衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】 作:神宮寺志狼
というよりワカモ先生のお話。
メインストーリーの時間軸的に先生とワカモの初対面からバレンタインまでどれだけの間が空いているのかはわかりません(百鬼夜行夏イベのせいでかなり考察が狂った)
まぁこの作品のワカモは初対面で士郎に一目惚れしたあとすぐアプローチかけてるのでここは大きい変化点ですね。
で、アビドスの一件以来あまりやらかしてないワカモさん。
本編絆ストーリーで暴れまくっていたのに対して、どうしてこの作品では比較的大人しいのか、というお話。
そして、ワカモが心の底から「士郎以外」へ意識を向けるお話です。
あ、あと個人的な話なのですが
現在、私、左目が見えておりません。
いえ、見えはするのですがピントが合わず物の輪郭しか見えません。(文字も基本的に見えない)
小説書くのにあまり支障はあまりないですが私生活が死ぬほど大変なので(利き目が左目)病院には行っております。
何時までこの状態なのかはなんとも...といったところ。
私事。失礼しました。
いつも誤字報告、感想コメントありがとうございます。
第二次学力試験の話は後二~三話続くと思います。
「なんなんです.....この有様は。」
侵入──自治区入りした私達は驚愕に足止めされていた。
至る所から聞こえる爆音、爆音、爆音。
酷い有様だった。
「.....これがゲヘナ学園の自治区。」
「毎日毎日お祭り騒ぎで楽しそうですねぇ~♪」
アズサさんはいつも通り。
ハナコさんは意に介していない様子だ。
「ヒ、ヒフミ、ワカモ。
本当にこんな所で試験を受けるの?」
「....。」
「指示された以上、従うしかありません....。
急ぎましょう」
私はあえて無言で、ヒフミさんは悲しさを漂わせながら言葉を返した。
(ピピピッ!)
何やらまたも連絡が来たようだった。
通知からメッセージに飛べば藤河組の生徒からメッセージが。
───それを見て。
──────足が止まった。
「ワカモちゃん ...?
どうしたんですか?」
「─────。」
流石に今度ばかりは我慢の限度を超えてしまった。
振り返り、来た道を再び歩き出した。
それを、ハナコさんが手を引いて止めた。
「ワカモちゃん、何処へ?
一体、なんの連絡が....。」
「────離してくださいます?
これから私はトリニティへ戻り、桐藤ナギサを亡きものとしにゆく──いえ、亡きものに
「....え?」
「私はかつて、ただの1人に対してここまでの殺意を覚えたことはありません。
あの便利屋68、ゲヘナ風紀委員会。
そして浦和ハナコさん、貴女に対しても。
そう、苦しませてやろうと思うことはあれど実行するにまでは至りませんでした。
───今日までは。」
『あ、あわわわ......!
落ち着いてくださいワカモさん!
そんなことをしても誰も得をしません!』
「得?
そういう問題では無いのです。
例え、これで私が犯罪者になろうとも────」
私の声を、イリヤさんがかき消した。
『──踏み止まりなさい!ワカモ!』
「... お断りいたします!」
『一時的な癇癪のせいでシロウの願いを踏みにじる気!?』
「.......。
士郎さんの、願い...。」
その言葉を聞けば銃を握り締めた指の力が、抜けていく。
彼の願いは、何であったか。
補習授業の先生になりたい、居続けたいと願った彼。
その生徒を、私は託された。
『正直、そのナギサっていう生徒がどうなろうと、私には関係ない。
けれど、ここで補習授業部の「副担任」としての全てを投げ打つのならここで貴女を止めるわ。』
「.....。」
ここで私が動けば、彼との関係や、彼と築いてきた事の全てが、無に帰る。
『お願いだから、貴女までシロウを裏切らないで、ワカモ。』
「 .....分かりました。」
周囲を見渡すと肩を撫で下ろす浦和ハナコ。
一方、縋るように言葉を紡ぐヒフミさん。
「ナギサ様は....一体何を....。」
それはもう懇願に近い。
「.....士郎さんが、桐藤ナギサに撃たれました。
致命傷には至らぬものの、人体....主に肺を損傷。
.......未だ傷口は塞がらず、先程車中で意識を失ったそうです。」
「....ぇ..?」
ヒフミさんが倒れかける。
それをハナコさんがフォローした。
「落ち着いてください!ヒフミちゃん!
