バカと真剣とドラゴン―――完結―――   作:ダーク・シリウス

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真約七問

―――朝―――

 

 

『・・・・・どうしてそんなにひっつく』

 

「お前のことが好きだからに決まっているからだ」

 

「私もその・・・・・あなたのことが好きです」

 

学校の登校中、俺こと須川亮は見てしまった。我がFクラスの希少の花々が死神を囲んで

ハーレム状態。し、しかも・・・・・死神は二大凶美人の二人に腕を絡められけ、

けしからん胸に挟んだ状態で登校していた・・・・・っ!直ぐに同志を招集する事ができるが、

奴は化け物染みた戦闘力を持ち、歯牙にも掛けられない。作戦も無しで突撃は愚の骨頂。

優秀な人材を募集せねばならぬっ。

今だけその甘美な幸せを堪能するがいい死神・ハーデスゥゥゥ・・・・・ッ。

 

 

―――2-F―――

 

 

「おっはよう、ハーデス君!」

 

「・・・・・おはよう」

 

「ハーデス、おはよう」

 

・・・・・Aクラスの主力メンバーは今日もハーデスを会いにやってくる。

 

『・・・・・毎朝挨拶してきて大変だろう』

 

「ううん、そんなことないよ?」

 

「・・・・・通い妻」

 

「まっ、アンタが気にしなくてもいいのよ」

 

・・・・・確かに、毎日一日も欠かさずFクラスに現れてはハーデスと接する。

・・・・・付き合っているわけでもないはずだが、

頻繁に会いに来るとなるとハーデスとの関係性に疑惑を抱く。

 

「今日はボクの番だったよね?」

 

「はいはい、時間がないんだから済ませなさい」

 

「・・・・・明日は優子、明後日は私・・・・・」

 

「えへへ、それじゃハーデス君。えいっ」

 

・・・・・工藤愛子が胡坐を掻くハーデスと対面の形で跨った。

そ、その光景は・・・・・っ!

 

「ハーデス君の温もり・・・・・温かいねぇ・・・・・」

 

・・・・・工藤愛子が嬉しそうに目を細め、ハーデスの背中に腕を回して身体を

押し付けさらに密着する。両足もハーデスの腰に巻き付けている・・・・・・!

 

「・・・・・愛子、羨ましい」

 

「代表は何時も似たようなことをしているでしょうが」

 

「・・・・・私は毎日したい。優子は・・・・・?」

 

「・・・・・ノーコメントよ」

 

・・・・・木下優子、霧島翔子の両名はハーデスの隣に座り、手を握る。

そんな光景を見ているだけで桃色の空間が発生しているのが誰の目を見ても明らかだろう。

・・・・・だが、ここは魔の巣窟Fクラス。・・・・・他人の幸せは泥沼、

他人の不幸は至高の味・・・・・!

 

「あ、愛子。そろそろ戻らないと」

 

「もうそんな時間かー。もう少しいたかったのに」

 

「・・・・・それは私達も同じ気持ち、公私混合をしっかりしないと」

 

・・・・・手を振りながら工藤愛子は霧島翔子、木下優子と自分のクラスへ戻った。

 

『『『『『・・・・・(怒)』』』』』

 

・・・・・奴は、奴だけは・・・・・許してはならない・・・・・っ!・・・・・この怒り、

いつか必ず貴様にぶつけよう・・・・・っ!

 

 

―――昼休み―――

 

 

ガラッ

 

 

「死神はいるかしら?」

 

「ん?Cクラス代表の小山か。なんか久し振りだな」

 

「ええ、お久しぶり坂本君。今は悪いけれど死神に用があるのよ」

 

小山さんの手には二つの弁当を持っていた。

僕達もこれから屋上で輪になって昼食会をしようとしていたところだ。

 

「久し振りね死神」

 

『・・・・・最近顔を見ていないから新鮮だな』

 

「嬉しいことを言ってくれるのね。はい、あなたの分よ」

 

なるほど、ハーデスの分のお弁当か。でも、ハーデスは身に覚えがないのか首を傾げていた。

 

『・・・・・頼んだ覚えはないが?』

 

