バカと真剣とドラゴン―――完結―――   作:ダーク・シリウス

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第十一問ですが・・・・・なにか?

合宿三日目。俺達は少し離れた場所で繰り広げている光景に見開く。

 

「死神君。この料理、美味しいね」

 

「・・・・・死神。あーん」

 

「ちょっと二人共。死神ばっかり構っていないで自分達も食べないとダメでしょう!」

 

「そういう姉上はハーデスの隣に独占しておるから強く言えんぞい」

 

「こ、これはジャンケンで勝ったからしょうがないからよ!」

 

「じゃあ、そこに座るのが嫌ならボクと席変わってくれるカナ?」

 

「・・・・・ダメ、私が座る」

 

「だ、誰も嫌だとは言っていないわよ!」

 

な ん だ ア レ は ?

 

「大和。どうして急に霧島さん達はあんなに積極的なったんだろう?

霧島さんはともかく、工藤さんや木下さんはあそこまで積極的じゃなかったのに」

 

「俺も知りたいところだ。一晩で仲が深まるようなことがあったのか・・・・・?」

 

「・・・・・ムッツリーニ。同志達に声を掛けよう。異端者を発見だと」

 

「・・・・・了解」

 

こっちはこっちで、不穏な動きをしようとしている。

 

「それで雄二。今日もするんだよね?」

 

「当然だろう。ハーデスの提案は俺達にとってもありがたいことだ。

明久も更に操作の向上を得られているだろう?」

 

「ハーデス程じゃないけど、大分スムーズに動かせれるよ」

 

「その調子だ。Sクラス戦は元Aクラスとハーデスが頼りになる。

俺達も何かしらの向上をしないとダメだ」

 

「今頃、Sクラスは何をしているんだろうね」

 

「さぁーな。どうでいいだろう、あいつらのことなんか」

 

今は他のことより目の前に集中をする。学力の方はともかく、

操作になれることに越したことじゃない。1点でも相手を倒せるハーデスのように

なれば、それは大きな力となる。ハーデスに見習わないとな。

 

「今日も元Aクラスと合同授業だよね」

 

「・・・・・同じF組同士」

 

「その上、何時も通り俺達は夜までただ勉強をするだけだ」

 

少しつまらないがこれも学力向上の為だからな。

 

「あー、お前達。食べながらでもいいから聞くんだ」

 

ふと、西村先生が食堂にいる俺達に視線を集めた。

 

「学園長・・・・・厳密に言えば蒼天から直々学園長にとある提案を持ちかけて

お前達に依頼を頼んだ」

 

『『『『『依頼?』』』』』

 

ここで蒼天が俺達に依頼を?それになんでまた・・・・・。

 

「知っている奴も知らない奴もいるだろうが、

この合宿を含めてこの辺りの土地は全て蒼天が買い取っている」

 

うん、既に調査済みだ。結構な費用が掛かったと思うがそれがどうしたんだ?

 

「この合宿に来た理由はお前達の学力強化。

俺達教師もお前達に指導をする為にいるが、蒼天の王がお前達に依頼をしたと

言うなら我々教師達は従うしかない。学園長も蒼天からの依頼を無化にできない為、

お前達にはしっかりと依頼を果たしてもらわなければならない」

 

西村先生は一度言葉を止めて咳を一つ。

 

「蒼天が開発した召喚獣をベースにしたモンスターとお前達と戦ってもらう。

お前達の頑張りに報いる為、依頼の報酬として二学期の始まり、お前達の総合科目の

点数に相応しい武器と防具を特別に変更と今日と四日目の夜の食事は

豪華にしてやろうとのことだ」

 

『『『『『おおっ!』』』』』』

 

召喚獣をベースにしたモンスター・・・・・。

つまりそのモンスターの試運転ということか?その試運転の為に俺達でデーターを

収集する為、俺達に依頼をしたってことで・・・・・そう思っていいのだろうか?

