戦零問
「雄二、今日が代表の集まりなんでしょう?どこでするの?」
「翔子達のクラスだ。集合時間も既に伝えた。直江とハーデス、お前らも一緒に来てくれ」
「俺達までか?代表同士の作戦会議何だから必要ないだろう」
「第三者の意見も重要なんだよ。それに他のクラスからもそんな奴らを連れてくる」
『・・・・・別に構わない』
高城先輩が作戦会議をしようと提案をした体育祭後。坂本に指名された俺達は
Aクラスに行くことになった。目的の教室に入ればとある一角の空間に大勢の同学年と
上級生の代表とその付き添いが集まっていた。何気に数を数えると俺達が最後のようだ。
「遅いわよ2-Fの代表」
「時間にルーズだな。時間にうるさいと男にモテないぞ」
「余計なお世話よっ」
E組の中林と坂本の話はそこで終わり、空いている席に座ってハーデスと坂本の後ろに立つ。
と、高城先輩が優雅に立ち上がり一礼をした。
「では、全員が揃ったところで作戦会議を始めましょう」
その言葉にこの場に同席している皆は静かに首を縦に振った。
「戦う場所とルールは未だに定かではありませんが、それなりに我々が決め合った方が
いいでしょう。部隊の編成、参謀、部隊長、各クラスの大将といった戦いに必要な―――」
『―――戦う場所程度なら知ってるぞ』
西村先生の声で語るハーデス。マントからファイルを取り出して坂本の前に置いた。
「死神君、知っているとは?」
『・・・・・文字通り、戦う場所程度は決まっているということだ。
詳細はその書類に記されている』
「何も言わなかったのはこの時の為か。気が利くな俺達の死神は」
ファイルから一枚の紙だけを取り、右に回していく。その間に坂本は紙に書かれた
情報を目に留める。
「海・・・・・しかも船って海上戦かよ」
「ここまで大規模な戦場を設ける蒼天は凄まじいですね」
「まるで三国志の赤壁の戦いみたいだな」
「うん、確かにそんな感じね」
船の上で戦う試召戦争・・・・・なるほど、一味違う戦いだ。これは作戦を考える
甲斐があるぞ。
「死神君、提出してくれてどうもありがとうございます。これで更に決められることが
できました」
高城が恭しくハーデスに礼を述べて言い続ける。
「では、最初に死神君が提出してくれた戦場の配置を決めましょう」
「そうだな。戦場をみると広さはそれなりにあるようだ。実際の船の大きさは把握できないが、
俺達が全員乗り込んでも問題ない大きさのはずだ」
「だとしますと、この船の数と配置の場所を考慮すると・・・・・すいません、
私達が見えるように―――」
『・・・・・勝手に借りている』
パッと巨大なホワイトボードに戦場の詳細が記された紙の映写がされた。
あいつ、何時の間に用意していたんだ。気が利きすぎだろう。
「助かります」
先輩が映写されたホワイトボードに近づき、青と赤のペンを使い分け書いて行く。
「まず、両方の船団の配置を確認しつつ我々がどの船いてそこから突撃するか、
または裏を掻いて相手を混乱に陥れることから決めましょう」
「一つだけ仲間外れされているような船があるな。そこに各代表が集まって作戦を把握し、
指示を出すってのはどうだ?」
「でも、代表が一ヵ所に固まると相手の都合がいいんじゃない?」
「それ以前に戦う場所だけが分かってもルールが分からないんじゃ、
何とも作戦を立てるのは難しいんじゃないか?」
口々と討論する代表達。付き沿いの俺達はただただそれを聞いているだけであって脳裏
でも自分なりの考えを立てる。
「では、一人一人の意見を皆さんが聞きましょう。時間は十分間、自分なりに考えた
我々の配置と役目を決めた代表から挙手をしてください」
「だな。意見を言った奴の言葉の良いところを参考にしてピースを一つずつ嵌めて行く
感じで決めれば作戦も決まる」
「他の皆さんもそれでいいですね?」
高城先輩の言葉に誰も異論はないようだ。坂本は直ぐに俺達に振り向く。
「二人はどう思う」
「ルールが分からない以上、作戦は立てにくい。ハーデス、ルールは決まっていないのか?」
『・・・・・まだ決まっていない』
「ルールは当日に報告されるかもしれないな。予想外なルールの内容だったら混乱するぞ」
さて、俺達の考えか・・・・・。
「俺達は突撃隊として攻め続けるしか無いんじゃないか?」
『・・・・・人間爆弾ともいえる』