「私が勝手にしているだけよ。料理の腕を向上させるためにもね。食べてくれるかしら?」

 

『・・・・・無化にはできない』

 

小山さんに腕を差し伸べれば嬉しそうに目を細めて一つの弁当を手渡した彼女が口を開く。

 

「ありがとう。それと小暮先輩が漏らしていたわよ?茶道部に顔を出してくれないって」

 

『・・・・・放課後に顔出すか』

 

「そうしてくれると嬉しいわ。私、あなたの為に舞を覚えたの。見てくれる?」

 

『・・・・・(コクリ)』

 

肯定するハーデス。

 

「ちゃんと見てね?なんなら・・・・・あなたが望む衣装で舞っても良いわよ。

レオタードとか、メイド服とか」

 

「・・・・・!(ブシャァァァッ!)」

 

『・・・・・俺はコスプレの趣味はない』

 

「そう?男はコスプレをした女が好きだと聞くけれどね」

 

『・・・・・俺は土屋康太じゃない』

 

「・・・・・その情報は誤報だ・・・・・!・・・・・不名誉だぞ・・・・・!」

 

や・・・・・否定しきれないと思うよムッツリーニ。

 

「ん・・・・・?」

 

何やら視線を感じる。その視線の元へ振り返ると・・・・・。

 

「死神ぃ・・・・・っ!」

 

半分だけ顔を出しているキノコ頭が特徴の・・・・・Bクラスの代表根本君が恨めしいと

ばかり誰かを睨んでいた。その誰かってのは一目瞭然だけれどね。

 

『・・・・・巫女服』

 

「あら、やっぱり好きじゃないの」

 

『・・・・・違う。小山の舞に相応しい衣装を着て欲しいと思っただけだ。

俺に舞を見せてくれるなら着物か巫女服にしてほしい。きっと綺麗だろうからな』

 

「・・・・・友香よ。これからそう呼んでちょうだい」

 

小山さん・・・・・顔を逸らしても耳まで真っ赤なのは分かっているよ。

 

『・・・・・ん、分かった友香』

 

「・・・・・やっぱり、私はなたのことが好きね。一緒にお弁当どうかしら?」

 

『・・・・・マンツーマンは無理だけどそれでもいいか?』

 

「構わないわよ。噂じゃあ、あなたAクラスの女子と付き合っているそうじゃない。

そこのところ色々と聞かせて欲しいわ」

 

彼女も僕らと一緒に食べるようだね。拒む理由もないからいいんじゃないかな?

 

「ハーデス、来たよー!友達二人連れて来ちゃったけどいいかな?」

 

おや、ハーデスと決闘した後輩だ。彼女の言う通り、後輩がもう二人いる。

ハーデスは構わないと首を縦に振って了承し立ち上がった。

―――そして、屋上で輪になって日課の昼食会を始めた。

 

 

―――☆☆☆―――

 

 

ようやく試召戦争が解禁される日となった。既にAクラスの代表である霧島(姉)との

打ち合わせは済ませてあるし、俺達はAクラスに行くだけだ。

 

「よーしお前ら!これから俺達はAクラスから申し込まれた一騎討ちの代表選を含んだ

三人のメンバーを発表するぞ!」

 

坂本が教卓に立ち、俺達を見渡す。アイツの目はギラギラと輝いていてこの勝負は

絶対に負けられないという気持ちが伝わってくる。

 

「まずは当然ハーデスだ。しっかり相手の首を刎ねてやれ」

 

『・・・・・了解』

 

Fクラスの中で最強の存在、そのカードのスートで表せばKかAだろう。

 

「二人目はムッツリーニ、保健体育の点数はハーデスの次だからな」

 

「・・・・・工藤愛子を仕留める」

 

既に相手は決まっているようだ。前回も驚異的な点数を叩きだして工藤を見事に倒した

戦績がある。

 

「三人目は明久にする」

 

え・・・・・明久?

