衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】   作:神宮寺志狼

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温泉開発部(主に部長)ギャン泣き。

胸熱といえばそうかも。....そうかも?
対策委員会&風紀委員会、初(?)の共同戦線。


#12 ■■、覚醒/第二次学力試験(IV)

 

瞼を開く。

周囲を見渡せば砂漠一面。

 

どうなってるんだ?

確か桐藤に撃たれて───

もしかして、俺はもう既に死んでいて、ここは死後の世界なのか?

だとしても........まだだ、まだ終われない。

 

まだ俺は「先生」としての義務を果たしていない。

それに、ここで俺が死ねば百合園セイアの事件の真相はさておき本当に桐藤が犯罪者(人殺し)になってしまう。

 

「.....全く、こんな状況でも生徒の心配ですか。」

 

「───え?」

 

その声に振り返る。

そこにあったのは見覚えのある、一丁のショットガンが地面に刺さっていた。

 

(ゴォォ───)

「っ────!!」

 

突如として吹き荒れる強風。

この身を削る程の砂粒が混じった風に対して、情けない事に丸まって耐えるしか出来なかった。

 

砂粒の弾丸は「死」、そのものだった。

 

「────────────ア。」

 

意識を保っていられない。

もがく、もがく。

体は、砂によって溶かされ、埋もれてゆく。

 

それでも、その声だけは、ハッキリと───

 

「ほら、いい大人なんですから、しっかりしてください。」

 

視界は闇に包まれた

 

それでも──

 

体の感覚はおろか身体そのものは擦り切れた

 

それでも、手を伸ばした。

まだ、終われない。

 

終焉を認めるには早すぎる。

どんな手を使ってでも───

死んでなんて、死んでたまるものか。

 

無くなった腕を伸ばして銃の(グリップ)を握る。

 

「仕方ない人ですね....。」

 

「────────。」

 

突如として、爽やかかつ力強い風が、砂嵐を蹴散らした。

同時に銃を握っていた筈の俺の手が、誰かに引っ張りあげられる。

剣の刺さった大地に立つその姿。

風に吹かれて靡くショートカットのピンク色の髪。

紺色の防弾ベストを纏う、背の低い彼女。

その体が振り返る。

 

「大丈夫です。先生は死にませんよ。」

 

容姿は違うが、それでもわかった。

 

 

「ホシノ───────」

 

 

 

 

「.......先生、起きてください!」

 

「衛宮 先生────!」

 

呼び声で覚める意識。

こんな事が前にもあった気がする。

 

あれはそう、ここに初めて───

 

「イチ...カ?」

 

「....はぁ......あー.....心臓止まるかと思いました。」

 

首を動かして辺りを確認する。

 

ここはシャーレのバンの中。

ストレッチャーに体を固定されている。

 

「脈拍、心拍共に正常値に戻りました....。」

 

「なら、もう大丈夫そうっすね....。」

 

そういうと固定具が外され、体が自由になった。

手足を動かして体の状態を確認していると全員が安堵の声を漏らしている。

察しは着く。

 

俺はナギサに撃たれて死にかけていたのだろう。

 

「......いやぁ....衛宮先生の生命力半端ないっすね....。」

 

「いや、それはお前たちのお陰だ。

お前達が助けてくれたんだろ?」

 

 

そう聞くと信じられない答えが返ってきた。

 

「ええと...いくらなんでも縫合とか一切できないっすよ。

衛宮先生の体に空いた穴、さっきまで開きっぱなしだったのが急に塞がったといいますか....()()()()()()()といいますか...」

 

「は?」

 

イチカはあくまで傷がひとりでに治ったという。

あぁ、確かに右腕の自傷は勝手に治った、それは確かだろう。

だが胸部は違う。

 

あれはれっきとした外傷で、枷など関係ない。

回復した?聖杯戦争の時のように?

 

(アヴァロン)はセイバーがいないから機能しないはずだ。

いや────

「───待て。」

 

そもそもその前提が、間違っているんじゃないのか?

もし、仮に鞘が機能しているのだとしたら逆説的に──

 

─────セイバーがキヴォトスに、いることになる。

 

確認する。

左手にはまだ消えていない令呪が一画。

その色は変わらず赤いまま。

 

そして、唯一関わりのある、言峰とイリヤ。

 

ふと思い出す、その言峰が言っていた。

 

「当然ながらお前は元の世界に戻れない。

確かにこの世界において聖杯による「孔」でもあれば話は違うがな。

お前が今セイバーを連れていないのであれば聖杯が存在している、という私の予想外れていたようだな?」

 

あいつはセイバーが現界すると予想していた。

それはサーヴァントを呼び出すアテがあったということだ。

俺は聖杯戦争当時、セイバーに聖杯とその中身を破壊するように令呪を下した。

ひょっとすると、セイバーもイリヤのように衛宮士郎の観測役になっているのではなかろうか?

