「神月学園主催豪華賞品争奪戦オリエンテーリング大会?」
教室に入るや否や、クラスの皆が黒板に集まっていて何かを見ていた。
僕もそれを見て疑問に呟く。
「ああ、そんなことをするようだな」
「急にどうしてそんな事をするんだろうね」
「さーな。ただ、今日の補習は丸潰れだってことだけは分かる」
「それは素晴らしいことじゃないか」
鬼の補習が潰れるなら喜んでしようじゃないか。
「豪華賞品って?」
「ここに商品が書いてあるわよ」
島田さんが張られた大会のポスターの下辺りに指して言った。
「が、学食一年分の食券に新作ゲーム引換券!?」
「随分と豪華じゃの」
「シークレットアイテムもあるって書いてありますね」
秀吉と姫路さんが豪華賞品が書かれた紙を見て声を出す。
「こ、これをどうやって手に入れるの?」
尋ねると、秀吉が何かの地図を広げた。
「これが学園の地図じゃ」
「ここから探し出すのか。僕、RPGで宝箱探すのは得意なんだぁ」
「そしてこれが試験問題じゃ!」
「えっ・・・・・!?」
ドサリとミカン箱に置かれた山のように積まれた試験用紙。
「試験の答えがチェックポイントの座標になっていて、
そこに隠してあるチケットが賞品の引換券だ」
「そ、それじゃテストが解けなければ貰えないじゃないか!」
「しかも早い者勝ちで、他のチームとぶつかった時は
召喚獣バトルで奪い取ってもいいそうじゃ」
「何から何まで不利じゃないかぁっ・・・・・」
この大会の賞品争奪の内容に戦慄する僕。いや、待てよ?
「そうだ、姫路さんとなら―――!」
Aクラス候補の姫路さんならテストを簡単に解ける。彼女と一緒ならば!
「お前ら席に付け」
このクラスの担当になった鉄人が現れた。その後ろにハーデス。
鉄人に逆らう愚か者はこのクラスにはいないから自分のミカン箱の前に座った。
「何気にオリエンテーリングのチーム分けを発表するぞ」
と、丸めた用紙を黒板に広げてチーム表を覗かせてくれた。
「僕のチームは・・・・・雄二とムッツリーニ?姫路さんは島田さんと京のチーム!?」
大和はガクトと一子、卓也はその他二人、ハーデスは翔一と秀吉かぁ・・・・・。
「制限時間は放課後のチャイムまで。これも授業の一環だ。真面目に取り組むように」
鉄人の発した言葉がオリエンテーリングの始まりとなった。
おのれ、鉄人!雄二とムッツリーニじゃ戦力にもならないじゃないか!
「明久、言いたいことが分かるから言うぞ。そのままのし付けて返してやる」
「・・・・・返す」
―――☆☆☆―――
初めまして、ワシは木下秀吉じゃ。
学園側の主催でワシは妙なチームに組むこととなったのじゃ。
「だぁー!俺が問題を解くより、ここだ!って思う場所に行って探せば早い!」
『・・・・・授業の一環だと言ってただろう。それは放課後のチャイムの三十分前にしよう』
バカをやっておるワシと雄二、ムッツリーニ以外親しい明久の友人の風間翔一。
そして、今月蒼天から編入してきた死神・ハーデス。
霧島翔子から思いを寄せられておる者じゃ。
てっきりワシは明久や雄二、ムッツリーニのどちらかと
組まされるものかと思ったのじゃが・・・・・。
『・・・・・よし、これぐらいでいいか』
「なに、もう解けたのかの!?」
『・・・・・まだ全部は解けていない。答えのチェックポイントの
座標を全て行き終えたらまた解く』
ハーデスは立ち上がり、上履きを脱いだ。
「何故脱ぐのじゃ?」
『・・・・・早い者勝ち。下履きを吐く時間も勿体無いから裸足で探す』
「おっ、まるでジャングルの中を探検する感じで面白そうだな。俺も脱ぐぜ!」
「・・・・・ワシも脱がねばならぬのかの」
靴下を脱いだら、ハーデスに脇で抱えられた。見れば風間も抱えられておった。
「ハーデス?どうしたのじゃ?」
ワシの問いにハーデスは真っ直ぐ窓の方へと歩み寄った。
そして、躊躇も無く三階から校庭に向かって飛び降りた。
「なっ、なんじゃとぉおおおおおおおおおおおおっ!」
「うっひょっー!」
目を大きく見開くワシに、子供のようにはしゃぐ風間。
ハーデスは裸足でグラウンドへ着地した。
着地した際の反動、衝撃が一切感じさせずにじゃ。
『・・・・・あの辺りだったな』
裸足でグラウンドを歩くハーデスに解放されてついていく。
それから足を停めては地面に向かって手を振るった。握った拳は真っ直ぐグランドに
叩きつけられた。
ドゴンッ!
