啓介「で?、バカ主?お前何してたんだよ?」
仕事が立て込んでました
啓介「じゃあ、次は1週間以内に投稿しろよ?」
ぜ、善処します…
「竜胆、頼む!」
啓介「了解!」
クラスメイトの掛け声に反応し、相手の甘いパスをカットすると再び相手がボールを持った俺めがけて突っ込んでくる。
啓介「よっと」
俺は相手をフェイントで抜き去ると
啓介「達也!」
ボールを斜め上に蹴り上げる。
蹴ったボールは一定の高さに達したところで空中で跳ね返ると斜め下に反射してゴール前でフリーの達也へ通ると達也がダイレクトボレーで相手ゴールネットを揺らし、クラスメイトから歓声が上がる
俺達がやっていたのはレッグボール。
フットサルの派生系のスポーツでコートの外側を透明な箱で囲んでプレーを行いボールは超軽量の反発ボールを使用し、天井や側面部にはスプリング機能も備えており、ピンボールのようにボールが跳ね返る為、観る競技としても人気のスポーツだ。その反面使用するボールの性質上通常のサッカーやフットサルのようなドリブルや足技による個人技はやりにくいとされている
啓介「ふー、達也、レオお疲れ」
レオ「おう!お疲れ、啓介!」
達也「そうだな…お疲れ、啓介」
俺、達也、レオ、そしてもう一人が大活躍したおかげで10対0というスコアで勝利をする事ができた。
俺達は勝利の立役者であるもう一人と話がしたいと思い、少し離れた所で座っているもう一人の所へ足を運んだ。
啓介「ナイスプレー」
???「そっちもね」
俺の言葉にもう一人がそう返した。
続いてレオが…
レオ「やるじゃねえか、吉田こう言っちゃ何だが、予想外だぜ」
幹比古「幹比古。苗字で呼ばれるのは好きじゃないんだ。僕の事は名前で呼んでくれ」
レオ「おう!じゃあ俺の事は“レオ”って呼んでくれ」
吉田幹比古
古式魔法名門、吉田家の直系で精霊魔法という系統外魔法を伝承しており、古くから続く家系だ。
啓介「じゃあ、俺の事も啓介でいいよ」
達也「俺の事は達也と呼んでくれ」
幹比古「オーケー、達也、啓介、レオ。実を言うと僕は、君達とは話をしてみたいと思っていたんだ」
啓介、達也「「奇遇だな。実は俺もだ」」
レオ「…何となく、疎外感を感じるぜ」
幹比古「気のせいだよレオ。君にも話をしたいと思っていたんだ。あの“エリカ”にあれだけ根気よく付き合える人は珍しいからね」
啓介「ん?幹比古はエリカと知り合いなのか?」
エリカ「そうね。いわゆる、幼馴染って奴?」
美月「エリカちゃん、何で疑問系なの?」
達也の質問はいきなり現れた当人によって答えられた。
いきなり話に乱入してきたエリカは美月の質問に答える。
エリカ「知り合ったのは十歳だからね。幼馴染と呼ぶには微妙じゃない?それにここ半年、何か避けられてたし…達也君はどう思う?」
達也「幼馴染でいいんじゃないか?」
話に乱入した割に俺達の事は放置し、美月さんの質問には答え、達也には別の質問をする。
相変わらずマイペースだ。
すると突然、幹比古が叫び出す。
幹比古「エリカ!なんて格好をしているんだ!!」
エリカ「伝統的な体操服だけど」
幹比古「どこが!」
エリカの格好は上は体操服で下はブルマである。
啓介「……」
俺は何故か部活勧誘の見回りで部活生にもみくちゃにされていたところを助けたときの事を思い出してしまった。
エリカ「啓介くーん?何を考えているのかな?」
気づいたエリカが笑顔で詰め寄ってくる。
啓介「な、なんでもないですよ?」