先生は意識を失っただけで死んではいませんよ!」
「ですが....ナギサ様は...そこまで...。」
「.....。」
桐藤ナギサは、何度阿慈谷ヒフミを傷つけるのだろうか?
「士郎が?無事なの!?」
意識を失った、と言ったばかりであるにも関わらずコハルさんは問いただしてくる。
何度聞かれたところで、視線に移る文章は変わらない。
「.......傷を負いながらもシャーレのバンで試験会場へ向かっている最中だったそうです。」
「だ、大丈夫なのよね?
この前は救護騎士団が───」
「救護騎士団は──!
....救護騎士団はヘリが堕ちた地区の救護活動をしていて手が離せないと....
ですから、試験会場には念の為とゲヘナの救急医学部が数名派遣されているようです。」
「それは───」
浦和ハナコにもわかっているのだろう、その意味が。
ティーパーティー、トリニティのトップにより傷つけられた「シャーレの先生」がゲヘナの生徒により助けられる、その意味を。
本当に考えうる中の最悪の展開だ。
「えぇ、よろしくありません。
.....今は、補習授業部の副担任として、貴女達の試験を見守りましょう。
ですが、トリニティに戻り次第その醜き女は───殺します。」
私の宣言を、アズサさんが否定した。
彼女の瞳からは光が消えて、背筋に悪寒が走るほど。
「貴女....なんて目を───」
「それはこちらのセリフだ、ワカモ。」
真剣な眼差しに目が───瞳を逸らすことが出来ない。
初めて、誰かの視線に身体が凍りついた。
「......そもそもそんな事は貴女には出来ない。
軽々しく「殺す」なんて言葉を使わないで欲しい。
それともワカモは
「そんなもの.....どうとでも。
何発も銃弾を叩き込めば───」
思いつきで放った言葉を秒で論破される。
「それは現実的な方法ではない。
一体どのくらいの弾丸が必要になると思っている?
私には分かる。
貴女はこれまでに人を殺したことなど一度もない───いや、
「───。」
「.....ワカモが
お願いだから、そんなことは言わないで欲しい。
シロウもそうなる事は望んでいない筈だ。」
アズサさんは頼む、と一言頭を下げた。
「約束して欲しい。」
「........。」
彼女はあの日の士郎さんの言葉を、思い出させてくれた。
回想
『はぁ!?
街を一つ丸ごと巻き込んだ!?』
ヴァルキューレ公安局との合同作戦は、失敗に終わった。
当初の計画では被害はほぼなく無血で違法武器の取り押さえが出来たはずだった。
それを台無しにしたのは、私と、藤河マコ。
『何考えてんだ!
この馬鹿!』
士郎さんがどのような報告をヴァルキューレ公安局から聞いたのかは、わからない。
けれど嘘偽りは無かっただろう。
押し黙る私とは正反対に、藤河マコは反論した。
『そりゃ私達も悪かったよ。
ヴァルキューレからの指示を無視して実力行使に出たのは.....。
でもさ、いずれ
今回が上手くいってたとしても。
結局ここはキヴォトスなんだから。
誰かを傷つけるのが当たり前の───』
『俺は誰かを傷つけさせる為にお前達をここに置いてるんじゃないッ!』
士郎さんは、藤河マコさんの反論に激怒した。
『俺はそんな生き方を教えるために、お前達をシャーレにいさせてるんじゃない。
傷つけ合うのが当たり前だって?
馬鹿言うな!