 

「蒼天は太っ腹だね!」

 

「召喚獣の装備が変わるってんならやる気が出るな。

 蒼天も面白い考えをしてくれるぜ」

 

「俺様の木の盾もおさらばができるってわけだな!」

 

「その為にはガクト。総合科目を以前の二倍ぐらいしないとダメっぽそうだよ?」

 

「軍師大和、お前にとことん質問するからな!」

 

「キャップ。少しは自分で考えて答えてくれよ」

 

ハーデスは余裕で装備が変わるだろう。あの死神の格好も変わるのか。

どんな風に変わるのか楽しみだ。

 

「・・・・・ハーデス」

 

『・・・・・なんだ?』

 

「・・・・・今日も保健体育を教えてくれ」

 

土屋・・・・・保健体育ばっかり勉強するな!他の教科も勉強しろ!

 

 

―――☆☆☆―――

 

 

第二学年の自習に対する集中力は昨日と一違いであった。

教師達は蒼天の依頼に頭を抱え困らされたが、生徒達の勉強、自習に対する意欲を見て

結果オーライと判断し、溜息を吐く。あのFクラスでさえ、やる気が出ているのだ。

 

『・・・・・強化合宿の間、学力が二倍ぐらい向上した奴はエロい品を提供する』

 

ハーデスがFクラス男子達に餌をチラつかせてやる気を出させたのを露知らずに。

自習時間は昼食も挟んで順調に進み―――夜となった。

 

「皆、全員外に出たな?」

 

西村宗一がSクラスを除いた元A・B・Cクラス、

そしてD・E・Fクラスの生徒達を合宿所の玄関を背後に立って見渡して発した。

 

「これからお前達にモンスターで溢れかえっている合宿所の中を入ってもらう」

 

合宿所は召喚フィールドで覆い囲まれていて、中に召喚獣をベースにしたモンスターが

既に徘徊していると思わせる。

 

「蒼天からの依頼の内容を説明する。チームはクラスごと五人一組。

その組み合わせはこちらで決めさせてもらう。

全員の名前が記された紙をこの箱の中から引いてな。お前達の夕食と入浴、

就寝時間を考慮して今回の依頼の制限時間は二時間。

モンスターは弱いモンスターがいれば強いモンスター、

さらに最上級モンスターも存在している。そのモンスターと召喚獣が戦う際は自動的に様々な教科に切り替わる。モンスターの点数を0にすれば倒せるが、

逆に自分の点数を0点になったら、チーム全員戦死者とみなし、

指導室で鬼の補習を受けてもらうことにしたぞ。

モンスターを倒して点数が低くなったら食堂で回復試験を受けてもいい。

だがしかし、回復試験は一チームにたったの一度だけだ。

因みに、どんなモンスターなのかは俺達教師も知らない。

敵モンスターは一定の距離を歩くと目の前に現れるので注意しろよ。

無論、敵前逃亡をしたチームは敗北で補習行きだ」

 

長々と説明した西村宗一はそこで口を止め、穴が開いた箱を数学教諭の船越から受け取る。

 

「自分の名前が呼ばれるまでは各自、蒼天のバスで待機するように。

呼ぶ時はバスの中にあるスピーカで言うからな。では、最初に入る者の名札を取る。

―――Aクラス男子、Aクラス男子、Fクラス男子、Fクラス男子、Fクラス女子の

斎藤竹中、近藤慶介、横溝浩二、須川亮、小笠原千花。

それ以外の生徒は全員それぞれのクラスのバスに乗れ」

 

名前を呼ばれた生徒が集まりだし、それ以外の生徒は各々と合宿所まで乗って来た

バスに乗り込む。

 

「しーにがみくん♪」

 

バスに乗ったハーデスの背後から飛び付く工藤愛子。ハーデスは気にせずバスの中を

歩き、器用に工藤愛子を前に移動させて対面となりながら寝室のベッドの縁に座った。

 

「わぉ、この体勢・・・・・何だかエッチだね♪」

 

『・・・・・ドキドキするか?』

 

「アハハ、うん、ちょっとしているね。でも、もっとこうすると・・・・・」

 

工藤愛子がハーデスを押し倒して覆い被さる。

 

「なんだか、密室でこんなことをしているともっとドキドキしちゃうよ」

 

『・・・・・・二人きりじゃないから平気だがな』

 

「「「・・・・・」」」

 

木下優子、木下秀吉、霧島翔子もハーデスと工藤愛子と同じ空間にいた。

 

「・・・・・愛子、死神は渡さない」

 

「愛子、人前で破廉恥なことは禁止よ」

 

「ここはこうなっておったのか。初めて入ったのじゃ」

 

反応は様々で、寝室の扉は閉まった。

 

「死神、どうしてこんなゲームを考えたのかしら?