その威圧感に気圧されたのか俺は一歩後ろへ下がるが
エリカ「そんなわけないでしょ?今すぐ白状しなs キャッ!」
そんな俺を逃すまいとエリカがさらに距離を詰めようと半歩前に出ようとしたが、右足の運動靴の靴紐が解けており、解けた紐で左足で踏んでしまい、前のめりに転けそうになる。
啓介「危ないっ!」
俺は反射的に手を伸ばし、転けそうなエリカの腕を掴み、自分の方に引き寄せ、転ぶのを阻止するが、
啓介「危なかった…大丈夫か?エリ…カ…」
安堵した俺は安否を確認しようとしたがそこで気がついた。
側から見ればエリカが俺に抱きついている状況に見える。
エリカ「……///」
俺は達也達の方を見ると達也は相変わらずの無表情だが、レオはニヤニヤしながらこっちを見て、幹比古はなぜか顔を背け、美月は顔を赤らめてこっちを見てくる。周りの生徒達も好奇の視線を感じ、俺も顔が熱くなってくる。
エリカ「…つまで」
それまで黙っていたエリカが小声で何か言うとプルプルと震え出し、俺の胸で預けていた顔を上げ、俺を睨むと
エリカ「いつまで抱きついてんのよぉ!」
そのまま俺の顔面目掛けて平手打ちをお見舞いし、パチーンと快音が辺りに響き渡る。
昼休みになり、俺は七草先輩から一緒にお昼でもどう?と誘われ、生徒会室を訪れた。
啓介「失礼しまーす」
中に入ると達也、深雪さん、七草先輩、渡辺先輩、市原先輩、中条先輩がいた。
適当に空いてる席に座り、弁当箱の蓋を開け、箸を取り出して食べようとすると向かいの席から視線を感じると渡辺先輩がニヤニヤしながらこちらを見てくる。
啓介「…なんですか?渡辺先輩」
渡辺「いやー、達也達から聞いたよ、なんでもクラスメイト達の前でエリカと抱き合ったとか」
その瞬間、達也を除く、女性陣の視線が一気に俺へと集中する。
啓介「あれは事故ですよ。こけそうになったエリカを助けた際にそういう感じになってしまっただけです」
渡辺「なんだ、そういうことか」
興味がなくなったのか渡辺先輩は再び弁当を食べ始める。
啓介「ところで七草先輩?なんでそんなにテンション低いんですか?」
七草「九校戦のメンバー選定が難航しててね。特に一年のメンバーとエンジニアの人枠がきまらないのよ…ねえリンちゃん?やっぱりエンジニアやってくれない?」
市原「無理です私の技能では中条さん達の足を引っ張るだけかと」
七草先輩のお願いを市原先輩はバッサリと切り捨てられてしまい、七草先輩は唸って机に突っ伏す。
渡辺「エンジニアの件はどうにかしないといかんが、真由美?一年のメンバーについては適任な奴がいるぞ?」
そう言うと渡辺先輩がこちらを見てくる。
啓介「嫌です」
ただでさえ二科生の風紀委員というだけで今でも悪目立ちしているのに九校戦のメンバーに抜擢されたら他の一科生の反感を買うのは目に見えてる。
渡辺「前例は覆す為にあるんだ。それでも拒否するというなら風紀委員長として竜胆啓介を推薦する」
七草「それなら私も生徒会長として推薦するわ。もし拒否するなら強制的にメンバーにねじ込むわ」
啓介「それはもう推薦ではなく、強制では…」
七草「選手になってくれるわね?」
啓介「はい…」
二人からの圧力に負けて渋々承諾しため息をつく俺をよそに七草先輩と渡辺先輩は喜び合い、市原先輩と中条先輩と深雪さんは気の毒そうにこちらを見て、ちなみに隣に座っている達也は笑いを堪えていた。
啓介(達也の奴、他人事だからって…そうだ!)
