「それで、アンタはあのバカ共と戦いに行かなくても良いのかい?」
「俺ばかり頼ってじゃあ強くはならないだろう。俺が出張って勝っても楽しくはない」
「アンタからの要求は呑んでいるが、確かにその通りかもしれないね」
「さて・・・・・お手並み拝見とさせてもらうぞ、お前ら」
「雄二は下がっていてよね」
「分かってる。お前ら、しっかり倒してこい」
Aクラスの女子に囲まれる形で雄二の守りは固められる。
それを満足気に頷く僕はムッツリーニに話しかける。
彼の手にはカメラがしっかりと握られている。
「ムッツリーニ、写真は収めた?」
「・・・・・(コクリ)
「おい待てお前ら!?何か企んで―――」
『ダメよ坂本君。前線に出たら戦いに巻き込まれるわよ』
『あなたがFクラスの代表だから、代表が負けたら私達の負けになるじゃないの』
『そうよ。私達から絶対に離れないで』
「ぐっ・・・・・分かった」
あれま、あの雄二が元Aクラスの女子に言い包められているよ。
「雄二・・・・・浮気・・・・・後でお仕置きする」
「待て翔花!?俺はこいつらに守られているだけなんだぞ!
―――まさか直江。お前はこの為に・・・・・!?」
そうなの?と視線を送ると、頬をポリポリと掻いていた大和だった。
「いや、そこまで頭が回っていなかったんだが。
・・・・・まあ、面白そうな展開になってきたな」
偶然起きた結果なんだね。
「
Sクラスより点数は無い。だけど、皆が一生懸命点数を減らしてくれたんだ。
どんな点数だろうと僕は簡単には負けない!
「吉井君の召喚獣は木刀・・・・・義経が相手になる」
僕の相手は源義経さんか・・・・・、刀を使うからきっと武器は刀だろう。
総合科目
Fクラス 吉井明久 1689点 VS 4012点 源義経 Sクラス
僕の点数より2倍以上・・・・・だけど、僕はそれを体験している!
「勝負だ、源さん!」
「っ!?」
戦国時代に武将が身に着けていた甲冑に武器は刀の敵を見て、僕は召喚獣を操作する。
その素早い動きをする召喚獣に目を向く源さん。
あっという間に源さんの召喚獣の背後に移動していて、少ないけどダメージを与えた。
「今まだ戦ってきた相手より段違いの速さ・・・・・」
「僕は観察処分者だからね。普段、先生から雑用を押し付けられる度に召喚獣を喚に
出して操作をしているから慣れているのさ。それに!」
跳躍して一気に木刀を前に構えて源さんの召喚獣を吹っ飛ばす。
「僕は合宿所でさらに腕を上げたんだよね。
Sクラスが参加する必要が無いって参加しなかった強化合宿にさ」
「くっ・・・・・!」
大してSクラスはそんなに操作は慣れていない。しかも連戦で疲労が蓄積している。
勝機は、ある!敵の一閃を木刀を前に構えて防いだ瞬間に脳裏でハーデスから
指導された時のことが・・・・・。
『・・・・・良いか吉井明久。どんな敵にも隙がある。
それを相手が作ってしまうのは当然だが、作らせることも重要だ。それに相手の武器を
奪ってそれで攻撃することも戦い方の一つ。お前は俺の次に操作が慣れている。
お前の唯一無二の強さは召喚獣のコントロールの技術』
分かっているよ、ハーデス。だから―――ちょっとだけハーデスの真似をさせてね。」腕を組んで口を閉ざし、精神を集中する。
「・・・・・吉井君から物凄い集中力を感じる」
何も返さず、ただただ召喚獣に意識を向ける。召喚獣も僕の思考に呼応しているのか」自然体で一歩も動かない。
「その集中力、感服するよ吉井君。だから義経も本気を出す」
あっちも集中をし出す。僕達の戦いを横やりを入れるような相手はいない。
「―――いざ、参る!」
程なくして突撃してくる源さん。敵は上段からの振るいをしてくる。
こっちはその場から動かず振り下ろされる刀の腹に沿うよう感じで片手で木刀を
突き出して軌道を逸らした。
「な・・・・・に・・・・・?」
「ここだ!」
振り下ろした直後の腕を木刀を横薙ぎに払って敵の咽喉に当てる!
