バカと真剣とドラゴン―――完結―――   作:ダーク・シリウス

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騒九問

堕天使や神童君達を倒した見知らぬ人達。知らない男の人も後に拘束されて大人しくしている。

あの人達は誰なのか未だに僕らは分からない。声を掛けようにも何だか緊張と畏怖の念でできない。

そして今、あの人達は何をしているのか言うと。

 

 

『いっくんいっくんいっくんいっくんいっくんいっくんいっくんいっくん』

 

『悠璃、少しは落ち着いてください。気持ちは凄く分かりますから』

 

『和樹くん!早く早く!』

 

『急がないでやってください。彼は逃げたりはしませんから』

 

『イッセー様イッセー様イッセー様イッセー様イッセー様イッセー様』

 

『リンちゃんも落ち着いて、ね?』

 

『しょうがないわよ。一部の皆は禁断症状で何本か頭のネジが吹っ飛んでいるんだから』

 

 

さっき殴り飛ばした堕天使を囲んで何かを待っている。何をしようとしているんだろう。

 

「あの人達、誰だろうね」

 

「こっちが知りてぇよ」

 

「しかも怖くて聞けないって・・・・・」

 

「・・・・・異様な集団」

 

「・・・・・」

 

「近づきたくないわね」

 

「で、でも、敵ではないみたいですし」

 

『・・・・・』

 

僕達は様子を見守る。・・・・・例え、気不味そうに地面から赤い頭だけを出して

様子を見守っている誰かがいたとしても。

 

「・・・・・雄二、そろそろ突っ込んでいいかな」

 

「俺もだ坂本。あの人、心居た堪れない感が凄く伝わってくるぞ」

 

「・・・・・出遅れたって感じもするしな」

 

うん・・・・・ちょっとフォローしよう。そうしないとこのまま発展もしないだろうし、

タイミングを計って一斉に揃ってツッコンだ。

 

「「「アンタは何をしてるんだイッセーさん!」」」

 

『っ!?』

 

あっ、面白いぐらい凄く反応したあの人達。そして地面から頭だけ出している王様を見た瞬間、

ガシッ!って擬音が聞こえるぐらい真紅の髪の女性が王様の頭を鷲掴みにして地面から抜き出した。

ちょっ、あんなことされる王様は初めて見たよ!?

あの王様も親猫に首根っこを掴まれた子猫みたいに大人しいし!

 

「・・・・・そこでなにをしていた」

 

「えっと・・・・・ほら、色々とどんな事態になるか分からないから

その処理と対処をするためにコッソリ影に隠れていたんだ」

 

「・・・・・で?」

 

「うん・・・・・まさか堕天使があんなことするなんて思いもしなかったし、

皆が危険な目に遭ったら助けようとしたんだけど・・・・・」

 

「我らが現れたことでそのタイミングを失って今の今までずっと地面の中から眺めていたと」

 

有無を言わさない鋭い眼光の女性に王様は言った。

 

「しょうがないじゃん!俺の出番、皆が奪っちゃったんだもん!

変なところで俺が出たらおかしいじゃん!俺だって感動の再会をしたかったよ!」

 

子供のように言い訳をしたぁっ!?

 

「・・・・・では、堕天使の中に封じられているお前は誰なんだ?」

 

「魔法で構築した分身体です」

 

「・・・・・道理で感じるはずの力が感じないわけだ」

 

「俺の分身体は魔力の塊だけだから、魔力だけが増大しているだけだったし、

堕天使自体が強くなったわけでもないから」

 

「・・・・・」

 

女性は王様の頭を解放した。そして・・・・・。

 

「会いたかったぞ、イッセー・・・・・」

 

王様をギュッと背中に腕を回して抱き締め他の人達が動き出す、それが呼び水となった。

 

『イッセーくん!』

 

『一誠さま!』

 

『一誠!』

 

『イッセー!』

 

ワッ!とあの人達が王様に群がった。満面の笑み、歓喜の涙を浮かべ王様を囲んで

口々に言い、抱き絞め合う。そんな光景がしばらく続いた。

 

「色々と聞きたいことがあるけどまず言わせてくれ。皆・・・・・久し振りだな」

 

「それはこっちも同じ気持ちですよ一誠さん」

 

