衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】   作:神宮寺志狼

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#5 強襲、誘拐、人質

「起きてくださいまし....あなた様....あなた様!!」

 

 

「うっ.....」

 

 

目が開く。

 

どうも寝てしまったらしい。

 

 

「....おはよ、ワカモ。

悪い、今から朝食作るから。」

 

俺の態度になにか思うところがあったのか、珍しくため息をついたワカモ。

 

「ん?どうしたんだよ?」

 

 

「どうしたの?ではありません。

 

あなた様、お忘れですか?ここがどこか。」

 

 

 

辺りを見回す。

 

「あれ....ここは。」

 

それでやっと意識が覚醒する。

 

 

昨日の出来事が如実に思い出された。

 

アビドスのゴーストタウンでワカモとはぐれ、行き倒れたこと。

シロコに助けられ、対策委員会と出会い、そして便利屋68とかいう殺し屋に襲われ、

 

 

『殺すつもりで止めるから。』

 

 

ホシノに窘められたこと。

 

 

「そうか.....俺は。

 

って、ワカモ!無事だったのか!?

 

腹減ってないか!?喉は?」

 

慌てて飛び起きてはワカモの手を取る。

少しひょろひょろになり、目の下にクマが出来ている。

 

「あら、あらあらっ!?

 

士郎さんって意外と大胆なんですね...あぁ、私はここで────」

 

(ばたり)

 

 

意味のわからないことを言い残して倒れた。

 

 

「おい!?ワカモ!ワカモーーーッ!!!」

 

 

 

 

 

その後、数少ないコンビニを目指した。

 

 

 

「っはぁ、はぁ、はぁ。」

 

 

相変わらずアビドスは広い。

 

コンビニひとつ見つからない。

 

「「あ」」

 

そして黒見とばったり遭遇した。

 

 

彼女は「ふんっ」と膨れて通り過ぎる。

 

 

「.......おはよう、朝早いんだな。黒見。」

 

 

俺の言葉が気に触ったのか振り返る。

 

「何がおはようよ!

 

馴れ馴れしくしないでくれる!?

 

それに呼び捨てにされる言われもないし!

 

言ったわよね!?

 

私はアンタのこと認めないんだから!」

 

 

「....はいはい。」

 

ま、そうだよな。昨日の今日だ。

 

 

「それで、黒見さんはここで何してるんだよ?

 

学校、そっちじゃないだろ?」

 

「別に!

 

今日は自由登校日じゃないから学校に行かなくてもいいのよ!

 

私は暇なアンタと違って忙しいの!」

 

 

どう説明しようか、

 

いや、俺は黒見に信頼されてない。

変な説明をすると誤解される。

 

「暇って....確かにジョギングするくらいの時間はあるけど....」

 

 

「ジョギングとかいって、

 

どうせコンビニ行って朝飯でも買うつもりだったんでしょ!

 

いい大人なら自炊しなさいよ!」

 

 

ぎくっ!

この子、思ったより勘が鋭いな?!

 

「.....あのー?黒見さーん?」

 

 

「じゃあね!バイバイ!」

 

黒見の手にもコンビニのビニール袋が握られていた。

 

 

「なんだよ、人のこと言えないじゃないか。」

黒見の来た方向に向かうとそこにはコンビニがあった。

 

 

 

値段の高い食料を買い、学校に戻ってインスタントスープをワカモに飲ませた。

 

意識がない状態で何かを食べさせることはあまり良くないが仕方がない。

 

視線がスプーンの先に集中する。

 

というか、女の子の唇ってこんなにも─────

 

 

 

バシバシ、と頭を叩いて煩悩を吹き飛ばす。

 

「ったく、何考えてんだ。いい歳して....俺は大人なんだぞ.....。」

 

 

 

「おはよー、先生、朝早いね~。」

 

 

「おはようございます。先───── 」

 

 

 

「「「あ」」」

 

 

 

部屋に入ってきたホシノとアヤネ。

 

2人と視線が交差する。

 

 

 

「アヤネちゃん、これってさー、あれだよね?。」

 

「......や、やっぱり先生って生徒に手を出す変質者──」

 

「違う!違う!!断じて違う!!

 

そ、そんな目で見るなアヤネ!まずは話を聞いてくれ!!

