バカと真剣とドラゴン―――完結―――   作:ダーク・シリウス

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戦一問

とある日、世界会議が開幕。今回の会議は一味違った。

それは蒼天も参加して威風堂々と設けられた席に座っている五人の少女と男性―――。

 

「わぁ・・・・・私、凄く緊張してきました」

 

「桃花、王らしく振る舞いなさい。そんなそわそわして子供みたいに・・・・・」

 

「華琳よりか色々と大人なんだけどね♪」

 

「雪蓮・・・・・それはどういう意味なのか説明してもらえるかしら・・・・・?」

 

「だ、だめです華琳さん・・・・・!怒りと武器を抑えてください、

大切な会議が始まる直前でそんな―――」

 

「そんな華琳は抱き心地好いから俺は好きなんだけどなー」

 

「・・・・・(スッ)」

 

「あ、精神的にも子供だったのね」

 

「ねぇ、この桃色の酒癖あるおばさんを斬って良いかしら?」

 

「言うわね。これでもまだ私は二十代前半よ?」

 

「しぇ、雪蓮さんもここで武器を出さないでください!」

 

・・・・・過去に振り返ってもこんな自由で騒がしい会議は今日が初めてであろう。

ワイワイと大切な会議の日に賑やかに四人の王の少女達はまるで女子高校生のように

会話の花を咲かせたのだ。

 

「あー・・・・・できれば静かにできねぇか?」

 

「この四人は何時もこんな感じだから無理だ」

 

日本の総理大臣もこれには思わず苦笑を浮かべることしかできなかった。

国同士の首脳陣が集まって会議をするこの時間をなんだと思っているのだと思う

首脳もいるだろうが、とうの四人の王はそんな事は露知らず

 

「だいたい雪蓮と桃花はサボり癖があって私と月は迷惑をしているのよ!

そこのところ王として自覚を持ってイッセーがどんな思いで私達に重要な役目を与えて

くれたのか改めて考えなさいよ!」

 

「ちゃんと仕事は最低限しているわよ。それにサボりじゃなくてちょっとした一息、

休憩をしているだけじゃない」

 

「その休憩、一日に何回しているのかしらね」

 

「えーと、十回かしらね?」

 

「そ、そんなにですかっ!?」

 

「えーと、私もその・・・・・頑張って五回ぐらいは逃げちゃったりしています」

 

「へぅ・・・・・蓮華さんや愛紗さんが良く愚痴を零す、愛紗さんや冥林さんが溜息を

吐く回数も増える理由が分かってしまった気がします・・・・・ご主人様」

 

東区の王、月が物言いた気な視線を送り乞うた。イッセーは深い溜息を吐き罰を下したのであった。

 

「―――桃花と雪蓮はしばらく監視を付けないとダメみたいだな。それと三ヶ月給料を半減」

 

「ご、ご主人様!それだけは勘弁してください!」

 

「横暴だわ!私達の楽しみを奪う気なの!?」

 

「ほう・・・・・。一年間の監視と給料の三割程度を望んでいるようだな?俺は

それでも一向に構わないぞ」

 

「「・・・・・(泣)」」

 

中央区の王の無慈悲な罰に桃花と雪蓮は静かに涙を流す。そんな蒼天の王達の言動に

各国の首脳陣達は苦笑いを浮かべるしかできなかった。

 

「蒼天ノ王達ハ愉快ダナ」

 

「一つの国に複数の王があんな展開をする様子だと、腹を割って言い合うこともできて

協力し合うことで互いの意見をぶつけ、自分では見つけれない部分を指摘してもらい、

それを改善していけば国も豊かになるか・・・・・。勉強になるな」

 

「シカシ、イササカ王トシテノ立チ振ル舞イガ問題デスネ。年ガ若イ若輩ナ娘達デアルヨ」

 

「―――それはしょうがない。俺が世界中旅をした中で最も有能で心が純粋な少女達だった

から俺の補佐的な理由で勧誘をし、王に仕立て上げたのは俺だ。

なにか、文句でもあるなら真正面からぶつけて良いぞ?」

 

金色の双眸が怪しく煌めき中華人民共和国の国家主席を捉えた。蛇に睨まれた蛙の如く、

イッセーの視線で体が固まった中国の国家主席に日本の総理はイッセーを窘めた。

 

「おいおい、他国のお偉いさんを睨むんじゃねぇよ。戦争でも起こす気か?」

 

