衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】 作:神宮寺志狼
一つ、怪物は言葉を喋ってはならない。
二つ、怪物は正体不明でなければいけない。
三つ、────怪物は、不死身でなければ意味がない ──。』
『空の境界』(下) 矛盾螺旋、蒼崎橙子より。
「君に課せられた、その枷は、言葉通り君を縛り付けている。」
瞼を開く。
気がついたら、夜になっていた。
夜のテラス。
どういう訳かまた彼女と向かい合っている。
視界に映る全てのものは前と同じように不鮮明で視え辛く、言葉もまた聞き取り難い。
しかし、無気力、無関心のようだった彼女の表情が、少しだけ眉間に皺を寄せているのだけはわかった。
どうやら何か不満らしい。
「嗚呼、不満だ。
それでいて君が不憫で仕方ない。」
俺が不憫だって.....?
なんでさ。
「何にしても君はやはり、間違えている。
誰かを助けようと動いても、本来の力は振るえず。
かと言って権力という名の剣を振り被ればそれだけ敵を作ってしまう。
自分を押し殺そうとし、失敗し。
他人の為に出来うる限りの行動をしても、君を知らない者達には理解されない。
特にトリニティでは、君の扱いは酷いものだろう。」
別に理解して欲しいとか、報酬が欲しいんじゃない。
確かに今の俺の立場なら、信頼と信用は得なければいけないのだろうけど、それはそれとして目の前の生徒を助けることも重要だ。
「そういうことではないんだ.....。
端的に言おう。
君はこれまで
君の状況判断力が、
いくら運命のいたずらがあったとはいえど、君は君自身の選択で生き残ったのだから。
しかし、全てが君のように都合よく上手くいくわけじゃない。
間違えられなかった君と、
確かにこれまで君は基本的に生徒の意志を尊重する姿勢を見せていたね。
けれどこう思ったことは無いのかい?
その後の手段の選択は?
誰を味方にして、誰を敵にするか?
何を使って、何を使わないべきか?
「それら全てを彼女達に任せるべきだったのではないだろうか」とね。」
──────それは、違う。
薄く、しかしはっきりと思い浮かぶ、助言にも似たその言葉の数々。
ずっと悩みながら歩んできたはずだ。
「この選択で間違いは無いだろうか」と。
俺は託された筈だ。
だからこそ、俺は手が届く範囲の生徒達の為に、出来うる限りの手を尽くした。
元々の俺の力なんて大したことも無い。
結局カイザー理事の言っていた通り、未熟な小僧のままだ。
それでも皆、言ってくれた。
「ありがとう」と。
俺が先生でなければダメだった、と言ってくれる生徒までいた。
あの笑顔は本物だ。
それを否定することなんて、誰にもできない。
もし、間違いだったのなら、俺を信じて委ねてくれたアイツらのそれら全てが間違いだった事になる。
そしてその結果も。
「その結果、敵を無用に生み、誰かを失ってもかい?」
──────。
「過ぎたことだが───
仮に、もし君が「魔術師」などと名乗らず、「シャーレ」の権力を無闇矢鱈と振りかざさなければ、ナギサからの信用を得ることも出来たかもしれない。
そうなれば藤河マコ。
彼女も我々の諍いに巻き込まれることはなかっただろう。」
......。
俺が、マコを巻き込んだ。
あぁ、確かにそうだろう。
でも、起きてしまったことは覆せない。
「勿論、君を責めているつもりは無い。
結果はどうあれ、行動したのは彼女達だ。
それに、君は確かに生徒たちを救ってきた。
─────────────。
反論が、何一つ出来ない。
自分自身に対する責任。
そんなもの人間なら当然持っているそれを、俺は何処かに置いてきている。
「私に言わせれば、自分自身に責任を持てない者が、他者を背負おうなどというのは、単なる奢りだ。
君は配慮するべきだ。
自らの言動と行動が、周囲に与える影響を。
下手をすれば被害を受けるのは君だけでは済まないのだから。」
.....確かに、これまでの自身の選択を疑いはしたが、その後の事まで考えては来なかった。
それこそ過疎化し、荒廃しつつあるブラックマーケット。
あれは、俺たちの選択によって変わってしまった。
アビドス砂漠から来たあの大蛇。
あれもカイザーPMCが押さえ込んでいたのを、俺たちが倒した為にアビドス市街地まで進行してきたとも言える。
ミレニアムプライスの延期。
俺がウタハに作ってもらった剣で、美甘がトリガーとなったミレニアムタワー最上階の破壊。
あれが無ければどうなっていたのか。
もしかしたらモモイ達は死にものぐるいで作業に打ち込めたのではないだろうか?