地面が一気に盛り上がった。その際、宙に一つのカプセルが飛び出て
それをハーデスがキャッチした。
『・・・・・一つ目ゲット。次、学校の中に駆け足で行くぞ』
そう言ってハーデスはワシを横抱きに抱えた。これは・・・・・お姫様抱っこじゃと!?
驚くワシを余所に、ハーデスは走り出した。遅れて風間も笑みを浮かべてついてくる。
「ハーデス、速いな!」
『・・・・・お前もな』
「んで、どこに行くんだ?」
『・・・・・職員室』
そう言っている間にも学校の中に戻って職員室の前に辿り着いた。
ワシを下ろしたハーデスは扉を開けて中に入る。
『・・・・・手分けして探そう。机の引き出しの中、ゴミ箱の中も探せ』
「了解じゃ」
「分かったぜ!」
三手に別れてワシらは引換券を探す。このような場所にあるのか疑問じゃが―――。
「はっけーんっ!」
「もう見つけおったのか!?」
いくらなんでも早過ぎると思ったのじゃが、風間の手には引換券が
入っているカプセルが握られていた。
『・・・・・次は、Aクラス』
またしてもワシはハーデスに抱えられてAクラスへと向かった。
Aクラスと言えば姉上のクラスじゃったな。
「さーて、お宝はどこだぁー!」
風間が大はしゃぎでAクラスに入り探し始める。見れば他のチームもおった。
ここであの者達よりも早く見つけなければ召喚獣バトルをする羽目になる。
一つ一つ、Aクラスの中を入念に探して三分ぐらい過ぎた時じゃった。
とある生徒の個人冷蔵庫の中に冷えたカプセルを見つけた。
それを他のチームに見られないよう隠しながら丁度近くにいた風間に声を掛けた。
「風間よ、ハーデスのところに行かぬか?見つからないのじゃ」
「うーん、そうだな。んじゃ、行ってみっか」
「うむ」
ポケットの中にカプセルを入れてハーデスのところへ。
「ハーデスよ」
『・・・・・見つけたか?』
ワシは首を縦に振った。風間が疑問に浮かんだのか首を傾げたが、
ハーデスに抱きかかえられ走り出した為について行くことを余儀なくされた。
「ハーデスよ。次はどこに行くのじゃ?」
『・・・・・座標が正しければ、次は四階の男子トイレの中にある』
―――☆☆☆―――
俺は風間翔一!自由に動き、ワクワクドキドキな冒険と探検が大好きな男だぜ!
ハーデスと木下と一緒に宝探しをしているが、
これが面白いように見つかって仮に他のチームと争奪戦をすることになっても。
数学
Aクラス 花岡麗 291点 12点 風間翔一 Fクラス
Aクラス 奥井 207点 VS 1点 死神・ハーデス Fクラス
Aクラス 飯島卓也 254点 69点 木下秀吉 Fクラス
『・・・・・死ね』
「「「嘘っ!?」」」
点数なんて関係ないとばかりハーデスは、
Aクラスの相手にたったの一撃で倒したほどだからな。
奪ったり防いだりとして宝を集めていったんだ。
「随分と見つけたのぉー22個の宝の内の10個も手に入ったぞい」
「もう半分も見つけたんだな!この調子で他の宝も見つけようぜ!」
Fクラスの教室でまだ開けていないカプセルを俺達は意気込む。
手で持ちきれないから透明な袋の中に入れて持っている。
『・・・・・テストを解く。しばらく待ってくれ』
「ワシも微力ながら解こうかの」
「んじゃ、俺は宝を見張っているぜ」
ハーデスと木下がテストの答えを解いてくれる。
俺は勉強しなくても夢は冒険家だから必要はない。俺はロマンを求めるからな!