「特攻部隊とオブラートに書け。だが、俺達の役目の一つは確かにそうだろう。味方の
行く道を俺達で切り開くとかな」
「伝令も必要となるな。足の速い奴を選り抜きにして作戦司令部に報告してもらうとしよう」
「参謀はお前が当然するんだろう?しっかりしてくれよ」
「分かってる。さて、次は―――」
「俺の意見を聞いてくれるかな?」
誰かが名乗り上げた。どこかのクラスの代表が決まったようだ。その人物はと言えば、
2-Bの根本恭二。
「では、お聞きしましょう。小暮嬢、重要そうな部分だけホワイトボードに」
「分かりましたわ。では、報告を」
「俺の考えはこうだ。まず、味方と敵の船団の中央部分に―――二年と三年のFクラスを
配置してもらい、そこから戦闘を開始してもらう。戦う場所を減らさないよう確保しつつ
攻めてもらう」
・・・・・おいおい、根本の奴。シビアなことを言ってくれる。そうなると俺達ばかり
点数が消費するのは必須だろう。
「他の船からも敵が押し寄せてきますが?」
「左右の船には二年と三年のE、Dクラスを配置して防げばいいんですよ。Fクラスは
特攻力がかなり長けている。それを利用し敵船団を奪い二年と三年のSクラスが奪った
船団を守りに徹し、さらにFクラスが―――」
「おい待てや根本。俺達ばかり働かせてお前らBクラスは何もしないってのか?」
「俺の話を聞けよ坂本?まだ続きがあるんだからなぁ?」
「坂本君、言いたいことがあれば彼の考えを聞いてからにしてください」
「・・・・・ちっ」
舌打ちをして気に食わないとそんな気持ちが伝わってくるぞ坂本。根本の考えは二年と
三年を一緒に敵と戦わせて船を奪う作戦。それは当然な作戦の一つだろう。
味方を囮にさせて勝つ戦だってある。非情になる必要な時もないわけじゃない。
「Fクラスが奪った船団から他のクラスが全体に広がりつつ敵を追い詰めて敵大将を討ち取る」
「奪った中央の船団から拠点とし攻め続ける。それがあなたの考えですね?」
「Fクラスはそれができる力を持っている。なんせ、Sクラスを負かした二学年最強の
クラス何ですからね。それを効率よく動かせば勝てない戦じゃないでしょう」
S・A・B・Cは本命を叩き、D・E・Fの俺達は一人残らず特攻部隊か。悪くはない。
が、辛い戦況になるのは必須だ。
「では、彼の意見について何か質問のある人は挙手を」
高城先輩の催促にいち早く手を挙げたのは坂本だった。
「もしもお前の考え通りにならなかった場合はどうする気なんだ?」
「おいおい、お前達の背後にはSクラスがいるんだぞ。Sクラスは中央と左右に戦力を
分けてもらい、お前らの尻拭いをしてもらう。よほどの相手じゃない限りは早々に
破れるほどお前らは弱くないと俺は信じているんだぜ?」
「それも破れたらどうする気だ?俺達とSクラスを破るほどの点数と実力者が
向こうにいた場合、A・B・Cクラスのお前らに勝てるわけがないだろう。最悪の場合も
想定しないと対処ができないことをお前は知らないようだな」
「そこまで言うなら坂本、お前の考えを聞こうじゃないか。俺の考え以上の納得させる
意見を言ってくれよ」
こいつ、何がなんでも俺達に戦わせる気だな。しかも自分達が安全な場所に居て高みの見物か。
「・・・・・戦いは数と人の力が勝利の鍵だと認識している」
「それで?」
「俺は遊撃部隊を編成して迅速に動いて貰うつもりだ」
「その遊撃部隊の人員は決まっているのかよ?」
「決まっているからこそ言ってんだろう。人の話を最後まで聞けよ」
・・・・・なんとなくその人員ってやつが誰なのか予想が付く。
「遊撃部総隊長は俺の後ろにいるハーデスだ。そして第二、第三学年で代表を除く総合科目の
点数が高い奴を編成する。ま、SクラスとAクラスのメンバーになりそうだがな。そして
遊撃部隊は誰の指図を一切受けず自己判断で行動し戦況を見つつ味方のフォローして
戦死するまで動いてもらう」
「まるで駒だな。その遊撃部隊は捨て駒に等しいじゃないか」
「そいつらに勝利の鍵を握らしたい気持ちは分かんないのかねぇ?―――ハーデス、頼んでいいか?」
直接ハーデスに向かず前を向いたまま尋ねる坂本の背後、俺の隣にいるハーデスはコクリと頷いた。
『・・・・・自由に動いて良いなら戦いやすい他ない。―――全て倒し尽く勢いで任せてもらおう』
「頼もしいな俺達の死神は。どこかのクラスにはこんな頼もしい仲間はいないから
