衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】 作:神宮寺志狼
窓から差し込む日差し。
目を開く。
視線の先に移るのは見知らぬ天井だ。
体が重く、生きた心地がしない。
寝ていたいがそうも言っていられない。
「おはようございます。」
声をかけられ、身体を起こして周囲を見回した。
「─────。」
声が出ない。
持ち物は隣の小さい机に置いてある端末のみ。
シッテムの箱が────ない。
此処はアビドスで寝泊まりしていた保健室に似ている。
つまり────
「初めまして、衛宮先生。
此処は救護騎士団の部室で、私は
セリナとお呼びください、衛宮先生。」
ここが噂に聞いた救護騎士団の部室....
その見た目はまるっきり保健室そのものだ。
「──────。」
俺が口パクでどうにか色々尋ねようとしているのを見て、彼女は説明を始めた。
「あ!すみません。
先に貴方の現状についてお話します。
今、貴方は昨日の時点で、内蔵及び声帯を損傷とかなりの重症でした....。
原因は.....説明しにくいのですが、銃傷です。
私も外傷痕の無い銃創なんて初めて見ました。
残っていた少数の弾丸は内臓から摘出しましたのでこれ以上の悪化は無いかと....。
声の方も注射を打ちましたので2日も経てば回復すると思います。
ですがしばらく安静にしていてください。」
冷静にセリナの話を聞く。
.......そりゃたまげるだろうな。
銃弾の痕が無いのに体内に弾丸が残ってんだから。
それにしても......摘出....?
一体どんな技術を使ったんだよ....。
腹をさすってみるが、縫合痕も残ってないようだし。
「........衛宮先生のお話は兼ねてより聞いていました。
生徒の為にかなりの無茶をする人だと....。
ですが御自分の体も大事になさってくださいね?」
「───────。」
いや、これはなんというか不可抗力なんだが。
多分俺は浦和の触れてほしくない話題に首を突っ込んでしまったんだろ。
焦り過ぎた。
残り二回の学力試験を無事に突破しないといけないと思い、浦和の個人的な問題に首を突っ込もうとしたのは早計だったのかも知れない。
ああ言うのは即問題解決、とは至らない。
長く付き合って初めて心の内を明かしてもらえるもんだと、分かってはいたんだ。
そう、
「..........。」
「衛宮先生、私達が手当できるのは、身体の傷だけです。
心の傷は─────」
辛気臭い顔をしていたからか、気を使ってくれる。
それを首を横に振って否定した。
「....そうですか。」
ベッドから降りて、立ち上がる。
体がすこしふらついた。
「衛宮先生!まだ安静にしていてください!」
「─────あり...がとうな。」
身体は声が出ないこと以外何ともないのだから、こんな所で寝ているわけにはいかない。
引き止めるセリナを残して、その部屋を後にした。
校舎から去る最中の周囲の視線。
忌避するように離れていく生徒達。
ひそひそと聞こえる陰口のような話。
「本来歓迎されない客」であると言うことを改めて実感した。
合宿所である別館に戻れば、教室内で黙々と模試を行うヒフミ達とそれを見守るワカモの姿があった。
足が、一歩退いた。
静かだった教室の、熱心に勉学へ励む彼女達の邪魔をしたくないという理由だけではない。
その場に、俺という存在が必要ないと、感じられた。
いつも補習授業部の大方の面倒はヒフミがみてくれていた。
模試をしようと色々動いていたのも彼女だし、基本方針を決めたのも彼女だ。
浦和はかなり面倒見がいい、ヒフミと協力してアズサとコハルに勉強を教えている。
何かあってもワカモも居る。
むしろ、俺は余計な存在なのではないか、と後暗い考えさえ湧いてくる。
元々補習授業部での役割は置物だった。
建前は管理、面倒を見るために呼び出されたがその実、監視対象で.......酷ければ処分しよう、くらいの存在。
ふと、モモトークを見ればワカモから連絡が入っていた。
『士郎さん。
お話したいことは沢山あります。
お聞きしたいことも沢山御座います。
ですが、今はおやすみください。
もし、体を動かしたいのでしたら気分転換に散歩でもいかがでしょう?