腕を掴んでいるから吹っ飛ばされないから何度も何度も乱れな攻撃をする。
「はぁあああああああああっ!」
源さんが気合の雄叫び。片手で刀を振るって木刀を逸らしたり防いだり片手同士の
戦いを僕と繰り広げてくる。
しかし、木刀と刀の性質が違う為、木刀に耐久力が無くなっていく。
「吉井君、義経と一対一でここまで戦ったのはキミが初めてだ。称賛に値する。
だけど、勝つのは義経だ」
慢心からの言葉じゃない。純粋に僕のことを褒めた上に自分の勝利を確信している。
僕が・・・・・負ける?そんなことあるもんか。
僕にはまだ・・・・・できることがある!
「―――
「な・・・・・っ!?」
ハーデスから受け取った白金の腕輪を起動するという僕の行動に、
源さんが大きく目を剥く。操作をする集中力が二倍も負担が掛かる。
それに二体の召喚獣を操るのは今回が初めて。ぶっつけ本番?上等だ、
今負けられない理由があるんだ。僕は・・・・・この勝負を負けるわけには
いかないんだ!降り掛かってくる刀を首だけかわして、木刀を捨てると刀を持つ
片手も強く掴んで身動きを取れないようにしながら、もう一体の召喚獣に刀を素早く
奪って―――ハーデスのように首を一刀両断、刎ね飛ばす!
首が無い胴体は血飛沫を上げる。後にこの場から源さんの召喚獣が姿を消す。
「義経が・・・・・負けた?」
「いよっしゃぁっ!」
Sクラスの主力の一人を倒した!って、喜んでいる場合じゃない。
皆の援護に回らないと!
「ほう・・・・・まさかあの観察処分者がねぇ・・・・・」
「・・・・・」
「ふふっ・・・・・」
「なんだ?」
「お前さん、嬉しそうな顔をしておるよ」
「そうか・・・・・いや、事実嬉しいかな」
「それはまたどうしてだい?」
「―――もしかしたらあいつは俺と対等な勝負をできる稀な逸材かもしれないからな」
―――☆☆☆―――
ははは・・・・・っ。明久の奴、とうとう化けやがった。
あの英雄のクローンをたった一人で倒しやがったぞ。
「・・・・・こちらも終えよう」
「同じ保健体育の得意者同士の戦いは一瞬で決まりますしね」
「・・・・・言葉無用」
「ふふっ、女装をすればきっと可愛らしいですのに。
どうです?一度だけ女装をしてもらえませんか?」
「・・・・・断わる・・・・・!」
「そうですか。では、あなたを倒した暁にしてもらいましょうか」
冬馬が動く。あいつの召喚獣は白衣に武器は長刀みたいに身の丈を超えているメス。
防御力は低そうだな。だが、土屋は大丈夫か?保健体育じゃなく、これは総合科目。
冬馬の方が圧倒的に有利だ。
「―――
突然聞こえた声と同時に総合科目のフィールドが砕け散って消失した。
「大島先生、保健体育をお願いするぜ」
「承認する!」
―――大島先生だと、どういうことだ!?振り返ると、
坂本の横にここまで連れてきた覚えのない教師が一人いた。さらには―――。
『・・・・・』
何時の間にか姿を現したハーデスがいた・・・・・。
なるほど、あいつが大島先生をここに連れて来ていたのか!