懸けることができるわけだがな」
「・・・・・っ」
険しい顔を浮かべ、恨めしいばかりに視線を送ってくるなあいつ。
「・・・・・その遊撃部隊、私達のクラスから森羅彰を推薦する」
「代表、でもアイツは・・・・・」
「・・・・・点数と腕輪の能力はハーデスしか突破できていない。
逆に言えばその強さはハーデスと同じ実力者でもあるから彼も自由に動いてもらう」
全てのベクトルを任意に操るあの能力・・・・・確かに、アレはチートで強い。
「Aクラスの遊撃部隊は森羅彰だな。Sクラスは誰か遊撃部隊を出す気はないか?」
「どうやら我々はお前らの尻拭いをする必要があるからな。我々は貴様のクラスが
失敗せぬように助力を徹する」
「ふーん?ま、今回だけは一緒に頑張ろうぜSクラス代表」
「ヘマをするなよ」
・・・・・意外だな、アイツがそんな役目を引き受けるなんて。Sクラスのプライドは
そんな低くないはずなんだが・・・・・。まぁ、あいつがそうならそうさせよう。
「俺の意見は取り敢えず以上だ」
「おい、俺を納得させる考えじゃないだろう。ただの遊撃部隊を言っただけで全体の―――」
「誰もお前を納得させる考えを思い付いたと言ってもいないし、納得してもらうわけでもない。
あくまで俺が考えた作戦の一部を参考に使って欲しいから言ったまでだ。
今回の作戦会議はその為の集いだろうが。高城先輩、進行してください」
「分かりました。坂本君の意見も参考にして今後決め合いましょう。
さて、他の皆さんは考えましたか?恥ずかしがらず意見を言ってください」
進行役が板に付いているな高城先輩は。それから一時間ぐらい意見を出し合い、
ルールも分からないまま作戦は決まりつつも会議はまた後日と言うことで終了した。
各クラスの代表と付き沿いの面々は各々と教室から後にした。
「イレギュラー、僕と勝負―――(ドゴッ!)グベラッ!?」
『・・・・・邪魔』
俺達も帰ろうとした途端にハーデスに勝負を申し出る森羅彰。
あいつ、呆気なく殴り飛ばされたな。
「ハーデスのこと、イレギュラー何て呼ぶが何かの渾名?」
「渾名にしちゃ物騒だな」
「・・・・・ハーデスと何か関係がある?」
「気になるけど、別に仲が悪いってわけじゃなさそうだしねぇ」
工藤、あんな光景を見て仲が悪い以前の問題だと思うが。
「うぐっ・・・・・」
「相手にもされなく倒されたわね」
「キミか・・・・・」
「誰だっけ、生身で戦えばもっと強いんだって言った身の程知らずで愚か者は」
「・・・・・何が言いたい」
「真正面からじゃなくてもっと頭を使って戦えばいいのに」
「人質を盾にして無力化しろと言いたいのか」
「有効的な戦略じゃないかしらねぇ?」
「生憎、僕はそう言う回りくどいことはしない。それじゃ最強を目指す意味がない」
「最強・・・・・ね。イレギュラーはともかくこの世界の最強を倒していないのによく吠えるわね」
「なら、キミは倒せると言うのか。イレギュラーやこの世界の最強を」
「ええ、倒せるわ。なんなら間近で見てみる?」
「死神、今日のご飯なはにするの?」
『・・・・・サンマの炊き込みご飯、ほうれんそうのおひたし、その他色々』
「炊き込みご飯か。それは楽しみだ」
「サンマの炊き込みご飯ってのは食ったことないなぁー。それ、美味しいのか?」
「死神の作る料理は全部美味しいんだぞ史進」
「ま?凄さ的には武松だけどね!」
「公孫勝ちゃん、どんな意味での凄さなのかな?」
「私は別に凄くはないが・・・・・」
「とにかく、夕飯は楽しみだと言うことは確かだ」
ハーデスと治安の悪い場所を歩きながらそんな話をしている。こんな風に歩くのって
何だかほんと久し振りだな。あの世界にいる皆、どうしているかな。
元気で過ごしているかな・・・・・・?
『・・・・・』
携帯を取り出して歩きながら操作するハーデス。誰かとやりとりをしているようで
横から覗きこんでみた。
「誰とメールしているの?」
『蒼天の家族達とだ。報告を受けてな、その詳細を読んでいる』
「ふーん?」
『まぁ、用件は準備が整ったことだ。蒼天の学校と神月学園の全面戦争をする為のな』
携帯を仕舞いながらハーデスは教えてくれた。準備が整ったということは
もう学校同士の戦いはできるんだね。
ボクも早く召喚獣を使って戦ってみたいなぁー。楽しそうだし!