 

「雄二、ここは点数が高いメンバーにした方がいいんじゃないの?」

 

「それは勿論だが、お前はここのところ勉強をしているんだろう?その勉強の成果と

ハーデスの次に召喚獣の操作が長けているお前ならAクラスが相手だろうが

負けはしないはずだ」

 

まぁ・・・・・確かにあいつは勉強してハーデスの二番目に操作が

慣れているけど・・・・・。勝つなら絶対的な点数が必要不可欠じゃないか?

 

「文句は言うなよ。これは俺が決めたことだ。そして選択は2つだけでその2つの選択を

ムッツリーニと明久の得意科目に指定してもらう。ハーデス、構わないな?」

 

『・・・・・俺は構わない。が、お前は大丈夫なのか?』

 

そう言えばそうだ。坂本が負けたら意味がない。ハーデスが負けることはないだろうが

残りの二人が敗北し、代表のお前まで負けるようなことになれば俺達の負けだ。

 

「大丈夫だ。俺だってそれなりに操作を慣れているしこの日の為に牙を磨いてきた。

俺を信用しろ」

 

『・・・・・負けたら一日女になって貰う』

 

『『『それは言い名案だっ!』』』

 

「絶対に負けないから安心しろお前達っ!」

 

はっはっはっ、頑張れ代表。俺は女になってもお前を否定しないから安心するがいい。

 

「そ、そんじゃAクラスに行くぞ野郎共!」

 

『『『『『おおーっ!』』』』』

 

いよいよAクラスとの再戦だ。リベンジを果たす時がやってきた。

 

 

―――2-A―――

 

鏡合わせのように前回と同じAクラスとFクラスと別れてその間に立会人である

高橋先生が佇んでいる。

 

「では、一回戦を始めます。最初の対戦者は前へ」

 

「ムッツリーニ、初陣だ」

 

「・・・・・了解」

 

「ムッツリーニ君か。だったらボクが出るのは当然だよね」

 

相手はやっぱり工藤さんか。保健体育が得意者同士の戦いを見るのはいつ以来だろう。

 

「・・・・・今回も俺が勝つ」

 

「ふふん、それはどうかなー?」

 

不敵に笑むと共に工藤さんが足元に幾何学的な魔方陣が現れた。ムッツリーニも短く

召喚獣を喚び出すキーワードを言う。

 

 

              保健体育

 

Aクラス 工藤愛子 489点 VS 803点 ムッツリーニ Fクラス

 

 

「・・・・・俺の名前はそれじゃない・・・・・!」

 

ついにシステムまでもムッツリーニをムッツリーニと認識したか・・・・・。

そしてムッツリーニの召喚獣は以前と違う姿。

 

「・・・・・上忍にレベルアップしたところ・・・・・」

 

何だかさらに磨きが掛かっている忍者らしい格好になっていた。

蒼天が僕達の召喚獣の装備を変更してくれたんだ。対して工藤さんは女子制服が軽鎧と

装備が変わって、巨大な斧は・・・・・確か、ハルバートっていう武器になっていた。

 

「それじゃ、リベンジさせてもらうよムッツリーニ君!」

 

工藤さんの召喚獣がムッツリーニの召喚獣へと飛び出した。

 

「・・・・・加速・・・・・」

 

ムッツリーニの腕にある金色の腕輪の能力は加速。移動速度がさらに速くなるシンプルな

高速移動だけど、その移動速度に付いて行けれるのは第二学年ではただ―――。

 

「それを待っていたんだよねぇ~?」

 

「・・・・・っ!?」

 

不敵な笑みを浮かべる工藤さんが途中で急ブレーキをし武器を前に突き出した。

彼女の召喚獣の身の丈の倍がある武器は真っ直ぐ前方へ突き出した。

その先には何もない空間―――だと思っていたのにムッツリーニの召喚獣が工藤さんの

武器に自分から突き刺さったぁっ!?

 

「ハーデス君と優子の弟君の真似をさせてもらうよ!」

 

ムッツリーニが突き刺さったまま武器を徐に持ち上げた。

そうすることで身体を貫かれたままムッツリーニの点数が減っていく!

あ、あれは・・・・・!

