バカと真剣とドラゴン―――完結―――   作:ダーク・シリウス

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バカと打倒とSクラス!
第一問!


親不孝通り禁止区域は銃撃とけたたましい金属音、二人の少女の声で包まれていた。

完全防弾、完全衝撃吸収の盾を立て並べまるでコロシアムのように二人の少女を囲み、

大勢のヤクザとマフィアが真っ二つに分かれて咽喉が潰れても構わないと言うほど

応援していた。

 

「そこだ遼子ぉ!」

 

「エスデス!相手の横っ腹を貫いちまえっ!」

 

片やダンディーでサングラスを装着している黒い着物に龍の刺繍を施している

中年男性、青い髪に白いスーツの背中に虎の刺繍を縫られている中年男性が二人の

少女の名を叫びながら応援している。周りからの応援を耳に届くが、目の前の敵を

殺さんばかり敵意と殺意が籠った吊り上がっている眼光を一時も逸らさず睨みつけて

攻撃をするのに夢中で応えようとしない。黒いポニーテールを激しく振りながら刀と銃

が融合した二つの武器を振るう少女、太股まで伸びた青い髪を棚引かせなが

ら空気中の水分を一瞬で凍らせて弾丸のように放つ他に、レイピアを振るう少女。

 

「今日こそ決着をつけてくれるっ!」

 

「それはこちらの台詞だ!」

 

躊躇もない一撃を繰り返す。相手を殺すことに躊躇いが無いなら罪悪感も感じない。

自分の望みを叶えることができるなら、目の前の障害、邪魔者を排除して―――!

 

「「あの人の寝顔を見るのはこの―――」」

 

「煩い」

 

(スパパンッ!)ハリセンで叩かれる音。

 

「バンバン、ガキンガキン・・・・・お前らはぁ・・・・・」

 

真紅の髪を伸ばした金色で垂直のスリット状の少年が深呼吸をした。

 

「早朝からうっせぇぇぇぇんだよ!お前らはぁぁぁああああああああああ!」

 

ドラゴンの咆哮みたいに少年は親不孝通り禁止区域で大声を上げた。

それだけで二人の少女と大勢のヤクザ、マフィアが吹っ飛んだ。

大声を張り上げた際に生じた衝撃波で。しばらくした後に静寂が訪れた。

 

「お、起きていたのか・・・・・」

 

「あんな騒がしければ誰だって目が覚めるわ!それともなんだ?

お前らのようにお前らの家の前で騒動してやろうか、ああ?」

 

怒気が孕んだ声と、プレッシャーを発する少年に、

一人残らず冷や汗を流すヤクザとマフィア達。

 

「そ、それはすまんかったな!」

 

「これからは気を付けよう!」

 

ボスらしき中年男性の二人は冷や汗を流しながら何度も首を縦に振る。

かつて自分達を全滅にまで追い込んだ少年。あんな出来事は二度と御免だ。

そんな思いを抱えた大人二人に少年は溜息を吐きながら問うた。

 

「・・・・・んで、朝っぱから何騒いでいるんだ?納得のいく理由じゃなきゃ・・・・・シメるぞゴラ」

 

「じ、実はだな・・・・・俺達の娘達も良い年頃だ。俺達の家柄の原因で碌に学校も

行かせてやれなかったから、お前が通っている学校にでも通わせようかと

思っているんだ」

 

「それを娘と一緒にお前の家に訪れようと思ったら、ヤクザ共と鉢合わせしてよ」

 

「「話し合っているうちに娘達が最初にお前の寝顔を見る権利を掛けて

勝負をし出したんだ」」

 

「・・・・・で、お前らは止めようとするどころか、応援に夢中になったと?」

 

「「その通りだ!」」

 

胸を張って堂々と首肯する二人の中年男性に雷が落ちたのは余談である。

 

 

―――☆☆☆―――

 

 

『・・・・・』

 

「教室に入ってくるなり、ハーデスは寝転がって寝始めたな」

 

「寝不足か?ハーデスにしちゃ珍しいな」

 

「今なら仮面を取れるんじゃない?」

 

「流石に寝ている間は何もできないだろう」

 

「よし!俺が取ってみてやるぜ!」

 

翔一が意気揚々と寝転がっているハーデスに近づいたその時、

ハーデスの鞄が勝手に開いて中から・・・・・。

 

 

シャァァァァァ・・・・・・ッ(全長五メートルのアナコンダ出現)

 

 

巨大な蛇がハーデスを守るように現れて翔一に敵意を露わにしている!