「そうなった場合、蒼天の上空にいるドラゴン達が嬉々として牙を剥くだろうな」

 

ドラゴンが国を滅ぼす!日本の総理の脳裏でそう報道される瞬間がリアルに浮かんだ。

あの伝説な生物の手綱を掴んでいるのは間違いなくイッセーなのだから、

イッセーの一言でドラゴンは動く。そうならない為にも怒りを買うような真似は命を

懸けてしないことが賢明である。

 

「さて、うちの若輩者の騒ぎで会議を遅らせたことを謝罪する。我ら蒼天を含んだ世界

各国のトップの皆さん。会議を始めましょうか。ま、交流はしているが同盟を結んで

いない蒼天からしてみれば、テレビ越しで見ていた世界会議が間近で見た感覚で

あなた達の話を聞かせてもらうがな」

 

―――☆☆☆―――

 

―――2-A―――

 

 

「偉い人が集まっている中でも緊張していないわね」

 

ノートパソコンで世界会議の生中継中の動画を開いて会議の様子を見るアタシと代表に

愛子。

 

「あの人、どっちなんだろうね」

 

「・・・・・見分けがつかない」

 

魔法の力で分身体を作れることを知っているアタシ達にとって本物と分身の見分けが

分からないでいる。彼にとって分身体は自分であることは変わりないと言うけれど、

アタシはあまり理解していない。摩訶不思議な力―――魔法は奥が深い。

 

「魔法・・・・・ファンタジーな力を使えるあの人が羨ましいや」

 

「・・・・・愛子、興味あるの?」

 

「ボクも魔法が使えるならやってみたいよ?」

 

「・・・・・ハーデスに頼めばできるかもしれない」

 

代表が愛子の気持ちを汲んで指摘した。だけど、魔力を持っていないアタシ達が魔法を

使えるわけが―――。

 

―――2-F―――

 

『・・・・・簡単な魔法だったらできる』

 

「「できるのっ!?」」

 

休憩の時間を利用してハーデスを空き教室で魔法の事について訊けば意外なことに

アタシ達でも魔法を扱えるとのこと。

 

「だけど、アタシ達は魔力なんて持っていないわよ?」

 

『・・・・・持っていなければ持つようにすればいいだけ』

 

「・・・・・どういうこと?」

 

代表が小首を傾げる。ハーデスの意図が分からないという気持ちが分かるアタシの目は

黒いマントから可愛らしく☆や♡に♢を模した先端がある杖が三本出てきた。

それにその先端は淡い光を放っている。

 

『・・・・・魔力が籠っている杖だ。これを手にしながら頭の中でイメージした現象が起こる』

 

「火を熾すとか、光を発光したりとか?」

 

『・・・・・その通り。だけど魔法を使う分、魔力が減っていき光っているこれは消失する』

 

使えば使うほど、光が弱って最後は光らなくなるってことね。♢の杖を手にしながら認識したら、

 

「うーんと・・・・・えいっ!」

 

愛子が杖を思いっきり振った瞬間に杖の先端から火が出た。

―――その威力は火炎放射の如くハーデスに向かって火は伸びたけれど、

口元の部分の仮面を外したハーデスの口の中へ吸い込まれて焼失した。

 

『・・・・・俺の目の前で魔法を放つな』

 

「それ以前に炎を吸ったあなたを突っ込んでいいかしら」

 

「・・・・・お腹大丈夫?」

 

代表、言うところが違うわよ。

 

『・・・・・愛子がしてみせたように、魔力がある限りイメージした魔法を使える』

 

「じゃあ、違う場所に一瞬で移動することもできるの?」

 

『・・・・・それは難しい。明確に自分が行きたい場所を頭の中で思い浮かばないとダメだ』

 

「できなくはないと言うのね。なら試す価値があるわ」

 

今はしないけど、彼の家の中ぐらいは移動できいるでしょう。

 

「・・・・・魔力が無くなったらどうすればいい?」

 

『・・・・・俺に返してくればまた魔力を籠めてやる』

 

そう言ってハーデスは手をアタシ達に向かって差しだして、魔方陣を展開すると銀色の

十字架のアクセサリーが三つ出てきた。

 

「これなに?」

 

『・・・・・肌身離さず付けていろ。もしもの為にお前らを守り、

安全な場所まで瞬間移動できる術式を施した魔法のアイテムだ』

 

「どうして・・・・・ボク達に?」

 

愛子の質問にハーデスは仮面を外して素顔を見せてくれた。

 