『林冲、守備は任せるぞ』
「分かった。絶対に守って見せる」
「わいは思いっきり暴れるぜ!」
「召喚獣だからコピーのし甲斐がないなぁ」
「武松の凄いところが見れるから楽しみ」
「熱い戦いができることを願うだけだ」
皆もやる気十分だねっ。ただ一人、史文恭さんは歩きながら読書をしていて無反応だった。
『・・・・・』
ふと、ハーデスの足が停まった。「どうした?」と皆が視線を送っても返事どころか無反応。
なにか、気になるようなこと、思い出したことがあったのかな?とボクがそう思っていると、
ハーデスが徐に顔を真上に上げた。何かいる?釣られてボクも視線を上に変えても
何もない建物と空しか見えない。
「死神、何か・・・・・?」
『・・・・・いや、なんでもない』
歩を運びだす。上になにがいたんだろう・・・・・?でも、ボク達はわからない。
ハーデスしか気付かない何かがあったのかもしれない。
「・・・・・まさか、気付かれるとは」
「流石はイレギュラーだ。気配を隠しても見つけるなんてな。で、どうする?」
「夜になるまで待つ。そしたら奇襲だ」
―――☆☆☆―――
―――深夜―――
満月が大きく夜空に浮かぶその日の夜に誰も気づかれることも無く家を出たハーデスは
多馬川大橋の鉄骨の上で佇んでいた。何かを待っているかのように満月を背に立って。
そして・・・・・その時が来た。
『・・・・・お前らも、俺を狙う神からの刺客か』
感情が籠ってない声音を発するハーデスに呼応し二人の男が現れた。
「別に恨みはないけどそう言うことだ」
『・・・・・俺が一体何をしたと言うんだ。被害者は俺の方だと言うのに』
「アンタの行動が良しとしないんじゃないのか?」
『・・・・・だったら俺をこの世界に送り込んだ神達にカ怒鳴り込んでやりたいな』
「気の毒だが、それは敵わないかもしれない」
『・・・・・負ける可能性は大いにあるはずなのに、俺に襲いかかる理由は?お前らを
突き動かすものはなんだ?神から頼まれたからか?』
ハーデスの問いに刺客の二人は顔を見合わせてからこう言った。
「神の頼みはついでみたいなものだ」
「神から得たこの力はどれほどのものかお前で試したいだけだ」
「「特にない」」
刹那、上空から落雷し二人に襲いかかった。紙一重で避ける二人の反射神経と
運動能力は凄まじいと判断するが・・・・・。
『・・・・・俺は、理由もなく殺され掛けていると言うのか・・・・・?』
「えーと・・・・・怒ったか?」
「・・・・・」
警戒する男達。ハーデスから何とも言えない雰囲気を感じて下手に動けないでいる。
『・・・・・くっ、くくくく・・・・・ハハハハハハハッ!』
すると、おかしくなったように哄笑するハーデス。
『そうか・・・・・神にとって俺自身の存在はよほど邪魔な存在らしいな。
しかも、この世界に放り込んだ理由はともかく俺がすることに面白くないか困らせて
いるようだな。だから俺に刺客を送りこんでくるんだな。だとすると、神は今この瞬間
でも俺をどこかで見張っている。だから俺は元の世界に戻れないんだな。
すべて神が邪魔をしているから―――』
真紅のオーラがハーデスの体からにじみ出てきた。それが何の意味を示すのか刺客の
二人は気付いた。
『―――ふざけんじゃねぇぞ!神ごときがぁあああああああああああああああっ!』
怒声、絶叫、咆哮―――。ハーデスの声で橋に罅が生じて―――崩壊した。
『俺がいったいお前らに何をした神よ!?俺と言う存在が邪魔ならば直接お前らが
手を下せ!刺客をこの世界に送り込ませ、望まぬ戦いを殺し合いをさせるはお前らは
神と名乗る資格はない!』
崩壊した橋は多馬川に落ち、川の流れをせき止めて行く。
『俺は絶対にあの世界に帰るまでは死なない死ぬわけにはいかない。例え、どんな最強の能力を得て送り込んでくる刺客を送ってもだ!』
赤い目の光が殺意と敵意が籠り始め、怪しく煌めく。
『いつか絶対、貴様ら神の領域に殴りこんで二度と刺客を送りこませないように
殺してやるっ。覚悟しておけよクソ神共が!』
「「・・・・・」」
ハーデスの怒り、ドラゴンの逆鱗に触れた神々。刺客の二人に赤い目を向け、
臨戦態勢の構えになる。
『―――俺で神から得た力を試したいなら存分に試せ。その代わり、お前らの命を貰うぞ』
全身から発する真紅の光を迸りながら人間の姿形を崩し―――全長百メートルは
ある巨大な真紅のドラゴンへと変貌したハーデス。
「―――真紅の、ドラゴン・・・・・ッ!?」
「あやつ・・・・・怒りで我を忘れておるのか・・・・・」
「ジジイ、どうする?今のあいつは間違いなく化け物だぜ?」