啓介「わかりました。では、条件があります!」
渡辺「条件?」
啓介「エンジニアの残りの一枠に達也を推薦してください。以前聞いた話ですが、深雪さんのCAD調整しているのは達也だそうです」
七草「ナイスよ!啓介君!」
渡辺「そういえば、委員会備品のCADの調整はコイツが調整していたのだったな…使っているのが、本人だけだから思い至らなかったが…」
決定の空気が漂う中、達也が無駄な抵抗を見せる
達也「CADエンジニアの重要性は先日、委員長からお聞きしましたが、一年生がチームに加わるのは過去に例がないのでは?」
七草「何でも最初は初めてよ」
渡辺「前例は覆す為にあるんだ」
それでも無駄な抵抗を続ける達也。そこで俺は絶対に達也を陥落させることが出来る切り札を切ることにした
啓介「達也、仮にお前がエンジニアやらないなら九校戦でら誰が深雪さんのCAD調整するんだ?」
深雪「!!」
俺の言葉に反応したのを確認し、深雪さんへアイコンタクトを送る。
啓介(お膳立てはしたからな)
深雪(ありがとうございます!!)
深雪「あの…お兄様、わたしは九校戦でも、お兄様に調整していただきたいのですが……ダメでしょうか?」
流石に愛しの妹からのお願いは断れず、困惑する達也に俺はトドメを刺す
啓介「先輩方、もし達也がエンジニアに入らなかった場合、選手のCADの調整をする際に異性が担当することはありますか?」
市原「その可能性は大いにありますね」
啓介「つまり、深雪さんのCADの調整に見ず知らずの男子生徒がつく可能性もあると」
深雪「お兄様……」
深雪さんは悲しそうな目で達也を見つめる。
流石に観念したのか達也は諦めたようにため息を吐き
達也「わかりました、自分も九校戦のエンジニアメンバーとして加入します」
その言葉を聞いた深雪さんのパァッと明るくなり、七草先輩と渡辺先輩はハイタッチをする。
こうして、俺と達也が九校戦のメンバーに加わることが決定し、放課後に行われる準備会議が参加することになったのだが…
「考え直してください!!」
「二科生なんか役に立ちません!!」
「会長達はどうして二科生なんかを……」
まあ…こうなるよね
会議が始まって早々に名前もよく分からない先輩達が俺達を睨みながら、推薦者である七草先輩と渡辺先輩に抗議する。
議題の内容は竜胆啓介の選手加入についてと司波達也のエンジニアメンバーの加入についてだ。
会議が始まって早々メンバーの内定を貰っている先輩方は非難轟々だが、三大巨頭の七草先輩、渡辺先輩、十文字先輩には表立って反対する事が出来ず、消極的かつただの感情論による反対のせいか、会議が長引いていた。するとそれまで傍観し黙っていた十文字先輩が
十文字「要するに、反対しているお前達はそこの二人の実力が信用出来ないと言っていると理解した。ならこの場で実際に確かめてみるのが一番だろう」
場所を実験棟に移すと最初にテストを行うのは達也の方だ 試験内容は桐原先輩が今使っているCADの設定を競技用のCADにコピーさせて即時、魔法を使える状態にする。ただし魔法の起動式には手を加えないという内容である。
その内容を聞いて達也が…
達也「スペックの違うCADの設定をコピーするのはあまりオススメできないのですが……仕方ありません。安全第一でいきましょう」
慣れた手つきでPCを操作し、ディスプレイに無数の文字列が並ぶと達也は調整機に競技用のCADをセットし、猛スピードでキーボードを叩き始めると数分後に
達也「終了しました」
達也が調整した競技用CADを腕に装着した桐原先輩が魔法を発動する。
十文字「桐原、感触はどうだ」
桐原「問題ありませんね。自分の物と比べても、全く違和感ありません」
