衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】 作:神宮寺志狼
ご了承ください。
あのお茶会での一悶着から数日経った。
ミカの態度は少し改善され、シャーレ内の雰囲気も以前よりはマシになってきている。
ただ、なんの所以か。
ワカモは職務室に一切顔を出さなくなった。
────いや、シャーレに戻ってからほぼ顔を合わせていない。
最近は自室か射撃場とトレーニングルームに籠っている。
理由は聞けていない。
一度、声をかけようとした。
されど、今までに見たことの無い、真剣な表情を───
そう、近いもので言うのなら、アズサが自らの所有する武器弾薬に注ぐ視線に近いものを感じ、躊躇ってしまった。
食事も、いつの間にか下準備がなされ、自らの分は食べ終えているようだ。
何か気に障るようなことをしたのだろうか。
記憶を
そんなある日だ。
補習授業部がそろってシャーレにやってきた。
「....思ったより立派な建物なんですね....。」
「ここが ....シャーレ。
ふ、ふん。悪くないんじゃない?」
「おい、ヒフミ、完全にお前感想がシロコと被ってるぞ。
それにコハルは......まぁ下手な話正義実現委員会の部室に比べたら見劣りするかもしれないが。
地下にも色々あるんだぞ?」
というか皆してシャーレのことをなんだと思ってるんだ。
っと.....そういえばアズサに関しては、入院した一両日中に退院したと聞かされていたが─────
「────シロウ。」
そこに居たのは以前と変わらない。
ぶっきらぼうの面構え。
それでも凍りつくような鋭い眼差しはなりを潜めて。
何もなかったかのように当たり前のように皆の輪の中に居て。
喜ぶほどのことではないのだと、言わんばかりに何時もと同じように
「おはよう。」
いつもと同じような朝の挨拶をした。
「久しぶり────いや、1週間ぶりくらいか。
補習授業部にいたのが随分懐かしく思えるな。
怪我の方は.......大丈夫そうだな。」
「ああ。この程度は問題ない。
むしろワカモやシロウのお陰で助かったようなものだ。
礼を言う。」
後もうひとつ、偽造されていたアズサの書類はナギサやサクラコが協議して、正式な書類となりトリニティ在学が認められたらしい。
だから、アズサには悪いけど。
俺はこの日をいつもと同じようなただの日にしたくない。
「
「.....ありがとう、シロウ。」
「知ってるか?
こういう時は普通沢山もてなされたり、プレゼントが手に入るんだ。
皆で今度パーティーしような。
で、さてと。
なんでお前たちはここに?」
俺の質問には、申し訳なさそうにヒフミが対応した。
「実は......」
「なるほどな。
一部伏せてはいるけど、ナギサにブラックマーケットにいたことを白状したのか。
でもまたなんでさ。
お前はずっと黙ってるままだと思ってたぞ。」
というか今の今までそれを忘れていた。
まず補習授業というより生活指導が入らなければならない領域だ。
「いえ....衛宮先生と過ごしたこの1ヶ月を思い出して....。
一部行き違いはありましたけれど。
どんな時でも、衛宮先生はナギサ様に対して「誠実」に向き合おうとしてました。
ナギサ様は色々な方にちゃんと真実....ではないですけど、納得できる説明をして、対応しているのに...。
私はこのままで良いのかな....と思いまして。」
頬を掻きながら視線は合わせずに恥じるように語る。
ヒフミの言い方では銀行強盗───というか覆面水着団に参加したことは言ってないらしい。
とはいえ、及第点だろう。
「いいんじゃないか? 」
「いえ...そのペナルティとしてシャーレでの奉仕活動を言い渡されました。」
「───────。」
あのな、ナギサ。
だからそういう点を先に俺に説明して欲しいと言っているのが───。
「ナギサ様が「衛宮先生にはメッセージで伝えておきます」と仰っていて、聞いていませんか?」
「あ。」
失敬。
確認すればちゃんとモモトークにメッセージが来ていた。
けど、あいつ、いつの間に俺のアカウント知ったんだよ。
とりあえずそれはよしとしよう。
「それで、アズサとコハルと浦和はどういう了見で?」
「な、何よ!私たちがいたら邪魔なわけ?!」
早速噛み付いてくるコハル。
別にそんなんじゃないんだが。
「まさかお前達も.....」
「学園にトラップを仕掛けていたことに対してのペナルティ。」
「その...色々あって....ツルギ先輩にも頼まれたし...あんたはほっとけないし。」
「....♪」
1人だけニコニコして何も話してないがつまりだ。
「なんだ......オマエらもシャーレの
「はい、お察しの通りです。」
ため息を吐く俺と、楽しそうな補習授業部。
────訂正、1人は「あはは...」と苦笑いしていた。
「まぁ、補習授業部の処分....はもうないとして試験そのものは延期でお前たちの最終成績は決まってないしな。
仕方ない。
また、よろしくなお前達。」
「まぁ残念な事に放課後だけではありますが。
よろしくお願いしますね♪衛宮先生。」
浦和はあの時と同じように微笑んだ。
....この結果に辿り着けたなら、大団円と言っていいだろう。
「それに色々あってまだ
やってないこと?