「私でも触れることができるかどうかの以前の問題だ。死神は今、完全に・・・・・」
「ヒューム、お気付きで?」
「ああ・・・・・ここまで感じるほどのプレッシャーだぞ」
「では、参りましょうか。既にあの御方も気付いているでしょう」
「っ!?何て、気なんでしょうか・・・・・」
『まゆっち!こいつはやべぇって、ものすげぇぜ!』
「・・・・・原因を確かめに行きましょう」
「起きているのはこれで全員か」
「あの人がいない。まさか、このプレッシャーは・・・・・」
「まさか、誰かと戦っているの・・・・・?」
「ここまであの方から感じるプレッシャーは初めてだ。気をしっかりしないと
心が挫けそうになる」
「わかっているって。そんじゃ」
「ああ、行こう。彼のもとへ」
「―――嫌な予感がするんだよん。気になるから行ってみようかな」
刺客の一人の双眸が蒼く染まり小太刀を構え、もう一人の刺客の男が右腕を前に突き」出すと腕に団扇状の機械的な物が装着した。そこに何かをセットする枠と差し込む口が
あった。その差し込む口にカードの束を差し込んで準備を整えたのか
男の足元を中心に光が広がる。
「ドロー!」
カードを五枚引いた後に一枚引いて機械的な団扇状にセットした。
「俺が神に頼んだ特典はカードバトルを現実的に適用、適合できてモンスター、魔法、
罠が発動し、俺の代わりに戦ってくれる能力を得た。特にモンスターは一味が違う。
最初はこいつだ!次元を跳び越え俺の手足となれ、
召喚・・・・・
カードを団扇状の機械にセットしながら告げる男の前に一瞬の閃光が発生し、
鮮やかな赤い長髪の少女が姿を現した。
『・・・・・!?』
ハーデスの赤い双眸が動揺の色を浮かんだ。それを知ってか知らずか男は口を開いた。
「どうした、このモンスターを倒さないと俺を倒すことはできない。加えて召喚するカードは俺が好きなアニメのキャラクター、魔法、超能力を駆使する。俺の想いに応えてな」
刺客は次々とカードをセットして青を基調とした制服に白銀の槍を持った女子高校生、
身体のラインを浮き彫りさせる黒いスーツに両手が握っている日本刀を合わせて腰に
差した帯刀と合わせて六本を装備している黒い長髪をポニーテールに結い上げた女性が現れた。
「こんな風にな」
『・・・・・全員、女ばかりじゃないよな?』
「知りたければこいつらを倒してみな」
『・・・・・上等だ』
翼を羽ばたかせ宙に浮いたハーデスを飛び掛かる刺客の一人。
『お前のその目、直死の魔眼という超能力だそうだな』
自分の、神から得た特典の能力をあっさり看破された上に見えない攻撃で
川に叩きつけられた刺客。
『切られなければ良いだけの話だ』
全身に真紅のオーラを纏い一気に降下する。刺客達は素早く回避して振ってくる拳から逃れて挑み始める。槍を持った少女が果敢にハーデスへ駆けだし槍を突きつけると
真紅のオーラは霧散した。
『なに・・・・・?』
真紅のオーラ=魔力を消された。つまりそれは無効化されたことになる。
その瞬間、リアス・グレモリーの攻撃である魔力が背後から放たれた。
『お前の攻撃は知り尽くしているんだがな』
軽く尾で刺客の方へ魔力を弾き返した。刺客の一人は死角と成っている足と足の間に
潜り込んで小太刀を突き付けようとしていた。
「―――お前の相手は私がしようか」
「ぐっ!」
黒いコートに身を包んだ長身で、金色と黒色が入り乱れた髪。
その双眸は右が金で、左は黒という特徴的なオッドアイの女性が魔力による波動を放った。
「誰だ、お前は」
遠くまで吹っ飛ばされ体勢を立て直した刺客の前に―――高速で飛来してくる魔力の塊に直撃した。
「『
「邪龍・・・・・!」
邪龍の攻撃を受けたダメージは瞬間的に回復、再生していく。
「お前の能力は知った。さて、お前自身の強さはどのぐらいかな?」
クロウ・クルワッハは刺客の一人と戦い始めた。同時刻、ハーデスは
『この姿で戦うのは間違いだったか』
戦いに不向きな状態であることを察し、刺客に召喚された三人の攻撃に応戦しながら
元の姿に戻った。ただし、髑髏の仮面と黒いマントを剥いで姿を晒した上に
肌という肌に真紅の鱗が多い背中と腰にドラゴンの翼と尾、真紅の髪を分けて伸びる
一本の鋭利な角。
「さて―――本格的に攻撃をするかな」
川の上で四つ這いになり、翼を大きく広げた。槍を持った少女が突貫してくる様子を
見据えて小さく笑んだ。
「言っておくが、俺とクロウ・クルワッハだけが戦っているわけじゃないぞ」
意味深なことを言うハーデスの意図に少女は気付かない。
―――自分の体が何か鋭いものに貫かれるまでは。致命傷を負った少女は苦痛に顔を