 

令呪に意識を向ける。

 

───が、セイバーとの繋がりは感じられない。

 

「.......この件はそのうち、だな.....。

イチカ、今のどの辺だ?」

 

「えーっと....ゲヘナの自治区に入って間もないんで....。

現地に着くのは後20分くらいっすね。

 

あ、今は2時40分っす。」

 

「....わかった。

まだ、間に合うな。

 

色々ありがとうな、皆。

こんな俺の我儘に付き合ってくれて。」

 

このまま、何もかも失敗してしまえば桐藤は自責の念で潰れてもおかしくない。

そうならないように。

桐藤ナギサを救うには、補習授業部を無事試験に合格させ、今度こそは「考えすぎだ」と、その頭を叩いてやる事くらいしかない。

 

「いやぁ。

無茶苦茶な人だってのは知ってまし───

 

衛宮───先生?」

 

目をぱちくりさせるイチカ。

 

「ん?

どうしたんだよそんなに目を丸くして。

俺の顔になにかついてるか?」

 

そう言って顔はおろか身体を眺め───

そういや今の俺上半身真っ裸じゃないか。

 

「わ、悪い。

そこかしこ傷だらけだし、気分のいいもんじゃないよな。」

 

血まみれのシャツをとりあえず身に纏────

いや、うん、ビリビリだ、ビリビリ。

そういや意識のない患者の衣服って破かれるらしいもんな。

 

とりあえず上半身真っ裸というのもなんなので上からスーツだけ着る。

そのシャツはワカモ辺りに見られる前に処分しよう。

 

と、ボタンを止めているとイチカの熱の籠った視線が──

 

「あ、いや...そのっすね.....。

それはそれで、衛宮先生のは鍛えられたいい体───じゃなくてっ....//

忘れてください....。

 

なんか変なものを見た気がするんですけど .....。

こんな時間ですからね、気のせいだと思います。」

 

ちょっとアタフタしているイチカ。

なんというか可愛いと思いました、まる。

────じゃ、ねぇ。

俺も深夜帯のテンションで頭おかしくなってる。

というか血も足りてないんじゃないのか?この体。

 

「む....そっか、そうだよな。

健全な学生ならもう寝てる時間だもんな。

 

本当に悪いと思ってる。

けど、もう少し付き合って欲しい。」

 

それを聞いたイチカは困ったような顔をして周りの生徒と表情を交わす。

同時に周囲の生徒も困惑していた。

 

「それはこっちのセリフっすよ。

なんでそんなになっても私たちの心配が出来るんすか?」

 

「え?」

 

「いやナギサ様に撃たれてなお、トリニティの生徒の為に動くって....。

正直、もう見捨てられてもおかしくないと思ってたんすよ、私達(トリニティ総合学園)は。

 

でも、先生は補習授業部のみんなの為にゲヘナにまで行くなんて。」

 

いや、それは違う。

この大怪我は俺が馬鹿をやったせいだ。

 

俺があんな"圧"をかけなければ、ナギサは銃を抜かなかった。

俺が感情のままに殴りかかったからこんな痛い目を見た。

 

「イチカ、俺は別に気にしてない。

どっちかって言うとこの後のナギサの方が心配だ。」

 

「心配...すか?」

 

まぁ、大怪我した俺が言うのもなんだけど。

この後ナギサは各方面の対応に追われることになるだろう。

その時心折れないか心配なだけだ。

 

「俺は補習授業部を守る。

ヒフミ達(アイツら)の為に、なによりナギサの為にナギサの手からアイツらを守りたい。

 

全てが終わったあとで皆が苦しまないように。」

 

桐藤ナギサ。

あいつは割り切れていない。

残酷さを表面に出しているに過ぎない。

甘さや優しさがその根底には残っている。

 

ナギサがこんなことをする理由は正直分からない。

それでも必至なことだけは伝わってくる。

 

「俺は最初、アイツが大事なものを()()()()()後で革命でも起こすのか、なんて思ってたけど。

それは違った。

 

アイツは本当に()()()()()。軽い言い方をするかもしれないけど、それはアイツにとって辛い選択な筈なんだ。だって────

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだから。」

 

「────衛宮先生....。」

 

だから、誓った。

ナギサを殴りつけたあの後に。

ナギサ(アイツ)の為にも、補習授業部(アイツら)を守らなければ、と。

 

「悪い、俺は非常に我儘なんだ。」

 

そういうとイチカは

 

「ハスミ先輩から聞いてるっす。

分かりました。

 

衛宮先生がそういうなら補習授業部は守り抜きます。」

 

そう、微笑んで言ってくれた。

 

 

(ピピピッ!)