「お、キャップ」
「おー、愉快な俺の仲間達!」
「俺の仲間達、じゃないだろう。ここで休憩か?」
「いんや、ハーデスと木下がテストを解いている間は休憩だ」
「そっか、そっちは宝を見つけたか?」
その言葉を待っていたぜ。宝が入った袋を大和達に見せびらかす!
「勿論だぜ!ほら、既に俺達が十個も見つけ、奪った宝だ!」
「すごっ!賞品の殆どじゃないの!?」
「流石はキャップだな。豪運の持ち主は伊達じゃない」
「や、俺が見つけたと言うかハーデスがあっという間にテストを答えて、
チェックポイントの座標を叩きだしたから俺達は探すだけの作業だぜ?」
当人を見れば、物凄い速さでテストの問題の答えを書いていた。
「すげ・・・・・あんな早くテストの答えを書いているなんて」
「・・・・・1000点も叩きだした理由がこれか」
「いいなー、アタシ達はまだなのよ」
「一時期、ワン子を頼って探したんだけど結局は見つからなかったぜ」
勉強が得意じゃないワン子に頼るのは間違いだと思うぜ。
『・・・・・終わった』
「「「はやっ!?」」」
とは言っても、まだ三分の一しか解いていないハーデス。
さて、次はどこに宝があるんだろうな?
「ねぇねぇ、どんな引換券を手に入れたの?」
「ん?まだ開けていないから分からないぜ。ハーデス、開けて確かめていいか?」
『・・・・・別にいいぞ』
ハーデスの了承も得たところで早速開けよう!まずは一つ!
「学食一年分の食券!」
二つ目は・・・・・。
「学食デザート一年分の食券!」
三つ目は特別神月学園合宿三日OK券、その他は喫茶ラペディス2000円分の商品券に
シークレットアイテム、MP3プレイヤー、新作ゲーム、CDアルバム引換券、
洋服3着無料引換券―――。
「ラスト!」
俺は最後のカプセルを開いて引換券を見た。
―――西村先生、小島先生、高橋先生の『一週間個別授業』引換券。
「「「「「『・・・・・』」」」」」
・・・・・俺達、最後にとんでもない宝を手にしちまったようだった・・・・・。
「まあ、何だお前ら。・・・・・頑張れよ?」
「俺様達はお前らをただ応援することしかできない」
「キャップ、ちゃんと個別授業に出るのよ?
じゃなきゃ、西村先生が地の果てまでも追いかけてきそうだから」
こいつら、キャップである俺を助けようとしないな!?
「よしお前ら、この個別授業の引換券をプレゼントするぜ!受け取れ!」
「ちょっ!俺達にそんなもんを寄こすな!」
「ファミリーの為に自分が犠牲になれキャップ!」
「そうよ!アタシ達は関係ないわ!」
「なにおう!風間ファミリーであるお前達も関係あるんだ!
一蓮托生、一心同体!お前らもあの三人の先生の個別授業を受けようじゃないか!」
悲鳴を上げる三人に俺は飛び掛かった!逃がしはしないぜお前達!
