衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】 作:神宮寺志狼
見上げた空は朝にもかかわらず真っ暗だ。
これは嵐が来る、と勘が告げていた。
しかしこの別館に来た初日に士郎さんと設備の点検をしたから、特に問題は無いだろう。
「おはようございます。皆さん」
朝食の準備を終えると同時に、起床した生徒達が食卓へやってきた。
「おはようございます、ワカモちゃん♪︎
今日もいい香りですね。」
「.......。」
浦和ハナコ。
あんな事があったと言うのに平然としている。
何を考えているのか、常に笑顔の彼女の思考は読めない。
「あら...放置プレイですか.....。」
「─────。」
というより、会話したくもない。
正直、今すぐその口を縫い合わせてやりたい。
「.......おはよ..。
.......。」
(キョロキョロ)
「士郎さんなら本館へ救護騎士団によって搬送されてからまだ戻ってきておりません。」
「.....そっか。
って──べ、別に心配なんてしてないんだから!
そのうち戻ってくるでしょ!」
下江コハル。
最初の方こそ士郎さんや私、補習授業部の生徒を目の敵にしていた彼女。
試験に落ちたことと、この合宿のおかげか、今では協調する姿勢をとっている。
その不安げな表情から、心の底から士郎さんを心配しているのだろう。
「おはよう、ワカモ。」
白州アズサ。
浦和ハナコとは別の意味でそこの知れぬ生徒。
ただし、正直者のきらいがある為、会話することはそこまで難しくは無い。
補習授業部ではまだ付き合いやすい方だ。
「.......。」
そして、この微妙な空気に気まずさを感じている、阿慈谷ヒフミ。
補習授業部が設立される前から、士郎さんとは知り合いで、関係はよく分からない。
アビドス戦に加わっていたというが、どのような経緯からそうなったのか。
一つ言えるのは、私がアビドスから一度去った後に出会ったことは間違いない。
あの数日間のうちに、何かがあったのだろう。
それも、彼は私に話さない。
「「いただきます。」」
何も変わらないいつも通りの朝。
皆が席に座りパンを毟り、かじる。
ただ───それは居なくなった彼を除いてだ。
どうしてこうなってしまったのだろう?
問題を起こさないように、彼の傍に居続ける為に、私はこれまで抑えてきた。
それがいけなかったのだろうか?
彼は、銃口を向けられてさえいないにも関わらず傷を負った。
聞いてはいた。
彼の「役割」が何で、何が出来ないのか。
彼は、生徒を傷つけることは出来ないと。
生徒に刃を向けようものなら、その影響で串刺しになるのだと。
妹様のイリヤさんから、聞かされていた。
しかし、今回はなんだ?
誰にも、刃など向けていない。
むしろ突きつけられたのは彼の方だ。
あの話し合い、彼は何もおかしいことなど言っていなかった。
正しい、単純に
単純に、浦和ハナコという一人の少女を心配しての言葉だ。
怠惰の理由を無理やり聞き出す訳でもなく、せめて二言、言っておきたかっただけなのだ。
「困った事があるなら言ってくれよ」と。
「相談に乗るよ」と。
もし、私に対しての言葉であるなら、嬉々として宙に浮いてしまうほどだろう。
許せない、許せない。
憎くて、妬ましくて、イラついて、悔しくて、苦しくて....歯痒くて....。
しかし、それでも、浦和ハナコの言葉も同じように正しいものであった。
ミレニアムから帰ってきた時は酷く驚いた。
手のひらに、風穴が空いているのだと思った。
しっかりとした処置がされているにも関わらず、右手の包帯に血が滲んでいる。
『─────ミスって機械で手に穴開けちまった。』
『────────────。』
彼は気づいていないと思っているだろうが、こちらはいつだって撃てるよう、引き金に指をかけていた。
しかし撃たなかった───彼の心を慮っての事だ。
事情を偽ったのは、心配かけたくないと言うだけではない。
あの娘のためだろう。
その時に比べれば、今回士郎さんは、ヒフミさんを庇いはしたものの、浦和ハナコという少女への配慮が少しかけていた、と思えなくもない。
昨夜、士郎さんが部屋へ戻ってくる直前、廊下で白州アズサが呟いているのが耳に届いた。
「士郎さんは何処か焦っている様子」だと。
あの時何ができたのだろう?