あなたが考えた事をすればよかったじゃないの?」

 

『・・・・・』

 

ベッドから起き上がり、髑髏の仮面と黒いフードを取り払って素顔を見せたハーデスはこう言う。

 

「いや、俺は何も知らない」

 

「え?だって・・・・・」

 

「確かに俺も蒼天の王の一人だ。だけど、俺以外の王達が神月学園に依頼したんだろう」

 

「同じ王様なのに、教えられていないんだ?」

 

「問題ないと判断されたんだろう。別に命に関わるようなことでもないし、

もしも何か緊急事態だったら連絡を寄こしてくる。だから今回は俺は何も知らない。

あっちで開発されたモンスターのこともな。だが、これは良い意味で誤算だな」

 

ハーデス以外の面々は「えっ?」不思議そうな面持ちで漏らした。

 

「どうしてそんな事を言うの?」

 

「協力、チームプレーも大事だ。個人だけでどうしようもない時もあるわけだしな」

 

「・・・・・そうね」

 

「だから良い意味で誤算なんて言ったんだね」

 

「お主は色々と考えておるのじゃなー」

 

「・・・・・死神、凄い」

 

感嘆する四人に寝室に設けられているスピーカーから声が聞こえてくる。

 

『Aクラス女子、Fクラス男子、Aクラス女子、Aクラス女子、Fクラス男子―――』

 

「おっ、ボク達のクラスだね」

 

『木下優子、木下秀吉、工藤愛子、霧島翔子、死神・ハーデス。

直ぐに合宿所の玄関まで来なさい』

 

「・・・・・なんだ、この狙った感は」

 

「偶然よね?」

 

「・・・・・死神と一緒で嬉しい」

 

「ワシらは常に一緒じゃの」

 

「そんじゃ、バスから降りよっか」

 

工藤愛子の掛け声にハーデスは仮面とフードを被り、寝室の扉を開け放ってバスから

木下秀吉達と共に降りようとする。

 

『死神ぃ!ここで―――!』

 

バキッ!ドゴッ!グシャァッ!

 

 

―――☆☆☆―――

 

 

「来たな」

 

「他のクラスの皆は?保健体育の大島先生」

 

「まだ中に生き残っているか、西村先生に補習室へ連行されているかのどっちかだ。

ほら、後がつっかえているから行って来い」

 

大島先生の促しに、アタシ達は合宿所の中に入る。生き残っているチームがいれば、

そのチームと協力し合ってボスのモンスターを倒すことだってできる。そう思いながら

皆とロビーに入った瞬間、アタシ達の目の前に幾何学的な魔方陣が十数も出現し、

モンスターが現れた。科目は・・・・・数学。モンスターは見慣れた召喚獣ではなく、

スライムのようにうねうねとしているやつ。点数はたったの10点。

 

「「「「『試験召喚獣召喚・試獣召喚(サモン)っ』」」」」

 

 

   Fクラス 霧島翔子  392点

       &

   Fクラス 木下優子  338点 

       &

数学 Fクラス 工藤愛子  299点

       &

   Fクラス 木下秀吉   62点

       &

   Fクラス 死神・ハーデス 1点

 

 

一人だけ一桁の味方がいるけど問題ない。だって―――彼は、第二学年の中でも

召喚獣操作が達人な頼もしい味方だから。ランスや刀、長刀、

刃が備わっているトンファーで敵を一蹴する。

 

「最初は楽勝ね。さて、アタシ達はどう行動をしようかしら?」

 

「生き残っているチームを見つけて情報を集めた方がいいんじゃないカナ?

その間、ボク達の前にモンスターが現れるし、

戦う度に操作が慣れるかもしれないよ?」

 

「・・・・・愛子の提案、私は賛成」

 

「ハーデス、お主は?」

 

『・・・・・戦死しなければいい話しだ。だから戦わないで休憩もできるし、

ルールを破らなければどんな行動をしても問題ない』

 

つまり、アタシ達が無理にクリアしなくても後から来るチームに

他力懇願してもいいと言うわけね?