「キミがいなくなって二年も経過したんだからね」

 

「・・・・・二年・・・・・?」

 

「ああ、そうだ」

 

二年。その年数に王様は信じられないと風にこう言った。

 

「俺、この世界で数十年も経過したんだけど」

 

「えっ、数十年・・・・・?」

 

「第二次世界大戦から現代まで」

 

「・・・・・時の流れがかなり違いがありますね」

 

「だからイッセーは大人の雰囲気があるんだな」

 

「・・・・・私は高校3年なんですが」

 

「僕達、高校を卒業したしね」

 

聞けば聞くほど分からなくなってくる。しまいには、あの王様は四つ這いになって

なんかショックを受けているしさ。

 

「何で俺だけこんな目に・・・・・」

 

「だ、大丈夫だよ一誠くん!もう一誠くんから離れないしさ!」

 

「そうね。あなたがいなくなった二年間、私達からいなくなった数十年間は

ちょっとやそっとじゃ埋めることはできないでしょうけどゆっくり

時間を掛けて一緒に生きましょうよ」

 

「一誠さま、もう二度と手放したりはしません」

 

周りから励まされる王様。そして立ち上がって空を見上げる。

 

「どうしてドラゴン達と一緒に?」

 

「ああ、そうしないといけない理由があるんだ」

 

「理由?」

 

「はい、ドラゴン達をこの世界に住まわせることで原始龍さまの力が発揮できるのです」

 

「原始龍・・・・・そうか、アイツの力は・・・・・でも、何で今頃?

ドラゴンなら俺達がいたのに」

 

「なんか凄い力に阻まれて一誠を見ることしかできなかったんだって」

 

「私達も七人程度でしかこの世界に来られない予定でしたけど、私達の世界に起きた異世界に

繋がるゲートが開いて急いで来ました」

 

「原始龍もそれが好機と思ったのかドラゴン達をここに送り込んだ。原始龍の力はドラゴンに

関して絶大な効果を発揮する。だから違う世界にドラゴンが多く存在していれば―――!」

 

男の人が興奮気味に言った瞬間、僕達の頭上に大きな穴が空間にできた。

そしてその穴からまた―――。

 

「坊主ぅぅっ!」

 

「イッセーちゃん!」

 

「イッセーくん!」

 

誰かが降って降りてきた!だ、誰なんだあの人達は!?

 

「ちょっと待て、重要な立場のアンタらまで来たのか!?」

 

「何を水臭いことを言っているんだ坊主!」

 

「未来の義息子を会いに行かないでどうするんだい!」

 

「元気そうで何よりだよイッセーくん」

 

「何だかもっと格好良くなっちゃっているね☆」

 

穴はまだ開いたまま。また誰かがあの穴から出てくるのかな。そう思っていると、

 

「兵藤一誠」

 

頭に角が生えている着物を着た女性が現れ、王様の前に降り立った。

 

「原始龍・・・・・」

 

「こうして間近で会うのは本当に久しぶりです。ようやくあなたを触れることができました」

 

「お前のおかげで皆と再会ができたよ。ありがとう」

 

「いえ、あなたの機転でこの世界にドラゴンを送り込むことができました。

なのでこの世界と私達の世界を繋げる扉を作ることができます」

 

異世界へ行き来できるということなのか?そんなこと、本当に可能なの?

 

「神、魔王、ドラゴンが協力すれば問題ないぜ坊主!」

 

「早速扉を創ってみようじゃないか。どこか人間が入ってこられず広い場所はあるかな?」

 

「・・・・・それなら蒼天の上空に浮かんでいる大陸ならある」

 

「ほう、そんな場所を作っていたのかい」

 

「そんで俺は一人で国を創ったんだ。でも、国はこの世界の家族に託したばかりだけど」

 

四人の王様は否定しているけどね。

 

「あの宇宙船とドラゴン達を一緒に。案内は俺がする。とは言っても」

 

あの人は金色の杖をどこからともなく取り出して何か呟くと

もう一人の王様が虚空から出てきた。

 

「俺の分身体に案内させる。俺はこいつらに用があるからよ」

 

「イッセーさん・・・・・」

 

僕達に目を向けてくる。

 

「おう、分かった。場所は坊主の魔力を辿って戻るからよろしくな!」

 