 

「バイバイ、ムッツリーニ君♪」

 

彼女の金色の腕輪が光り輝き、ハルバートに電撃が帯びてムッツリーニを感電させた。

 

 

              保健体育

 

Aクラス 工藤愛子 489点 VS DEAD ムッツリーニ Fクラス

 

 

「・・・・・なっ・・・・・なんだと・・・・・!!!」

 

「何度もムッツリーニ君の召喚獣の腕輪を伊達に見てきたわけじゃないんだよ?

それにその能力の特性も把握させてもらったし、猪突猛進のように突っ込んでくるなら

わざわざこっちから攻めなくても、相手が真っ直ぐ来て避けないなら武器を構えて待ち

構えるだけで相手が来てくれる」

 

そして、工藤さんはハーデスと秀吉に視線を向けた。

 

「二人の戦いを真似すればもしかすると―――と思っていたけど、

対ムッツリーニ君対策ができたよ。ありがとうね♪」

 

初戦はAクラスの勝利・・・・・出鼻を挫かれた・・・・・っ!

 

「これは予想外だな・・・・・」

 

「雄二、どうするの?」

 

「・・・・・相手も一学期のままじゃないってことだな。

明久、お前と誰かに変わって貰うことになるがいいな?」

 

「勝つ為だもん。雄二の好きにして」

 

「二回戦を始めます。対戦者は前に」

 

「・・・・・ハーデス、頼んだ」

 

『・・・・・土屋康太の仇討ちをこの戦いでしてやろう』

 

頼もしい男が威風堂々と前に出た。

 

「霧島さん、手順通りでいいね?」

 

「・・・・・構わない」

 

「なら、今度は僕が行こう」

 

久保君・・・・・?

 

「この時を待っていたよ死神君。今度は正々堂々と―――」

 

「待ってくれないかな」

 

真摯にハーデスと話をする久保君の言葉を遮ったのは見慣れない男子。

 

「彼が出るなら僕の出番と言うわけだ」

 

まるでハーデスに勝つ自信がある言い方をする。

 

「森羅君、これは代表が決めたことだ。召喚獣を一度も操作していないキミに死神君の

相手にすらならないよ。ましてや彼の戦いを見たことがないキミが尚更だ」

 

「そんなの、実戦で補えばいいだけだよ」

 

久保君を押し退けてハーデスと対峙する。森羅君と呼ばれた彼の表情は自信に満ちている。

Aクラスにいるから400点オーバーの実力者なのかもしれない。

だからこそなのだろうか・・・・・?

 

「キミを倒して僕が最強となる」

 

そんな事を言う森羅君から視線を逸らして高橋先生にスケッチブックを突きつけた。

 

『・・・・・高橋先生』

 

「はい、何でしょうか」

 

『・・・・・提案がある。この戦いだけ二対一でやらせてくれ』

 

なっ・・・・・!ハーデス、キミは正気かっ!?

 

「何故ですか?これは一対一の試召戦争ですよ?」

 

『・・・・・久保利光が待ち望んでいたように、

俺も少なからずこうなる日を待っていた。勝敗のルールはそのまま、いいだろう?』

 

「・・・・・分かりました。この試合だけ特別に許可しましょう」

 

あっさりと承諾した高橋先生。こういう試合には手厳しいはずなんだけど、大丈夫なのかな・・・・・。

 

『・・・・・久保利光、こい』

 

「手加減はしない。いいんだね?」

 

『・・・・・俺を楽しませろよ?俺に勝ったら―――お前の好きな物を献呈しよう』

 

ハーデスが意味深なことを言う。だからだろうか、久保君から何とも言えないオーラを感じる。

 

「科目は現代国語でお願いします」

 

「分かりました。では、試合開始です!」

 

「「試獣召喚(サモン)」」

 

『・・・・・試獣召喚(サモン)

 

三人の召喚獣が幾何学的な紋様の魔方陣に出現した。久保君はなんだかハーデスの召喚獣

みたいな恰好とデスサイズ(死神の鎌)の出で立ちで出現した。

森羅君は豪快な槍を手にしている。さて、Fクラスの死神の召喚獣は・・・・・と、

 

『・・・・・』

 

特に・・・・・変わっていなかった。いや、強いて言うと黒いマントに骸骨の刺繍が入っている。

 