保健体育
Sクラス 葵冬馬 691点 VS 774点 土屋康太 Fクラス
「・・・・・なんですって・・・・・?」
「・・・・・一つ言うぞSクラス」
土屋は口元を小さく緩ました。
「・・・・・保健体育は俺の真骨頂、さらにお前は俺が倒したいライバルの
足元にも及ばない」
こいつ・・・・・何時の間にこんな
「・・・・・加速」
あいつの召喚獣が姿を消したと思えば冬馬の背後に移動していた。
保健体育
Sクラス 葵冬馬 戦闘不能 VS 774点 土屋康太 Fクラス
「・・・・・加速、終了」
土屋が呟く。こんなあっさりと冬馬を倒す光景を見たのはこれが初めてだった。
「―――
また召喚フィールドが消失した。
「いい感じになってきやがったじゃないか。さあ、俺達の力を見せ付けてやろうぜ!」
坂本が楽しそうに獰猛な笑みを浮かべながら言う。
何時の間にか、数学と日本史担当教諭もいるし。
―――☆☆☆―――
召喚フィールドが数学となり、島田の領域となったのはいいのじゃが、
数学
織田信長 621点
Sクラス VS 139点 木下秀吉 Fクラス
伊達正宗 539点
ワシはちっと辛いのぉ。これと言って得意な教科は無いのじゃ。
「どうした、その程度か?科目を入れ換えたお前達の代表が失敗しただろう」
「なに、ワシがお主を倒すまでもないのじゃ」
「・・・・・どういう意味だ?」
「ワシができる限り点数を削っておけば、後は仲間がお主を倒してくれる」
「なるほど、そういうことか」
無表情で伊達は召喚獣を操作する。相手の武器は刀、対してこっちは長刀。
リーチはこちらがあるのじゃが如何せん威力と速度は向こうの方が上手。
ワシは防戦一方・・・・・っ。
「だが、私の点数を消費することはできそうにもないな」
「じゃあ、アタシも参加させてもらうわよ」
数学 Fクラス 木下優子 438点
「姉上!?」
「なに?アタシもFクラスなんだから共闘するのは当たり前でしょう?なに勝手に
自分達の戦いのように戦っているのよ」
「いや、姉上達は雄二を守る役目があるのでは・・・・・?」
「問題ないわよ。ほら、さっさと倒しましょう。この無表情な奴に負けられないわ」
姉上が伊達に真っ直ぐ向かって言う。
「無表情・・・・・か」
「あら、気に障ったかしら?」
「言われ慣れている。だが、こんな私に昔笑いかけてもらった人がいた。
その人の笑みはとても暖かくて、私の心に温もりを与えてくれた」
「ふーん、それで?」
「その時の私は子供だったが、確かに自分の想いは自覚していた。
あの人に対するこの気持ちは恋をしているんだと」
伊達に感情を与えた者はきっと素晴らしい人物じゃったろうな。
今の伊達の表情が少し緩んでいる。
「だが、あの人は姿を消してしまい久しくあの温もりを感じていない。
もう一度会えることが叶うなら、あの温もりを感じたい」
うむ、恋しいのじゃろう。じゃが、話を聞く限りこれは・・・・・。
「・・・・・アタシ達、惚気られている?」
「じゃろうな・・・・・」
姉上とそう話しておると織田が疲れた表情をして口を開いた。
「お前達、これ以上正宗に訊くなよ。戦争どころでは無くなる」
それはもしや・・・・・惚気続けられるということかの?
『・・・・・』
音も無く姉上とワシの間にハーデスが現れた。共に戦ってくれるというのかの?
『・・・・・そいつの名前は、旅人だな?』
「「え?」」
「「―――っ!?」」
ハーデス、一体何を言い出すのじゃ?そして、伊達と織田の様子が変わった。
「お前・・・・・どうしてあの人のことを知っている・・・・・?」
「まさか、あの人と関係のある者か?」
召喚戦争では無かったらハーデスに掴みかかって聞きだしそうな雰囲気。
姉上と共に成り行きを見守る。
『・・・・・俺の師匠であり兄貴であり・・・・・殺してしまった男だ』
「「・・・・・」」
『・・・・・あれは事故だった。鍛練中、力の制御が誤って旅人を
この手であの人の命を奪ってしまった。深く申し訳ないと思っている』
そうスケッチブックに書き連ねるハーデス。
「・・・・・殺す」
『・・・・・?』
「貴様を・・・・・殺す」
伊達からとてつもない殺意が感じる。
「殺してしまっただと・・・・・?貴様、よくも・・・・・っ」
『・・・・・
「よくも旅人を殺してくれたなぁぁぁぁあああああああああああああっ!?」
声を荒げる伊達とそんな伊達に呼応し、ハーデスに向かう。しかし―――。
数学
Sクラス 伊達正宗 戦闘不能 VS 1000点 死神・ハーデス Fクラス
伊達を一蹴し、倒してしまった。これであやつとの決着が終わりかと思えば、
「死ね!死神ッ!」
召喚者自身がハーデスに攻撃を仕掛けた!?そんな事をすれば失格になるというのに!