「それじゃ一誠ちゃん。案内してくれないかい?」

 

「ああ―――龍化」

 

王様の分身体の身体が光に包まれ、巨大化していくにつれ、

姿形が変わりついには―――真紅の巨大なドラゴンになった。

 

「ええええええっ!?」

 

「イ、イッセーさんが・・・・・ドラゴン!?」

 

「ンなバカな・・・・・」

 

驚く僕らを余所にあの人達は当然のようにドラゴンの身体へ飛び乗った。

全員が乗ったのを確認したドラゴンは力強く翼を羽ばたかせて空へ飛翔した。どんどん

ここから離れて行きずっと空を舞っていたドラゴン達と漂っていた宇宙船のところまで

飛んで行ったら、蒼天がある方角へ飛行を始めた。

 

 

―――☆☆☆―――

 

―――2-F―――

 

「うわ・・・・・なにこの教室。ここがイッセーが通っている教室なの?」

 

「明らかに廃屋だって。人体に影響がくるだろう」

 

落ち着いて話せる場所に行く前、俺が通っている教室に案内すると案の定の反応。

 

「格差社会を実施しているんだこの学園は」

 

「川神学園や駒王学園みたいだね」

 

「ここの学園の旧名は川神学園だけどな」

 

「へぇ、そうだったんだ」

 

「んじゃ、今度こそ落ち着いて話せる教室に行くぞ」

 

 

―――2-A―――

 

「いいのか?」

 

「どうせ、避けられない事態だ」

 

広い空間のAクラスに入ってソファーに座る。両隣には銀髪でメイド服を身に包む最も

古くから俺の傍にいて支えてくれた彼女、リーラ・シャルンホルスト。

俺と同じ髪と瞳を持つ女性のガイア。リーラと同じ古くから俺の傍にいてくれた女性だ。

そして膝の上にはちょこんとオーフィスが座っていてこの世界と異世界の存在が二手に

分かれる形で居座る。

 

「イッセーさん、あんたは一体何者なんだ」

 

「そうよ。それにそいつらは一体何者?明らかに人間じゃない奴もいるし」

 

俺も含まれているだろうと思い、説明しようと口を開いた。

 

「気付いている奴もいるだろう。俺も含めて俺の後ろにいる全員は異世界からやって

来た俺の家族だ」

 

「家族、ですって?」

 

「ただし、過去の俺を知る家族達だ」

 

「ご主人様の過去を知る者達・・・・・。では、私達は何なんですか?

共に現在まで生きた私達はあなたにとってどんな存在なんですか?」

 

嘘は言わない。俺は真っ直ぐ彼女達に告げた。

 

「お前らも俺の家族だ。これは心の底から告げている」

 

「・・・・・あなた、異世界の大勢の女に手を出していたなんてね」

 

「嫉妬か?」

 

「違うわよ!」

 

華琳、顔まで真っ赤にして否定してもなぁ・・・・・。

後ろを見れば苦笑を浮かべている家族が何人かいた。

 

「私達はイッセーに何度も助けられたの」

 

「そして共に戦い、友に強くなり、共に生きた仲間」

 

「この世界で生きていたイッセーくん、私達の世界で生きていたイッセーくんはどっちも同じ」

 

「無粋なことはこの際言わない。だけど、これだけは言わせてもらう」

 

最後にガイアが言葉を発した。

 

「イッセーを連れて帰らせてもらう」

 

『っ!』

 

そんなこと、あいつらが許すわけがない。

 

「そんなこと・・・・・」

 

愛紗の瞳に炎が燃えだしたのは察した。得物の柄を強く握り、皆と―――。

 

『させるかぁっ!』

 

あいつらが敵意を剥き出しにして襲いかかってくる。

 

「お前ら、静かにしろ」

 

目を輝かせあいつらの動きを停止させる。そうすることで固まった状態になって

身動きができなくなる。

 

「か、身体が・・・・・!」

 

「ご主人様、なにを・・・・・っ」

 

「お前ら、直ぐに怒るなよ。話ができないだろう」

 

皆を窘め、力を解除する。

 