―――☆☆☆―――
「あっ!宝を抱えている奴らを見つけたぞ!」
「あいつらから奪えー!」
「その宝、貰い受ける!」
「うおっ!見つかってしまったぜ!?」
「これで何人目じゃ!」
『・・・・・面倒』
ハーデス達は現在、他のチームに狙われていた。その理由は肩に担いだ引換券が
入っているカプセルを入れた袋を奪おうと追いかけられているからだ。
早い者勝ちで召喚獣バトルで勝って奪ってもいいルール。
先に宝を獲得したハーデス達の物だが、召喚獣バトルで奪っていいルールの為に、
大量に宝を一人占めしたチームがいると聞けば横から奪おうとするチームもいても
おかしくはない。
「えーと、放課後のチャイムまで後何分だ?」
「残り二十分じゃ!」
「うげ、まだそんなにあんのか。どこか身を潜めようぜ」
『・・・・・なら、他のチームが入れない場所に行こう』
「そこはどこなのじゃ?」
『・・・・・ここだ』
ハーデスが足を停めた場所の前は生活指導室。
「・・・・・よりによってここなのかの?」
「鬼の補習室・・・・・確かに最適な場所だな」
「見つけたぞ!」
「っと、躊躇している暇はないようだ!」
「しょうがない、突入するのじゃ!」
全校生徒が自ら入りたがらない一室へハーデス達は侵入した。
「・・・・・お前ら、何をしに来たんだ?」
その中にはFクラス担任の西村宗一が腕を組んで佇んでいた。
「俺ら、追いかけられているんでしばらくここに居させてもらうぜ」
「お邪魔するのじゃ」
『・・・・・(コクリ)』
「まったく・・・・・」
額に手を当てて呆れる西村宗一。ハーデスらは各々と席に座って一息吐く。
「そう言えば先生。どーしてまたこんな大会を始めたんすか?」
「さぁな。学園長の考えることはさっぱり分からん」
「なるほど、学園長か」
風間翔一はそれ以上聞かずのんびりと木下秀吉とハーデスと雑談をする。
「だが、ここはお前達の避難場所ではない。出て行け」
「ひでぇっ!?俺達、狙われているんだぜ!」
「もう少しだけ居させてほしいのじゃ」
「ならば、ここで補習をするか?俺はそれでも構わんぞ。
それなら放課後のチャイムまで時間が潰れる」
「「いえ、出て行きます」」
鬼の補習は勘弁とばかり、どうして嫌なのか理解できないで首を傾げる
ハーデスの腕を掴んで引き摺る風間翔一と木下秀吉。
そして扉を開けた先に大勢の生徒が待ち構えていた。
『いらっしゃーい』
ビシャンッ!(扉を閉める音)
「・・・・・なあ、どうするよ?」
「むぅ・・・・・流石にあの数で勝負するのは無謀なのじゃ」
『・・・・・』
顔を突き合わせて悩む三人。と、ハーデスがとある方へ顔を向けた。
ハーデスの赤い目にある物が映り込んでしばらくし、そのある物の方へ歩み寄り手にした。
「ハーデス、それをどうするのじゃ?」
『・・・・・煙幕』
「おっ、そういうことか!よし、俺に任せろ!」
風間翔一がハーデスから受け取って安全弁を外した。
ハーデスは脇で木下秀吉を抱えて扉に触れる。
「―――開けごまっ!」
ガラッ!(扉を開く音)
ブシャァァッ!(吹きだす音)
「う、うわっ!なんだ!?」
「ぺっぺっ!こりゃ消火器の粉じゃねぇか!」
「前が見えない!」
廊下はあっという間に白い粉末で廊下に立ち構えていたチームらの視界を遮った。
「こらぁ!貴様ら何をしておるかー!」
「鉄人まで敵に回しちまったがこれで逃げれるぜ!」
「ハーデス、行くのじゃ!」
『・・・・・(コクリ)』
三人は白く立ち籠る消火器の消火剤の粉末へ突入して反対側の廊下へ駆けだす。
「だっはっはっはっ!おっもしれぇっー!」
「ワシはこの後のことが心配じゃ・・・・・」
『・・・・・』
廊下を駆け、階段を上がって屋上に辿り着いたが―――。
「「「ん?」」」
そこには先客がいた。