『・・・・・こんな地味な変化、あんまりだ』

 

その場で四つ這いに崩れ落ちてショックを受けている

ハーデスになんて声を掛けてやればいいんだろうか。

 

「・・・・・もしかして、僕の召喚獣も大して変化がない?」

 

「ハーデスと似たような変化だったらババァに怒鳴り込むぞ」

 

了解と取り敢えず相槌を打つ。

 

「残念だったね?大した変化のない貧相な装備でさ」

 

森羅君が嘲笑染みた言い方をし、召喚獣を動かした。

 

『・・・・・なんてな』

 

へ?

 

 

ガチャ

 

 

ハーデスの召喚獣の武器がマントから姿を現した。武器は刃が備わった見慣れたトンファー。

でも、それは機械的な部分も見受けれて、一対のトンファーを前後に連結させると、

銃身が伸びた。

 

『食らえ』

 

引き金を引いたハーデスのトンファーの銃身から光の一筋が出て来て真っ直ぐ森羅君の

召喚獣に伸びた。―――ビーム!?

 

「そんな程度の攻撃、僕には通用しないって」

 

当たる直前、彼から軌道を反れたビーム。な、なんで・・・・・?

 

 

             現代国語

 

Aクラス 森羅彰 980点 VS 970点 死神・ハーデス Fクラス

 

 

『『『はぁあああああああああああっ!?』』』

 

 

きゅ、900代・・・・・!?まるでハーデスみたいじゃないか!それに金色の腕輪!

 

「絶対に僕を倒せないと宣言するよ。なんせ、僕の腕輪の能力は反射。あらゆる攻撃を、

あらゆる力の向き(ベクトル)を任意に操作(変換)する能力だからね。

しかも消費する点数はたったの20点」

 

そ、それって・・・・・チートじゃないか!攻撃が当たらないなんて勝てるわけがない!

しかも消費した点数と合わせると・・・・・。

 

「もう一人のハーデスってことかよ・・・・・!そんな奴がいるなんて聞いていねぇっ!」

 

雄二でさえ思わず叫んでいる。僕らの最強の切り札みたいな存在がAクラスにもいるなんて、

絶望的だ・・・・・っ。

 

『・・・・・』

 

連結させたトンファーを崩して元の武器に戻したハーデスは森羅君に飛び掛かって

武器を振るった次の瞬間、トンファーの刃が見えない何かとぶつかって

森羅君に当たらず弾き返された。

 

「無駄だって。ほらっ」

 

槍を力強く振るられ、ハーデスはトンファーを交差して防御の構えをしたけれど、

能力が槍にまで及んでいるのか点数を減らして吹っ飛ばされた。

 

「ハ、ハーデス・・・・・っ」

 

「ははは!最強が吹っ飛んだよ皆!コイツが負ければ僕らの勝ちだ!」

 

森羅君の言葉にAクラスは静まり返っている。Aクラスの皆もあのハーデスが負ける?

と想像をして信じられないでいるのかもしれない。

喜びと戸惑いが交ざって声を出せないんだきっと。

 

「ハーデス!頑張るのじゃ!」

 

秀吉が声を上げてハーデスを応援する。

その間でも森羅君はハーデスを一方的に圧倒して点数も元の半分以下になっている。

 

「お主はそんな簡単に負けるような男ではない!それはずっと傍にいたワシが分かっている!

じゃから、じゃからそんな奴に負けるではない!」

 

必死に叫ぶ秀吉に―――他の皆もハーデスを応援し始める。

 

「うるさい外野だなぁ。キミ達の頼みの綱を目の前で切り刻んでやるよ!」

 

跳躍してハーデスに向かって槍を突きだす。

 

「最初の奴と同じく無様に負けろ!」

 

鈍く光る槍にユラリと佇むハーデスが次にした行動は・・・・・。片手で槍の柄を掴んだ。

 

「・・・・・え?」

 

森羅君が短く漏らした。とても信じられない光景を目の当たりにしているからだろう。

その意味が僕には分からないけどね。

 

『・・・・・俺が負けると思われるなんてな』

 