あの時何をするべきだったのだろう?
指示へ逆らってでも、浦和ハナコへ銃口を向け、黙らせるべきだったのか。
こうなる前に、ティーパーティーを、桐藤ナギサを襲撃するべきだったのか?
───────それを、あの人が望むのだろうか?
「ワカモさん......。」
思い出す。
あの、屈辱を────。
「フフフフフ.....」
「わ、ワカモさん....?」
「........ふふっ.....ふふふふふふふっ.......!
あはははははっ!!」
「わ、ワカモさん!?目が血走っていますよ!?
お気を確かに!!」
「いえ、正気です。
ご心配なく、ヒフミさん。」
藤河さん、貴女ならこんな時、どうしますか?
雨が止んだ頃にはもう6時くらいになっていた。
「そろそろ解散にしよう。」
と切り出すとその言葉通りカフェでの会計を済ませ全員寮を目指す事となった。
「士郎さんのお陰で勉強がかなり捗りました!
ありがとうございます。」
アイリにお礼を言われるが大した事などしていない。
ずっと間違いを指摘して、困っているところがあるなら解き方を教えるだけの作業だった。
「それに全部支払いして貰っちゃったし....。
見てなさい、次は私が払うんだから!」
「そうそう、流石に気前よすぎるよ?士郎さん。
それはそれとしてご馳走様でした。」
「それはお互い様だぞ。」
カズサは頭を下げる。
ヨシミのそれはもうお礼なんだかどうなんだか.....。
かなり高くついたのは確かだ。
が、そもそも同席した以上大人である俺が出すべきだし、いろいろ相談にのってもらったんだからこのくらい構わない。
「それで、士郎さんの悩みは解決したの?」
ナツに問われるも、答えなど出るわけが無い。
「....しばらくはこのままかな。
でも、戻って話し合ってみる。」
「うん、さっきよりいい顔してる、答え出たみたいじゃん。
まぁ頑張りなよ、士郎さん悪い人じゃなさそうだし、私達も応援するからさ。」
「あ、折角ですし、連絡先を交換しませんか?
これで何かあってもお互いに相談できますし。」
励まされた上に気遣われている。
本来なら逆の立場でなければいけないのだが.....。
今の俺は「シャーレの先生」ではない。
「あぁ、そうだな。
これからもよろしくな、4人とも。」
言われたまま連絡先を交換する事にした。
寮まで送ると言ったのだが「早く仕事場戻りなさい」なんて怒られてしまったので、心を切り替えて別館へ戻る事に────
「ん?」
端末が鳴る。
相手は───ワカモだった。
──────。
一瞬頭の中を嫌な想像がよぎる。
何馬鹿なことを考えていたんだろう。
『俺は補習授業部に必要ない。』
仮にそれが本当だったとして。
「もしもし、どうしたワカモ!」
電話に出つつ、足を動かし最短距離で別館へ戻る。
『お休みのところ.....士郎さん?
何だか息が荒いようですが───』
「────え?
あぁ....」
鬼気迫るという雰囲気は感じられない。
よかった、緊急事態というわけではないらしい。
「い、いや気にするな。
それで、どうしたんだよ。」
それはそれで気になる。
ワカモは何時も俺の帰りを待っていてくれた。
それがどんな要件であれ、彼女の傍を離れた後に電話などかかってくることなどなかったのだ。
少なくとも彼女では判断が難しい何かが起きたのだろう。
『い、いえそれが────』
『衛宮先生。
私達これから街へお出かけしようと思うのですが、いかがでしょう?』
電話口から聞こえてくるのはヒフミの声だ。
話を聞くとどうやら浦和が皆で気分転換に外出したいと言ったそうだ。
「...わかった、丁度街にいるし。
今俺は──────」
ワカモに居場所を教えて現地で待ち合わせする事になった。
そういえばここ最近、ずっと別館にこもって勉強する日々だったな。
確かに気分転換のひとつもしたくなる。
ナツの言葉を思い出す。
それは俺でなく、皆にも足りていないものなのかもしれない。
「仕方ない、また財布が軽くなりそうだ。」
「お待たせ致しました、衛宮先生。」
俺は呼びかけられたその声に振り返る。
が、しかし待ち人では、なかった。
「おう、ハルナ。
......ハル...ナ?」
そこに居たのはゲヘナ学園、美食研究会所属、黒舘ハルナとその一行。
「お迎えに上がりました。」
「──────は?