 

「愛子の提案で行きましょう。死神の説明してくれたしね」

 

「・・・・・それじゃ、行く」

 

方針も程無く決まり、アタシ達はどこかで生き残っているチームを探すことに決めた。

1Fから先に探索すると、10点代のモンスターが幾度もなくアタシ達の前に現れ、

アタシ達は倒す。2Fにも探索を開始すると、一気に点数が200点代のモンスターが現れる。

 

「・・・・・強い」

 

「でも、勝てなくはないわ!」

 

Aクラスであったアタシと代表と愛子が後れを取るわけもなく、

秀吉は死神にフォローされながらもモンスターを倒した。

 

『くそ、このモンスターは強い!』

 

『おい、前に出過ぎるなよ!やられちまって鉄人の補習を受けちまうだろうが!』

 

学習室から切羽詰まった声が聞こえる。まだ生き残っているチームは

モンスターと戦っているんだわ。

 

「・・・・・どうする?」

 

「まだ3、4教科は減っていないから平気だけど、最上級モンスターとの戦いの際の

科目はなんなのか知りたいわね」

 

『・・・・・多分総合科目じゃないか?』

 

「総合科目なら、何とかなるじゃろう」

 

「でも、総合科目って他の教科の総合点数でしょ?あんまり点数を減らしちゃうと、

減った点数の教科でモンスターと戦わないといけないよ?」

 

「・・・・・どうする?」

 

「どうするもなにも、生き残っているチームを目の前で見殺し・・・・・いえ、

戦死するのもなんだし、助けに行くわよ。皆、それでいいわよね?」

 

アタシの言葉に秀吉達は頷いた。

Sクラスを倒すためには相手より操作が上達・・・・・これしかない。

 

「それじゃ、行きましょう」

 

学習室Cへ。中に入ると、五人の同級生と・・・・・アタシ達の召喚獣と

同じ大きさのモンスターがいた。

 

 

総合科目 UNKNOWN  2198点 

 

 

姿は口があっても目と鼻らしき部分がないのに後頭部が異様に後ろへ伸びていて、

身体は細く手足の爪が鋭い上に尻尾が生えている。まさにモンスターと呼んでも

過言じゃない姿だった。そして今しがた、モンスターの尾が同級生の召喚獣の頭を

鋭く貫いて点数を0にしたところだった。

 

「0点になった戦死者は補習ッ!」

 

「「「「「ち、ちくしょおおおおおおっ!」」」」」

 

神出鬼没に現れた西村先生。一人でも戦死者を出したチームは即補習室へ連行という

ルールに従って破れたチームをこの場から連れ出していく。

 

「死神君、あのモンスターって最上級モンスターかも。

他のモンスターと違って科目は総合科目だよ」

 

『・・・・・今さっき見た感じ、尻尾も使って襲ってくるから尻尾も要注意だ。

警戒して戦おう』

 

「分かったのじゃ」

 

モンスターはアタシ達に気付き、何かを待っているようにその場で佇む。

その意図にアタシ達は理解している。

 

「「「「『試獣召喚(サモン)っ』」」」」

 

 

      Fクラス 霧島翔子  4695点

          &

      Fクラス 木下優子  3610点 

          &

総合科目  Fクラス 工藤愛子  3249点

          &

      Fクラス 木下秀吉   851点 

          &

      Fクラス 死神・ハーデス 13点

 

 

「まあ、この点数で負けるとは思えないけどね?」

 

「死神君の出番はない―――」

 

刹那だった。モンスターが尾を動かして愛子に攻撃した。

召喚後すぐに攻撃してくるなんて予想ができていたことなのに

愛子の点数は300以上減ってしまった。

 

「ごめん、やっぱりあるかも」

 

『・・・・・俺が動きをかく乱する。その間に尻尾を気を付けながら攻撃をしてくれ』

 

「「「「了解」」」」

 