それが当たり前だったならお前達全員とっくに連邦生徒会に討伐されて今頃矯正局だ。』
『じゃ、じゃあなんで私達見たいな
シャーレの戦力にする為じゃないの?』
私もそう考えていた。
傍に置いてもらえるのであれば「道具」であっても構わない。
所詮私に出来うることは「破壊」だけなのだから。
『俺はお前たちをシャーレの戦力にするつもりなんてない。
確かに何かを主張するにしたって力がなきゃダメだ。
けどそうする為にお前達をここに置いてる訳じゃない。
悪にしたってそうだ。
藤河、お前は自分のことを「悪者」って言ってるけどな。
この世に「悪事」はあっても「悪者」なんて存在しない。』
『は?』
『はい?』
私達二人は理解できなかった。
『あなた様、幾らなんでもそれは....。
私が
この際ですのではっきりと申し上げますが───。
それに対してや、犯した過ちを、私は一切悔いたことも反省したこともございません。』
今この時も、と。
私は付け加えた。
『私の趣味は「破壊・略奪」。
生きる術が無かった
このような者を前にしても、あなた様は「この世に悪者」など存在しない、と?』
生きた心地がしなかった事を覚えている。
もしや、この方にとって私達のような者は
それは私そのものの存在を否定されることに直結する。
が──
『それでもだ。
ワカモだって自分の存在の示し方というか、在り方が
確かにお前のそういう乱暴な所は良くないとは思う。
それがお前にとって「自分を成す根幹」だってのも。
けどそれだってまだ
本当に俺が言えた事じゃないけど自分の特技や趣味が「そう」だからと言って絶対に「そう生きなきゃいけない」なんて、ことは無いはずだ。
だからお前が知らないお前の側面は、必ずある。
悪事を働かなきゃ生きていけない奴なんていないってそう思いたいんだ。
"オレはね"。』
士郎さんは、かつて私達に言った。
「人生とは学び」であり
「未知を既知にする事」であり
また「それは自らにも適用される」のだ、と。
「.......衛宮先生は「罪は自ら重さを決めて背負うもの」と言いました。
確かに私達は被害者の1人ではあるでしょう。
ですが本人の意志を確認しないまま悪感情をぶつけても何も解決しません。
私に対しても言いました。
「自らで判断して、どうするか決断しろ」、と。
周りに流されず、自分がどうしたいのかを。」
浦和ハナコの呟きに現実に引き戻される。
「私にワカモちゃんを止める権利や資格がないように貴女にもアズサちゃんの言うことを受け止める必要も無いのかもしれません。
ですが、
もし、貴女がナギサさんを殺める為に動くのであれば。
私は私のしたいように───
ワカモちゃんを止めたいアズサちゃんのお友達として、貴女と戦います。」
それはこれまで、何を思っていたのか語ってこなかった少女の言葉。
非常に回りくどく、理解しづらい言葉の、羅列。
目の前で敵対宣言、宣戦布告をされたというにも関わらず。
これまでと同じような「邪魔者を排除する」などといった戦闘の意思は芽生えない。
ただ同属のような彼女を見ていて───
ようやく気づいた。
私が浦和ハナコを敵視していたその他の理由。
彼女の異様な行動や言動、士郎さんに対する態度だけではない。
周りと違うが故に独りになった自分と重ねていたから。
とどのつまり、同族嫌悪であり、士郎さんと出会う前の自分に対する自己嫌悪だったのだ。
「.....貴女は
「.....そうですね。
でも、遅すぎたなんて事はありません。
それは貴女も同じでしょう?
だって、
「私が、仲間、友人...?」
首を傾げる私に、アズサさんは問う。
「.....私達は友人ではないのか?」
友人など、これまで私にはいなかった。
そんなものは分からな───いや....。
「......友人、という言葉を聞いて。
どうしてマコさんの事が頭に浮かぶのでしょうね.....。
腹が立ちます...。」
「ワカモちゃん、それは───」
「そうですね...彼女と私の関係が「友人」であるのなら、貴女達との関係もそう表せるのでしょう。」
彼女達の問に答えぬまま再びモモトークのメッセージを開く。
やはりと言うべきか、藤河組のグループで討論になってしまっている。
第一に、組員の生徒がマコさんと連絡を取ろうとしても繋がらない件。
第二に、組員が操縦していたシャーレのヘリがトリニティで墜落した件。
第三に、士郎さんが、桐藤ナギサに撃たれた件。
マコさんはおろか士郎さんからの具体的な状況説明がない彼女達は混乱している。
『士郎は大丈夫なのか?』
『私達はどうしたらいいの?』
士郎さんや、今後のことを心配する者もいれば、当然勘違いする生徒もでてくる。
『これはトリニティによるシャーレ襲撃じゃないのか?
アビドスの時と違ってティーパーティーには一切連絡つかないぞ!