第三次学力試験以外に何かあっただろうか。
───まさか、またよからぬことを言い出すんじゃ。
「面談です。
結局提案通りとはいかず、勉学に集中するって事でしてなかったじゃないですか。」
あぁ。
確かにそんなことを言い始めたのは俺だった。
しかし、あれは浦和の行動原理を理解しようと思って提案したことで─────
「正直にいって、やる必要あるか....?」
「「────────。」」
皆、石のように固まった。
なんでさ。
「衛宮先生....。
歳頃の女の子の心は移ろい易いんですよ.....?」
「わ、わかったわかった。
言い出しっぺは俺だしな。
で?誰からやる?」
「最初はヒフミちゃんでどうでしょう?」
「え?私ですか!!?」
名前を挙げられた当人は聞き返す。
「どうして私なんです?
こうアズサちゃんやハナコちゃんのケアも必要だと思うんですが。」
アズサはケロッと表情1つ変えない。
ハナコは苦笑いして言った。
「いえ、恐らくこの中で1番心のケアが必要なのはヒフミちゃんだと思いますよ?
では、今日は挨拶だけで失礼します。
部長をよろしくお願いしますね、衛宮先生。」
は?ちょっと待て!
そうして残された俺と、ヒフミ。
皆が居なくなって、彼女は急にため息を着いた。
彼女は苦笑いすることはあっても溜息を吐く様なことはあまりなかった。
たしかに悩み事があるらしい。
「どうしたんだよ、なんか元気ないじゃんか。
何があったんだ。」
「こう......当面は退学の心配もなくなったじゃないですか。
これまでを振り返ってふと思ったんです。
ここまでの道中、ワカモちゃんやハナコちゃん、アズサちゃんに助けてもらってばかりで何の役にも...「部長としての役目をはたせていないんだな。」って...」
なんだって...?
そんなバカな話があってたまるか。
「あのな?
今までの学習方針の体制とか、模試の問題集の準備、皆の統率をしてきたのは何処の誰なんだ?
お前が補習授業部において何もできてない、ってなら俺なんてもっと酷いぞ。
部活のことはお前とワカモに任せっきり。上司であるはずのナギサとは良い関係を築けてこれなかった。
挙句の果てには皆を路頭に迷わせるところだった。」
褒めちぎる。
実際ヒフミはそれだけの事をやってのけた。
そう、「部長」としてなんの文句もつけようのないこと。
されどその事実を並べ立てても、まだ本人は納得できていないらしい。
「いえ...衛宮先生の場合は補習部の「外」から守っていてくれたわけですし...
文字通り自らの「存在」をかけて、ミカ様も止めて、私達を助けてくれました。
ですが私は。
ゲヘナで自分の身さえ、守ることができませんでした。
もっと注意していたら、あの地雷だって。」
そうか。
俺は第二次学力試験での話を薄らとしか聞いてない。
その道中、何があったのかも。
「私もワカモちゃんや衛宮先生みたいに強ければ────」
いや、それはキケンな発想だ。
「それは違う。
いいか、どれだけ強い力を持っていても、それを正しく使えなくてはいけない。
力なんかより、もっと大事な部分がある。」
「大事な...ものですか?」
そう。
それはお前たちにずっと言ってきたし。
アズサが日々言ってきた事でもある。
「意思、心の持ちようだ。
実際力なんてなくたっていい。
誰かを助けようと動く、その原動力。
それさえあればそんなに強い力なんて必要ない。
むしろ強い力ってのは足枷になっちまう。
例えばこのシャーレな。」
俺はここに居るから、守れるのもあるけれど。
その立場に足を取られて助けられないものだってある。
ナギサだってそうだ。
大きな力には責任も伴うのだ。
「でも、お前は違う。
例えお前にとって、己が平凡だったとしても。
いや、平凡ならばこそ、気持ちの方が大事なんだよ。
誰かに寄り添いたい、そばに居たい、助けになりたい。
その気持ちがなければ振るう剣だって、狙いが定まらない。」
「大事なのは....力じゃなくて私が、どうしたいか....。
そうですね.....私は言い訳をしていたのかもしれません。
自分には力がないからとか、それは確かに理由にはなりません。」
そうだ。
俺もそうだった。
「俺だって、魔術が扱えるだけの普通の人間だ。
俺にできたんだから、お前に出来ないわけがない。」
ヒフミの肩に手を置いた。
悩んでいた彼女の瞳が開かれる。
「わかりました!