補習授業部のことはお任せを。
あなた様の代わりとして、しっかり面倒を見ておきます故。』
.......本当にワカモには感謝しかない。
迷った結果、「こんな状態で生徒と向き合うなんて失礼」という事で身を翻す。
雲行きは怪しく、地面に影が差す。
傘など持っていない。
当然天気予報なんて一切見ていないからだ。
街の店で食材を買い物かごへ入れ、会計を済ませる。
脳裏に浮かんだのはセイバーと街を歩き回った思い出。
「....あの頃とは何もかも違うんだもんな.....。」
誰に言うでもなく、呟いた。
「変わらないものなどないのさ。
この世は諸行無常。
形あるものはいずれ壊れ、仲の良かった友人達も離れていく。
それが人生というものだよ、若者よ。」
「.....へ?」
声をかけられる。
思わず振り向くと底にはこれまたピンク色の髪を持つ独特の話し方をする少女が立っている。
「.....随分と悩み事が深いようだね。
随分と眉間に皺を寄せて、それではあっという間おじいちゃんになってしまうよ。」
「おじい...ちゃん....って...おまえ、なぁ...。
何に悩んでるのか、わかるのかよ。」
気づけば、セリナの打ってくれた薬が効いたのか、随分と声が出るようになっていた。
これで意思疎通ができない問題は解決された....が。
むしろこの場合意思疎通出来ることの方が問題だ。
奇妙な言い回しの真意を読みといてコミュニケーションをとるのは骨が折れそうだ。
「.....誰かと諍いを起こした、そんな顔をしている。」
「───────。」
当たっているのだから何も言えない。
「........ズバリ言おう。
今の君に圧倒的に足りないもの。
それは──────」
「それ....は?」
随分と長いこと言葉を溜めている。
その雰囲気は重く....
「それはだ.......糖分だ。」
「────────は?」
疑問符を、今の一瞬でどれだけ使ったことだろうか。
彼女はそう言うなり、俺の手を引いて歩き始めた。
「ナツ遅い!
今度は何処で道草を─────」
「....ナツちゃん....その人は?」
「.......アンタ、ちょっと何処でそれを拾ってきたのよ....。」
入ったのは無茶苦茶高級そうなスイーツ店。
テーブル席には3人の生徒が座っていた。
「道端で────」
なんだ、この懐かしい流れ。
あの時は「捨ててきなさい」って言われたんだっけ?
「ちょ、ちょっと待て、人を捨て犬や猫扱いするのはやめろ!
.....ったくなんだって言うんだ...。
勝手に連れてきて「捨ててきなさい」みたいな流れは。
俺にだって戻る場所くらい────。」
ある、と断言できなかった。
迷っている。
このまま補習授業部へ戻ってもいいのかと。
「あ、俯いた......。」
「本当に捨て犬みたいじゃん。」
「いや、俺は────」
「まぁ....どうぞどうぞー。」
断ろうとするも背中を押され席に座らされる。
「え!こんな知らない人と一緒なんて私は嫌なんだけど!」
「.........でもヨシミちゃん、スイーツの美味しさは沢山の人と共有した方がもっと美味しいよ....?」
「そ、それはそうだけど.....。」
なんと言うか断固拒否!みたいな流れになると思い込んでいたのだが、そんなことも無くどうも受け入れられているようだった。
道中のトリニティ生徒を忌避していた。
もしかして、俺の事は知らないのだろうか?
「で、アンタ誰な訳?
見た感じ大人の人でしょ、不審者....って柄じゃないけど、なんか怪しい。
観光客が身ぐるみ剥がされて帰れなくなったとか.....?」
黄髪の生徒に睨まれる。
「いや.....俺は───」
言葉が詰まった。
シャーレの衛宮士郎だ、なんてこれまで通り名乗っていいものか?