この中で操作が慣れている死神がモンスターに向かって駆けだす。

続いてアタシ達も死神に続く。モンスターも死神に飛び掛かり鋭利な

爪で引っ掻こうと振りかざす。死神は横にかわしてトンファーの刃を突こうとしたら、

横から槍みたいな鋭い先端の尾が襲いかかろうとしたところ、

 

「やらせないよ!」

 

愛子が斧の腹で受け止め、死神をフォローした。

 

「せいっ!」

 

その同時に秀吉も動いていた。モンスターの真正面から長刀を上段から振るう。

秀吉の攻撃にモンスターは一度後退して攻撃を避けると、

代表に向かって尾を伸ばした。

 

「・・・・・」

 

代表の召喚獣は迫りくる尾を紙一重でかわしてモンスターに向かって突貫する。

尻尾を戻している最中のモンスターも代表に向かう。アタシが横やりを入れると、

また跳躍してかわす。

 

「意外とすばしっこいわね。点数がアタシ達よりないからって油断できないわ」

 

「こんなモンスターが他にもいるんだね。他の皆、勝てるのかな?」

 

『・・・・・やらないと勝てない。こいつをSクラスだと思わって戦わないと』

 

そうね、こういう召喚獣の操作をしてくる奴もいるだろうし、慣れないと。

 

『・・・・・これでいくか』

 

死神の召喚獣は武器を捨てた。一体何を・・・・・?そう様子を見守っていると、

弱い奴から襲おうとモンスターが死神に攻撃を仕掛けた。腰を落として拳を構える

死神の召喚獣は・・・・・。上から襲いかかるモンスターの顎を下から打ち上げた。

ダメージは入った。それでも威力は小さい、それでも死神は拳を連打し、

足も振るって蹴り、怒濤の攻撃を繰り広げた後に隙を見せた

モンスターの尻尾を掴んだ。尻尾を掴まれたモンスターは尾を振るい

死神を振り払おうとする。

 

『・・・・・今だ』

 

死神の合図にアタシ達は動く。モンスターは危険を察知し、また跳躍してかわそうと

するけど死神がそれを許さずに尻尾を思いっきり動かして体勢を崩した。

 

「はぁっ!」

 

アタシは跳躍して真上からモンスターを襲い、

ランスを背中から突き刺して身動きを封じた。

死神が尾を抑えている間に、アタシがモンスターの動きを封じている間に、

秀吉と代表、愛子がモンスターをリンチする。

・・・・・ちょっと可哀想に思うのは秘密で。

 

「・・・・・やっと倒せた」

 

「じゃの・・・・・」

 

「優子と死神君のおかげでね」

 

モンスターは点数が0点になったことで学習室から姿を消した。

そう、アタシと死神のおかげか・・・・・。

 

「死神」

 

『・・・・・?』

 

アタシは死神に向かって手を挙げた。

 

「アンタの言う通り、連係プレーは大事だってことが分かったわ。

これからこの調子でガンガン行きましょう」

 

『・・・・・』

 

死神はアタシの行動の意図を理解したのか、同じように手を挙げて、

アタシの手に向かってパァンッ!振り叩いた。

 

『ああ、頼りにしているぞ優子』

 

「ええ、もっとアタシを頼りなさい?

何時かAクラスの皆と借りを返してやるんだからね」

 

自然にアタシは笑んだ。なんだか男の子とこういう風なことをするのは初めてで

とても新鮮、そして楽しいと思ってきた。

だけど、アタシと死神の言動に羨ましがったのか、

代表達までもが手を挙げだしたのだった。

 

 

―――☆☆☆―――

 

 

学習室Cにいる最上級モンスターを倒してボクこと工藤愛子は死神君達と3Fに上がった。

 

    UNKNOWN 351点

 

理科  UNKNOWN 300点

 

    UNKNOWN 379点

 

 

2Fのモンスター200点代以上、Aクラス並みの点数で現れたモンスターが

猛攻をしてくる。上がれば上がるほど、点数も倍になるってことが分かった。

となると地下の大浴場に繋がる廊下を行くと、

モンスターの点数はどうなっているんだろうか?Aクラス並み同士の点数は

ダメージで点数が減るのが強いられ、全教科の半分以上の点数が元の半分かそれ以下に

まで減ってしまった。3Fのモンスターの点数を知る為、ボク達が操作を慣れる為、

召喚獣を喚び出して操作をし続けている結果だからだ。

 