選択には常に責任と結果が伴う。
「分かっているのだろう?先生。
助けられるのは
君の御父上が述べた通り、「誰かを助けるということは誰かを助けないということ」。
この先君は選択を強いられるだろう。
誰を助けるのか、誰の味方をするのか。
選ぶということは選ばないということ。
それを─────」
カチリ、と音がする。
頭にきた。
やはり、誰かを助けた結果、誰かを見捨てるという理論に行き着くことが馬鹿げている。
一番頭にきたのは、目の前の二十歳に届かない少女が達観し現実を諦めていることだ。
放置されたプールを眺めながらアズサが呟いた言葉を思い出す。
そして、俺はアビドスで、ミレニアムで、生徒達になんと言ってきたのか。
諦めてはいけないと、散々言ってきたじゃないか。
生徒達が、間違えてもいいというのならそれこそ─────
「諦めてはいけない....か。
それは、私にはもう、難しいことだ。
誰も彼もが君のように強い訳じゃないのだから───。」
無気力な表情に戻った彼女を最後に、意識が遠くなる。
「衛宮先生。」
彼女が最後に放った言葉は、理解が及ばなかった。
「一部の生徒から会話を拒まれ、理解されず、死なない先生よ。
これだけは覚えておいて欲しい。
このトリニティにおいて、君の存在は「怪物」そのものだと言うことを────。」
...........冷たい。
手のひらで額を
頭の上には氷嚢が置いてあったのだ。
口の中は鉄の味がして不味い。
吸血鬼にでもなった気分だ。
「お目覚めですか?士郎さん.....。」
「おはよ、ワカモ。
悪い、今何時だ....?」
気づけば自分の部屋。
窓の外から見える風景は真っ暗だ。
間違いなく3、4時間で済むものではない。
傍にはワカモ一人。
彼女の表情はやや暗く、微かに調味料の香りを漂わせている。
「19時です。
それよりお身体の方は......。」
上体を起こす。
やはり頭痛はするが、体そのものはなんともない。
この頭痛も、俺が倒れた原因とはまた別のものだろう。
「あぁ、何ともないよ。」
その後ワカモから事の顛末を聞いた。
まず、歌住と話している最中に俺が倒れ、直後浦和が駆けつけてきてくれたそうだ。
で、俺への処置した後、ワカモはアズサに「俺がどうして倒れたのか」を問い詰め、拘束されていたティーパーティーの生徒達が居る部屋へ直行。
リーダー格の生徒から今回事に及んだ理由を拷問地味た手で聞き出したそうだ。
彼女達は桐藤からマコを探すよう指示されていたものの、マコの状況を1番知っていた彼女達は生存は絶望的と諦め、俺たちを襲撃したらしい。
初めは「このままではシャーレとトリニティの戦争になる」
「ナギサ様に迷惑を掛けたくない」だとか見え透いた事を言っていたのだが、主犯格らしき生徒が正直に「消されたくなかった」と口にしたことでそれに頷いたらしい。
「まさか、あなた様はご存知だったのですか?