歪めることすらなく煙と化と成ってこの場から消失した。
「一定のダメージを与えると消えるのか」
それならと、低い姿勢で日本刀を振るってきた女性に対して翼で防御しながら
目を煌めかせると女性は停止し、鋭利な爪が生えた手を横薙ぎに振るって引き裂くと
槍を持った少女のように煙と化と成って姿を消した。
「実態はしているが、意思=魂のない人形みたいなもんだな」
最後に残ったリアス・グレモリーは、彼女は巨大な球体を放っていた。
ハーデスにとって見覚えのある技でもある。
「・・・・・こんな形で偽物とはいえども久し振りに見たくなかったな」
その球体は徐々に徐々に内部で紅と黒の魔力のオーラを渦巻かせていく。
「いくらお前でも、その技は危険だろう!」
遠くから聞こえる刺客の声。視線を刺客に向ければ新たに召喚したモンスターを
展開していた。ハーデスは迫りくる球体を見据えて、
「―――ああ、危険だろう。だが、それがどうした」
腕を夜空へ掲げた。その意図に刺客は怪訝に目を細める。
「俺はリアス・グレモリーの技を全て知っている」
掲げた腕が禍々しいオーラを帯びて開いた手の平は黒い籠手が装着して渦巻く真紅と
漆黒の球体を発現した。その大きさはリアス・グレモリーが放った球体の数十倍の大きさだ。
「その対処方法もな。―――呑みこめ」
巨大な球体を投げ放って迫りくる球体と直撃し、削るように呑みこんだものの
その勢いは留まらず刺客の方にまで向かった。
「リアス・グレモリー!」
少女の名を叫び、迫りくる巨大な球体に防御魔方陣を幾重にも展開させて防ごうとした。
が、魔方陣が削られ、リアス・グレモリーも削られ、盾があっという間に突破された。
「くそっ、全員でアレを破壊しろ!」
魔法、レーザー光線、気のエネルギー砲と様々な攻撃を放つ召喚された者達の
攻撃は―――無に帰し、召喚した刺客の味方も削られ消失した。
「ま、マジかよ・・・・・っ!クソ、クソッ、俺はここで死ぬのかっ!?冗談じゃねぇぞっ!
逃げ―――」
焦心に駆られて仲間に意識を向ける暇も時間もないとばかり踵返してこの場から逃走を
図ろうとした。
「逃がすか」
「ぐあああああああああああっ!?」
刹那。ハーデスは刺客の背後へ瞬間移動して片足を切断して動きを制限した。
片足だけとなった刺客は崩壊した橋の瓦礫の上でハーデスの足元に倒れる。
金色の双眸は酷く冷たく刺客を見降ろす。
「ここで死ね」
「ま、待て!俺は別にお前の命を奪おうとしていたわけじゃないんだぞ!」
「神の刺客なんだ。危険な芽を摘むことが重要だ。―――それとも直で俺に殺されたいか?」
徐に刺客の首を掴んで持ち上げた。思い切り握ればドラゴンの握力で
握り潰すことなど造作もない。少しずつ強まる握力に呼吸もし辛くなる。
「た、助けてくれっ・・・・・頼む、お願いだ・・・・・!」
「言っただろう。お前らの力を試す代わりにお前らの命を貰うと」
「ぐぅっ!?」
「・・・・・神から得た特典の他に無限の輪廻転生・・・・・なんだ、死んでも
どこかで転生するのか。じゃあ、死でも問題ないよな?」
微笑むハーデスを刺客は全身の血が引いた。殺すことに躊躇すらしない
目の前の相手に恐れ戦いたのだ。
「神に対する遺言はいいな?」
背後から迫る死の球体。目の前の標的が構えるドス黒いオーラを纏う拳。
絶体絶命のピンチは―――!
「顕現の三・毘沙門天!」
「川神流・無双正拳突き!」
「九鬼家決戦奥義、古龍昇天波っ!」
「ジョノサイド・チェーンソー!」
「申し訳ございません!」
五人の武の達人により死の球体は天から伸びた巨大な足に遥か彼方へ蹴り飛ばされ、
ハーデスに拳と蹴り斬撃が襲い刺客から遠ざかる他回避行動はなかった。
「・・・・・何の真似だ?」
「お主こそ今何をしようとしておった」
刺客を守るように囲む川神鉄心、川神百代、九鬼揚羽、ヒューム・ヘルシング、
黛由紀江。そしてハーデスの背後に投げナイフを突きつけるクラウディオ・ネエロが現る。
「死神・・・・・まさかお前が旅人・・・・・イッセーの正体だなんてな・・・・・」
「義経達からよく聞く死神・・・・・その正体が旅人、お前だとは・・・・・」
夏の蒼天の武闘大会でイッセーと戦った二人にとって信じがたい事実だった。
「言っておくが、お前らが助けたのは俺の敵だ」
「敵だろうがなんじゃろうが、命まで奪うことはなかろう。
あの川神湾に襲撃して来た者達のように寛大な処置はする気ないのか」
「お前らには関係のないことだ。これは、俺達の問題なんだ」
背後にいたクラウディオ・ネエロが川神鉄心達に向かって吹っ飛んだ後に