 

「ぬぉぉぉぉっ!?か、鞄から蛇が出てきたぞぉっ!?」

 

「本当にハーデスの鞄はどうなってやがる!?四次元ポケットの類か!」

 

巨大蛇の出現に僕らはハーデスから離れざるを得なくなった。

蛇は僕らを見回すとハーデスの鞄の中へ戻っていく。

 

「・・・・・ハーデス、俺達に警戒しすぎじゃないか?」

 

「いやいや、雄二。秀吉に試験召喚大会中に仮面を取らせたから警戒するのは

当然じゃないの?」

 

「もう一度近づくとどうなるんだ?」

 

「今度は雄二が行ってみなよ。ハーデスの仮面に触れたら何か奢ってあげるよ」

 

「おっ、気前が良いな。んじゃ、行ってみるか」

 

雄二が恐る恐るとハーデスに近づいた。鞄から蛇が出る様子はない。

もしかしたらいけるのかな?そう思ったら―――。

 

 

ピッ(ハーデスの手が何かのボタンを押した)

 

ゴゴゴゴゴゴッ!(Fクラスの壁が上がっていく)

 

 

『・・・・・』

 

僕達の目の前に、元Aクラスの面々と目があった。

 

 

ピッ《皆聞いてくれ!俺、坂本雄二は霧島翔花のことを心の底から愛している!

だから俺が18の歳に迎えたその日に白い教会で二人だけ結婚式を挙げよう翔花!》

 

「なっ、なぁぁああああああああああああああああっ!?」

 

「雄二・・・・・嬉しいっ」

 

空き教室にいた霧島翔花さんが両手を頬に添えて嬉しそうに微笑んだ。

 

『おのれ坂本雄二!貴様はどうやら我ら異端審問会の

裁判に罰せられたいようだなぁっ!』

 

『坂本雄二を血祭りに上げるんだぁっ!』

 

『ガンホー!ガンホー!ガンホー!』

 

『HAHAHAHAッ!ヤッチャウヨーッ!

 ボク、ゼンシンゼンレイデヤッチャウヨォー!』

 

FFF団が降臨した。ハーデスの装着している物と全く同じ物を身に付けて

雄二に襲いかかった。

 

「ちょっと待て!今の聞いただろう!?俺が言ったんじゃなくてハーデスが捏造した

小型録音機で俺をハメようとしているんだ!」

 

『『『『『問答無用だぁぁああああああああああああああっ!』』』』』

 

「雄二・・・・・学校が終わったら市役所に行こう。婚姻届を貰いに・・・・・」

 

「ちっくしょぉぉぉぉぉっ!俺はまだ死にたくねぇぇぇぇええええええっ!」

 

雄二が教室から走り去っていった。

 

「・・・・・ハーデス、恐るべし」

 

「仮面を取ろうとすると手段を選ばす防ごうとするんだな」

 

「止めよう、こんなことを」

 

大和が神妙な顔つきで言う。Fクラスと空き教室を隔てる壁がなくなったことで

広さが二倍になった。だから空き教室から見慣れた皆がこっちに来ることもできる。

 

「死神君、寝ちゃっているの?」

 

「というか、壁がなくなったんだけどどうやったのかしら・・・・・」

 

「・・・・・死神の姿が見れるならなんでもいい」

 

ああ、三人共・・・・・近づいちゃ・・・・・ってあれ、何の変化もない。

もしかして、女子なら何もしないってことかな?

 

「そういえば大和」

 

「なんだ明久」

 

「SクラスはDクラスに宣戦布告をする可能性があるって言ったけどさ、

僕らに宣戦布告してくる可能性ってあるの?僕らが宣戦布告をするにもAクラス戦で

負けちゃったから試召戦争はできないよ?」

 

四月でAクラスと戦い破れた僕達Fクラス。雄二と大和がああいったものの、

Sクラスが本当に仕掛けてくるのか怪しい。

 

「そのことか。問題ないぞ。仕掛けられないなら仕掛けてくるように

仕向けるだけだからな」

 

「ふーん?まあ、大和と雄二の考えがあるだろうから僕は何も言わないけどちょっと

不安だな」

 

「安心しろ。策は俺と坂本に任せておけ」

 

と、心強く言う大和にどこからか音楽が流れる。その発信源は大和の携帯からだった。

携帯を操作していると、山ろが一言。

 

「だが、そう事は上手く進まないってのも世の中だ」

 

「え?どういうこと?」

 

「俺達の思い通りにはならないってことだよ明久」

 