藤河さんが.....その────」
「いや、聞いたのは今日だ。
ミカがさ、マコの事心配してくれて探してくれてみたいなんだ。
昼抜けてたのはそれだ。」
ミカの話題を出すとむっと膨れっ面になったが、その話題は一旦隅に置いた。
「心配ですね......。」
これまたなんと。
ワカモが他人の心配をしているなんて意外だな。
────
「あいつならきっと無事だ。
今頃猪追いかけ回したり、兎を容赦なく焼いて食ってるだろ。
それよりその生徒達はまだ教室にいるんだよな?」
「は、はい....あの正義実現委員会の娘と、アズサさんが見ています。」
「そうか、アズサにも迷惑かけたし、謝らなきゃな。」
ベッドから降りる。
まだ、寝ていられない、休んではいられない。
非常に大事で、今すべき事がまだ幾つも残っている。
「あ、あなた様!?どちらへ!」
先程の会話で理解しているだろう彼女。
多分、これからする事をワカモに話したら非難されるだろう。
そして、アズサにも。
あぁ、でも、部屋を出る前に、これだけは言っておかないと。
「皆の夕飯、お前が作ってくれたんだろ?
あいつらの面倒見てくれてありがとな。
助かってる。」
ワカモを残し、部屋を出る。
行きがけの洗面所で胃から出てきた鉄の塊を血と共に吐き出す。
当たり前か.....。
なんせ俺を殺そうと銃を向けてきた生徒達が何人も居たんだ。
今までの事を考えるなら生きてることの方が奇跡だろう。
教室の扉の前にポツンと誰か立っている。
目を凝らすと、それはコハルとヒフミだった。
「お前達なんで居るんだ?」
声をかけた瞬間、こちらを認識したコハルが駆け足でこちらに寄ってくる。
「このバカぁ!」
(ドガッ!)
「うぉっ...!?」
腹へと一直線に突っ込んできたコハルを受け止める。
「死んじゃったかと思ったじゃない!
倒れる時は一声かけてからにしてよ!馬鹿!」
いやいや、そんな「あ、ごめん今から気失うからよろしく」みたいなこと言えるか!
そんな思いついた反論は涙目に下から見上げる表情をみて飲み込んだ。
「心配かけて悪かった。
もう大丈夫だ。」
して、時間差でこちらに来たヒフミに問う。
「見張りはアズサが担当してるって聞いたんだけど.....?」
「あはは......話を聞いてアズサちゃん1人にお任せするのは気が引けて.....。
ワカモちゃんから話は聞きました....?」
「大体.....。
そういうそっちは4人とも事情を把握してるのか?」
コハルへ視線を向けるとキョトンとしている。
そこへ、俺の耳元に近づいたヒフミがこそこそと呟いた。
(いいえ、知っているのは私とワカモちゃんとアズサちゃん...それにハナコちゃんだけです...。
それにどうして藤河さんが衛宮先生の元を離れて
(すまん、後で話そう。
お前たちは先に戻っていてくれ、
(.....わかりました...。)
「コハルちゃん、ここは衛宮先生にお任せして、先に戻りましょう。」
「.....うん。じゃあね....。」
2人は去っていった。
......ヒフミの配慮にはいくら感謝しても足りないな...。
教室の扉を開けた。
予想通りそこには昼間の拘束されたティーパーティーの生徒達とアズサ。
そして浦和がいた。
「良かった、無事だったんだなシロウ!」
「こんばんは、衛宮先生。
お怪我の具合はどうですか?」
アズサは駆け寄り、浦和はゆっくりとこちらへ歩いてくる。
ティーパーティーの生徒達からは文句や罵倒、罵詈雑言を言われると覚悟していた。
しかしそんなことは無く、昼間とは逆に意気消沈していた。
「もう大丈夫だ。
2人とも悪いな、こんな事させて。」
そう返事をするとアズサが初めてため息を吐いた。
表情は怒っているとも、呆れているとも取れるようなもの。
「シロウ、どういうことだ。
どうして司令塔である貴方が前に出たんだ。
戦闘は私達の役割だ。」
次に口から出てきたのはお説教の言葉である。
「いやだって、お前対応出来てなかったじゃないか!
あのまま殴られてたら前衛も後衛も司令塔もあったもんじゃないぞ。
何せあの場に前衛っていえる前衛は俺とお前と歌住だけだったんだからな。」
俺の反論に対して再びしかめっ面をするアズサ。
「そういう事じゃない..!
