|Sクラスとの試召戦争に勝利して早三日。元A・B・Cクラスの生徒達は特例として
もう一度振り分け試験を行い、元の教室か上位の教室に振り分けされた。
D・Eクラスは期限付きでSクラスの設備と教室で過ごし、
破れたSクラスは期限付きでFクラスで過ごすことになった。そしてFクラスは―――。
「うわー、Aクラスで過ごせれるなんて夢みたい!」
「期限付きだけどな」
「これだけ広くて、もう一クラス分の人数がいてもまだ余裕だとは」
期限付きでAクラスと合同授業をすることになっていた。
「今頃Sクラスの連中は悔しがっているだろうな」
「連戦とはいえ、ウチらFクラスに負けたしね」
「・・・・・二度目は無い」
「じゃな。Sクラスに勝てたのは他のクラスと共に協力が
あったからこそのものじゃしな」
「そうですね。皆さんと一緒に頑張ったからこそSクラスに勝てたんですよ」
姫路瑞希が嬉しそうに微笑んで配給されている紅茶を一口飲む。
「これも、ハーデスが考えた作戦のおかげだね」
吉井明久が朗らかにハーデスの名を上げた瞬間。
「「「「「「・・・・・」」」」」」
風間ファミリー、直江大和達から伝わる雰囲気が一変する。ほんわかだった雰囲気が
重々しいくなったのだ。それを見かねた坂本雄二が嘆息する。
「おい、直江。ハーデスに対する嫌悪感は構わないが試召戦争と区別しろよ。
仲間内でいざこざされると次の試召戦争に支障が起きる」
「・・・・・ああ、分かってる」
感情が籠っていない声音で肯定する直江大和。こんな大和は初めて見ると心の中で
ドギマギする吉井明久だった。しばらくハーデスの名前どころか存在自体は
タブーだろうと漏らす。あんなに学校生活やプライベートの時は仲が
良かったのに・・・・・どうしてこんなことになったんだろうと吉井明久はまだ教室に
現れないハーデスのことを思ったのだった。一方、ハーデスは・・・・・。
「貴様が旅人を殺した男だな?」
『・・・・・』
教師専用の駐車場で二人の少女をサイドカーから下ろしていたところ、
執事服を身に包む眼光が鋭い金髪の老人、銀髪の老執事が現れ尋ねられていた。
「義経達からそう訊いたので、我々はあなたに真意を問おうと思っています」
『・・・・・あの人と何の関係がある?』
「そうですね、私とヒュームの一時的な職場の仲間でした。
彼はとても素晴らし逸材で―――」
「クラウディオ、昔話はそこまでだ。俺達はこの赤子にそんな話をしに来たのではない」
返答によってどうなるかこいつ次第だがな・・・・・。
ヒュームがハーデスを心の中で呟く。
『・・・・・殺した』
「そうですか。どうも教えて頂きありがとうございます」
「・・・・・ふん。誤魔化すような言い方だったら少し痛い目に遭って
白状してもらう予定だったのだがな。命拾いしたな赤子め」
『・・・・・旅人に100回もやられた零番隊の人にそう言われてもな』
「―――クラウディオ?少しこいつと話しがしたいのだが紋様の傍にいてくれるか?」
「ダメですよ。紋様の護衛はあなたに任されております。
それに事実を告げられたところで過去は変わりませんよ」
額に青筋を浮かべ怒気を孕んだ声を発するもやんわりと窘められてしまった。
「しかし、あの旅人を殺す程の逸材とは思えませんね・・・・・ヒューム、
決闘をして彼の強さを計ってくれますか?」
「この俺がか?こんな赤子に実力を知る必要もない・・・・・と言いたいところだが、
それも一興だろう」
「死神様、そういうことですので・・・・・むっ、いませんね?」
「なんだと・・・・・?」
二人の実力は強さの壁を越えた武の達人。
そんな二人の前にハーデスが二人の少女と共に姿を暗ましたのだ。
ハーデスが目の前にいないことに気付き、不覚を取られた。あまりにもこの場から
いなくなるのが自然すぎたからだ。
「老いましたかね?」
「・・・・・ふざけるなよ?」
―――学園長室―――
「この度、編入をさせていただくフィリーリング・エースデースと極道遼子です。
これからよろしくお願いします」
「礼儀正しい生徒でアタシも嬉しいよ。最近のガキ共は学園長のアタシにババァ長と
呼ばれているからね」
「目上の人に対して敬意を払って過ごすようにと父からそう育てられましたので」
「今時の極道とマフィアの娘にしちゃ感心だね。」
藤堂カヲルにそう言われ極道遼子達は照れる。
「さて、入学試験を受けてもらったが本当にFクラスが良いのかい?
お前達の成績は間違いなくSクラス並み何だがね」
手元にある二人の成績表を一瞥しながら問う藤堂カヲルに肯定と頷く。
「Sクラスは最弱のFクラスに破れたと彼から聞きました。弱者は強者に淘汰されて
当然と父からの教えなので私は常に強者の方を選びます」
「まあ、私達は彼と一緒にいれば退屈な学校生活は無いだろうと踏んで彼のクラスに
選んだわけですがね」
「・・・・・つまり、死神に好意を抱いているから死神がいるクラスに配属して
ほしい、とそんな理由でFクラスを選んだわけかい」
「「ええ、そうですがなにか?」」
「純粋な目で小首を傾げてさらっと惚気るんじゃないよ」
このガキ共もFクラスにいても遜色がないと藤堂カヲルは嘆息する。
「まあいい。とっととAクラスに行きな。もう
「Aクラス・・・・・?Fクラスではないのですか?」
「そこの死神が所属しているクラスは全員、期限付きでAクラスとして
過ごしているんだよ。まあ、今週一杯で終わりさね」
「そうですか。わかりました」
『・・・・・失礼する』
ハーデス達は学園長室を後にしようとする。が、呼び止められた。
「二人共、死神の事をよろしく頼むよ」
「「はい、勿論です」」
光と闇、善悪が明らかになった今、ハーデスを取り巻く環境と状況がどうなるのかは
神でも分からない。
プルルルッ プルルルッ ガチャ
「アタシだよ。ああ、理事長じゃないかどうしたさね?・・・・・なに?
編入の志望者?・・・・・分かったさね」