魔法はスムーズに発動する事が確認できた。しかし、達也の調整に対して
先程の会議で文句を言っていた先輩方がふたたび文句を言い始める。
「……それなりに技術はあるようですが、当校の代表するレベルには見えません」
「仕上がり時間も、平凡なタイムだ。あまり良い手際とは思えない」
「やり方が変則的すぎるね。それなりに意味はあるのでしょうが…」
中条「わたしは司波くんのチーム入りに強く賛成します!!」
批判的な続く意見の中、達也のチーム入りに強く賛成したのは中条先輩だった。
中条先輩はそのまま意見を続ける
中条「司波くんが今、わたし達の目の前で見せてくれた技術は、高校生レベルでは考えられない程、高度な技術です。オートアジャストを使わずに完全マニュアルで調整するなんて、少なくてもわたしには真似できません!」
「……それは確かに高度な技術かもしれないけど、出来上がりが平凡なら意味は無いよ」
服部「桐原個人が所有しているCADは、競技用の物よりハイスペックな機種です。使用者に違いを感じさせなかった技術は高く評価されるべきだと思いますが」
服部先輩が助け舟を出した。正直言って意外だ。
服部「会長、私は司波のエンジニア入りを支持します」
七草「はんぞーくん?」
服部先輩の言葉に意外そうな顔を隠しきれていない七草先輩。
服部先輩は構わず、堂々と発言を続ける
服部「九校戦は、当校の威信を掛けた大会です。肩書きに拘らず、能力的にベストなメンバーを選ぶべきです。エンジニアの仕事は選手が戦いやすいようにサポートする事です。桐原に『全く違和感がない』と言わせた技術は、中条の言う通り非常にレベルが高いものと判断せざるを得ない。候補者を挙げるのにも苦労するほどエンジニアが不足している現状では、一年生とか、前例がないとか、そんな事こだわっている場合ではありません」
所々で棘は感じるが服部先輩の発言はこの場の雰囲気を変えるのには十分である。
十文字「服部の指摘はもっともなものだと俺も思う。司波は、我が校の代表メンバーに相応しい技量を示した。俺も、司波のチーム入りを支持する」
反対派が沈黙する中、十文字先輩のこの発言で大勢は決し達也はエンジニアメンバー入りを果たすのであった。
いい雰囲気で終わりそうなので俺はリュックを背負い、そのままこっそりと部屋を出ようとしたが
十文字「待て、竜胆」
止められてしまった。どうやら逃がしてはくれないようだ。
啓介「今日は流石に帰りませんか?ほら、会議も長引いたことですし」
十文字「悪いが、今日中にはメンバーを決めたいのでな。もう少しだけ付き合ってくれ」
啓介「まぁ、分かりました。では、伺いますが俺の選出理由は何ですか?まだ聞いていないのですが…」
七草「それについてはわたしが出場してもらう予定の競技を含めて説明します」
七草「竜胆君にはスピード・シューティングに出場してもらう予定です。この競技用の銃を使用し、空中に設定された1辺15mの立方体の中を得点エリアとして打ち出される100個のクレーを破壊する競技です。予選は制限時間の5分間の間に破壊したクレーの数を競うスコア形式そして上位8人による準々決勝からは、二人同時に撃ち合い、二色のクレーが100個ずつ用意され、自分の色のクレーを破壊し、破壊した数を競う対戦形式です。選出理由については貴方の元素魔法の術式展開から発動速度の速さと以前の話で遠距離攻撃の細やかな調整が困難であると言っていたので、クレーを破壊することが目的のスピード・シューティングにおいては細やかな調整の必要性がないと判断し、選ばせてもらいました」
確かに理にはかなっているが、先ほどと同様に納得のいかない先輩達からは否定的な意見が飛び交う。