「くっ・・・・・流石にキツくなってきたのじゃ」

 

「だらしないわよ秀吉。と、言いたいところだけど、

アタシもちょっと危険かな。代表は?」

 

「・・・・・総合科目で言うと1500弱になっている」

 

「ボクも似たようなもんだね。死神君は二桁のままだけど」

 

苦笑いを浮かべ、死神君に視線を送った。

 

『・・・・・休憩するか?それとも回復試験に行くか?』

 

「回復試験を受けに行きましょう。今の点数で最上級モンスターと戦いたくないわ」

 

『・・・・・だな。このままどこかにいる最上級モンスターと挑むと苦戦が

強いられるのが目に見えている。俺も全教科の点数を増やそう』

 

死神君も肯定と優子の提案に賛同した。ボク達はモンスターと戦いながらもなんとか

1Fに戻って回復試験を受けた。

 

「では、始めてください」

 

高橋先生が促す。渡された保健体育のテストの問題を読みながら

死神君の方へ何となく向けた。そしたら・・・・・物凄い勢いでテストの答えを書いて

続々と科目のテストの紙を束にしていく。

 

『・・・・・次、数学』

 

「分かりました」

 

死神君の要求に高橋先生は悠然として数学のプリントを渡すと、

それもあっという間に書いて束にしていく。

 

「・・・・・早い」

 

「凄い・・・・・一枚、10秒以内で解いているわ」

 

「どの教科も1000点を叩きだしているのは答えを書く

あのスピードだったからじゃな」

 

代表達も唖然として死神君を見ていた。って、見ている場合じゃなかった。

ボクも消費した点数を増やさないと。

回復試験は一度きりしかできないからゆっくり時間を掛けて解いて

点数を補充しないとダメだからね。

 

「―――すいません、回復試験を受けに来ました」

 

ん?ボク達以外にも回復試験を受けに来たチームが現れたね。

 

「あら、死神。ここにいるなんて意外ね」

 

「回復試験中の生徒に話しかけてはいけませんよ小山さん」

 

小山・・・・・元Cクラス代表の小山友香さんか。

今の死神君は点数を増やすことで夢中のようだし、

話しかけても応えてくれるかどうかだね。さて、ボクも意識を目の前に集中しよう。

皆の足手纏いにはなりたくないし。

 

 

―――☆☆☆―――

 

 

・・・・・私達は一時間も掛けて消費した点数を回復。死神も点数を底上げして準備が

整った私達は3Fに上がってまず最初に学習室Aにいるモンスターと戦いを挑んだ。

 

 

総合科目 UNKNOWN  5000点 

 

 

・・・・・5000点・・・・・強い。回復試験を受けたのは当然良かった。

このモンスターは最上級モンスターと断定。皆と力を合わせて勝つ。

 

 

      Fクラス 霧島翔子     3710点

          &

      Fクラス 木下優子     2110点 

          &

総合科目  Fクラス 工藤愛子     2096点

          &

      Fクラス 木下秀吉      711点 

          &

      Fクラス 死神・ハーデス 13000点

 

 

・・・・・死神の総合科目が10000強だから目の前のモンスターは

容易く倒せると思うから。学習室Aにいる最上級モンスターは岩石のモンスター。

人の形をしていて大きさは私達と同じぐらい。

 

「お、大きいわね・・・・・」

 

「そうじゃの・・・・・」

 

「でも、何だか動きが鈍そうだよ?」

 

「・・・・・攻撃を仕掛ける」

 

・・・・・最初に私が突撃した。モンスターは私の召喚獣に殴りかかってくる様子を

見ると、召喚獣を横にかわさせて、モンスターの腕に斬り付けた。

 

 

総合科目 UNKNOWN  4994点

 

 

・・・・・6点しか減らしていない・・・・・?