クロウ・クルワッハがハーデスの肩に並んだ。
「クロウ、もう一人の方は?」
「何やらこっちが気になる状況になっていたからな」
「そうか。ま、抑えてくれるだけでよかったから別に良いか」
「―――ハーデス!」
現れた林冲達。だが、今の状態と雰囲気に誰もが顔を強張らせた。
「・・・・・そうか、お前らは知っていたんだな。死神の正体を」
「―――そうだよ、百代ちゃん」
さらに松永燕も遅れながら姿を現した。
「燕・・・・・!」
「今更だけど、死神君の正体は旅人さん=蒼天の中央区の王様イッセー・D・スカーレット。
それが死神君の秘密の一つだよん」
「・・・・・知っていたなら、どうして私に教えてくれなかった?」
「死神君・・・・・ううん、イッセーさんの願いだから。
イッセーさんは試験召喚システムの様子を見る為に変装をしつつ学校を通いながら
見守っていたんだよん。私のおとんも召喚システムに関わっているから気持ちは
分かるし彼の気持ちを汲んで黙っていたの」
「そういう理由で・・・・・だったら、大和達はお前のことを知っているのか?」
その問いにハーデスは首を横に振った。
「知っている奴の名前を挙げれば、九鬼英雄に那須与一、木下秀吉と木下優子や霧島翔子に
工藤愛子、小山友香と小暮葵に学園長の藤堂カヲルを始めとする極一部の教師だけだ。
と言っても二人だがな」
「英雄が知っていただと・・・・・」
「責めてやるなよ。俺が口を封じていたから姉のお前にすら教えることができなかったんだ。
与一も然り」
「・・・・・なんで、なんでお前は大和達にすら隠しているんだ。
―――私達は家族じゃなかったのか!?」
川神百代の叫びに静寂が生じた。沈黙は長く続かずハーデスが破った。
「こんな俺でもまだ家族と言うのか?」
「当たり前だ、お前が例えドラゴンだろうと化け物だろうとそれ以前の問題だ。
家族を騙すような事をするお前の考えは分からないだけだ」
「俺は中央区の王だぞ。もうお前らと戯れていた昔じゃないんだ。俺が神月学園に通う
理由は仕事の為のようだ」
「私達は・・・・・ついでだったと言うのか・・・・・」
「公私混合を分けているつもりだ。お前らと何度も接して来た。お前らの父のように、
兄のように、友達として楽しませてもらっている」
そう言ったハーデスから着信メロディーが流れ始め、ポケットから携帯を取り出して
通信状態にした。
「今深夜なんだけどどうした?・・・・・ああ、そっちも叩き起こされて苛立っているのは
分かってる。報告を大雑把でいいから報告してくれ・・・・・そうか、分かった。
じゃあ一週間以内に蒼天に戻る。じゃ、おやすみ」
「イッセー、誰と話をしていた?」
誰かと話しを終えたとばかり携帯を仕舞った様子に九鬼揚羽は問う。
隠す必要とないのか、ハーデスは説明した。
「蒼天にいる家族だ。月に行くための準備が整った報告で俺は蒼天に戻ることになった」
「じゃあ、学校はどうするんだ」
「オリジナルである俺自身はしばらく休校だな。
ま、俺の分身に行かせるが問題はないだろう。分身でも俺自身なんだし」
あっけらかんといい述べる。そんなハーデスは刺客を見据える。
「命拾いしたな。だが、次は無いと思えよ。―――殺すからな」
「・・・・・っ」
刺客は顔を強張らせもう一人の刺客に催促されこの場からいなくなった。
ハーデス自身も帰ろうとして真紅の長髪を翻し、踵返して一歩前に出したところで
ヒューム、ヘルシングが待ったを掛けた。
「待て貴様。俺達に説明する事がまだある」
「お前らに説明なんてしても意味なんてない。これ以上俺に追及するなよ、
俺が面倒なだけだからよ」
「貴様、この状況と状態を作っておいてお咎めなしと思っているのか」
「ん」
パチンと指を弾いたハーデス。崩壊した橋は光に包まれ見る見るうちに元の橋の状態に
直っていくのだった。さらには多馬川も光に包まれ元の状態になる。
「戦闘の痕跡はこの通り、元に戻してまるで夢のようになりましたが、それがなにか?」
「お前・・・・・どこまで俺達に強さを隠している」
「その気になればこの世界に天変地異を起こせるほどだけど
俺はそんなことするつもりは微塵もない」
「ならば問おう。―――お主はなぜそれほどの力を持っていながら人間のように暮らしている」
川神鉄心の質問。ハーデスがドラゴンであることはこの場にいる全員が知った。
ハーデスは川神鉄心の問いの意図を深く考えず答えた。
「人間のように暮らしているのは、元々俺は人間だったからさ」
「・・・・・なんだと、それはどういうことだ」