ちょっと待───」
まさかの面子。
あの日と同じように俺は体と口を拘束され、トラックの荷台に詰め込まれた。
完全に油断してた。
こんななりじゃ、拘束から逃げ出すどころか助けを呼ぶことさえできやしない。
シッテムの箱は持ってないからアロナとイリヤが通報してくれるなんてこともない。
「ん゛~~~~ん゛ん゛っ!!」
隣には俺と同じように拘束された角付きの生徒が1人。
この子も攫われてきたのか。
とりあえず状況分析だ。
まず、トリニティはゲヘナ嫌いの生徒達が沢山いる。
そう簡単に自治区に入れやしないはずだ。
そう考えるとハルナ達を手引きした者がいてもおかしくは無い。
────いや、待て。
ハルナは先程「お迎えにあがりました」と言った。
ということは偶然俺を拾った、という訳ではなく明確な目的を持って俺を探していたということだ。
なんでハルナ達は俺の居場所を知っていたんだ?
確かにシャーレに連絡すればトリニティへ出張中ということくらい分かるだろう。
しかし、今回のはおかしい。
俺はたまたま、ここで補習授業部の皆を待っていただけだ。
いくらなんでもピンポイントすぎる。
まさかこれまで俺達の会話や行動を監視していた奴が、美食研究会に情報を売ったのか。
「さて、次はゴールドマグロです。
アカリさん、お願いします。」
「えぇ、分かりました。」
ハルナとアカリの会話が聞こえてくる。
....ゴールドマグロという食材が今回のメインターゲットらしい。
なんだそれは。
かくして、ハルナ達は目的の場所に着いたらしく、地下駐車場にて車ごと俺達を放ったらかしにした─────。
状況と言えば、何も好転しない、する訳が無い。
最低限わかるのは、誘拐犯がハルナ達とわかった以上、最後は生きて帰れる、という事だけだ。
隣の生徒も恐らく。
とはいえ、それで諦めるかと言えばそれは間違いだ。
全身に魔力を流し、拘束を無理やり引きちぎろうと力を入れる。
先程からずっと銃声が地下へ響いてくる。
恐らく
───それにしては、大きな爆発音だ。
「目標は頂いたわ!
さっさと帰りましょ!」
「うわぁ....楽しみだねー!
金色のマグロ....どんな味がするのかなぁ....。」
ジュンコとイズミの楽しそうな声がするのでアオリに空いた弾痕から様子を覗き見る。
なんか、イズミが金色の魚を担いで来てるんだが....。
「待てそのマグロは───」
(タタタタッ!)
「うぐっ....。」
「少し、寝ていましょうね?」
ついでに追っ手を数人、アカリが片付けている。
.....まずい。彼女達は目的を達成した。
その後は?何処へ行く?
十中八九トリニティから離れるのは間違いない。
それだけはダメだ。
俺は巻き込まれた、いわば被害者ではある。
しかし不可抗力とはいえ、今ゲヘナの生徒に接触していること自体が良くない。
今この瞬間にも桐藤がどこかで目を光らせているかもしれないのだ。
この状況から抜け出すなら早いことに越したことはない。
「やっほー!衛宮先生、久しぶりだね!」
「........。」
声をかけられてもふがふが言うことしか出来ないので沈黙を貫いた。
その分、刺さるような視線を向けて猛抗議する。
運転席にアカリ、助手席にハルナ。
荷台にはジュンコとイズミが乗り、車は再び動きだし地上へ出た。
手段がない。
力を込め続けてはいるが未だ拘束から脱せない。
せめて、ワカモに連絡さえ───いや、待て。
それこそ不味いだろうに。
補習授業部をこんな騒動に巻き込んだなんて知れたら、彼女達に対する扱いも悪くなるだろう。
捕まったのは俺が油断していたせいで──
自分の手で解決するべきで──
(バチィィン!)