頼むから!

 

まて、どこに連絡するつもりだ!

真顔で携帯持つのはやめてくれぇぇぇぇぇぇっっっ!!!」

 

 

 

そうして俺はことの次第を慌てながら話すことになった。

 

 

 

「じゃあその生徒さんは先生のボディーガードって事だね~。」

「良かったです。まだ未遂で。」

 

 

「未遂言うな!

ったく、冗談じゃない。」

 

 

 

 

「それで、先生。答えは出ないまま?」

 

 

ホシノはそう俺に問いかける。

 

「先輩...なんのお話しですか?」

 

「あ、うん。気にしないで~。」

 

 

 

「.....ダメだ。ホシノ、俺はやっぱり────」

 

 

ホシノはため息をついた。

 

「仕方ないなぁ、渡した銃、持ってるよね?」

 

 

「あぁ。

 

これだろ?」

ポッケから銃を取り出す。

 

ホシノは確認すると

 

 

「じゃ、校庭行こっか。自分の身の守り方くらい分からないと。」

 

なんて言い出した。

 

 

 

 

 

 

そして、俺はアヤネが見守る中、銃の撃ち方を習っていた。

 

「そ、そこに手を添えるの。

 

アニメとかでやってるグリップの底に手を添えるのは誤りじゃないけどしっかり保持できないからやめた方がいいよ~。

 

あともう少し肩の力抜きなよ~。

却って痛めるから。」

 

 

「こ、こうか?」

 

「あーそんなビクビクしないでいいからさ。

 

そんな反動ないんだし。」

 

 

「えっ?そうなのか?てっきり腕が上がるくらい反動があるもんだと思ってた。」

 

 

「 あのさぁ、いくらなんでも無知すぎない?

1発ごとにそんな反動あったら現代兵器として致命的だよ?」

 

それもそうか、と納得した。

 

 

 

ノノミ、シロコが登校する最中すらも。

 

 

「ん、おはようシロウ。」

 

「お、おはようシロコ─あっ痛!」

 

 

 

 

 

「ほらほらよそ見しないのー。

 

次は銃口に向けて盾構える練習しよ。

 

 

はい、これ私の盾。」

 

「了解。」

 

それを渡される。

 

 

 

手に取った瞬間に、身体が拒絶した。

 

 

手放せ

 

身体が受け取らなかった。

 

「...でもいい、本当はそれ、他人に貸したくないんだろ?」

 

知りたくない

 

「─────────────なんでそう思うの?」

 

 

ホシノの瞳孔が開いている。

 

 

「....何となく。図星っぽいな。

 

悪かった、理由は聞かない。

 

 

大丈夫だ。盾なら用意する。」

 

 

アイアスでは駄目だ。

 

あれは持ち運びながら戦えない。それが出来たら今頃苦労はしていない。

 

 

それに、拒絶はしたが理解した。

 

 

 

 

投影、開始(トレース オン)。」

 

何も剣だけしか生み出せないわけじゃない。

投影六拍を通し盾をこの手に作り上げる。

 

 

投影、完了(トレース オフ)。」

 

ただし六拍のうち経験共感だけはカットした。

いややはり、身体がカットしてしまった。

 

今ではなくてもいつかすることになるであろう、それを。

 

つまり、技術面ではど素人の衛宮士郎のままである。

 

 

 

「うへ、そんなことも出来るんだ。ホントに魔法使いなんだね。」

 

 

「正しく言うと魔法じゃなくて魔術なんだけどな。

ホシノ達からしてみたら変わらないだろうからそれでいいよ。

 

よし、って、結構重いなこれ。」

 

ガコン。という音ともに盾が展開される。

 

 

 

「先生、耐久テストしていい?」

 

 

確かに、訓練であるならまずこの盾に本物と同じ防御力があるか、確かめるべきだ。

それにこんな携帯式の盾など使ったことがない。

 

「よし、いいぞ、ホシノ!撃ってくれ。」

 

「先生の魔法、信じるからね!」

 

 

ホシノがこちらに銃を向ける。

 

 

 

(バァン!)

 

 

その音ともに散弾がこちらに飛んでくる。

 

俺は、衝撃に身構えた。

 

 

 

 

─────しかし。

 

 

(カンカンカンッ!キィーーンッ!)

