バカと真剣とドラゴン―――完結―――   作:ダーク・シリウス

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第五問です

「それにしても、Fクラスの設備がこれ以上下がるなんて知らなかったな」

 

「卓袱台がミカン箱って・・・・・」

 

「こんな教室でこの設備で授業したの。後にも先にも僕達だけだよきっと絶対に」

 

「ハーデスが勝っていればなー」

 

「しょうがないわよ。あの点数の差じゃ勝ちようもないわ」

 

「アレで勝てたら凄いよ」

 

卓袱台からミカン箱にとランクダウンした俺の机を見下ろして、

何とも言えない気分で触れる。

 

「でも・・・・・小島先生が担任なら問題を起こさなければ目を付けられることも無い」

 

「そうだね。僕達は坂本君と明久。それに木下君と土屋君ほど問題を起こしていないしね」

 

あそこまで俺達はバカじゃないし、バカな言動はしない。

まあ、学校生活を謳歌して楽しんでいるならともかく、問題を起こすのはどうかと思う。

するなら影からこっそり、だ。

 

「あーあー、試召戦争が三ヶ月もできないなんてつまらねーなー」

 

「なにも試召戦争が全てってわけじゃないからいいじゃない」

 

「そうだ、いつも通り過ごせばいいだけだ」

 

「休日の日でも鉄人の声を毎日聞きながらな」

 

野太いあの声から解放されたいのは俺だけじゃないと思いたい。

 

 

 

 

授業は問題なく進み、あっという間に昼食。休日にも拘わらず補習を受けている。

俺達はAクラスに負けたからだ。

 

「はぁ・・・・・」

 

「どうした明久」

 

「朝から重労働をしたから余計にお腹が空いたんだよ」

 

「ああ、観察処分者の役目を勤めていたのか」

 

オカルトと科学で偶然開発した試験召喚システムを試験校として選ばれた

この学校が開校して以来の初めて観察処分者。教師の雑用としてこき使われる。

が、その反面。観察処分者の召喚獣は物理干渉ができる。

本来、召喚獣は召喚者の姿をフォルムした立体映像のように召喚されて召喚獣同士が戦うが、

召喚者が召喚獣を触れることができない。

ただし明久の召喚獣は、観察処分者特有の物理干渉、物質に触れるという他の召喚獣とは

全く異なる現象ができる。だけど、今の明久を見た通り。観察処分者の召喚獣が疲れると

その反動、フィードバックで召喚者も疲労する。だからあまり便利とは言えない。

 

ガラッ。

 

Fクラスの扉が開いた。休日だから俺達Fクラスのメンバーしかいない。

教師の誰かが開けたのかと思ったら。

 

「・・・・・死神、お昼」

 

「雄二・・・・・お昼」

 

Aクラスの代表姉妹、霧島翔子と霧島翔花が片手に買い物袋を持って現れていた。

 

「翔子と翔花なんで。そっちは補習なんてないだろう」

 

坂本は二人の登場に驚き、真意をと問おうと尋ねながら立ち上がった。

 

「・・・・・私達だけ実習していた」

 

「雄二がいれば・・・・・日曜日でも来る」

 

「・・・・・私も、死神がいれば来る」

 

「来なくて良い」

 

『・・・・・俺達の為にそんなことしなくていい』

 

「雄二がいなければ・・・・・平日でも来ない」

 

「・・・・・死神がいなければ私も」

 

「それは問題あるだろう」

 

『・・・・・(コクコク)』

 

と、霧島姉妹と坂本雄二&死神・ハーデスの会話のやり取りでした。

 

「明久は今日弁当かの」

 

そんな二人を余所に明久は弁当を取りだしていて蓋を開けた。その中身は―――。

 

 

カラッ(何かの欠片)

 

 

「・・・・・明久、それはなんだ?」

 

「六十七分の一のカップ麺」

 

「・・・・・お前の今の食生活を知るにそれで十分過ぎるな」

 

「うげ、マジかよ明久」

 

「涙をそそるのぉ」

 

質素以上の食事をした明久に呆れる面々。

 

『・・・・・』

 

俺の視界の端に、ハーデスが自分の鞄に手を突っ込んでいた。あいつも弁当?