「ま・・・・・皆の言っていることは本当だ。俺は皆と一緒に戦い強くなり、生きていた。

だから当然絆だってあるし友情も愛情もある。俺の世界は戦いが日常茶飯事だった。

その中を生き抜けば必然的に何かが芽生える」

 

「その中でイッセーさんは強くなったんですね」

 

「想像できないだろう。俺が、俺達がどんな風に強くなっていったのかを」

 

「それはまぁ・・・・・」

 

大和が曖昧な返事をする。どうでもいいがな。

 

「・・・・・ハーデス」

 

「なんだ?」

 

「・・・・・その中にハーデスが好きな人はいる?」

 

翔子らしい発言だ。俺は敢えて言う。

 

「友達としてか?それとも異性としてか?」

 

「・・・・・異性として」

 

「ん」

 

俺が手を挙げると、翔子の質問の答えを示して欲しいと察した家族達がスッと手を挙げた。

その数約十は超えている。

 

「おおっ!?」

 

「異世界でもイッセーさんは人気だったんだな・・・・・」

 

「当然よ。というかイッセーのことをハーデスって呼ぶのはどうしてなのかしら?」

 

ああ、それは。

 

「この学校に通う際、俺は変装をして偽名を名乗っていたんだ」

 

「変装?」

 

「ん、こんな感じだ」

 

立ち上がって一瞬で死神の格好になった。今の俺の姿を見て家族達は息を一つ吐いた。

『そんな姿をされたら、誰だか本当に分からない』と皆が異口同音で言うほどだ。

 

『しかも偽名は死神・ハーデスだ』

 

「あなた、冥府の神の名で騙っていたのね」

 

『これ以上のない変装と名前だろう』

 

元の姿に戻ってソファーに座る。

 

「でも、何でもまた変装をしていたんだい?」

 

「目の前にいる連中・・・・・特に直江大和達とは小さい頃からの交流してな、

俺が素でこの学校に通っていたら仕事どころじゃなくなりそうだったんだよ」

 

「仕事?一誠、仕事ってなにをしているの?」

 

「一国の王様。でも辞めた―――」

 

「私達は絶対に認めないからね」

 

華琳が鋭い眼光で俺を睨み言葉を遮る。・・・・・マジですか。

 

「一国の王様って・・・・・イッセーくん、キミはこの世界で何をしていたんだい?」

 

「しょうがないだろう。異世界に帰るにも帰ることができないならこの世界に住むしかない。

だから取り敢えず永い寿命を活かす為に国を築くことにしたんだ。

それが今じゃ世界から注目を集めるほどの人気の国まで成長した。

後に桃花、華琳、雪蓮、月という少女達を東西南北の王に仕立て上げて今日まで国を纏めていた」

 

「一誠は?」

 

「中央区の王だけど」

 

「いっくんが王様だなんてすごい」

 

「この世界で王の立場でいたんですね。感嘆します」

 

俺の長馴染みの二人が微笑んでくれる。

 

「・・・・・ところでハーデス」

 

「なんだ?」

 

「えっと、頭に猫耳を生やしたり耳が僕達よりも長かったり、そんな人がいるんだけど

彼女達って・・・・・」

 

そうだな、そう言う家族も教えておくか。玉藻、お前も出てくれ。

 

「銀華、アレイン、エイリン、ユーミル、ルクシャナ、テファ」

 

呼んだ女性や少女達が俺の後ろに立つ。そして玉藻も現世に出てきた。

 

「俺の世界には様々な種族が共存している」

 

「様々な種族?」

 

「悪魔、魔王、天使、神、妖怪、エルフ、ドワーフと言ったファンタジーな種族がいるんだ。

俺の後ろに立っている家族は妖怪、エルフ、ドワーフなんだ」

 

大和達に告げれば吊り上がった切れ長の瞳に無造作に切りそろえられた長い金髪。そして、

人間より長い耳を持つ少女ことルクシャナが腰に手を添えて言った。

 

「まっ、いきなり教えられても蛮人が受け入れられないでしょうけどね」

 

「ば、蛮人?」

 

「ルクシャナは人間に対してそう教えられていたんだ。

本人は人間に対して悪意を抱いていないからそこは気にしないでくれ」

 

「気にするなって言われても、いきなり初対面に蛮人なんて言われちゃびっくりするよ」

 

だろうな。だから気にするなと言っている。

 