大和が苦笑を浮かべだした。どういうこと?小首を傾げる僕に大和が携帯の画面を

見せてくれた。

 

【大和君、そちらにSクラスの大使を送りました。宣戦布告をしに】

 

と、大和の友人らしき人物からのメールの内容だった。・・・・・って、

 

「ちょっと待って!?これって・・・・・っ!」

 

「ああ、そういうことだ。土屋!」

 

「・・・・・なんだ?」

 

大和がムッツリーニを呼んだ。

 

「このクラスにSクラスから大使が来る。手段は選ばずその大使を排除してくれ。

報酬は俺のコレクションの美術品」

 

「・・・・・了解した」

 

ムッツリーニは黒いマントを全身に包むと僕の前から姿を消した。

さっそくハーデスからローンで購入してでも願っていた性能だ。

透明化になったムッツリーニを探すのは至難の業だ。

 

「これでよし。冬馬の奴、俺達が大使を排除するなんてことは考えていないだろうな」

 

「でも、結局どうするの?」

 

「Dクラスの平賀に連絡するさ。模試試召戦争を明日に行ってもらうよう指示を出す。

そうすれば今日中に消費した点数を補充できる」

 

そう言いながら大和は携帯を操作する。

 

「木下、ハーデスを起こしてくれ」

 

「どうして?」

 

「Dクラスの大使の護衛として頼みたいんだ。奴らは遠慮なく

下級の大使をリンチするだろうしな」

 

「もうするの?点数だってまだ・・・・・」

 

「その点については問題ない。明日にしてもらうつもりだ。

今日中に点数を補充して貰う為にな」

 

「そう、それならDクラスも安心できるわね。死神、起きなさい。

直江君が頼みたいことがあるって」

 

木下さんがハーデスを起こしにかかる。そんな様子を見守っていると、

 

「・・・・・今戻った」

 

何もない空間からムッツリーニが現れた。

 

「首尾は?」

 

「・・・・・任務達成」

 

「ご苦労だった。後日、報酬を渡す」

 

「・・・・・分かった」

 

これでSクラスが僕達に宣戦布告をすることはできなくなった。

 

「大和、僕達は何時Sクラスと?」

 

「三日後だ。その間に得意科目をどんどん上げていくぞ。当然、苦手科目もだ」

 

「じゃあ、勉強会でもしない?」

 

「勉強会か。それは良い提案だ。皆で勉強ができる環境とスペースもあるしな」

 

視線をハーデスに向ける大和。そういうことか、ハーデスの家だったら

泊まり込みでも可能だからね。家の中は豪華で広々。

ハーデスの料理も美味しかったし、皆と顔を突き合いだしながら勉強をする。

まるで強化合宿みたいだ。

 

「じゃあ、いつものメンバーで?」

 

「そうだな。声を掛けよう」

 

頷く大和を余所に起き上がったハーデス。

 

『・・・・・頼みたいこととは?』

 

「ああ、実は―――」

 

 

―――Sクラス―――

 

 

「おやおや、Fクラスに宣戦布告ができずDクラスから試召戦争ではなく

模試試召戦争を申し込まれましたね」

 

「なに、庶民が此方らに挑戦をして来ても結果は見えておるのじゃ」

 

「でもー人数が僕らより多いよぉー?」

 

「そうだなぁ。これはちょっと失敗したんじゃねーの?」

 

「問題ない。相手は烏合の衆。私達の点数の前にはただ倒されるだけの雑兵に

過ぎないと知りなさい」

 

「はぁー、私は何時も通りのんびりと戦わせてもらうよー?」

 

「俺も、今回も参加しないぜ」

 

「弁慶と与一ももう少しやる気を出さないとダメだぞ」

 

「義経、この二人に関してはもうどうでもいいと思うぞ」

 

「私達だけでも戦って勝利すればいい」

 

「にょほほっ!Dクラスを倒せば次はEクラス。

そして・・・・・最後はあの忌々しき死神がいるFクラスだけじゃ。

この此方がコテンパンにして此方の足元に跪かせてやるのじゃ!」

 

「・・・・・なぁ、若。俺、何だか嫌な感じがするんだけど?」

 

「そうですね。警戒をした方がよいかもしれません。質はこちらでしょうが量は

向こうですので」

 

「まさかだとは思うが、大和の奴は他のクラスをけしかけて

最後に宣戦布告してくるんじゃねーよな?」

 

「ふむ・・・・・その可能性は大きいですね。となると大和君の狙いは・・・・・」

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