「あっ、翔一と秀吉、それにハーデス」
「なんだ、お前らもここに来たのか」
「・・・・・奇遇」
「来たと言うか、追いかけられていたんだ」
「うむ、宝を狙われての」
『・・・・・面倒』
坂本雄二、吉井明久、土屋康太以下三名のチーム。
「宝を狙われたって?そりゃ当然だろう」
「いや、雄二が思っているような程度の規模ではないのじゃ」
「ほれ、俺達はこんなにゲットしたんだぜ」
宝が入っている袋を見て、坂本達は目を丸くする。
「おいおい、よくそんだけ集められたな」
「それじゃ、狙われてもしょうがないや」
「・・・・・(コクコク)」
「だろう?んで、そっちはどうだ?」
「ああ、一つは見つけたがそれだけだ」
「問題が難しすぎてどこに宝があるのか分からないんだよ」
「・・・・・バカには無理難題」
最低のランク、学力のFクラスが頭を絞っても解けない問題がある為、お手上げ状態。
『・・・・・』
ハーデスは顔をキョロキョロと辺りを見渡す。まるで何かを探している様子だった。
「どうしたんだ?ハーデス」
『・・・・・屋上に宝がある座標を解いてあったからそれを探している』
それを聞いて風間翔一と木下秀吉は顔を見合わせる。
「そうか!それじゃ、また見つけてやるぜ!」
「ようやく宝探しができるのぉ」
風間翔一と木下秀吉が動く。そんな二人を見て三人は動かない訳がない。
「便乗するぞ!」
「勿論だよ!」
「・・・・・(コクリ)」
六人が屋上にある宝を探す。
カタッ。
「ん?」
吉井明久の足は何かを踏んだ。それは石のタイル。
だが、屋上にビッシリと多くのタイルが敷かれているのは当然である為、
どこを歩こうが気にしなかった。
―――梃子と同じ下に何かが置かれてタイルがグラつかなければ。
「なんだろう」
ぐらつく石のタイルを手にして持ち上げた時、吉井明久の視界に一つのカプセルがあった。
「あっ、あったぁー!」
宝を見つけた喜びに叫んだ。
「むっ、明久が見つけたようじゃぞ」
「あー、残念だぜ」
『・・・・・』
ハーデス達は少し肩を落とした。
しかし、風間翔一が何かを思いついたのか木下秀吉とハーデスに耳打ちをした。
『・・・・・分かった』
袋の中に手を突っ込んで一つの宝を掴んだら、それを吉井明久達に向かって転がす。
「ん?どういうつもりだ?」
「いやー、俺達ばっかり宝を取ったら可哀想だと思ってよ。それ、お前らにあげるぜ」
「え?いいの?」
「ああ、勿論だぜ。明久、俺達は友達だろう?」
「翔一・・・・・」
風間翔一の言葉に感動し、好感度がアップした。
「そんじゃ、俺達はそろそろ次に動くぜ。宝は後一つか二つぐらい残っているだろうしな」
爽やかに手を挙げて屋上から去る風間翔一達。
「へぇ、あいつ。いいところあるじゃんか」
「・・・・・中身はなんだ?」
「そうだね。学食一年分の引換券だったらいいな」
パカッ(カプセル開ける音)→西村先生、小島先生、高橋先生の『一週間個別授業』引換券。
「「「・・・・・」」」
引換券を見た瞬間に思考が停止した三人。
そして少しずつハーデスと風間翔一が宝をあっさりと譲った理由が理解し―――。
「「「・・・・・あ、あの野郎ぉおおおおおっ!ハメやがったなぁぁああああ!?」」」
空に向かって咆哮したのであった。
「作戦成功っ!」
「すまぬ。明久、雄二、ムッツリーニよ。ワシらの為に地獄に行って欲しいのじゃ」
『・・・・・憂いが無くなって安心した』
―――☆☆☆―――
放課後のチャイムが鳴り、オリエンテーリングは無事に終了と幕を下ろしたのじゃ。
「おおっ!豪華賞品がこんなにもあるぜ!」
「これをワシらで山分けとはハーデスと風間のおかげじゃな」
『・・・・・色々と遭ったがな』
学食一年分の食券、学食デザート一年分の食券、特別神月学園合宿三日OK券、