 

突如として着信が入る。

 

「そういえば起きてから一度も携帯見てないな...。」

 

まぁキヴォトスに来たばかりの頃()に比べたらまだ確認している頻度は上がっているのでマシではあるが───

 

「────。」

 

その発信者の名前を見て、すこし口元が緩む。

感慨にふける間もなく、応答ボタンを押した。

 

『もしもし~先生。

よかったぁ、生きてたんだ。』

 

そのゆったりした声は間違いなく()()のもの。

このタイミングで、電話がかかってきた理由を探る為、藤河組のグループチャットの時間を巻き戻す。

 

「────」

 

あぁ、良かった。

救われた彼女達が、誰かを助ける為に動いている。

 

『あれ?どしたの?

....先生?』

 

目頭が熱くなる。

が、先に、返事をしないと...。

 

「悪い、俺のことは後で色々話す。

状況は?」

 

『対策委員会、全員現地に到着。

何時でもいけるよ。』

 

 

Interlude 12-1 ゲヘナ、乱闘──

 

コハルさんが叫ぶ

 

「どうするのよ!ワカモ!

もう弾薬が──!」

 

「.....ここさえ突破出来れば、目標地点はすぐそこなのですが.....。」

ヒフミさんも緊張に額に汗を流している。

 

乗ってきたトラックは温泉開発部の攻撃を受け、横転。

積んでいた医療機器と共に弾薬は誘爆。

今ではトラック(それ)を遮蔽物として、射撃を繰り返し、こちらの弾薬は底を尽きかけている。

 

「あはは.....まぁ、こんな事もありますよね...。」

 

いつものように笑いかけるが、表情からは焦りが見える。

包囲されていないだけまだマシのこの状況。

笑っているのがやっとというか、笑わないとやっていられないというか。

 

「どうしましょうワカモちゃん。

試験開始まで後30分切りました.....このままでは。」

 

多勢に無勢、いくら()()()居たところで弾が無ければ何も出来ない。

 

「.......そちらの弾薬は? 。」

 

ハナコさんに聞き返す。

 

「残りマガジン1、アズサちゃんはいかがです?」

 

「.....残弾90。

軽装備で来たのが裏目に出たか ....。

大丈夫だ、残弾を節約しなければいけない戦闘なら慣れている。

 

それこそワカモ。

貴女の弾薬はそもそも無いだろう。

そちらの銃はトリニティの弾薬と互換性がない。」

 

「.......そうです。

この際ですから敵陣に飛び込んで掻っ攫ってこようかと♪」

 

「「危ないですから止めてくださいっ!」」

 

 

 

試験会場が戦闘地帯だとは聞いていた。

が─────

 

「試験会場にどうしてゲヘナの温泉開発部如きが────」

 

「....ごめんなさい。

温泉開発部は現在77番街を拠点としているようです。

いまイオリがこちらへ向かって──」

 

「それで、風紀委員会からの増援は何時頃に?」

 

火宮チナツという少女を問い詰める。

先程から本隊と連絡を取っている、彼女の弾薬も底をついていた。

しかも、随伴してきた風紀委員会の生徒も手傷を負い、その処置にあたっている。

 

「....あと10分はかかるかと....。」

 

「......あの時もそうですけれど、本当にゲヘナの風紀委員会は───」

 

使い物にならない。

そう、言おうとした瞬間。

 

「では、僭越ながら、私達が支援しましょう。」

 

そんな声と同時に後方からの支援射撃が交じった。

 

「うわっ!」

 

敵陣の生徒は確実な狙撃にノックバックしている。

 

振り向いた。

忘れもしないその姿。

 

「美食研究会の....!」

 

「やっほ!

あれ、衛宮先生は一緒じゃないの?」

 

覚えのある4人組の美食研究会。

 

士郎さんへこの間銃口を向けた彼女達。

そんな気軽に挨拶されて腸が煮えくり返らない訳もない。

 

「───よくもまぁ、この私の前に姿を表すことができましたねぇ。」

 

「「...!?」」

 

「あ、あれ?