全身にまとわりついた縄を、歯が砕けそうな勢いで噛みちぎり、骨の軋む音を聞きながら引きちぎる。
我ながらどこからこんな力が────
「えぇっ!!?」
「うわっ!凄っ!」
2度目とはいえ流石に予想外なのだろう。
荷台にいる2人だけでなくハルナとアカリも苦笑いしている。
今は─────
「悪い、少しだけ我慢してくれ。
怖かったら目を閉じてろよ。」
「むぐっ!?」
拘束されていた少女を抱き抱える。
このまま一人取り残してなんていけない。
恐らくヒナから聞いた定期的に拉致される給食部の部員だろう。
「いくらなんでも100km近く出ている車から───っ.....衛宮先生!?」
ハルナの顔が青ざめる。
珍しい、そんなに慌てるなんて。
いや、冷静に考えばそうもなるか。
「─────ハルナ、説教はまた今度だ。
悪いけど、俺にはやらなきゃいけないことがある。」
ジュンコが手を伸ばしてくる。
単純に心配してくれているのだろう。
なんせ速度のノってる車から飛びおりようというんだから、普通は止めるだろう。
「イ、イズミ!先生止めて!」
「い、いや流石に飛び降りたりなんて──────」
──────それを無視して、アオリに足をかけ、跳んだ。
「─────嘘!」
「うぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!」
流れる時間が遅く感じられる。
少しでもダメージを減らすため足に魔力を回す。
あぁ、アドレナリンが出過ぎたせいだ。
なんだって今なら何でも出来るなんて思っちまったんだろうか。
(ガガガガガガゴゴゴッ!!)
その触れた地面の方をすり潰し、砕き、抉りながら。
「─────ッ!」
着地の勢いを1歩、2歩と跳ねるように減衰、相殺して振り返らず走り出す。
騒ぎから遠く、何処か身を隠せる所へ────!!
────────走りながら、思い出す。
彼女の紡いだ言葉を。
「──────────。」
「俺には、分からない!
誰かを助けた先に待つ未来なんて!
それに対する責任のとり方なんて、わからない!
そんなものは知らない!
─────────だからって!!
誰に語りかけるでもなく、呟いた。
「もし、それが大勢を助けるためだったとしても。
目の前の苦しむ人を、放置していい理由にはならない。
助けてはいけない理由になんてならない。
それはただの諦めなんだ!
俺は諦めたくなんてない。」
アリスの、あの力強い言葉を思い出す。
「俺は─────」
「"みんなに未来を見せる
先生になったから、生徒を助けているんじゃない。
俺は、誰かを助けたあの姿に憧れたから正義の味方を目指し、その
故に責任も、義務も、正しく己の
走る速度を落とす。
ナイフを投影し、彼女を拘束していた縄を切った。
「このまま振り切る!
しっかり掴まっててくれ!!」
「は、はいっ!」
あれは私達──カタカタヘルメット団がシャーレに赴いてから2週間もしない頃だった。
『藤河。
レポートの書き方として「だろう」とか「と思う。」ってのは良くないぞ。』
『.....なんでよ!
それのどこが悪いっての!?』
『......あのな?
レポートってのは、報告書で基本的には根拠と理由を述べてやっと「信頼性のあるレポート」になるんだよ。
例えば、お前たちが仕事を受ける際の条件に「だと思う」とか曖昧なことを状況を告げられても困るだろ?
情報の信頼性ってのは言わば「根拠に裏打ちされた自信」なんだよ。』
私達、カタカタヘルメット団はシャーレのオフィスにて、それこそ「補習授業」のようなものを受けていた。
なんで補習授業かって?
それは私達が根っからの「不良」だったからだ。
『じゃあなんでアイツのは合格にしたのよ!
あの子「仮に~」とか仮定の状況を出てたじゃない!』
『ワカモのはまた別だ!