 

「え、代表の総合点数の威力があれだけ!?」

 

「あのモンスター、かなり硬いよ!」

 

「じゃとすると、ハーデスの13000の威力は・・・・・」

 

『・・・・・』

 

・・・・・今度は死神が動く。敵モンスターが動く前にトンファーで

何度も斬り続けてた結果。

 

 

総合科目 UNKNOWN  4894点

 

 

「う、嘘・・・・・」

 

「信じられんのじゃ・・・・・」

 

「死神君の点数でもたったの100?」

 

・・・・・死神の威力、予想外もいいところ。少な過ぎる・・・・・どうして?

 

『・・・・・武器の相性だと思う』

 

「武器の相性?」

 

『・・・・・長所と短所、武器同士の性質。俺のブレードトンファーの刃は

相手を切り裂くことはできるけど硬い物質、防具や武器を叩く感じでしか

攻撃ができない。その上、あのモンスターは5000の点数。

それ相応に防御力が高いのかもしれない。打撃系の武器じゃないとダメだろう』

 

「打撃系って、ハンマーとか金属バットとかそういうの?」

 

・・・・・優子の問いに頷く死神。この場にいる私達の召喚獣の武器は全て刃、

斬撃系・・・・・。刃で石を壊そうとすれば逆に刃が刃毀れして傷つくだけ。

きっとそれと同じ理由・・・・・。

 

「じゃがハーデスよ。ワシらは打撃系の武器を持っておらんのじゃ」

 

『・・・・・分かっている。どうしたものか・・・・・』

 

・・・・・こうしている間にもモンスターは攻撃をしている。

5000点の点数の威力は危険だから攻撃の余波でも危険。

気を付けながら攻撃しているけれど、威力が一桁か二桁、死神は100。

 

「死神君、一旦退避するってことはできないよね?」

 

『・・・・・敵前逃亡扱い』

 

「アハハ、だよね。さて、どうしよっか」

 

『・・・・・変わらない、攻撃するだけだ』

 

・・・・・不利な状況でも死神は戦いを止めようとせず、

防御力が高いと言ったモンスターに攻撃した。それも胸に一点集中。

 

『・・・・・優子』

 

「なに?」

 

『・・・・・優子のランスで俺が穿った場所へ突き付けろ』

 

・・・・・蹴りを放つモンスターに死神の召喚獣はかわし、

逆に蹴りを放ったモンスターの逆の脚に蹴りを入れて体勢を崩した。

そうするとモンスターは背中から倒れる。死神が倒れたモンスターの胸に乗って

また攻撃をする。・・・・・私達はただその様子を見守るだけでモンスターの点数は

減っていく。

 

『・・・・・準備は整った』

 

・・・・・死神がモンスターから離れたと同時にモンスターも起き上がる。

胸に蜘蛛の巣のように罅が生じていた。

 

『・・・・・これ以上は壊せない。優子、頼んだ』

 

「あの一点を狙えばいいのね」

 

・・・・・優子が真剣な眼差しで罅が入ったモンスターの胸に狙いを定めた。

 

「援護お願いするわよ?」

 

『・・・・・今度は全員がお前を援護する』

 

・・・・・優子を囲むように私と死神が前へ、愛子と優子の弟が優子の隣に。

そして、皆一斉に駆けだす。モンスターは私達の行動を見て声を荒げる。

岩の両腕を突き出したかと思えば、その両腕が分解して宇宙に漂う隕石と思わす

数多の岩が展開した。

 

「・・・・・あれから姉上を守ると言うのはちと骨が折れそうじゃ」

 

「男のくせに、弟のくせに姉を守れないようじゃ男とは言えないわよ」

 

『・・・・・守り甲斐があると言うものだ』

 

「死神君、どんな状況でも楽しんでいない?」

 

「・・・・・くるっ」

 

・・・・・数多の岩が私達に向かって飛来する。

死神がトンファーで弾きつつ前進する。そんな器用なこと私はできない。

だから、最小限の動作で自分に向かってくる岩を武器や点数が消費しても優子を

守りながら前へ進んだ。愛子と秀吉も私みたいにして優子を守る。

 

「くっ・・・・!」

 

「これは・・・・・なんと・・・・・!」

 

「死神!皆の点数が!」

 

・・・・・特に優子の弟は点数が低いから、あっという間に減った。

 

『・・・・・秀吉も優子の隣に』

 

「それでどうするんじゃ?」

 