「俺は狙われている身だ。だからこそ、俺と関わりのある奴まで危険が及ぶ可能性が

ないとは限らない。特に力のない女子は自分の身を守る術なんてない。せめて最低限の

備えを渡して危険性を減らしたい」

 

「・・・・・ハーデス」

 

「俺のせいで傷付くお前らを見たくない。・・・・・俺の大切な家族なんだからな」

 

っ・・・・・。ハーデス、あなた・・・・・アタシ達のことを・・・・・だけど。

 

「・・・・・そこまで言うなら行動で証明してよ」

 

「行動で・・・・・?」

 

「言葉より、アタシは行動で示して欲しいわ」

 

身長的にハーデスの方が高いから上目遣いで見る形になる。真っ直ぐ私の視線はハーデスにぶつかってジッと見ていると、

 

「・・・・・分かった」

 

彼は何の前触れもなくアタシを腰と頭に腕を回して抱きしめてきた。

強く、でも優しくアタシを心地の良い温もりと同時に・・・・・。

 

「これで証明できたか?」

 

「及第点・・・・・ね」

 

そう言いつつアタシも彼の背中に腕を回した。我ながら甘いと思うけれど、最近彼女を

放っておいて色々と忙しいから・・・・・最近、ハーデスとの直接的な触れ合いがない。

 

「優子」

 

「なに・・・・・?」

 

呼ばれて反応したらアタシの顎を摘まんでハーデスの目と合わされた。ジッと見つめる

彼の意図に気付き、羞恥心で顔が熱くなるのを自覚しながらもゆっくりと目を瞑った

途端に、アタシの唇に微熱と同時に柔らかくて弾力がある何かが押し付けられた。

それを何なのか直ぐに理解してアタシの方からも押し付け始めた。

背中に回していた腕も彼の首と頭に変えて抱え込むようにしてだ。そうすると、

 

「・・・・・優子、ズルい」

 

「ボクも嫉妬しちゃうなー」

 

背後から友人の声が聞こえてきた。・・・・・もう少しだけムードを読んでくれても

良いと思うけれど確かにこれじゃ不公平かもしれないわね。残念な気持ちを抱きつつ

彼からゆっくりと離れた途端に、

 

「・・・・・ハーデス、私も」

 

代表が素早い動きを見せ、ハーデスに抱きつくとあっという間にキスをし始めた。

しかもくっつけるだけのキスじゃなくて、生々しい水音が聞こえ始めた。

これって・・・・・もしかしなくても、代表とハーデスは・・・・・。

 

「・・・・・っ」

 

思わず喉を鳴らして代表の背中しか見えないまま様子を窺うと、

代表が突然身体を振るわせ始めた。

どうしたのだろうと思うけれど、ハーデスから離れた。

 

「代表・・・・・?」

 

「・・・・・」

 

声を掛けても無反応。前に回り込み顔を覗きこむと代表の顔は・・・・・顔がリンゴの

ように真っ赤になっていた。瞳も濡れていて吐く息が熱い。

 

「・・・・・ハーデス・・・・・凄い・・・・・」

 

何が凄いのか良く分からなかったけど、代表がなんというか

大人の色気を出しているのが分かった。

どうして急に彼女から色気が出てきたのかは・・・・・きっとハーデスとキスを

したからなんだろう。

 

「だ、代表・・・・・?大丈夫・・・・・?」

 

「・・・・・愛子もすれば分かる」

 

「そ、そうなの・・・・・?」

 

「・・・・・うん、幸せを感じる」

 

小さく頷く代表は愛子の背をハーデスに向かって押した。必然的に受け止めたハーデス、

受け止められた愛子は間を置いてキスをした。愛子の性格から鑑みればいやらしい

キスをするだろうけど・・・・・でも、なんでだろう。ハーデスの前だと愛子は

小動物のようになってしまう。代表のように身体を震わせ、どちらからでもなく二人は

離れた。そして、代表は尋ねた。

 

「・・・・・どうだった?」

 

「・・・・・」

 

愛子は一拍置いてコクリと頷き答えた。顔を赤くしたまま、

潤った瞳に濡れた唇の愛子が口を開いた。

 

「ハーデス君とのキス・・・・・病み付きになっちゃった・・・・・ボク、

キスだけで心と体、頭が溶けちゃったよ」

 

「・・・・・うん、私もそう・・・・・」

 