 

 

ズルッ(五重箱を取りだす音)

 

 

・・・・・ちょっと待て。今、あの鞄から

どうやって大きな弁当を取りだした・・・・・!?

 

「ハーデス、その弁当はなんだ!?いや、どうやって鞄から取り出した!?」

 

「ん?どうした大和。ハーデスがどうかした―――って、何時の間に重箱を出したんだ!?」

 

「ほう、箱もまた雅な物じゃのぉ」

 

「一人でそんなに食べるのか?意外とお前って大食いなんだな」

 

一斉にハーデスへ群がる面々。ミカン箱に置くスペースがないからカビ臭い畳の上に―――。

 

バサッ(畳にブルーシートを敷く音)

 

敷物を敷いて弁当を置いた。それから淡々と箱を開けて周囲に置いた。

 

『おおっ・・・・・』

 

弁当の中身は豪華で様々な料理があった。肉料理、魚料理、野菜や果物、

ご飯や漬物も勢揃い。各箱に詰められていた。

 

『・・・・・霧島、一緒に食べるか?』

 

「・・・・・うん、食べる」

 

誘われて嬉しいようで、微笑みを浮かべてハーデスの隣に腰を下ろした。

 

「すげーな。お前の家族が作ったのか?」

 

『・・・・・俺』

 

「嘘!?アンタなの!?」

 

「し、信じれません・・・・・こんな綺麗で美味しそうな

お料理を作れるなんて・・・・・」

 

「・・・・・人は見掛けに寄らず」

 

驚きの色を隠せない俺達。すると、スケッチブックに書き初めて俺達に見せつけた。

 

『・・・・・吉井、お前も食うか?』

 

「え?僕?でも、いいの?」

 

なんと、ハーデスは明久を誘った。意外だった。コミュニケーションを

自分からするなんて。

 

『・・・・・ちゃんとしていない食生活のお前を放っておけないだけだ』

 

同感だ。ワン子ですら固まっていたし。なんか、

 

「明久の分の弁当も作って来た方がいいかしら・・・・・」

 

とブツブツ言っている程だ。

 

『・・・・・量もあるし、お前の食う分もある。問題ない』

 

「ありだきます!」

 

感謝の言葉と食事する前に言う言葉を混ぜたな?明久は嬉々として

ハーデスの弁当からご飯、肉を取って豪快に頬張った。

 

「うっ・・・・・!?」

 

「どうした、不味いのか?―――――ちょっと待とうかハーデス。

冗談だ、冗談だからその大鎌をこっちに投げようとするな!」

 

『・・・・・冗談でも言って良いことと悪いことがあると知らない?』

 

こいつから本気を感じる為、その場で土下座をしたところ俺の上で何かが通り過ぎた。

ほ、本当に鎌を投げやがったのかこいつは・・・・・!?

 

『・・・・・二度は、ない』

 

「い、以後・・・・・気を付けます」

 

料理に対するプライドがあるようだ。二度と言うもんか!

 

「うっっっまぁぁあああああいっ!」

 

「あ、やっぱりその反応なんだね」

 

モロが苦笑を浮かべて言った。

 

『・・・・・』

 

徐にハーデスは仮面に触れた。まさか、仮面を外すのかと思いきや。

口の部分だけ外して弁当を食べだした。

 

「部分的なところを外せるのかそれは・・・・・」

 

「・・・・・顔を見れるのかと思った」

 

少し残念がる俺達。こいつの素顔を気にならないわけじゃないから

見れるものなら見たいのが心情だ。

 

「・・・・・死神、あーん」

 

『・・・・・』

 

霧島から食べさせられるハーデス。

 

「・・・・・美味しい?」

 

『・・・・・(コクリ)』

 

敢えて、「自分が作って来たから当然だ」と告げないこいつは優しい。

 

「あ、あの・・・・・吉井君っ」

 

「ん?なに、姫路さん」

 

「そ、その・・・・・私もお弁当を作って来たんですけど・・・・・」

 

「え、そうなの?」

 

「は、はい・・・・・」

 

モジモジと恥ずかし気に姫路は告白した。おおぅ、好印象を上げに来たな?