「だけど、彼女がエルフだって証拠は無いじゃない。・・・・・特にその胸は何よ!」

 

「えっ?」

 

島田が鋭く俺の後ろにいる家族の一人に差した。

 

「そ、そんな胸・・・・・ウチは認めないわ!」

 

「うっ、ううう・・・・・イッセー」

 

・・・・・違う世界でも彼女、ティファニアの胸は認められないようだ。

 

「こら!いくら自分の胸が大きくないからってテファの胸を蔑ろにするんじゃないわよこの蛮人!」

 

「んなっ!なんですって!?」

 

ルクシャナがテファを抱き締めながら言う。

 

「や、やっぱり大きいな・・・・・エロフッ!」

 

「わ、私はエロフじゃありませんっ」

 

「そうだぞガクト。―――それ以上テファに何か言うとお前の玉を潰すぞ」

 

低い声音で睨みつけると股間を両手で押さえ情けない顔で何度も頷いた。

 

「それはそうと一誠、キミはこの世界で誰かと付き合っている?」

 

「ん、制止気に付き合っているのは五人程度」

 

「あれ意外と少ないね」

 

「逆に好意を持たれている方が多いんだ」

 

「ふーん?で、誰なのさ」

 

そう言われ俺は前にいる彼女達を呼んだ。

 

「翔子、優子、愛子、秀吉、隼」

 

「「「「・・・・」」」」

 

恐る恐ると立ち上がった五人。背後から『うん?』っと疑問の声が聞こえる。

 

「一人だけ男の服を着ているけどもしかして男装しているの?」

 

「いや、正真正銘の男だ。それとあの紫の髪の女子は女装している男だから」

 

俺が嘘を吐く訳がないことを皆知っている。だからこそ、

 

 

ガシッ!

 

 

圧倒的な力で俺は皆に摑まれるのは遠くない未来だったんだろう。

 

「一誠・・・・・まさかだと思うが本当に男と付き合っているわけではなかろうな?」

 

「俺が嘘を吐くと思うか?」

 

朗らかに笑みを浮かべてはっきり言えば、

 

『ちょっとこっちに』

 

ソファーから引き摺り離され、遠くに連れて行かれた。

 

―――☆☆☆―――

 

「あなたたち、名前はなんというのですか」

 

「き、木下秀吉じゃっ」

 

「わ、渡良瀬準」

 

「イッセーくんと付き合っているって本当なの!?」

 

「そ、そうじゃが・・・・・」

 

「う、うん・・・・・」

 

「いやぁああああああああああっ!イッセーがホモになっちゃっているぅうううううううううっ!」

 

ハ、ハーデスの家族が悲鳴を上げた。

や、やはり男同士が付き合うのはおかしいのか異世界の世界でも。

 

「あ、安心して欲しいっ!キスはまだしておらんのじゃ!」

 

「まだ・・・・・?あなた、これから彼とキスをするってことなのね!?」

 

「今のは言葉の綾じゃ!」

 

「ううう・・・・・私達と生き別れしていたからイッセーくんが変わっていたのですね」

 

「親友として物凄く複雑だよ・・・・・」

 

わ、ワシだって最初は複雑じゃったんじゃぞ!?

じゃが、ハーデスはワシを心から完全に受け入れてくれて・・・・・。

 

「・・・・・」

 

「マ、マジなんだねキミ・・・・・一誠のこと好きなんだね」

 

「わ、悪いかの。好きになっては」

 

「と、当人達の問題だから・・・・・うん」

 

本当に複雑そうな表情を浮かべ、取り敢えずと言った感じで頷いた男。

そして・・・・・。

 

「や、やっと解放された・・・・・」

 

疲労困憊とハーデスがフラフラと戻って来たのじゃ。

 

「だ、大丈夫?」

 

「ある条件でようやくな・・・・・」

 

「ああ・・・・・頑張ってね」

 

「おう・・・・・」

 

何やら大変な目に遭うことが前提の話。ハーデス、大丈夫かの・・・・・。

 

 

―――☆☆☆―――

 

 

「一誠、お前からも色々と聞きたいことがある」

 

今度は、俺は大和達のところに座ってガイア達と対峙する形になって座った。

 