今のは「よく来てくれた!」とかの流れじゃないの!?」

 

「いやいやそれはないでしょイズミ...。」

「....どうやら随分と嫌われてしまったみたいですね★」

 

こちらとしては当たり前だ。

主と崇める者へ危害を加えたものに好印象を抱くものが何処にいるのか、問い質したい。

 

が、とりあえず周囲の反応を確認しなければ。

 

補習授業部は困惑。

私同様、状況がいまいち掴めていない。

火宮チナツはどうやら風紀委員長に連絡を取っている。

 

「まぁ、あちらとしては貴女方も捕縛対象ですから。

さして当然のこと。

それで?

どうして此処に?」

 

怒りを押し殺し、黒舘ハルナに問う。

 

「いえ、とある御客人を届けに来ただけです。」

 

「は?」

 

その返答と同時に全面の敵生徒達の叫び声が聞こえてくる。

 

「なっ、なんでアビドスの生徒がこんな────」

 

「....あなた達には関係ない。」

 

「こんにちわ~☆

そこ、退いてくださーい!」

 

「ノノミちゃーん?

いま深夜だから「こんばんは」じゃなーい?」

 

(ダダダダダダダダ!!)

(バアンッ!)

 

アビドス対策委員会が、そこに居た。

砂狼シロコ。

十六夜ノノミ。

そして、対策委員会のリーダー小鳥遊ホシノと───

 

「もったくも皆してあぁ!もう!

 

アンタも、なんて顔してんのよ!

"災厄の狐"が聞いて呆れる!」

 

 

「......余りのその名を言いふらさないで。

世間体的に良くないわ....。」

 

黒見セリカと、空崎ヒナ────空崎ヒナ?

 

「────風紀委員長!」

 

火宮チナツが彼女へ駆け寄る。

 

「よくもたせてくれたわね。

チナツ。」

 

「は、はい。

ですが、イオリが来るはずでは───。」

 

「イオリは今別の地区の鎮圧が終わって向かってる。

ここに来たのは私独自の判断。

こほん ....イオリ、引き続き、彼女達をよろしく。

 

行くわよ、アコ。

それと対策委員会。

"仕事"なんだからきっちり働いてもらう。」

 

「わかりました、委員長。

第三中隊、前進を開始してください!」

 

風紀委員会の天雨アコ。

かつて、士郎さんとアビドスに多大なる危害を加えた害虫。

それが今、彼らの味方をしている。

 

「はいはーい。

皆~先生が来る前に"ゴミ掃除"、終わらせよー。」

 

「「はい!」」

 

十六夜ノノミに肩を叩かれる。

 

「ワカモちゃん、また後でお話しましょう♪」

 

「────。」

 

何が起きているのか正直理解しきれていない。

対策委員会がここへ来ることは聞いていたけれど。

まさかゲヘナ風紀委員会だけではなく美食研究会まで引き連れて。

 

 

「あら、ヒナさんはお忙しいようで。

では私達はこれで。

行きましょう、()()()

 

「ん゛ん゛っ~!!!!」

 

────訂正。

多分あれはあの時の女子(おなご)だ。

美食研究会は、何も変わっていない。

 

瓦礫の裏に隠れて風紀委員会をやり過ごした彼女達のトラックを見送って。

───そのトラックは爆発した。

 

もう、本当に支離滅裂。

 

「な、何がなんなのよ...もう!

ワカモ、一体何が起きてるのよ!?」

 

コハルさんの問に、私は首を振る。

 

「....一つ言えるのは。

私達は歩かなければならないということです。

行きましょう、試験会場はもう、目の前なのですから。」

 

 

Interlude 12-1 ゲヘナ、乱闘 End

 

 

アズサとの絆エピソードの前半はとある理由で士郎を怒ったアズサが士郎をガンショップに連れていく話です。(今のところ)さて、士郎はどんな銃を買うでしょう。

  • 回転式拳銃(リボルバー)(一丁)
  • 自動式拳銃(オートマチック)(二丁)
  • サブマシンガン(一丁)
  • マシンガン(一丁)
  • アサルトライフル(一丁)
  • スナイパーライフル(一丁)
  • ショットガン(一丁)
  • ショットガン※レバー式(二丁)
  • アンチマテリアルライフル(一丁)
  • 買わない
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