衛宮先生を見習って.....
次、ナギサ様の目が眩んだときには、私が全力疾走してその頬を叩きに行けばいいんですね!!」
──────はい?
違う。
想像の180度違う方向へアクセルを踏み出し始めたぞこいつ。
「私に足りないのはそうです!
勇気でした。
ありがとうございました!衛宮先生!」
「お、おい待てッ───」
「では私も今日は戻ります!
また明日お会いしましょう。」
何か、とんでもなく間違えたアドバイスを送ってしまったかもしれない。
まぁ、でもナギサがやらかす事なんて、そうそうないだろうし大丈夫か。
なんて甘く考えていたのだ。
この時は。
次の日。
ヒフミ達がやってくる前にミカから苦情が飛んできた。
「ねぇ~衛宮先生。
あのヒフミちゃんだっけ?何を言ったの?」
「え?いや....ちょっと励ましてやっただけなんだけど。
なんかミカにしたのか?あいつ。」
首を横へ振るう。
面倒くさそうに言うことからして、ミカに関係の無い話、という訳でもなさそうだ
「違うよ。
ただ───ナギちゃんがね?
ヒフミちゃんに
『次にナギサ様が補修授業部の皆に手を出す時は明確にナギサ様と対立します!』って言われたらしくて。」
....ん?
なんか話が拗れてきたぞ....?
「「衛宮先生はそこに居ますか?」ってナギちゃんから今電話があって─────」
ミカの言葉を遮るように、廊下にけたたましく靴を鳴らす音が。
「衛宮先生ッ!!」
ナギサガ、シャーレノ職務室ノドアヲコジ開ケルヨウニ入ッテ来タ。
「は、ハイッ!!」
そして、彼女は怒り心頭のまま俺を睨んだ。
「
その後、数時間ヒフミの事について問いただされ。
結論は俺のせいとなり、何故か結局怒られることになった。
そしてさらに面倒な事が起こる。
「こんにちは衛宮先生─────。」
「─────。」
「─────ヒフミ、さん。
こ、これはその.....//」
ヒフミがどういう存在か熱く語る彼女。
下を向いて、相槌しか言えない俺。
そんな状況を、補修授業部に見られてしまった。
結果────
「ナギサ様────これはどういうことか、説明してくれますか?」
「は、はい───ヒフミさん....。」
今度は立場が入れ替わり、ヒフミが説教する立場に。
何故かミカも正座させられている。
その口にはロールケーキが詰め込まれていた。
なんなんだ...この力の関係は...。
さらにこの状態が藤河組の連中に見られ。
「なぁ、なぁ。
あのヒフミとかいう補修授業部の部長、マジやばくね?」
「あのホストに頭下げさせてやがる...しかも何度も。」
「なんか弱み握られてんのかな!?」
ヒフミはどうやら「トリニティのホストに頭を下げさせる裏の番長」として名が知れ渡ってしまったのは、ヒフミの知らない所である。
ところでさ。
「─────お前ら、この前ホシノに怒られた件、何も反省してないだろ!」
「「す、すみませぇぇぇぇん!!!」」
アズサとの絆エピソードの前半はとある理由で士郎を怒ったアズサが士郎をガンショップに連れていく話です。(今のところ)さて、士郎はどんな銃を買うでしょう。
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回転式拳銃(リボルバー)(一丁)
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自動式拳銃(オートマチック)(二丁)
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サブマシンガン(一丁)
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マシンガン(一丁)
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アサルトライフル(一丁)
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スナイパーライフル(一丁)
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ショットガン(一丁)
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ショットガン※レバー式(二丁)
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アンチマテリアルライフル(一丁)
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買わない