第一、貴方と私達では耐久性も違う。
少し傷を負った所でなんともない。
仮にそうだったとして、司令塔が倒れる方が問題だ。
あのような事をされては私──私達が困る。」
あぁ、なんか懐かしいな。
こんなふうに叱られた時が、あったっけ。
「お前は
「何を言っている?
私は非常に怒っている、反省して欲しい。」
プンスカ、と言った表情だ。
「あぁ、悪かった。
次からは気をつけるよ。」
二度としないとは口が裂けても言えない。
ナイフを投影し、彼女達の拘束を解いていく。
「な!?シロウ、何をするつもりだ!」
「何って、帰すんだよ。
言っとくけどもう決めたことだから、止めたって無駄だぞ。」
「────────。」
「.........。」
アズサと浦和は絶句している。
「は?」
「え、なんで....」
「私たち帰れるの....?」
「────────。」
三者三葉。
いろんな感想が漏れ出ているのを無視して脈々と作業を続ける。
「これでよし。立てるか?」
声をかければ、皆一歩、二歩と後ずさりする。
その目は訝しむ様に、驚くように、怖がるように俺に向けられていた。
「大丈夫、何かしようってわけじゃない。
むしろこれ以上事を荒立てない為にもお前たちには無事帰って貰わないと困るくらいなんだ。」
「.......。」
「.....だけど....。」
納得がいかない、とばかりに誰も教室から出ていかない。
多少は懲りて反省しているのか。
それとも何かあると疑っているのか。
困り果てた。
いつまでここで睨めっこをすればいいのか。
考えろ。
どうしたら納得してもらえるか。
思い出せ、これまで他の奴らはどうしていた。
今の要求はこの生徒達からしたら想定外であり、行動理由がわからない上に此方に対しての理がないように見えているのだろう。
であればしっかり説明して、誤解があるなら主張しなければ。
「誤解を解いておきたいんだが。
俺はティーパーティーやトリニティと戦争するつもりもなければ、桐藤と喧嘩したい訳じゃない。
で、確かにお前たちは良くない事をした。
でも今回の件はそもそも桐藤が嘘をついてマコを軟禁し始めたのが原因なんだから最初に責任追求するべきは桐藤に対してで、お前達は二の次だ。
むしろ桐藤はお前達が問題を起こさなかったら隠し通すつもり───いや、この期に及んで一切なんの連絡も謝罪もないんだからまだ隠し通せると思ってるんだろ。
マコには悪いんだがある意味状況を知れたって点で言うならお前達には礼を言いたいくらいだ。
だからといってお前たちのした事を無かったことにするつもりも毛頭ないけどな。
それでも、一連の行いを反省してるって言うなら俺の方から取り計らったっていい。」
正直俺は個人的に桐藤に対して腹が立っている。
『アイツには一学園の生徒会長としての責任感はないのか?』と。
そんな風に考えてしまうのも俺が当人や身の回りの現状、立場をよく知らないからだろう。
忠告してくれたミカには悪いが、早急に話し合いの機会を設けるべきだ。
「それはそれとして、マコが帰ってきたらちゃんと誠意を持って謝罪すること、いいな?」
まとまって転がっていた彼女達の武器を差し出す。
リーダー格の生徒は恐る恐るだが、受け取ってくれた。
「.......わか...りました、行きましょう、皆。」
「「は、はい...。」」
どうやら全員納得して帰ってくれるらしい。
「門までは見送る。」そう言うとアズサと浦和も着いてきた。
して、門のところまで行く最中─────
「あれ?歌住とマリー。
まだ残っていてくれたのか?」
昼間協力してくれた2人とばったり会った。
.....いや、そういえば倒れたのは歌住の目の前での事だった。
それに話も中途半端のままだ。
「はい。
ヒフミさんから衛宮先生が目を覚まして昼交戦した生徒達の所へ行った、と伺いまして。」
「あぁ、これから帰らせる。」
そういう訳で疲弊したティーパーティーの生徒達を歌住達が護衛という形で送り届けてくれることになった。
歌住とマリーにはわざわざこんな所まで来てもらったのに悪いことをした。
「悪いな、なんか巻き込んじまって。
話の途中に倒れちまったし。
流石に今日は遅いから話とお詫びはまた後日。」
「いえ.....衛宮先生、お疲れ様でした。
ですが少しはご自愛ください.....先生が無理をして傷つくのは見ていて辛いです....。
どうか....皆様に御加護を....。」
正直怒られるより、凹まれるほうが辛い。
マリーはその場で俺の両手を握り、目を閉じて祈っている。
そういう歌住はというと。
「お気になさらなず。
私も彼女達に
「「ヒッ!?」」
寒気を感じた。
夜で暗いからか、彼女の言動と表情はティーパーティーの生徒達すら怯えるほどの
「お、おいあんまり手荒な事は───」
「心配ありません。
..........決まって笑みを浮かべながら「お話」なんて言い出す時は大抵、話だけでは済まないのだ。
「南無三.....」
宗教的に意味合いは違うだろが、両手を合わせて見送った。
「........して。
やっぱり不満か、アズサは。」
大層不機嫌になった彼女がそこにはいた。
「当然だ。
自らを消そうとしてきた者を、どうして易々と帰した?