 

 

 

一発足りともこの盾に弾が当たることは無かった。

 

 

 

 

「ご無事ですか!あなた様ッ!」

 

アヤネ達も信じられない、といった顔をしている。

 

飛び降りてきたワカモが自らの()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

 

 

 

「────────貴女、覚悟はできていますでしょうね?」

 

ワカモの顔が殺意のある目に変わった。

 

 

まずい、あれは止めなければ。

 

 

「待ってくれ!!ワカモ!これには理由がある!」

 

 

 

 

その後は暴れかけた彼女を盾を手放して羽交い締めにして止めた。

 

止めたはいいもののワカモはずっと顔を赤くして頭から湯気をだして動かなくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

そして意識が戻った彼女に経緯を説明する。

 

 

「つまり、この方達は士郎さんの命の恩人で、もともと訪れる予定だったアビドスの生徒の皆さん、という事ですか?」

 

 

「そゆこと~。」

 

「....それで?自分の身を守れるよう士郎さんを訓練していたと.....」

 

 

ホッと胸を撫で下ろしたワカモ。

 

「悪い、待っていてくれって言われたのに、シロコに助けて貰ったあと俺はお前を探そうだなんて思いもしなかった。」

 

 

「まぁそれどころではありませんでしたでしょうし、仕方ありません。

 

私も士郎さんが倒れていた場所を覚えておりませんでした。

 

それに6日も空腹で歩き回ることになるなど....」

 

 

 

そんな昼、仲良くなろうというノノミの発言で俺たちは。

 

 

 

 

「ラーメンを食べに行きましょう!」

 

 

 

 

 

と、とある店を訪れる羽目になった。

 

 

 

 

 

 

 

約束された勝利の湯切り

 

 

 

「.....大変そうだな。

─────お節介だったら悪いんだけどさ、俺に手伝えることないか?」

 

 

「え!」「....え。」

 

各所から疑問の声。

 

「いや2人だと大変だろ?

 

それにここ、アルバイト募集中だって店先に書いてあったし。

俺はしばらくアビドスで厄介になるから働ける場所が欲しかったんだ。」

 

 

「...そういう事なら話は早い!

 

衛宮先生、あんたには厨房にたってもらおうじゃねぇか!

 

あんたの実力、きっちり見せてもらうぜ!」

 

 

「う、嘘よね!大将!あたしこの人と一緒に働きたくないんだけど!!?」

 

「そう言うのは感心しないぞ、料理の腕がいい奴はだいたい他人思いのいい人だ。そうだろ?先生。」

 

黒見が俺を睨んでくる。

毛が逆立ちしている猫に触れても良いことは無いのでとりあえず無視をした。

 

 

「まぁ、大体はな。

 

料理ってのは自分が満足するために作るもんじゃない。

食べる人の事を考えて作る物だからな。

 

柴さんも分かってるみたいだな。」

 

と硬く握手を交わした。

 

 

「じゃ、厨房奥に予備のエプロンがある、消毒は───」

「了解だ、大将。」

 

 

 

「では私は配膳を」

ワカモが席から立つのを止めた。

「ワカモは休んでてくれ。そんな体力回復してないだろ。

そもそも腹が減ってるとはいえいきなりラーメンは反対なんだぞ?俺。」

 

 

「.....はい...士郎さんがそう仰るのであれば.... 」

 

しょんぼりするワカモの頭を撫でる。

 

「悪い。本調子になったら一緒に仕事しような?」

 

「....!!はいっ!その時は誠心誠意尽くさせて頂きますっ♪」

 

そんなやり取りを見た対策委員会の面子からも文句───

...いや、批判がでてきた。

 

ノノミが。

「......先生、女の子の扱い慣れてますねー。」

 

アヤネは

「これは女の子敵ですね。」

 

ホシノが

「みんな気をつけないとね~」

 

唯一ポカンとしているのはシロコだけ。

 

 

なんでさ。

 

 

 

 

そうして、柴大将と仲良く仕事をしていた。

 

 

ただその分運ぶ速度が早くなっていたセリカが大変そうだったが。

 

 

「わっとっとっ!お待たせしました~っ!!」

 

 

 

 

 

「黒見これ6番テーブル。」

 