あれは裏打ちされた理屈を用いて「もしこうであったなら」って置き換えてるだけだ。
────いや、確かに主観的情報が多かったし。
最後の一文なんて「力で粉砕すれば全て解決。」みたいなこと書いてあったけどさ。』
それは私も読んだ。
狐坂ワカモ。
撹乱や急襲など戦術を用い、「災厄の狐」なんて呼ばれていた彼女はよりによって戦術レポートの最後を「力でねじ伏せればOK!」みたいな文を用いて締めくくっていた。
それを見た士郎はなんとも言えない表情をして──
『ワカモ、書き直せ。』
と冷徹に言い捨てた。
しかし、私達が迷いながら書いていたものを、その少女は一瞬で書き終え、
『この程度の仕事、出来なくては士郎さんの足を引っ張るだけです。
さっさと消えてくださいます?』
なんて、私達を睨んできた。
バカにされている、というより最早相手にされてない。
汚いものを見る目と言っても過言ではないだろう。
『『─────』』
あの時、私は悔しかった。
狐坂ワカモに何も言い返せない自分が情けないと思った。
同時に「絶対に見返してやる」とも。
これだけに留まらない。
今でこそ私達シャーレの
私は狐坂ワカモに追いつく為、士郎の足でまといにならない為に朝も昼も夜も勉学に励んだ。
『.....おい、藤河。
そろそろ寝ないと───。』
『これ解いたら寝るよ!』
真夜中のオフィスで、一人電気をつけながら参考書を片手間に勉学へ励んだ。
気づけば、シャーレの仕事はいつからか、面倒くさい仕事から、自らの成績、立場を意味するものに変わっていった。
難しい仕事であるほどその者はシャーレ内の位が高い、みたいな先入観。
新しい争いの火種になりつつあった。
そして、最終的には仕事の奪い合いになっていく。
『シラトリ区の裏路地で違法武器の取引が行われるらしいんだが、ヴァルキューレ警察の公安から協力要請が来たんだ。
誰か俺と──────』
私とワカモが手を挙げた。
『あら、お役に立ちまして?お邪魔虫さん?』
『....野生児をあまり舐めない方がいいわよ...。』
『そうだそうだ!
姉御はアビドスの虎なんだぞ!』
『野生の王に狐ごときがかなうわけねぇ!』
競い合うことしか考えていなかった。
どちらが多く倒せるか。
なので────
『ヴァルキューレ警察です!
全員手を挙げ────』
『『問答無用─!』』
(ターンッ!)
(バァァン!)
その任務はヴァルキューレの生徒の支援だった。
が───私たちはどちらが相手を多く取り押さえることが出来るか、みたいな事しか考えていなかった。
『....く、クソっ!
こうなったら...。
おい!あの戦車を出せ!』
そうして、私たちが取り逃がした生徒達が戦車へと乗り込んでいった。
『させない!HVAP弾装填!』
結果、士郎が現着した時には、無血で押収するはずだった証拠品やら違法装備が全て損失。
それどころか火災やらなんやら、逃亡した不良生徒たちの撃退にまるまる一区を巻き込んだ騒動へと発展。
公安局長から大目玉を食らう羽目になってしまった。
「でさ?士郎、私達二人になんて説教したと───」
「その、衛宮先生...についてもう少しお話を聞かせてもらっても?」
「え?いいけど....なんで?」
ダンボールに詰まったミカンの皮を向き、食べながらその問いを問いで返した。
「いえ....ただ、貴女の話を聞いていると、その......」
「大人に思えないって?」
図星だったのか、ミネさんは黙り込んだ。
「確かに士郎は思ったことを考え無しにすぐ言うし、キザなこと言う割には本人にはその自覚は割となかったりする。
私たちの想像してる
基本的には優しくて面倒見の良い人なんだよ。
きっと、ミネさんとも話が合うと思うよ?
一応「話を聞いてくれないならぶつかるしかない!」みたいな風に考えてる節もあるし。
────私には「助けるためにまず殴る」ってのはちょっと理解できないけど。」
「そう....ですか。」
「で?ミネさん。
今日は何を買ってきたらいいの?」
渡された財布をみながら、問いかける。
「雨も止んだようですし、食材調達を。
比較的栄養素が偏らない料理を作ろうとは思うのですが.....。」
「OK!任せといて。
これでも私、士郎に料理ならってそれなりには自信あるから!」
不安そうな彼女にガッツポーズで返事をした。
「出来る、では無いのですね.....?
まあ、分かりました。
ではその"ウェーブキャットさん着ぐるみ"を着用して───」
「.......これ、本当に着ないと、ダメ?」