槍を掴んだハーデスは片手で握り、砕き武器を破壊した。その片手の腕にある金色の

腕輪が光っているのはきっと腕輪の能力を発動しているからなんだろう。

 

『・・・・・その気持ちを払ってやろう。今度は俺のターンだ』

 

槍を手放した森羅君は丸腰の状態。

 

「どうなっている、どうして能力の影響を受けつけない?」

 

『・・・・・自分で考えろ』

 

ハーデスが攻撃を仕掛ける。だけど、彼の能力は反射で当たる直前に弾き返されるのがオチだ。

そのはずなのに、ハーデスの刃は・・・・・あっさりと森羅君の召喚の獣の首が宙に舞った。

 

『・・・・・Aクラスなんだからな』

 

「バ、バカな・・・・・っ」

 

             現代国語

 

Aクラス 森羅彰 DEAD VS WINNER 死神・ハーデス Fクラス

 

 

 

『『『おおおおおおおおおおおおおっ!』』』

 

勝った、ハーデスが勝った!

 

「・・・・・たくっ、ハラハラさせやがって」

 

「・・・・・予想通り」

 

「やったのじゃハーデス!信じておったぞい!」

 

さて、残るのは久保君のみ!

 

「高橋先生、降参します」

 

―――はい?

 

「死神君と同等の強さを誇っていた彼が負けた。これが仮に死神君と森羅君の一騎討ち

だったら死神君の勝利に終えただろう。それに当初の予定通り代表の考え通りになっている」

 

「翔子の考え通りだと・・・・・?」

 

久保君は本当に棄権した。2回戦は僕らFクラスの勝ちだ。

次の3回戦が勝敗の分かれ道になる。どっちが勝っても負けても最後は代表選、

雄二と霧島(姉)さんの勝負だ。引き分けか、それとも勝利か。

 

「雄二、誰にするか決まった?」

 

「・・・・・明久、お前の今の日本史の点数、どのぐらいだ?」

 

「へ?んと・・・・・結構いい方だよ」

 

「お前がそういうなら・・・・・ギャンブルだが懸けるか。行って来い、明久」

 

あっ、僕なんだ?まあ、そう言うことなら勝ってくるよ。

さて、向こうは・・・・・半年前の一騎討ちで僕を負かした佐藤さんか。

 

「リベンジ、そして今度は僕が勝つよ」

 

「皆の為にも負けない」

 

科目を日本史に選択し、高橋先生の試合開始の合図と共に僕らは召喚獣を召喚した。

さぁ、出でよ。生まれ変わった僕の召喚獣ぅっ!

 

 

ポンッ←(鎧+黒いマント、片手直剣の出で立ちで現れた僕の召喚獣)

 

 

「・・・・・」

 

・・・・・なんか、色々とレベルアップしている!ありがとう、蒼天の王様!

 

 

              日本史

 

Aクラス 佐藤美穂 281点 VS 321点 吉井明久 Fクラス

 

 

「えっ・・・・・?」

 

「二学期になってから僕は一生懸命勉強をしていたからね。

この成果を今ここで、果たす!」

 

装備も前より良くなったおかげで余裕が生まれた。真っ直ぐ突っ込んで擦れ違い様に

剣を胴に斬り付け、素早く振り返って背中を一閃。

 

              日本史

 

Aクラス 佐藤美穂 41点 VS 321点 吉井明久 Fクラス

 

 

「―――っ!?」

 

前の勝負で圧勝したという油断があったのか、何が起こったのか分からない、

という顔をしている佐藤さん。

 

「今度は、僕が圧勝する番だよ佐藤さん。二重(ダブル)ッ!」

 

白金の腕輪の機能を発動!副獣も現れ僕の召喚獣は二体に増え、左右から佐藤さんを肉薄する。

二体の召喚獣が同時に佐藤さんの横っ腹に深く突き差して、トドメとばかりローキックを放った。

 

              日本史

 

Aクラス 佐藤美穂 DEAD VS WINNER 吉井明久 Fクラス

 

 

「しぁああっ!」

 

『『『よくやったぞ吉井ぃっ!』』』

 