「我らからいなくなって二年。だが、お前はこの世界で数十年間生きていたという

事実は知ったが、その数十年間お前はどうして我らのもとへ帰れないでいた?」

 

やっぱり・・・・・その話になるよな。俺は息を一つ吐いて説明に入った。

 

「虚無の魔法が発動できなかったんだ」

 

「え?だって虚無の魔法が発動できたから僕達はこの世界にこれたんだよ?」

 

「俺は日食の日を狙って魔法を発動したんだ。

それまで俺はずっとあの魔法を放つことができないでいた」

 

「そんなまさか、有り得ないわよ」

 

「じゃあ、もう一度してみるか」

 

金色の軍杖を亜空間から取り出して構え、呪文を唱えた。

もしも魔法がちゃんと発動できれば異世界に繋がるゲートが開く。

そして呪文を言い終えれば杖を目の前に突き刺して魔法を発動した。

だが―――日食は既に終えているから世界扉(ワールド・ドア)の扉は開くことはできない。

 

「・・・・・嘘」

 

「完璧に一言も間違えず唱えたよね。それなのになぜ・・・・・?」

 

「これが俺が帰れないでいた理由だ。唯一の手段であったこの魔法が発動できなかったから

長い年月の中を生きていたんだ俺は」

 

唖然と俺の言動を見守っていた皆が信じられないでいる。

今頃、原始龍達が異世界に繋げる手段が成功しているのか定かじゃない。

 

「だからだ、俺はこの世界に住み国を築き、時を待っていたんだ」

 

「じゃあ、僕達もこの世界に閉じ込められているということなの?」

 

「原始龍達が別の手段を準備しに行っているが・・・・・果たしてそれが

正常に成功できるかどうか怪しいところだ」

 

まだこの場に現れないと言うことは準備に手間取っているのか?まあ・・・・・あいつらに任せよう。

 

「話を変えよう」

 

ガイアが冷静に話しかけてくる。

 

「あの堕天使は何故この世界にいた?そしてお前と敵対していた者達は何者だ?」

 

「あいつらもまた被害者みたいなもんだ」

 

「被害者だと?」と怪訝に綺麗な柳眉を上げたガイアに、他の皆に説明する。

 

「他の世界から召喚され、死んだ者を甦らせれ命を目的としてこの世界に送り込まれたんだ。

全ては神によってな」

 

「神・・・・・だと?しかもお前の命を狙うとは一体なぜなんだ・・・・・」

 

真紅のオーラがガイアから滲み出る。それは怒り。ガイアは神に対して怒りを抱いた。

 

「理由は分からない。だけど俺は幾度も無くこの世界に送り込まれた転生者と戦ってきた」

 

「転生者・・・・・あの堕天使の傍にいた四人がそうなの?」

 

「いや、他にもいる。ユウキ」

 

「う、うん」

 

俺の隣にユウキが近づいたと同時に立ち上がって彼女の肩に手を置いた。

 

「この紺野木綿季もその転生者だ」

 

「・・・・・そいつも一誠の命を狙っていた者か」

 

「いや、彼女は俺の協力者だ。他にも大勢の転生者も俺の味方にしている。

今のところ問題を起こそうとバカな考えをしている奴はいないが、警戒はしているがな」

 

「・・・・・敵はさっさと殺せばよいものを」

 

深い溜息を吐くガイア。それは分かる、だけど・・・・・それじゃダメなんだよ。

 

「せっかく甦った命を俺がまた奪ってしまうのは嫌なんだ。

それに甦ってこいつらは毎日の生活を充実に送っている。

前の世界で生きていた頃より活き活きとしているのが分かるんだ」

 

「ハーデス・・・・・」

 

ユウキが不安げに俺を見上げる。安心させる笑顔を浮かべ頭を撫でてやった。

 

「だから敢えて野放しにしている。この世界を充実に生きて貰う為に」

 

『・・・・・』

 

「ガイア、皆。転生者は神から特典とかいうチートな能力や技を得てこの世界に現れる。

最悪、俺を凌駕する力を得て襲撃してくるだろう。それでもそいつらを可能な限り生かして欲しい。

ただ、俺の家族に手をあげた転生者以外は殺すがな」

 

これだけは譲らないと言い述べた。

 