 

「よろしければ・・・・・私のも食べてもらえますか?」

 

「いいの?それじゃ―――」

 

『『『須川会長!裏切り者を捕縛しました!』』』

 

『異端審問会を開く。罪人を磔に縛りあげろ』

 

『『『『『了解っ!』』』』』』

 

「ちょっ、皆ぁっ!?」

 

あっという間に明久はFクラスの(一部除いた)男子達に捕まって張りつけされた。

 

『罪人吉井明久。我らFFF団の一員でありながら、

女子からお弁当を作ってもらったその罪は海より深く山より高い罪であり―――』

 

『簡潔に述べたまえ』

 

『睨んで人を殺せたらと思うほど羨ましいでありますッ!』

 

し、嫉妬・・・・・明らかに嫉妬で明久を暴行しようとしている・・・・・。

 

「あれ、ガクトは?」

 

「えっと・・・・・あの中に」

 

・・・・・なんですと?あ、一際大柄な覆面男がいた。あいつか・・・・・?

 

「まさか、あんな怪しい集団の一員だったなんてね」

 

「ガクトらしい・・・・・」

 

だが困ったな。明久を助けるための腕力が必要だったんだが・・・・・。

着々と罪状を読み上げる須川に明久は涙目で俺を助けを乞うている。

 

『・・・・・』

 

ハーデスが音も無く目の前で立ち上がって、嫉妬集団と明久に近づく。そして―――。

 

 

ドガッ!バキッ!ゴッ!ゴンッ!ボキッ!グシャッ!

 

 

須川達を問答無用で殴り、蹴り、蹂躙した。

 

「うわぁ・・・・・」

 

「あのガクトまで問答無用に・・・・・」

 

目の前で起こった惨劇に俺達は引く。磔された明久を解放すると、

霧島の隣に座って再び食事を始めた。

 

 

―――☆☆☆―――

 

 

「いてて・・・・・あの野郎。マジで殴りやがって」

 

「いや、ガクトがFFF団の一員だってのが悪いんだよ」

 

「女にモテる男は皆敵だ!」

 

「それってキャップも?」

 

「いや身内は敵じゃないぜ」

 

「矛盾な気持ちで明久の敵に回るなんて・・・・・」

 

「明久は風間ファミリーじゃないからいいんだ」

 

学校の玄関から出ながら雑談。

 

「ねえ、キャップ。明久もファミリーに加えたらいいんじゃない?」

 

「珍しいなワン子。お前が明久を誘うなんてよ」

 

「だって、明久といると楽しいし。バカだけどいると面白いじゃない」

 

「確かにバカだが、面白いことは認める。だけどよ、俺達はあの人と交流したメンバーだ」

 

ガクトはそう言う理由はきっとアレだろう。

旅人さんのことを知らないメンバーをファミリーに加えたくないと。

 

「俺は別に入れても問題ないと思うんだけどなぁー」

 

「まあ、もう少し様子見でいいだろう?それから判断しても遅くはない」

 

俺の発言で場は一致した。すると、背後から騒音が聞こえた。

不思議に思い、振り返ると。

 

「ス、スカルライダー!?」

 

「って、ありゃハーデスじゃねぇか。しかも補助席に霧島が乗っているぜ」

 

こっちに突っ込んでくるバイクに乗ったハーデスを避けて道を開けると、

物凄い速さで俺達の目の前に通り過ぎる。

 

「あれ、この学校ってバイクで登校していいんだっけ?」

 

「さあ、でもあのバイク。格好良かったな!」

 

霧島を乗せたと言うことは家まで送るつもりなんだろう。

俺達はのんびりと島津寮にまで歩いて帰った。

 

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