タキオン「いやいや、明日はついに1勝クラスのレースだ!前回の11着から今まで血の滲むような努力をしてきた彼女のことだ。明日こそは必ず1着になってくれるだろう。そろそろロードワークから帰ってくる時間だねぇ。」
カフェ「……タキオンさん……ただいま帰りました。」
タキオン「お帰りだよカフェ!今、どんな感じかな?」
カフェ「いえ…、その…全然ダメでした。…今の私はトゥインクル挑戦中なので……まだ就職には早いということでした。」
タキオン「…カフェ?君はロードワークに行ってきたのじゃないのかい?」
カフェ「…ロードワーク?…いえ、ハローワークに……行ってきてました。」
タキオン「バカかね君はっ!?ロードワークとハローワークって全然違うじゃないか!?勘弁してくれたまえ…レースは明日だよ?」
カフェ「…大丈夫です。」
タキオン「身体は仕上がっているのかい?」
カフェ「…はい。……このボディをみてください。」ぽこっ
タキオン「なんだい、このだらしないお腹はっ!?全然ダメじゃないか!?今すぐ保健室に行きたまえ!?」
カフェ「…え?……だってタキオンさん……私にもっと太れって…」
タキオン「だとしても限度があるよ!?…カフェ、前回のレースから何kg太ったんだい?」
カフェ「…4.6kgです。」
タキオン「嘘を言うんじゃないよ…本当は?」
カフェ「……Xkgです。」
タキオン「本当は?」
カフェ「XXkgですが何かっ!」
タキオン「何か、じゃないよ!明日までにカバー出来る増量じゃないよねぇ!?無理だねぇ!?」
カフェ「…大丈夫です。…その時は……お腹を引っ込めてレースを走ります。」
タキオン「バカかねっ!?そんなことしても体重は変わらないよ!ただ走りに影響が出るだけだよ!」
カフェ「…えぇ!?」
タキオン「知らなかったのかい!?カフェ、君は今まで何をしていたんだい?…仕方ない。とりあえずは減量のため、今から飲むのも食べるのも明日までは無しだよ。」
カフェ「…えー……」
タキオン「やる気ないのかいっ!そこは『はい』とか『分かりました』と答えるところだよ!とにかく、一切口にしないでくれたまえよ!」
カフェ「…バナナも?」
タキオン「当たり前だよ!」
カフェ「……バナナは……おやつに入るって…」
タキオン「遠足かっ!?何でおやつならオッケーってなるんだよ!?バナナもダメ!」
カフェ「…凍らせても?」
タキオン「アイスかっ!? アイス感覚で食べようとしてんじゃないよ!…カフェ、今の状況を分かっているのかな?私がケガでトゥインクルを引退した今、私の全てを君に託しているのだよ。」
カフェ「…分かってますよタキオンさん。……そこで1つお願いがあります。」
タキオン「お願い?一体何かね?」
カフェ「…明日…レースの席を取ってもらえないですか?」
タキオン「む?誰か家族でも正体するのかな?いくつ欲しいんだい?」
カフェ「…はい。…子供たちの分を1530席。」
タキオン「業者かっ!?カフェ、君ってそんなに子供がいるのかい?というかそもそもの話、子供がいるのかい!?」
カフェ「……はい、あなたより367人は多いです。」
タキオン「だとしたら私も1000人以上も産んで……そんな訳ないだろっ!物理的にそんな話はあり得ないだろう!」
カフェ「……では、10人までに絞っておきます。……お願いします。」
タキオン「まぁ、それくらいなら…なんとか用意しよう。 では早速トレーニングだよ。じゃあまずスクワットだよ!」
カフェ「ふ…ふっ!ふぅ…」ガクガク
タキオン「何で1回するだけでこんなにバテててるんだ…もういい!次は腹筋だよ!」
カフェ「つっ!つ……ぐっ。……お腹が邪魔です…」バタン
タキオン「太ったからといってこれは…仕方ない。サンドバックだ…ほら!打ち込みたまえ!」
カフェ「…しゃっ!しゃしゃっ!」シュッ
タキオン「ほらほら!もっと早く打ち込むのだよ!」
カフェ「…絶対、巨乳になって…見せます!」シュッ
タキオン「どんな目標だっ!君が走るのはお友達に追いつくためだろう!なんで胸の方に気合いが向かっているのだよっ!」
カフェ「はぁ…はぁ…」
タキオン「なんだい、もう息が切れているのかい?スタミナ自慢の君はどこに消えた?とりあえず呼吸を整えたまえ。」
カフェ「ひっ、ひっ、ふぅー…ひぃ、ひぃ、ふぅー…」
タキオン「妊婦かっ!」
カフェ「…あ、今蹴りました。」
タキオン「妊婦かっ!その太ったお腹は誰かとの子供かい?」
カフェ「…」
タキオン「…え?まさか本当に…」
カフェ「…いえ、毎日スペさんと朝ごはんをいっぱい食べていたら…こうなっていました。」ぽこっ
タキオン「ただの自業自得だよっ!ちゃんとしたまえ!次はスパーリングだよ!」
カフェ「…私は炭酸より…コーヒーが…」
タキオン「スパークリングじゃないよっ!この状況で飲ます訳がないだろうが!スパーリングだ!気合いをいれたまえ!まずはジャブだ!来たまえ!」パンッ
カフェ「…じゃぶじゃふじゃぶ。」ゴシゴシ
タキオン「アライグマかっ!次はアッパー!」
カフェ「…Apple pen。」
タキオン「ピコ太郎かっ!次はストレートだよ!」
カフェ「…えぇ。…自慢の髪ですので…いつも丁寧な手入れをしてもらい…」
タキオン「美容室かっ!次はワンツー!」
カフェ「欧米ですかっ!」
タキオン「何がっ!?カフェ…君は全然トレーニングに集中が出来ていないよ。余計なことをしないでくれ…」
カフェ「…すみません。」
タキオン「トレーニングはここまでだ。やり過ぎると明日に響くからねぇ…いいかいカフェ。レース中、キツくなったら弥生賞を思い出すといい。」
カフェ「…はい。…プフフフッ!」
タキオン「思い出し笑いするんじゃないよ!あのレースで何か笑える所はあったのかい?」
カフェ「…あの時の私は…すごく細かったなって…今と比べるとマッチ棒ですよ。」
タキオン「せめて、私の走りに敵わなかったくらいで笑ってくれよ!?…明日の作戦だけど、『蝶のように舞い、蜂のように刺す』で行こう。」
カフェ「虫ですかっ!?」
タキオン「何がっ!?」
カフェ「虫じゃないですか!蝶とか蜂とか…」
タキオン「虫じゃないよ!『蝶のように舞い、蜂のように刺す』は道中は蝶の羽ばたきのように華麗に走り、最後の直線で蜂の針のように鋭い末脚で差しきる戦法だ。元ネタはアメリカのモハメド・アリというボクシング選手かららしいが。」
カフェ「蟻……虫ですかっ!」
タキオン「違うと言ってるだろっ!もういい…明日のレースは君1人で行ってくるといい!」
カフェ「……ごめんなさいタキオンさん。…実は……明日が4ヵ月ぶりのレースだと考えると……つい緊張して……私自身も訳が分からないなっていました。……本当にごめんなさい。」
タキオン「………」
カフェ「無視ですかっ!」
タキオン「いい加減にしたまえよ!カフェ、君は今を持って私のモルモットを解雇だよ!」
カフェ「…蚕?虫ですかっ!」
タキオン「さっさと部屋に帰って寝たまえ!」
翌日、マンハッタンカフェは2バ身差で勝利した。