「・・・・・まったく、お前は甘くなったな」

 

「皮肉にも俺のおかげで甦っているしな」

 

「・・・・・敵に関してはお前の好きにしろ。だが、我らに敵意を向けた者には容赦はしない」

 

「ゲスな奴だったら速攻殺しちゃってね」

 

「・・・・・一誠、お前は本当に変わったな」

 

そうか・・・・・?まぁ・・・・・そうなんだろうな。うん・・・・・。

 

「して、その神とやらはどこにいるか把握しているのか?」

 

「いや、それが全然。次元の狭間にも行ったんだけどそれらしき奴らが

いる場所なんて見つからなかったんだ」

 

「・・・・・別の異次元空間にいることは確かであるな。一誠、今度は我も一緒に探す」

 

「了解、ぶっ殺すつもりだからな神を」

 

「ふふふっ。神殺しか、それも良かろう」

 

ガイアが笑みを浮かべてくれた。俺の考えに賛同してくれたんだな。そう思っていると

複数の魔方陣が出現して分身体と共に蒼天の方へ向かって行った面々が姿を現した。

 

「イッセーちゃんただいま」

 

「お帰り。異世界に帰れる手段はどうだった?」

 

「ああ、原始龍殿の力で完成した。

大したもんだぜ、本当にドラゴンに関する事は俺達を圧倒させてくれる」

 

「おじさん、知ってた?それだけしかできないってことは他は―――」

 

「兵藤一誠、黙ってください」

 

―――っ!ここで力を発動しないでくれよ!?しゃ、喋れんっ。

 

「原始龍様、いくら本当の事だからって兵藤一誠に力を使うのはいけないですよ」

 

「だ、だって・・・・・」

 

「だってもなにもございません。彼が進ませてくれないといけないのですから解いてください」

 

「・・・・・わかりました」

 

ウリュウに感謝せねば。喋れるようになって安堵で胸を撫で下ろす。

 

「原始龍、帰れる手段はどんな感じなんだ?」

 

「ドラゴンの力を流しこんで発動するだけの仕組みです。

ただし辿り着く場所は私が治めているあの世界になりますが」

 

「あそこか。だとすると人間界に直接行けないわけだな。それでも帰れるから満足だ」

 

「この世界にもドラゴンを住まわせます。よろしいですね?」

 

「ああ、世界半分は蒼天が治めている。土地に関しては問題ない。

なんなら海に巨大な大陸を創造してドラゴンだけの住処にするか?」

 

「そうしてくれるとありがたいです」

 

と、そんな会話のやり取りをしていると、

 

「イッセーさん。その人は誰なんですか?」

 

大和が尋ねてくる。

 

「このヒトは原始龍。ドラゴンの祖の立場にいる俺達ドラゴンにとって敬う存在だ。

優子、俺がドラゴンに転生できたのは彼女の力によるんだ」

 

「そう、なんだ・・・・・」

 

「以御お見知りおきを。では兵藤一誠、私はそろそろ戻らないと参りません。

私の世界に来たのであれば顔を出してください」

 

「了解。またこの世界に来るんだろう?その時でも」

 

「ええ、必ず」

 

頷いて原始龍は俺達の前から姿を消した。彼女には深く感謝をしないとな。

 

「それじゃ一誠、我らも帰るぞ」

 

「あの船にか?それとも俺の家にか?」

 

「ふむ・・・・・お前の家に興味があるな。今回はお前の家で寝泊りさせてもらおう」

 

俺は頷き、転移魔方陣を展開した。

 

「ああ、華琳達。俺の蒼天をお前らに託すと言うの、本当にダメか?」

 

首だけ後ろに向けて問う。そしたらあいつらは頷いた。

 

「当然じゃない。あなたがいない蒼天なんて意味無いわよ」

 

「私達を迎えてくれた蒼天はご主人様がいるからこそ存在する価値があるんですよ?」

 

「そーいうこと♪」

 

「ご主人様・・・・・絶対に戻ってきてくださいね」

 

・・・・・まったくこいつらは・・・・・俺から離れるなんてこの先できないだろう。

 

「この甘ったれ共」

 

「「「「それでもいい」」」」

 

それが最後のやり取りと成ってガイア達と一緒に俺が住んでいる家へと転移した―――。

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