…いい加減帰りたいからさっさと黙らせるかな
啓介「…五月蝿いですね」
俺の言葉に反対の抗議をしていた先輩達が睨む視線が一気に集まると俺は少しだけ殺気を強めて話を続ける。
啓介「さっきもこの話はしましたよね?そこまで言うならスピード・シューティングで白黒つけましょうよ。多分先輩なんて相手にならないと思いますよ」
俺の挑発的な発言がさらに癪に触った先輩達は俺に罵詈雑言を浴びせてくるが、そんな先輩方を無視して七草先輩に声を掛ける。
啓介「七草先輩、競技で使う銃はありますか?」
七草「え?ええ、あるわよ?」
啓介「すみませんが、貸してもらえませんか?それで誰が相手してくれるんですか?」
俺は先ほどからギャアギャア喚き散らかしていた先輩の方を向く。
森崎「俺がやります!!」
そんな中真っ先に手を挙げたのは同じ一年で同じ種目に出場予定の森崎だった。
ふたたび場所を移し、スピード・シューティング部の好意により練習場所を借りて試験を取り行う事になった。試験は九高戦のスピード・シューティング予選の形式で執り行うことになり、合格ラインは先行で行う森崎のスコアより高いスコアもしくは同点が合格ラインだ
先に行った森崎は85点だった。
俺の番となり、愛用の籠手を装着し、射撃エリアに入る際にすれ違いざまにお前なんかが勝てるわけないと言われたが、無視してエリア内でライフル型の競技用銃を構え、合図を送ると前方の大画面のモニターに3 2 1とカウントダウンと0と同時にクレーが次々打ち出される。
俺は銃構えた状態で術式を展開させ、右手の人差し指にかけた引き金を引くと打ち出された炎の玉が通過するクレーの一つに命中すると一辺15mの立方体の中心に直径5m高さ5m小型の竜巻が発生し、竜巻に巻き込まれたクレーだけでなく得点エリア内に侵入したクレーは竜巻によって発生した高温の熱風によって溶かされる。5分が経ち、最後の一つを溶かし終えると竜巻もおさまり、ブザー音が鳴り響き、モニターには100/100と表示される。
得点有効エリアの説明はされていたため森崎の競技中の5分間の間に術式内の魔法の持続時間と威力の調整を行っておけば後は撃ち出すだけでクレーを全て破壊するという仕組みだ。遠距離への魔法が苦手とはいえ、前もって術式の調整する時間さえあればコントロールは可能ではあるが実戦の中。特に近接戦闘を行いながら、術式の調整は出来ないからである。
全員が唖然とする中、俺は腕から籠手を外し、急いでリュックの仕舞い、そのままリュックを背負うと七草先輩の方を向き
啓介「七草先輩、実力は示しました。俺は先に帰ります。後は好きにしてください」
そう言い、何か言われる前に急いで立ち去った。
急いで帰宅し、自宅に着いた俺は鍵を開け、玄関に入るとリビングの明かりが付いていた。
啓介(また、姉貴か…)
俺は深くため息を吐く。理由は一高襲撃事件で姉貴が家に侵入して以降、度々入り浸っていたのだ
靴を脱いで、明かりのついたリビングのドアを開くと
???「あ、おかえりー!」
啓介「……は?」
リビングの中に備え付けられているキッチンに姉貴ではなく知らない女性が立っていた。
綺麗な顔立ちながらも幼さが残るもののそれが彼女に可愛らしい印象を与える。誰が見ても美少女と答える風貌。それも深雪さんやエリカに劣らないレベルのだ。俺よりも頭一つ分小さいくらいの身長に長い茶髪をシニヨンにし、翡翠を思わせるような美しい緑の瞳。ラフなパーカーの上から黒いエプロンし、まるで俺が帰ってくるのを待っていたかのように出迎える。
思考停止状態の俺をよそに謎の少女は自身の携帯端末で謎の美少女は何処かに電話をかけ始める。