そ、そんなに良かったの・・・・・?確かにハーデスとキスした時は幸せを感じたけれど、

何だか二人がキスしたとは違うようでとても気になった。

けれども休憩時間の終わりの鐘が鳴り、自分の教室へと戻らざるを得なくなった。

 

―――☆☆☆―――

 

「エンジェル。キミノ国の軍事兵器ヲ間近デ見テミタイガイイカネ?」

 

「アレは別に軍事兵器じゃない。宇宙空間でも活動ができる宇宙進出ができる

飛行パワード・スーツだ」

 

「おいおい、本当に宇宙空間の中で活動できるのか?」

 

「実際に実験もした。蒼天の空や地上を徘徊している警備隊の素肌に宇宙の環境に

適応するスーツも生産したし、

残りは宇宙船で宇宙に飛び出し、月まで無事に到着してコロニーを造るだけだ」

 

「宇宙船?蒼天ハ宇宙船ヲ造ッテイタノカイ?」

 

「ああ、今年になってようやく完成したよ。俺達蒼天は月に行き、月でも暮らせる環境を整える。

その為の準備はこの年で完了した訳だ」

 

「コロニーヲツクルタメノ人員トコロニーヲ造ル期間分ノ食料ヤ水モ?」

 

「勿論だ。保存は真空状態にして長持ちさせる。

だからあなたたちの援助は必要としないから安心してくれ」

 

「そうかい。なら、何時月に行くんだ?」

 

「―――今日だ」

 

 

―――☆☆☆―――

 

 

「え、今日・・・・・あの王様は月に行くの!?」

 

明久の驚きは俺達も同じだ。あの人が月に行くなんて・・・・・それじゃ、

今度いつ会えるのかもう分からなくなった。

 

「おい、ハーデス。どうしてそんな大事なことを早く言わなかったんだよ」

 

『・・・・・聞かれなかったから』

 

「言うと思ったよ。だけどそっか・・・・・月に行くんだねぇ・・・・・」

 

「いいないいなっ!俺も宇宙に行きてぇよ!」

 

「こっちも予想通りの反応だねぇ・・・・・」

 

「うー、イッセーに会えない世界なんて滅んじゃえばいいんだ」

 

「京、サラッととんでもないことを言わないで」

 

モロが忙しなく突っ込み続ける。教室でそんな雑談をしていた俺達だが、

やはりイッセーさんを知る人にとっては寂しさを感じる。俺達に何も言わず、

更に遠くへ行ってしまう。水臭いじゃないかと思うのは独りよがり?我がまま?

頭の中ではあの人の立場は一国の王。俺達に報告する義理はないかもしれないが、

心は納得しない自分がいることに自覚する。

 

「ま・・・・・あの人のことだ。俺達が大人になった頃には全て終わっている。

その時がもしかすると俺達は再会しているかもしれないぞ?」

 

「その時のアタシ達はどんなことをしているでしょうねー?」

 

「俺は当然、世界中に冒険をしている!」

 

『・・・・・俺はどうなっているだろうな』

 

翔一のように分かりやすい未来とハーデスのように分かりにくい未来の枝分かれが

無数に広がり、俺達の未来も無限大の選択肢がある。

 

「雄二は絶対に霧島(妹)さんと結婚しているよね。―――屈服の形で」

 

「冗談じゃねぇ・・・・・っ。

俺は一匹狼のように逞しく生き抜いていやる・・・・・!」

 

「・・・・・俺は」

 

「ムッツリーニは聞かずとも分かる未来かもしれんのぉ。犯罪者にだけはならぬようにな」

 

「・・・・・バレければ全てが合法・・・・・」

 

『・・・・・吉井明久の未来はどうだろうな』

 

「なんだったら川神院の給仕係になる?明久の料理美味しいから皆も認めてくれるわよきっと」

 

「一子、僕に出会いというものを寄せ付けない気だね!?」

 

「それ以前にお前、姉に異性との付き合いを許されていないだろうが」

 

「多分、ガクトだけには明久に取って言われたくないかもしれない発言だよそれ」

 

「何がなんでもイッセーと結婚をするんだ・・・・・」

 

「こう言う話しも一度したな。当然ながら私は軍人となるぞ」

 

クリスの言う通り、何だかこの間のように将来のことを語り始め、

それからも雑談をし続ければ西村先生が入って来た。

―――そして、彼方の空から真っ直ぐ上へ伸びる白い雲・・・・・煙が立ち昇った。

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