棘を放ち、全身から悪臭を放っている。
そして何より特徴的な白黒金赤がグラデーションのように入れ替わる髪を持っていた。
サンサはその姿を直視するとまともに槍が握れなくなる程の不快感と恐怖を与えられた。
夢の中でサンサは戦い続けた、戦って、戦って、戦って、そして負けた。
そうして怪物は動けなくなったサンサを…
「…丈…か?」
「大丈夫ですか?」
サンサはカミーユの声に起こされた。
「大丈夫だよ、ちょっと悪夢を見ていただけだよ。」
サンサは息を整えながら言う。
「我が導き手たる貴方が動けなくなれば、迷宮へと向かうという我が本意を果たせなくなってしまうので絶対に安静にしてください。」
カミーユの頭の痛くなるような発言を聞いたサンサは少し笑って、言った。
「ありがとう、なんだか少し楽になった気がする。」
そうしてまだ早い時間であることを確認したサンサはもう一度瞳を閉じて眠った。
今度は悪夢を見なかった。
カミーユはそんなサンサを見ながら、壁の奥にある扉状のポータルを見て、少し違う形をしたポータルのタリスマンを握りしめた。
そして言う。
「父様、母様、見ておられますか?カミーユは必ずややり遂げます、そして見返してやります!あの者達を!」
暫くとそうしたあと、カミーユもまた横になって寝た。
アジトの外では迷宮街の日常が繰り広げられている、各々の考え方を持つ者が戦い合っている。
ただ富が欲しい者、自らの考えを広めたい者、自らの居場所を守りたいもの、ただ暴れたい者。
彼らは戦い続ける、この迷宮街へと誘われて。