勝敗の結果に僕はガッツポーズをする!敗北で項垂れる佐藤さんを一瞥して皆のところに戻った。

 

「明久!凄いじゃないの!」

 

「一度負けた相手に勝つなんてやるじゃねぇかこの野郎!」

 

「うむ、見事であったぞ!」

 

「明久、お疲れ様」

 

「良く頑張ったね」

 

「明久にしちゃ、いい仕事をしたな」

 

「良く頑張ったな明久!」

 

風間ファミリーの皆に歓迎され、ちょっと照れ臭かった。

 

「雄二、ここまで来たからには勝ってくるのじゃぞ」

 

「言われなくても俺は最初から全力でやるっての」

 

鼻先を鳴らし、雄二は戦いの場に赴く。雄二の対戦相手は当然、霧島翔子さんだ。

 

「さて、翔子。お互い科目を選択尽くしたわけだがどうする?」

 

「・・・・・代表戦らしく、総合科目で勝負する」

 

「合理的だな。だがいいのか?お前の大好きな男の前で負けたら呆れてしまうぞ」

 

「・・・・・逆に雄二は翔花に惚れ直す」

 

「・・・・・俺、負けようかなぁ」

 

ちょっ、何言ってんのさ雄二!?やる気を出してよ!

 

「雄二・・・・・勝ったら私と結婚・・・・・負けても私と結婚する為に

この婚姻届にサインして・・・・・」

 

「誰か俺と変わってくれ!こいつら卑劣な策で俺を嵌めようとする!」

 

「・・・・・ダメ、代表戦を呑んだのは雄二だから撤回は許さない」

 

「うっ、くぅぅ・・・・・っ」

 

いきなり挫けそうになってどうするんだよ・・・・・。ダメだ、この女子に情けない赤ゴリラ。

代表同士は召喚獣を召喚し、一拍遅れて総合科目の点数が表示―――フッと二人の召喚獣の姿が消えた。

 

「・・・・・?」

 

「あ?どうなってる?」

 

召喚したばかりの召喚獣がいきなり消失したから当然あの二人は不思議そうにしている。

僕らFクラスだけじゃなくAクラスの皆もなんだ?と首を傾げている。

 

「高橋先生、これはどういうことだ?」

 

「私のさっぱり・・・・・」

 

召喚獣を召喚するフィールドを展開させる立会人である教師の高橋先生さえ身に覚えのない?

まさか、システムの故障か?

 

「失礼するよ」

 

ガチャとこの教室の扉を開けながら誰かが言う。

 

「「ババァ?」」

 

「開口一番に学園の長に対しての礼儀がなっちゃいないねぇこのクソガキ共は」

 

学園長がやれやれと呆れた表情で首を左右に振る。

 

「試召戦争のところ悪いけれど、アタシの方からシステムをストップさせてもらったよ」

 

「はっ?―――それは助かった!が、どういうことだ?」

 

雄二・・・・・器用に怪訝な表情と喜びの表情をしているよ。

だけど、そんな事をする理由はなんだろうか。

 

「システムがまた故障したんですか?」

 

「さっきシステムをストップさせたと言ったばかりさね記憶力がない猿以下だねぇ」

 

「早過ぎた埋葬で墓地から出てきた妖怪老女には言われたくありませんね」

 

「明久の言う通りだな。で、何でまたストップさせたんだ。

これじゃまた試召戦争をやり直さないといけないだろうが」

 

「―――それは俺から説明しよう」

 

ババァの背後に何時からいたのか、もう一人誰かが現れた。

腰まで伸びている真紅の髪の男性・・・・・って、あの人!

 

「「「イッセーさん!?」」」

 

「よう、久し振り」

 

蒼天の中央区の王様じゃないかっ!どうしてここに!?