喫茶ラペディス2000円分の商品券、シークレットアイテム、MP3プレイヤー、
新作ゲーム、CDアルバム引換券、洋服3着無料引換券。計九つの景品を手に入れたのじゃ。
全て箱の中にあった。
「丁度三つで分けれる数字じゃ。ハーデス、お主が一番多く問題を解いて宝が
あるチェックポイントの座標を導いたのじゃから先に選ぶといいのじゃ」
「だな。遠慮なく選んでくれ」
『・・・・・分かった。じゃあ、俺はこれだ』
ハーデスは学食一年分の食券、学食デザート一年分の食券、
特別神月学園合宿三日OK券を選んだ。
「木下、お前から選んでいいぜ」
「いいのかの?」
「おうよ!」
風間の好意を無化にできないのじゃ。なので、ワシはこれらを選んだ。
喫茶ラペディス2000円分の商品券、MP3プレイヤー、洋服3着無料引換券。
「となると残っている物は俺のもんだな」
シークレットアイテム、新作ゲーム、CDアルバム引換券を選んだ風間翔一。
「ん?黒い腕輪が三つあるな。よし、ハーデスと木下。お前らにこの二つをやるよ。
三つもいらねぇし」
「よいのかの?」
「いいって、ほら」
風間から黒い腕輪を受け取るワシとハーデス。
じゃが、これがシークレットアイテムのようでどんなアイテムなのか不明。
「風間よ。この腕輪の使い方はなんじゃ?」
「ちょい待ち。えーと、シークレットアイテムの名前は『黒金の腕輪』。
起動ワードは『
「と、言われても」
『・・・・・何がどうなるんだ?』
箱の中にあったマニュアルを読み上げる風間にワシとハーデスは怪訝に言う。
「物は試しに、起動してみようぜ」
それもそうじゃの。ワシらは立ち上がり、腕輪を嵌めた腕を天井に向かって突き上げた。
「「『
起動ワードを言った直後。ワシらの周囲に見慣れた空間が広がる。
「お?」
『・・・・・これは』
「もしかして・・・・・」
再び今度は違う起動ワードをワシらは発した。
「「『
足元に幾何学的な魔方陣が出現した。
そこからワシらの姿をフォルムした小さな召喚獣が現れる。
「うっは!すげぇーなこれ!」
「教師の承認無しで召喚獣を喚べるわけじゃの!」
『・・・・・フィールドは少し狭いがこれは便利だ』
これなら召喚獣をいつでもどこでも喚べるわけじゃな!これは凄い!
と思った矢先に腕輪が放電をし始め・・・・・爆発した。
「「・・・・・」」
『・・・・・』
煙が止む頃に、ワシは服がボロボロの状態になっておった。風間達を見やれば、
二人は唖然とワシを見ておる。―――ワシだけ腕輪が爆発したのか!?
『・・・・・これ、欠陥の景品だったようだな』
「うわ・・・・・最悪じゃん。でも、どうして俺達の腕輪は爆発しないんだ?」
『・・・・・予想だと・・・・・バカにしか使えないんじゃないか?』
バカ・・・・・じゃと?それはつまり、言い換えれば点数が低い者にしか使えないと
言うわけかの?
「ハーデス。お主の総合点数は1000点を超えておらんのか?」
『・・・・・全教科を1点に戻した。だから爆発しないんだと思う。風間も点数は?』
「俺は勉強なんてしないから期末テスト以外、俺の点数は殆ど一桁だぜ?」
うう・・・・・最後の最後で災難な目に遭ったのじゃ・・・・・。
『・・・・・まあ、二つでも一つでも残っていれば、召喚獣の操作を上達できる。
学園合宿三日OKの引換券もあるし』
「それもそうだな」
「学校で合宿なぞ、初めてじゃの」
取り敢えず、制服に着替えよう。何時までもボロボロのままの姿はいたくないのじゃ。
「ほう、吉井に坂本と土屋が俺達の個別授業を受けたいとは感心だ。
その気持ちを汲んでしっかりとそのバカな頭に叩き込んでやるから覚悟しろ!」
「「か、勘弁してくれぇっー!」」
「・・・・・勘弁!」
む?聞き慣れた声が悲鳴をあげておるの・・・・・。まあ、ワシの関係ないことじゃろう。