しかし、倒された後に攻撃をしても何の意味もないのに!
「待たんか伊達!」
西村先生が横やりに入ってくれて伊達を抑えつけてくれた。
「死神に攻撃をするでない!既にお前は戦死者だ、大人しく補習室に来い!」
「放せ!私の大好きな人を、旅人を殺したあいつを私の手で殺す!」
「俺の目の前で生徒を殺させるものか!
お前が人を殺せば九鬼財閥がどうなると思う!」
「関係ない!私は、私の唯一の生き甲斐を奪ったこいつを殺してあの人の仇を
取るんだ!」
喚く伊達・・・・・。それほどまでに旅人という人物のことを
想っておるのか・・・・・。
『・・・・・』
な、なんじゃ・・・・・?この雰囲気は・・・・・。
周囲に目を配ると敵味方関係なく、ハーデスを見る目が変わっておる・・・・・。
「旅人さんを・・・・・殺した?」
「・・・・・嘘、だろう?あの人が死ぬなんて・・・・・」
「・・・・・」
ハーデスと仲良かった直江達がポツリとそう漏らす。
「・・・・・ねえ、キミ」
Sクラスの・・・・・榊原と申したか。その者がハーデスに話しかけてきた。
「旅人のお兄ちゃんを殺したって本当に?」
『・・・・・』
質問に答えず、スケッチブックにこう書いた。
『・・・・・Fクラスの死神・ハーデスがSクラスの九鬼英雄に勝負を申し込む』
「・・・・・良いだろう。受けてたつ」
「ちょっ、英雄!?」
Sクラスの代表が受けた。何故じゃ?自分の立場が分かっておるはずなのになぜ、
ハーデスとの勝負をする?もう敗北を悟ったから?それとも、ハーデスを倒せば
ワシらの士気が下がると思っての・・・・・?
数学
Sクラス 九鬼英雄 779点 VS 1000点 死神・ハーデス Fクラス
『・・・・・』
決着はあっという間についた。敵の首が呆気なく刎ねられ点数が一気に0点。
F(A)クラスの勝利となったのじゃが、この雰囲気の中で喜ぶ者、
悔しがる者は一人とておらんかった。
「勝者Fクラス!」
教師の誰かが宣告したその刹那。ハーデスに向かって飛び掛かる者達が敵意を持って
襲いかかった。
「よくも旅人さんを!」
「テメェは絶対に許さないぜ!」
織田、武蔵坊、榊原、井上、直江、風間、島津、川神、椎名達!
まさか、直江と風間まで怒るなど―――!
『・・・・・』
ハーデスは周囲から襲い掛かれようとその場から動かず・・・・・ハーデスの周囲に
落雷が発生し、直江達に直撃してひれ伏した。
『・・・・・殺したことは間違いない。だが、俺は確かに俺の所為で殺してしまった。
今でも深く申し訳ないと思っている』
悲しみが籠った声音。ワシが知っているハーデス自身の声ではない。
声音を変えておるようじゃ。
『・・・・・お前らのことは旅人からよく聞かされた。
だからこそ、この事を言えなかった』
「テ、テメェ・・・・・・ッ」
『・・・・・今まで仲間だと思っていた男が一変して、お前らが敬愛、
尊敬している男を殺した憎い存在となり変わったか?』
周りに問うように言葉を発するハーデスが一言。
『・・・・・それでも構わない』
な、なんじゃと・・・・・?
『・・・・・あの人が死んだ原因は俺にある。
お前らの気持ちを受け止める覚悟だってあるつもりだ。死ぬつもりはないがな』
足を運びだす。その先はフェンス・・・・・。
『・・・・・それじゃ、また明日な』
フェンスを越えてハーデスは屋上から飛び降りた。
西村先生が屋上からハーデスを確認をすると、一息吐いた。
「お前達、この後何かするつもりだろうが今日はここまでだ。続きは明日にしろ。
今のお前達がとても正気とは思えないからな。頭を冷やしてから学校に来い。いいな」
西村先生の言葉に誰も首を縦に振らない。
ハーデス、お主はなぜ今頃そんな事を言うのじゃ?ワシは・・・・・理解に苦しむ。