謎の少女「もしもし?はい、帰ってきました。え?はい、わかりました。はい」
彼女が誰かとの通話中に俺へと端末を渡してきたので電話の主は俺に用があるらしく恐る恐る端末を耳に当てる
啓介「もしもし、どちら様でしょうか?」
???「やっと帰ってきたわね」
電話の主は俺の母親 竜胆奏だった。
啓介「母さん!誰だよこの人!?」
奏「はあ…アンタねえ。覚えてないの?アンタが子供の頃に年上に混じって練習していた女の子こと」
啓介「…は?もしかして月舘さん!?」
月舘聖佳 (つきだてせいか) 俺の実家の道場に通ってた門下生の一人で魔法師の名門 月舘家の次女だ。道場に通っていた期間は短かったが、同い年ということもあってよく稽古したり遊んでいた。しかし、仕事の都合で海外へ引っ越してしまい、それ以降、疎遠になっていた。
奏「そうよ、聖佳ちゃんも一高に通うことになったんだけど、海外で暮らしてたでしょ?それで本当なら春先に家族全員で日本に帰国する予定だったみたいだけど親御さんの仕事が立て込んだのと帰国のための手続きに時間がかかったのが重なってこの時期までずれ込んだのよ。だから転校生って形で通う事になったの。だけど向こうの親御さんは一人暮らしをさせるのは不安だったみたいだからアンタ、聖佳ちゃんと一緒に暮らしなさい」
啓介「は?ちょっと待てよ!月舘さんの親の了承は…」
奏「そんなものとっくに取ってるわよ…とにかくこれは決定事項よ!わかったら聖佳ちゃんに変わって」
ここまで外堀を埋められたら反論することもできず、諦めて無言で月舘さんに端末を返す。
聖佳「はい……え!?……は、はい! 頑張ります!!」
啓介(いや、なにをだよ…)
顔を赤くして「頑張ります!」は色々とまずい。母さんがきっと電話で碌でもない事を吹き込んでいるに違いない。
通話が終わったのか月舘さんは耳元から端末を離すとそのまま操作し始める。
啓介「月舘さん、本当にここに住むの?」
聖佳「うん、はいこれ」
端末の画面をを見せてくる。そこには
月舘さんの父親 月舘文康さんからのメッセージだ。
『妻と話し合った結果、子供の頃な世話になった啓介君になら娘を任せられます。不束者ですが、娘をどうかよろしくお願いします。PS 節度を守って、既成事実を作ってしまっても構わないよ』
なんだ今の文面!?既成事実を作るなんて言葉が、節度を守ってのあとに続いてはいけないと思うんだけど!?後、何でこんなに月舘さんの親から信頼されてんの!?けど、今更追い出すなんてことは出来ない。そんな事をしたら…母さんから…恐ろしくて考えたくない。まあ、何とかなるだろう!うん!
俺は月舘さんの方を向き、
啓介「これからよろしく!月舘さん!」
その言葉に月舘さんは笑顔に浮かべて
聖佳「うん!よろしくね!とりあえず、遅くなったけどご飯にしよ!」
そう言うとエプロンを外した月舘さんがリビングのテーブルに向かうのに続いて俺もリビングのテーブルに向かう。
啓介「凄いな」
テーブルの上には白飯に味噌汁、肉じゃがに茄子のおひたしが並んでいた。
啓介「じゃあ、いただきます!」
聖佳「う、うん、召し上がれ」
緊張する彼女していたが、放課後の会議のせいで空腹となっていた俺は肉じゃがの入った皿からじゃがいもを箸で掴む、口にする。
ホクホクとした食感に牛肉や他の野菜の旨みの溶け込んだ割り下の味がよく染みていてめちゃくちゃ美味い。
啓介「すごく美味しいよ」
料理の感想をもらえて緊張が解けた月舘さんは笑顔を咲かせると茄子のおひたしを食べ始める。
啓介「ごちそうさまでした」
聖佳「お粗末でした」
夕飯を終え、これからのことを話す事になる。
啓介「それにしてもまさか月舘さんが一高に転校するとは思わなかったよ」