もしかしたら姉御はとっくに。』
『馬鹿なこと言うなよ、あの姉御だぞ?』
『いやでも、ずっと連絡取れないし。』
『これはトリニティに行って実力行使してでも状況を知る必要があるんじゃ!?』
そこへ──
『こちらアビドス組。
今その試験会場の場所へ対策委員会が向かってる。
私達はそれに随伴して現地に向かってるワカモの姉御の支援をする。
各ゲヘナ自治区内は現在進行形で温泉開発部並びに脱走した美食研究会と風紀委員会が戦闘中。
現地の77番街も戦闘範囲内にある。』
と、アビドスに留まっている者たちからの行動指針が示された。
で、あるならば。
『現地で合流いたしましょう。
士郎さんも試験会場へ向かっておられます。
動ける方は77番街へ。』
そうメッセージを、送れば「トリニティはどうするのか?」なんて憤りの隠せない者達からの意見も出る。
それでも──
『──私とて気持ちは同じです。
あくまで私達はシャーレの
故に私達にそのような権利などありません。
私はシャーレで学んだ事を胸に士郎さんからいただいた指示を全うします。
貴女達は?士郎さんから一体何を学んだのですか?
理不尽に対する反逆?
見たい真実だけをみて不都合に対して力をぶつける?
───彼はそうさせない為に私達をシャーレに置いてくださっていました。
それでも状況が分からないままトリニティに喧嘩を売りたい方はどうぞお好きに。
私は77番街へ向かいます。』
挑発じみた文章。
私はシャーレの主でも藤河組の長でもない。
故に指示など出してはやらない。
携帯のディスプレイをOFFにした。
「ワ、ワカモ...?」
恐る恐る近づいてくるコハルさん。
「───失礼しました。
桐藤ナギサの件は、士郎さんに決めて頂きましょう。」
私は、振り返り仮面を外し、微笑んで言った。
「ワカモちゃん....。」
「そうか...ありがとう、ワカモ。」
「アズサさん、それに皆さんも。
感謝するべきは私の方ではありませんか。
時間を無駄にしました。
急ぎましょう。」
「お前達、何者だ!」
橋の手前で声がかかる。
目の前にはゲヘナの風紀委員会の制服を着た生徒。
「な、なぁあれは。」
「さ、災厄の狐!?
ゲヘナに何をしに来た!!」
自治区内の騒動でも大変だろうに、こんなところで無意味にも検問とは恐れ入る。
「さて如何しましょうか?」
「.....まずはお話をしてみてはどうでしょう?」
無難に交渉をすすめるハナコさん。
風紀委員会にどこまで情報が伝わっているのか分からない。
もし、シロコさんのように風紀委員会に拘束されでもしたら──
かと言って戦闘をしてしまえば士郎さんに迷惑画がかかるのは目に見えている。
「......交渉の自信は?」
「........話が通じる方であれば。
ですが───」
完全に銃口を向けられている、この状態から説得など出来るのだろうか?
今回は「
「武器を捨てて───」
「待ってください!」
そんな中現れたのは、何処かで見た覚えのあるメガネの生徒。
「確か、貴女は.....」
「シャーレの狐坂ワカモさんと、補習授業部の方々ですね。
私は火宮チナツと申します。
委員長から概ね事情は聞いてます。
ここからは私が誘導します。」
「.....わかりました。
皆様───どうしたのです?」
突然現れた状況を知る少女の登場に風紀委員会だけでなく補習授業部の皆さんも困惑している。
「い、いえ....すみません。
その...一瞬血まみれなのかと....。
その手袋とか.....」
「えっ?」
ヒフミさんの視線は手先と足に集中している。
確かに、真っ赤ではある。
「あぁ!すみません。
これはタイツでして....。」
「───?」
思考が停止した。
タイツとは目立たない色が普通ではないのだろうか?
そういえば風紀委員会といえばあの天雨アコとかいう女も
そういう
「時間が無いと聞いてます。
急いで乗ってください。」
そうして
アズサとの絆エピソードの前半はとある理由で士郎を怒ったアズサが士郎をガンショップに連れていく話です。(今のところ)さて、士郎はどんな銃を買うでしょう。
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回転式拳銃(リボルバー)(一丁)
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自動式拳銃(オートマチック)(二丁)
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サブマシンガン(一丁)
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マシンガン(一丁)
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アサルトライフル(一丁)
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スナイパーライフル(一丁)
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ショットガン(一丁)
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ショットガン※レバー式(二丁)
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アンチマテリアルライフル(一丁)
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買わない