シロウは甘すぎる。
先程までも、一切警戒していないように見えた。」
「消すって言ったってな......。
確かに生徒達に死んで欲しいなんて本気で思われたのは今回が初めてだろうけど.....。
あれだって本人の意思かどうか怪しいもんだぞ。
下手に彼女達に手を出せば桐藤との全面戦争になりかねないし....。
第一、
そんな事してみろ。
「贅沢は敵!」「臥薪嘗胆!」「断食の思いで!」「欲しがりません受かるまでは!」みたいな地獄の合宿のスタートだぞ。」
エンゲル係数を考えろ!なんて思った。
尚、シャーレでの食費?当然安くないぞ。
「......では、どうして優しくしたんですか?」
呟きは浦和のもの。
「衛宮先生が優しいことは理解しています。
ですが、彼女───藤河マコさんは衛宮先生にとって大事な生徒のひとりのはずです。
藤河組......彼女達は衛宮先生を親の様に慕っていると聞いたことがあります。
その貴方は、藤河さんの置かれた状況を知ってどうしてそのような態度でいられるんですか?」
悲しそうなその声音とは裏腹に、浦和は怒っている。
浦和は「大事な人を傷つけた者達をどうして許すことが出来るのか。」と聞いているのではないだろうか。
「──────浦和。
お前、取り返しのつかないことをした覚えってあるか?」
「......例えばどのような?」
眉間に皺を寄せながら、彼女は質問で返す。
やけに具体的に聞きたがる。
こんな形で真面目に浦和と話をすることになるとは思ってもみなかった。
「後悔していることだ。
償え無いような程の間違い。
俺にはある。
それを贖う為に、俺はずっと生きてきたし、今も生きてる。
間違ったっていいんだ。
誰かを傷つけるのも、迷惑をかけるのも悪いことだけど、間違いを反省して前を向いて生きられるなら、その罪は許されるべきだ。」
「..........例え、それが人殺しだったとしても?」
嫌に鋭く、彼女は質問を繰り返す。
それは俺のことを見透かしてのものだろうか?
「罪の重さは自分で決めて背負うものだと思う。
少なくとも第三者他が決めるべきじゃない。」
「..........。
もしそれでも彼女達が反省しないようなら....?」
「その時はその時だ。」
俯いた彼女は、「私には理解できません。」と言って先にひとりで館内に戻って行った。
.......どうやら今回の件での俺の対応の仕方は彼女の地雷を踏んだようだった。
「私達も戻ろう。」
「......あぁ。」
俺は歩き出したアズサの後に続いて館内へと帰った。
後書き
相変わらず一言足りないセイア。
知っているのにも関わらず「藤河マコなら生きているよ」とは一言も言わない。
そして折角得た信用を全て台無しにする士郎。
浦和ハナコから見た衛宮士郎は恐らく「怪物」でしかない。