聖佳「私は啓介君が一高に入学した事の方がびっくりだよ」
啓介「俺は母さんが無理やり入学させやがったからね…」
聖佳「あーおばさん、一高の次席卒業だもんね」
啓介「それで今後のことなんだけど、家事は当番制で掃除は協力して行う事」
聖佳「え?でも私住まわせてもらってる身なのに…」
啓介「これから一緒に暮らしていくんだからそのくらいは当然だろ?」
聖佳「そ、そうだよね!…同棲…既成事実…」
顔を赤くして何か小声で聞こえちゃいけない言葉が聞こえた気がするが気のせいだろ。うん
そんなこんなで月舘さんとの同棲が始まり、お互いにお風呂を済ませて明日に備えて早めに休む事になった。だが、ここでひとつ問題が起きた。
啓介「いいから俺がソファーで寝るから、月舘さんがベッド使ってよ!」
聖佳「私がソファーで寝るから啓介君がベッド使ってよ!」
そう、ベッドが一つしかないのだ…実際にはベッド自体は二つあるが、月舘さんの荷物や家具と一緒に届くはずのベッドは配送業者のミスのせいで届くのが遅れてしまい、現在我が家には俺の部屋にあるベッド一台しかない状況なのだ。
ベッド問題についてはかれこれ30分くらい言い争っているがどちらも引かず、状況は膠着していた。
聖佳「それなら、妥協案を出します!」
啓介「妥協案?」
俺としてもこの状況をどうにかできるなら何でもいいと思い、妥協案を受け入れる事にした。だが、月舘さんはなかなか妥協案について何も言わず、心配になり、彼女の方を見ると頬を赤くし小さく唇を動かす
聖佳「い、一緒に…寝る…というのは…どうでしょうか?」
言葉の最後の方は小さく萎んでしまっていたが、はっきりと聞き取ってしまう。
啓介「え…はい!?ね、寝るって月舘さんと!?」
聖佳「は、はい…」
啓介「ダメに決まってるだろ!?」
予想外の妥協案にすかさず反撃すると月舘さんは少しムッとし
月舘「これが受け入れられないなら、私がソファーで寝るからね!」
そう言って月舘さんは俺の部屋から出ようとドアノブに手をかける。
啓介「ま、待って!」
流石に女の子をソファーで寝かせる事だけは避けたかった俺は部屋を出ようとする月舘さんの腕を掴み、
啓介「わかったよ…妥協案を受け入れるよ…」
根負けして妥協案を受け入れるのだった。
啓介(や、やばい!寝れない!!)
お互いに顔を合わせないように背中を向けて寝ているが、ベッドのサイズの関係で距離がめちゃくちゃ近い。熱中症対策で冷房を入れているはずなのに体がめちゃくちゃ熱い!
啓介(どうする…タイミングを見計らってリビングに行くか!?)
このままだと延々と寝れない気がしたため、月舘さんには悪いが抜け出そう考えていたが、月舘さんの方から布が擦れる音がすると。
啓介「っ!?」
急に寝返りを打った月舘さんが俺の背中に抱きついてきた、向こうは寝ており、耳元に聞こえる呼吸音にお腹に回した二本の腕。完全に密着していて柔らかい二つの膨らみを背中越しに感じ、心拍数が跳ね上がる。
啓介「はあ…諦めるか…。頼むから耐えてくれよ…俺の理性)
両腕で完全に体をガッチリとホールドされ、逃げられなくなった俺はその後、俺は理性と睡魔に襲われながら、過ごし、眠りについたのは深夜2時を過ぎた頃だった。
いかがでしたでしょうか?
実はこの小説を執筆する際にヒロインをどうするか?という問題で頭を悩ませました…。原作のキャラクター同士の関係性を崩したくない!という部分が強く、オリジナルヒロインを据えるというしてしまいました。
原作キャラのヒロインを望んでいた方がいらっしゃいましたら申し訳ありません!!
こんなグダグダな作品でよければ、今後ともよろしくお願いします!