俺がそう言うと睨みながらこっちへやってくる。

 

 

「わ、わかったから指図しないでくれる!?」

 

 

「こらセリカちゃん、文句言う暇があるなら動いてくれ。」

 

と柴大将からも注意されている。

 

 

 

 

.........やっぱりこのままではやりにくいな。

 

 

 

 

 

そうして食べ終わった対策委員会とワカモは先に学校へ戻った。

(なかなか帰ろうとしないワカモを説得するのには骨が折れた)

 

 

仕事が終わり店が畳まれ、俺と黒見はバイトが終わり、真っ暗な中市街地を離れて、尚且つ同じ道を通って帰っていた。

 

 

「あ の さ!

 

着いてこないでくれる!?このストーカー!!」

 

 

「んな事言ったって帰る方向が同じなんだから仕方ないだろ!」

 

 

数分ごとに振り返ってはゲームのNPCのように同じ言葉を紡ぐ黒見。

 

 

「まぁ、腕は認めてあげるわよ!

常連客の皆がこぞって褒め....じゃなかった。

 

その、悪くないって言ってたし。

 

それと、自炊できないクソ大人なんて、悪口言って悪かったわね。」

 

 

「へ?」

 

そこまで酷いことを言われていただろうか....?

 

 

「まぁ気にしてないから大丈夫だ。」

 

その返答にもイライラしたのか、歳頃の少女の心はよく分からない。

 

 

「やっぱり気にしてなかったんじゃない!!!

 

いい!?もう一度言うけど、アンタのことは一切認めてないんだからね!!!」

 

 

 

 

これは前途多難である。

 

 

 

 

 

 

 

interlude 5-1 陸八魔アルの思惑

 

 

「何よ!聞いてないわよ!『先生』があんなバケモノだなんて!!」

 

 

事前に仕入れていた情報。

 

「衛宮士郎という先生は剣を生み出す魔術師である。」

 

「ただし、剣自自体は脆く、都合弾丸10発程で砕ける。

このキヴォトスにおいて役に立たない力である。」

 

「ただし、権力はかなりのもので申請書さえ出せば連邦生徒会からかなりの予算を引っ張ってこれる。」

 

 

アルの出した結論は「シャーレの先生を自分達の経営する「便利屋68の営業顧問」という立場に置ければ仕事が円満に進む」という事であった。

 

 

欲を出したアルはとある企業からの依頼より、先に士郎を確保しようとしたのだ。

 

何。誘拐して、(少し可哀想だけど)脅してやれば(かなり心が痛むけど)このキヴォトスでもかなりの権力者を従えることが出来る。

 

そう考えた。

 

 

 

しかし、現実はそう上手くいかなかったのである。

 

 

「ねぇ、アルちゃん、まだあんな危ない大人の人味方に引き入れようとか思ってるの?」

 

 

幼馴染のムツキは反対していた。

 

人は良さそうだがあの先生には隠された裏側が存在するのだと直感で感じとっていた。

 

 

 

「う、うるさいわね!あれさえ捕まえられれば....この便利屋68だってちゃんと胸を張ってキヴォトスの裏社会で企業を名乗れるようになるんだから!

 

それにこれからいいものだってしっかり私達の手にしたお金で食べれるようになるし、大家さんの家賃の取り立てに怯えなくて済むもの!」

 

 

さて、どうしたものか。

 

あの先生は義理堅いようだ。

 

自分の身より先に助けてくれた学校を守るために身を張った。

 

 

「あぁ....そういう事ね。」

 

つまり、学校の生徒さえ捕まえて交渉材料にできれば正面切って戦う必要もなくなる。

 

 

「なら人質をとるわよ!!」

 

と、アルは言い出した。

 

 

 

「まぁ、私たちに出来るのはそれくらいだよね。」

 

課長のカヨコはそう言った。

 

 

「な、ならバイトをしているらしいこの黒見セリカを狙ったらどうでしょう。

 

夜遅くまで仕事をしているらしいので.....狙うならこの子が....その、いいかと....」

 

 

悪い顔をしてハルカが言う。

 

 

「よし、それで決定ね!!

 

じゃあ例の高射砲、引っ張り出して!」

 

「えぇ....アルちゃん。アレ出す必要ある?」

 

「当たり前よ!もし、相手が単独行動してなかったら制圧力が必要でしょ!