俺は権威を振りかざしたくてその名前を出してきたわけじゃない、自身の存在を理解してもらうのに丁度良いと思ったからだ。
でも、それはもう良い方法ではない。
「───士郎って言うんだ。
トリニティの教...職員だよ。
ちょっと仕事で失敗しちゃって上司から怒られて凹んでただけで....気にしないでくれ。」
もう俺が誰だか知ってもらう必要も、理解してもらう必要もない。
俺はただの一般人の扱いで構わない。
「まぁ、それは....」
「それはどうもお疲れ様です。」
警戒はされているもののどうも忌避というより憐れみの目だ。
ふと机の上に目がいく。
開かれた参考書と教科書に解き掛けの問題集。
場所と形は違えど、勉強している最中か。
....ん?
「なぁ、ここ、間違ってるぞ?」
黒髪ショートの猫耳を生やした生徒のノートを指さす。
「え....?」
「いやだからここの数式の答え。
これはこうじゃないか?」
ヒフミが作っていた模試、それと似たような問題がのっている。
ノートの上に転がっているシャーペンを使い正しい数式を書いていく。
「あ、お前の方もそこの文法、少しおかしいぞ。」
「え....あ、ホントじゃん....」
「....これは、我ながらとんでもない原石を拾ってきてしまったようだ...。
鼻が高いね。」
「そりゃ職員さんなんだからある程度できて当たり前でしょ。」
俺を連れてきた生徒は自慢げに言い、それにツッコミをいれるその友人達。
彼女達は「放課後スイーツ部」というトリニティの部活。
再試の為の勉強をする予定だったらしい。
部員は4人。
全員16歳の1年生だそうだ。
流れの結果、4人の勉強をみながらスイーツ店で少しばかりの時間を過ごすことになった。
「で、お偉いさんの決定で補習授業部って部活の顧問をすることになってそこの生徒達が変わり種ばっかりで困ってる...と。
士郎さんも大変だね。」
「こんな所
事情を話せば、最初は警戒していたカズサやヨシミは徐々に受け入れてくれた。
「まぁ、今は時間を貰って自分を見直し中みたいな所だ。
....なんか迷惑かけて悪いな。」
「いえ、大丈夫です。」
放課後スイーツ部は全くと言っていいほど政治に疎かった。
ティーパーティーが、とか桐藤が、とか言っても一切通じない。
ゴタゴタとは一切切り離された所にいる一般の生徒だった。
『エデン条約?何それ。
てか、「杏山」って...今どき苗字呼び?
.....士郎さん、教員なのに生徒に対して冷たくない?』
カズサに色々聞いてみたところ情報収集どころか説教されてしまった。
......やはりどうも俺の価値観はズレているらしい。
まぁ当たり前といえば当たり前かもしれない。
「衛宮」なんて苗字自体珍しいのでふとした拍子に「あ、シャーレの先生」か、なんて身分バレを防ぐためにわざわざ名前で名乗った。
そういう訳で名前呼びされるのは当然だ。
逆に言えば「名前で呼ぶんだから名前で呼んでよ」という流れになってもおかしくない。
「ヨシミ、そこ単語のスペル間違えてるぞ。」
「うっ....わかってるわよ!」
補習授業部の模試の答え合わせをしていただけあってよくわかる。
カズサやヨシミの点数はアズサの学力とどっこいどっこいなのだ。
見て、再度理解してしまった。
あの4人は本当に桐藤によって「選ばれてしまった」面子である事を。
「..........。」
桐藤と対話するべきか。
それすらもう分からない。
無理にでも話をして和解の糸口を見つけるべきなのか、ミカの言う通りそっとしておくべきなのか。
ガラス窓を見れば、外は豪雨に晒されていた。
雨が降る中、小屋の扉をノックする。
(コンコンッ、コンコンコンコンコンッ、コンコンッ)
2回、5回、2回。
小屋を開けてもらうための合図だ。
「.....おかえりなさい、マコさん。
ご無事で何よりです。」
扉開けば彼女は私を庇うように背中に手を回して中へ私を招き入れる。
外を警戒し、ゆっくりと扉を閉めた。
「何言ってんのさ、物を取りに行っただけじゃない。
そんな心配しないでよ、ミネさん。」
軽口とともに肩を叩く。
彼女は蒼森ミネ。