『・・・・・変わりない、このまま行くぞ』

 

・・・・・死神の召喚獣の動きが一段と速くなった。

まるで風で私と愛子に振ってくる岩さえも弾いて、行きやすい空間を作ってくれた。

 

『・・・・・翔子、秀吉、愛子』

 

「なに?」

 

『・・・・・一瞬だけ、道を作る。優子をモンスターの胸に目掛けて

どんな方法でもいいから吹っ飛ばせ』

 

「へ?」

 

「・・・・・分かった」

 

「え、代表?」

 

・・・・・死神の言うことは信じる。だから私は優子の召喚獣の背後に移動する。

 

「吹っ飛ばせって投げてもいいのかな?」

 

「蹴った方が早いような気もするのじゃが、こうかの?」

 

・・・・・愛子と優子の弟も優子の召喚獣に近づき、一緒に持ち上げた。

 

「ちょっ、三人共?本気で・・・・・アタシを?」

 

「・・・・・補習室行きたい?」

 

「代表・・・・・その脅しはどうかと思うわよ」

 

『・・・・・3』

 

・・・・・死神がカウントをし始める。私達も準備を整える。

 

『・・・・・2』

 

・・・・・死神の召喚獣が跳躍して、

 

『・・・・・1』

 

・・・・・周囲の岩を全て弾き飛ばして無の空間を作った。

 

『・・・・・行け』

 

「「せーのっ!」」

 

「・・・・・頑張って」

 

・・・・・三人同時に優子をモンスターに向かって投げ飛ばした。

優子の召喚獣はランスを前に突き出す構えをして、死神が作った無の空間に突入する。

さらに死神が優子の召喚獣のお尻にを思いっきり蹴り飛ばして速度が上がった。

そのまま真っ直ぐ何の障害も無く優子のランスは罅が生じているモンスターの胸に深く

突き刺さった。その反動でモンスターの身体全体にまで罅が生じてはゆっくりと

態勢を崩して倒れるその直後。岩の身体が崩壊して、

 

 

総合科目 UNKNOWN  0点

 

 

・・・・・モンスターの点数が一気に減りだしてついに0点になった。

その瞬間、私達の勝ちとなった。

 

「やったーっ!」

 

「ふぅ・・・・・一時はどうなるかと思ったのじゃ」

 

「・・・・・でも、勝った」

 

「アタシの召喚獣の扱いがこの中で一番酷いと思ったけどね」

 

『・・・・・最後が良ければ全て良し』

 

・・・・・死神がその場で腰を下ろした。こんな死神は珍しい。

 

『・・・・・ちょっと疲れたな』

 

「お疲れ様じゃ、ハーデス」

 

「殆ど死神君のフォローのおかげで倒せたしね」

 

『・・・・・優子のランスがトドメを差してくれた』

 

「最後にアンタの召喚獣がアタシの召喚獣のお尻を蹴ったけどね」

 

・・・・・優子、根に持っている・・・・・?

 

「ボク達の総合科目の点数。かなり減っちゃったね」

 

「ワシは元々皆より少ないが、流石にこれ以上は危険じゃ」

 

「そういえば、そろそろ時間じゃないかしら?」

 

・・・・・ゲームの制限時間。ここのモンスターを倒すのに時間が費やした。

 

『戦闘終了です。中にいる生徒達は戦闘を止めて、速やかに食堂へ集まるように。

これから夕餉の時間ですので速やかに行動をするように』

 

・・・・・合宿所に流れるアナウンス。召喚フィールドも解除されていき、

私達の召喚獣が消えた。

 

『・・・・・皆、お疲れ』

 

・・・・・死神が拳を前に出した。私も同じように手を握って前に出した。

優子達が私達の様子を見ていたら、三人とも握り拳を作って前に出した。

 

『・・・・・四日目も、バラバラになるだろうがお互い頑張ろう』

 

「また一緒だったらよろしくね♪」

 

「負けたら許さないんだからね」

 

「ワシももっと頑張るのじゃ」

 

「・・・・・私も」

 

・・・・・欲を言えば、またこのチームで戦ってみたい。もしも違ったなら、

皆のチームと合流して一緒に戦う。

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