 

最悪攻撃に紛れて掻っ攫うのよ!」

 

 

「さ、流石です!アル様!!」

 

 

 

 

 

アルは胸を張って言った。

 

 

「そうよ!この便利屋68はこのキヴォトスでも随一のアウトローなんだから!手段なんて選ばないわ!!」

 

 

カヨコとムツキはため息をついた。

 

「ま、ここまで来たら止まらないか。仕方ないムツキ、私達はバックアップに回ろう。」

 

 

「はいはーい。

暴れられたらいいんだけどなぁ。」

 

 

 

 

interlude 5-1 陸八魔アルの思惑 out

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして黒見から距離を取りながら学校へ帰っている中。

 

 

(ヒューーン)

 

という音が聞こえた。

 

 

空を見上げれば、砲弾で、間違いなく黒見へと弾道落下していた。

 

あいつは気づいていない。

 

「おいっ!!」

 

走り出し、黒見の腕を掴む。

 

 

「!?ちょっ!離しなさいよ!!変態っ!!何する───」

 

「暴れるな馬鹿っ!!アレを見ろって!!」

 

 

(ズガーーーン!!)

 

それは走り出す前に黒見がいた場所へ1mmの狂いもなく直撃した。

 

「ちょっ!何よあれ!

今度はあんたどんな面倒事を持ってきたわけ!!?」

 

 

「馬鹿っ!気づけ!狙われてるのはお前だセリカッ!!」

 

「え!?私?」

 

「いいから走れっ!!足を止めてたら蜂の巣だ!!来いっ!!」

 

 

そうして黒見を連れて市街地を逃げ回る。

 

「なぁアロナ!敵はどのくらいの距離にいるかわかるか!?」

 

 

『わかりません!

ですが、アレは高射砲の砲弾です!

 

高射砲となると最大射程距離10kmにもなります!敵の位置の把握は困難です!!』

 

 

 

 

「クソっ!俺達には手の出しようがないってことか!!!」

 

 

『安直な手段は取らないで』

 

『助かる手段がないなら無理やりにでも作って。』

 

こんな状態で端末を開けば確実に隙ができる。

ホシノやワカモに連絡する暇がない。

 

 

 

「ねぇ!待ってよ!何が起きてるのか説明しなさいよっ!!」

 

「そんな暇あるか!とにかく走れ!!」

 

 

 

 

(ドカーーン!!)

 

その後も市街地を逃げ回る俺達に対して正確無比な砲弾が飛んでくる。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁっ!!!

なんで手を引かれてるだけなのに────するのよ...治まれ....私の鼓動...」

 

(ドカーーーン!!スドーーーーン!!)

 

「悪い!セリカ!声が小さくて聞こえない!」

 

「な、何でもないわよ!!それより何時までこうして逃げ続けるつもりなの!!?どこか建物の中に逃げこめば───」

 

「馬鹿っ!こんなに動いてるのに相手は俺たちの位置に正確に砲弾を打ち込んで来てる!

 

その意味がわからないのか!」

 

「...どういう事っ!?」

 

「だから建物なんかに逃げ込んだら一巻の終わりなんだよ!

 

俺たちの逃げ場は無くなるし!

建物ごと撃たれたら───」

 

 

そして、その時が来る。

 

 

「がっ!!!!」

 

目の前に砲弾が落下してきた。

その際に咄嗟に黒見を庇ってアスファルトの破片が背中に突き刺さる。

 

 

「ちょっと!!何するのよ!離しなさいよこの変態──ッ!?」

 

黒見の手が俺の背中の血に触れる。

 

 

「何よ....これ、待って!!まさか、私を庇って─────────あんた何してるのよ!!」

 

「良いから走れ。

 

ホシノ達に伝えるんだ....。」

 

まずい、ホシノとの約束を裏切るわけにはいかない。

 

 

こんな所で、まだ死ねない。

 

 

でも、黒見を、助けなければ。

 

 

 

 

「行け!!俺は大丈夫だ!ここからは二手に別れよう!!!」

 

「──で、でも。」

 

 

 

「いいから走れ!そんな泣き言後でいくらでも聞いてやる!!!