私の命の恩人の一人であり、紳士という言葉が士郎以上に似合う生徒だ。
「心配もします。
貴女の回復速度は異常です。
まさか、あの状態からたった2日で動けるようになるなんて....。
無理はしていませんか?」
「いや全然?」
ミネさんがいうには私は40℃近い発熱に感染症、栄養失調と酷い有様だったらしい。
「もしかしたらヘイローが壊れかけていたかも」とも言っていた。
が、今日目覚めた私にとってはなんの事やらである。
「タフさと頑丈さと元気が私の取り柄だからね。」
「.....取り柄というか....。
稀に見る健康体ですね....。」
私は頼まれた物資をミネさんに手渡した。
外装は銀色のアタッシュケース。
中には医療品がきちんと整頓されて梱包されている。
これは買い出しとは別に、彼女の部屋から持ってきたものだ。
「これであってた?」
「ええ、問題ありません。
これで暫くは持つかと。」
彼女は点滴袋を取り出すと、
急拵えに「立ち入り禁止」と書かれた張り紙が貼ってある。
何を聞いても
『患者に障ります。』
『申し訳ありませんが、機密事項です。』
の2点張り。
立ち入りと質問の一切を禁じられた。
校舎に戻ってもいいか?と聞けば....
『申し訳ありませんが、貴女をこのまま返すわけには行かなくなりました。
それに回復したとはいえ救護対象です。
暫くはここに居ていただきます。』
と答えが返ってきた。
かと思えば。
『....マコさん、恥を忍んでお願いがあります。』
と、物資補給の仕事を任される。
色々と隠さなければいけない事情があるのだろう。
トリニティで顔の割れていない私は何かと都合がいい。
とはいえ、だ。
ミネさんは私がそのまま逃げるとか、考えなかったのだろうか....?
数分後、彼女が部屋から出てくる。
私は思い切って禁句を聞いてみることにした。
「──百合園セイア。
彼女が言ってた。
「水色の髪をした盾を持つ生徒が助けてくれる」って。
貴女の事でしょ?
彼女は「自分は動けない」って言ってた。
最初私は「立場」で動けないんだって思ってたの。
でもそれが「肉体的に動けない」んだとしたら?
立ち入り禁止の部屋。
話してくれない諸事情。
.......そこに、居るんだよね?」
「......。」
しばらくの間、彼女は睨むように私を見ていた。
「機密事項、と言ったはずですが....。
はぁ....二度と、帰れなくなりますよ?」
慣れてないのだろうか?脅しにしては箔がない。
「だったとしても、私を助けてくれた人に感謝しないままは嫌だなぁ。
それに、困っているのなら何か私にも手伝えることは無いの?」
「.....仁義の心ですか。」
「そんなものじゃないわよ。
ただ借りを返すだけ。」
ため息をついた彼女は、値踏みするように私を見る。
「....いいでしょう。
お話します。
こちらへ。」
そうして私は、その部屋へと通された。
「....いつから?
そもそも生きてるの....?」
その部屋のベッドにはヘイローの消失した生徒が1人、死んだように眠っている。
「半年以上ですね。
彼女が襲われかけてもう随分になります。」
「襲われた....?
誰に。」
そうして彼女は語る。
半年前、セイアさんがアリウス分校の生徒に襲撃されたこと。
しかし実行犯の一人は任務を遂行せず、彼女を逃がし、死亡したと偽った。
「半年以上って....じゃあ貴女も夢の中で指示を受けてたの?」
「 ....夢の中?
何の話です?
私は彼女が眠りに落ちるその前に指示を頂きました。
貴女を助けたのも、彼女の書き置きにしたがっただけです。
指定された日に指定された場所へ迎え、と。」
言ったことがおかしかったのか、彼女は変な目で私を見つめる。
「え、えぇと....。」
「何か、隠しているのですか?」
彼女の身長は士郎とほぼ同じで私より背が高い。
その上で睨むような剣幕で問いただされると少し恐怖を感じる。
「そもそも貴女は何者で、どうしてあんな場所で一人倒れていたのですか?」
ここでようやくというか、改めての自己紹介だ。
「......私は、シャーレの「藤河組」の藤河マコ。
親というか....上司?先輩?