 

「そこの二人、もう少し学園長を敬え。これでも年長者だぞ?」

 

僕と雄二に苦笑いを浮かべそんなこと言われちゃった。

 

「お言葉ですが、そこのババァはろくでもない学園長なんてそれは無理です」

 

「色々と召喚システムや召喚獣に関して酷い目に遭いましたからね」

 

「ははは、そう言う話しはこっちでも聞いている。

カヲルは小さい頃からお茶目でやんちゃで悪戯っ子だったからな」

 

そんな古臭い情報を知っているってこの人はどれだけその若さを保って

生きているんだろうか・・・・・。

 

「さて、理由を言おうか。蒼天の学校、唯我独尊の学園長が神月学園と第三学年、

第二学年と試召戦争をしてみたいと面白い提案を東西南北の王達に報告してな?

報告を受けた俺も試験召喚システムを導入した二つの学校をいつか勝負させたいと

思っていて了承した」

 

「えっと・・・・・イッセーさん?それって俺達は蒼天の学校と全面戦争をするってことですか?」

 

「言葉通りだ大和。―――蒼天と日本、唯我独尊学園と神月学園の試召戦争をこの場で宣言する」

 

・・・・・え?

 

『『『えええええええええええええええええええええええ!?』』』

 

「静かに」

 

感情が籠っていないあの王様の一言で場が静まり返った。

 

「後日、詳しいルールと戦場は学園長に通達する。FクラスとAクラスの諸君、

大事な勝負を水差して悪かった。今回の勝負は俺の顔を立てて中断してほしい」

 

「・・・・・大丈夫です」

 

「王様の顔を立てられちゃ、従うしかないな」

 

霧島(姉)さんと雄二が素直に従う。雄二の場合、この話に便乗して代表戦を

うやむやにしようと腹だろうけどさ。二人の言葉に満足した王様の足元に魔方陣が出現した。

 

「それじゃ、俺は帰らせてもらう」

 

魔方陣の光と共に王様がいなくなってしまった。目の前で起きたファンタジーな

光景・・・・・。天使は皆あんなふうにできるのかな?

 

 

―――☆☆☆―――

 

 

「蒼天の王様のおかげで、助かった・・・・・」

 

「勝っても負けても婚姻届にサインだもんね」

 

教室に戻った僕ら。うやむやになったAクラスとの一騎討ちは取り合えず和平の形で

終わらせ、またいつか勝負する時に備えて準備をしないといけない。

 

「蒼天の学校の連中と全面戦争か・・・・・こりゃ面白くなりそうだな」

 

「あの渡良瀬がいるしの・・・・・」

 

「・・・・・・秀吉以上の美少女・・・・・」

 

「ムッツリーニ、ハーデスに頼んでまた女子になって

貰うこともできるのじゃが・・・・・」

 

「・・・・・!(ブンブンッ!)」

 

ひ、秀吉が脅迫するなんていったいどうしたというんだ・・・・・・!

キミの心情は分からないよ!

 

『戦う場所って蒼天の学校かここ(神月学園)しか無いと思うんだがな』

 

『普通はそうよね?』

 

『だけど、イッセーさんだぜ?』

 

『うん、絶対』

 

『そうだね、絶対に決まってる』

 

『あの人の場合は―――』

 

『『『『『『皆を驚かす程の舞台を用意しそう』』』』』』

 

大和、翔一、ガクト、卓也、京、一子が異口同音で離れた場所からそんな話をしているのが

聞こえてきた。

 

「でも、残念だったね。もしかしたら引き分けになっていたかもしれないのに」

 

「おい明久。俺が翔子に負けている前提で何言っているんだ」

 

「じゃあ、勝って婚姻届にサインするんだ?負けても同じなんだけど」

 

「本当に残念だったな!俺が勝ってFクラスの勝利を高らかに

宣言してやりたいところだったなぁ!」

 

「雄二・・・・・」

 

「お主は苦労しておるの・・・・・」

 

「・・・・・苦労人・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ・・・・・!僕が、この僕が負けるなんて・・・・・!

あいつ、イレギュラーは一体どんな力を使って僕を倒したって言うんだよ・・・・・っ!

肉弾戦なら絶対に負けないのに・・・・・!」

 

「―――なら、戦って勝てばいいじゃない」

 

「誰だ・・・・・」

 

「あなたと同じ同類と言えば分かるかしら?」

 

「・・・・・そういうことか、僕以外にも―――がいるなんてね」

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