 

行け!セリカ!!」

 

 

 

アイツは涙目で俺を睨みながら。

 

「ああもうわかったわよ!!隠れて待ってなさい!!絶対に助けに来るんだから!!」

 

 

といって走り去った。

 

 

 

砲弾はセリカのいる方向へ飛翔()んでいっている。

 

間違い無く直撃弾だ。

 

 

 

 

「....っ、やらせるか....。」

 

 

せめて、火力の高い銃があれば....。

 

そんなものは都合よく落ちてるわけが無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

なら生み出すしかない。

 

 

 

 

探せ、剣の名称がついた銃を.........

 

 

 

 

 

あの丘にないなら何処でもいい──────引っ張り出せ!!

 

 

 

 

抽出、開始(トレース オン)。」

 

 

 

無意識に唱えるその文言。

 

形作る。

 

意識の薄らぐ中、想像する度に目に浮かぶ、黒い長髪の生徒。

 

 

(ガコン.....ウィィィィン!!)

 

と稼働する手にもつソレ。

 

 

重い。人の手では持てない。ならばその怪力ごと複製する!!!!

 

 

光の────(スーパー────)

 

 

 

真名らしき名前を口にする。

 

 

その()にしてはあまりにも大きすぎるそれは白い光弾を発射した。

 

 

 

 

 

高射砲の弾が空中で四散する。

 

 

 

しかし、桁違いの魔力消費だったからか、

 

はたまた、衛宮士郎にとっての限界を超えた魔術だったからか

 

それとも傷ついた体が限界だったのか。

 

 

「クソ.....また俺は.....」

 

俺はこの世界に来て何度目か、意識を失った。

 

 

interlude 5-2 変わりゆくセリカ

 

 

 

「はぁ!はぁ!はぁ!!」

 

 

私は走った。

 

気がつけば高射砲の狙いはズレていた。どうも私を見失ったみたいだった。

 

 

 

 

しめた、ここからならアヤネちゃんの家が1番近い。

 

 

辿り着いて私はインターホンの存在も忘れ、家の扉を叩いた。

 

 

(ドンドドンドンッ!!ドンドドンドンッ!!)

 

「アヤネちゃん!!アヤネちゃん!!お願い!!返事して!!」

 

 

 

 

そして、息を荒くする私にアヤネちゃんが慌ててドアを開けた。

 

「セリカちゃん...!?どうしたんですか!?」

 

 

 

私はアヤネちゃんの制服を掴んで息を整える。

 

「衛宮先生が───衛宮先生が私を庇って!!」

 

「落ち着いて話をしてください。衛宮先生がどうしたんですか!?」

 

 

「バイトの帰りの最中、砲撃されて、先生と一緒に逃げてたんだけど先生が私を庇って大怪我して....私、私!!

 

どうしよう!!あんなに血を流して!!

 

私先生を見殺しにしちゃった....!!」

 

 

あんなに冷たく当たって、

あんなに酷いこと言ったのに。

 

 

先生失格だ、なんて心の中で思っていたのに、

 

あの人は自分の身より私のことを優先して逃がしてくれた。

 

「うっ....うぅぅぅぅぅぅっ.....うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっっっっっ!!!」

 

 

 

 

我慢の限界だった。

 

私は泣き出してしまう。

 

 

 

 

「.....大丈夫です。セリカちゃん。

 

今皆さんに連絡します。

 

先生は多少の怪我では死なないって言ってましたから。

それに、ホシノ先輩に約束してくれたらしいんです。

 

「死なない」って。

 

 

私は先生を信じてます。

 

一緒に助けに行きましょう!」

 

 

 

「う、うんっ!!」

 

私は涙を拭いて、アヤネちゃんの差し出してくれた手を取った。

 

 

 

 

 

 

interlude 5-2 変わりゆくセリカ out

 

 

 

 

 

 

 

もう少しステイナイト要素を取り入れたく思い、下記から希望を選んでください。尚セイバーはとある事情で省いてます。遠坂凛はうっかり意外人間性が完成しすぎてるので省きます。

  • 間桐桜 (士郎の背中を追い先生に)
  • 無銘寄りのアーチャー(執事)
  • イリヤ(シッテムの箱所属)
  • 上記三人とも。
  • 士郎と麻婆だけでいい
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