違う、「衛宮先生」の付き添いでトリニティに来たんだ。」
「.....その「シャーレ」だったり「藤河組」というのは?」
.....随分と情報が欠けている様子だ。
彼女が半年以上ここに隠れ住んでいるというのは本当の話だろう。
彼女にここ数ヶ月で起きた事を話す。
「連邦生徒会長の失踪。」
「超法規的機関「シャーレ」の設立と衛宮士郎の顧問就任。」
「士郎や私達が行ってきた事。」
必要なのはこの辺りだろうか?
「それでティーパーティーホストの桐藤ナギサが士郎を制御下に置くために私を人質にした。
普通人質って生きてないとダメじゃない?
でも桐藤ナギサの部下は────」
事情を改めて説明していくと彼女の形相は鬼のようになって言った。
「.....ティーパーティーのナギサさん....彼女は「救護」しなければなりませんね.....。
ですが分かりました。
お辛かったでしょう。
その「先生」の元へは今お戻しする訳には参りませんが....。
いつか必ず送り届けるとお約束致します。
ですから─────。」
そんな申し訳なさそうな目で見ないで欲しい。
私は貴女達
「要はここの存在と彼女の事を知った私を帰す訳にはいかないって事でしょ?
大丈夫。
今戻ってもあの人の足ひっぱるだけだろうし。」
「それにしてもセイアさんに他人の夢に干渉出来る力があるだなんて.....。
ですが、それならば、運良く脱走できたことの辻褄は合いますね..。
それで、「藤河組」は義理堅いシャーレのグループ、と。」
とても真剣な表情で彼女が話すから、私はつい恥ずかしくなって両手を振って否定する。
「や、止めてよ気持ち悪い。
ほ、ほら自分のした事ってまるで美談のように語るくせってあるじゃない!
鵜呑みにしないで!
私たちは自分達がしてもらったことを誰かに返してるだけ。
単なる偽善の集団よ。」
助けて貰った恩を誰かに返し、これまでしてきた罪を贖う為に私たちは行動しているに過ぎない。
「....ですがその心の有り
例えそれが己の心から産まれた純粋な思いでなくとも。
誰かを助けるということは悪いことではありません。
しかし、誰かを助けるのは自らを助けてからです。
しばらく安静にしていてください。」
自らを助けてから....ねぇ。
「ふーん....。
狩りが出来ず食料調達に困っていた人がよく言うわね~。」
「....それは...感謝しています。」
揶揄えば、少し項垂れるようなミネさん。
.....ちょっとしたジョークなのだが ....。
ま、暫くはサバイバルだと思えばこんなの何十年もアビドスで生きてきた私にとっては苦でもない。
士郎にはしばらく心配をかけるかもしれないけれど、今はこちらの方も心配だ。
生かされたからには理由がある。
もしかしたら彼女を狙う者がまだ居るかもしれない。
セイアを守り、蒼森ミネの手助けをしよう。
それに、折角、あのトリニティで友人が出来たのだ。
仲良くしないのは勿体ない。
「何はともあれ、これからよろしく頼むわね。
ミネ団長。」
「はい、よろしくお願いします。
マコさん。」
私たちはお互いに差し出した右手を握りしめた。
「でも今後私が買い出しに行くとして、この姿で士郎達にあったら....」
十中八九逃げられる自信が無い。
あちらには鷹の目のイリヤとアロナがいる。
それに電話は桐藤に取り上げられてしまった。
何かあっても連絡手段がない。
「それでしたらご心配無く。
変装道具は1式準備してあります。」
「──────。」
なんと準備がいいのだろう。
彼女は相当なキレ者───
「こちらです。」
「──────。」
訂正、
出されたものはあまりにも、奇怪なものだった。