「理解できないならそれでいいさ。理解してもらおうとも、
信用してもらおうとも思っちゃいない。今は夢の為に生きているだけだからな」
ああ、そうそうとハーデスは川神百代に向かって行った。
「大和達に俺の正体を言うなよ。バラしたら俺に関する記憶を風間ファミリーおろか
英雄達の記憶から抹消するからな」
「なっ、どうして言っちゃいけないんだ。私達はお前に迷惑を掛けるわけが」
「一国の王様が学校に通って世間は無視しない。大騒ぎを生じさせない為にも
正体をバレちゃいけないんだ。それとも百代。俺の仕事を邪魔をしたいのか?」
「それは・・・・・・」
「世間から俺という存在を暗ますことで死神・ハーデスの存在が必要なんだ。
英雄もそれを理解して俺のことを旅人として接せず、死神・ハーデスとして接してくれる。
アイツには助かっているんだ。お前もそうしてくれると助かるんだがな。それに由紀江もだ」
「は、はいっ!」
「ま・・・・・お前と接するのって一緒に昼飯を食べることぐらいだろうから問題はないか」
「というか、まゆっちと知り合いだったのか」
「お前らと分かれた後に知り合った。凄腕の剣士がいると聞いて実力を試しに赴いたんだ」
当然、俺が大人げなく勝ってしまったがなとハーデスは苦笑を浮かべる。
「百代、分かってくれるな?」
「・・・・・家族に隠し事をするのは忍びないんだが」
「なら、今日の出来事を記憶から消そう。そうすれば―――」
「分かった、罪悪感を感じるけど黙ってる!」
何時の間にか目の前にいたハーデスにバッと離れた川神百代。
「揚羽も良いな?」
「・・・・・分かった。だが、一つだけ我の願いを聞いてくれるか?」
なんだ?と小首を傾げるハーデスの肩を九鬼揚羽の両手が触れた。
「我といつ式を挙げるか決めないといけないではないか」
「―――――」
式を挙げる=結婚と直ぐに繋がった。ハーデスは一瞬だけ思考が停止し異を唱えた。
「だから、俺は誰とも結婚はする気ないと言っているだろう」
「お前がドラゴンだからか?そのようなこと我は気にしないぞ。
寧ろ我らの子供がドラゴンの血を流しているとなればさぞかし強い子供になるだろう。
ふふ、女だったら我に似て男だったらイッセーのように意思が強い立派な子になるに違いない」
「おい、聞いているのか?俺は誰とも結婚をする気なんて―――」
「そうだ、一誠は渡さないぞ」
クロウ・クルワッハが九鬼揚羽からハーデスを奪った。
「一誠をここまで育て上げたのは私だ。そう、小さい頃からな」
「ドラゴンの貴様がイッセーを育てただと?」
怪訝な面持でクロウ・クルワッハに目を向ける川神百代に対して恍惚の表情を浮かべた
最強の邪龍。
「知らないだろうな、一誠は勝負に負け続けると悔しいあまりに涙目になって負けると
分かってても挑んでくるんだ。その時の一誠はもう・・・・・可愛いんだ」
『・・・・・』
うっとりと瞳が濡れて熱いと息が漏れたクロウ・クルワッハの言動に誰もがハーデスに
視線を向けた。可愛い?あのハーデスが・・・・・?
「ちょっと待とうかクロウ。俺の小さい時の話を今ここでするべきじゃないんだ」
「一誠のことを語れば一日じゃ足りないほどだぞ?可愛い一誠や格好良い時の一誠も
片時から離れず見てきた私だ。何を恥ずかしがっている?」
「恥ずかしいに決まっているだろう!?俺の赤裸々な過去の話をして俺が無反応な
態度でいられると思ったら大間違いだ!」
思わず顔を赤くしながら怒鳴るハーデスだったが、恐る恐ると手を挙げた松永燕。
「えっと・・・・・クロウさん?クロウさんが一番可愛いと思った時の
イッセーさんはどんな時です?」
「燕、お前は何を聞こうと―――「やっぱり、一誠が涙目で上目遣いしてくる時だろう」うおいっ!」
「・・・・・なるほど、そう言えばイッセーの小さい時のことなんて知らないな」
「・・・・・知っている者がいるとすれば、イッセーと長く付き沿っていた者。
あの者が知っていてもおかしくはないということか」
意味深に声を殺して語り合う川神百代と九鬼揚羽。二人は思った、
今のこの機を逃しては小さい頃のハーデスを知ることができないだろうと。
互いは頷き合い、行動を起こしたのだった。
「クロウ、イッセーが怒る時は可愛いか?」
「なぁ、イッセーの事を自慢してくれるか?」
「お前ら、これ以上俺のことをこいつから聞こうとするな!「そうだな、一緒に崖登りをした時の一誠は」クロウ、お前も言うなぁああああああっ!」
それから面白半分、興味津々、ハーデスの幼少の時のことを知るチャンスと胸に抱き
クロウ・クルワッハに質問攻めが発生したのは必然的だった。