衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】 作:神宮寺志狼
解説。
【タイトル】→ドローレム・トレラ・エト・ヴィーヴェ
ラテン語で「痛みに耐え、尚生き続ける。」の意味
(Google翻訳)
本来は「苦しみに耐え、それでも歩む」にしたかった。
苦しみ、と言うのがラテン語で上手く変換できなかった為。
え?なんでラテン語か?
バニバニの元言語がラテン語だからです。(
【武器屋】
アズサと士郎が立ち寄った店はこの作品限りの設定となります。
アズサって、即席トラップの材料とか何処から仕入れてたんだろう?
プレステのゲームを配信した都合上、ポストアポカリプスというか、荒廃した世界での人間同士の争いで缶にハサミとか金属の破片入れて火薬入れたりすればトラップにはなるのは分かってるんですけど。
破砕物はともかく火薬がなぁ。
ということで、アズサ行きつけの店があるという独自解釈をしました。
しかも訳ありの生徒のよく行くような店。
ん?金?
ミカがポケットマネーで支援してたんじゃないですかね?(テキトー)
まぁミカとアズサの個人的面識が無かったはずなのでスクワッド経由で回されてたのかな?
という事にしておきます。
それはヒフミの面談の次の日。
唐突に、アズサから怒られた。
「な、なんだよそんな睨んで。」
面談しているはずのこちらが尋問されている気分になる。
「シロウは自分の銃を、持ってないのか?」
「はい?」
自分の銃....?
なんだって唐突にそんな話が。
「いや普段使いの銃なんて携行してないぞ。
そもそもこれまで生徒に対して武器を向ける、なんてなかったしな。
銃だって見知った生徒の銃なら手元に呼び出せるというか、作れるわけだし。」
一つ訂正、見知らぬ生徒の銃を展開したことも何度か。
まぁ魔力で作り上げたことそのものはアズサは気にしてないようだけど。
「────シロウ、貴方は銃を甘く見ている。」
「へ?」
これまた唐突に、アズサは椅子から立ち上がった。
「所持金は?」
「いや、ある程度なら....。
何処かに行くのか?具体的に必要な金額を教えてくれ。」
そんで向かった先は─────老舗っぽい、武装の販売店。
馴染みの店なのか、アズサは店主と軽く会釈する。
「......銃を持ったミカと、剣で戦闘したと聞いた。
何をしてるんだ、シロウは。」
「何って、それが俺の唯一の...取り柄なんだから....仕方ないだろ?」
注意散漫とはこの事か。
周りを見渡す限り、銃。銃、銃。
機関砲のような大きなものから掌で握れるような小さな銃まで。
「.....シロウ。
どのような武器なら使える?」
「いやどんな────」
「貴方の魔術による「憑依経験」なしで、の話だ」
「──────。」
たまげた。
誰から聞いたんだ、そんなこと。
「貴方が「大人のカード」とやらの効果で色々な生徒の武器を扱うことが出来ることはイリヤから聞いている。
だが、それは本当に扱いきれているのか?
戦闘時に反映しきれずに危なくなったことは?」
ないとはいえない。
例えばカイザー理事と最後に相対したとき。
ホシノのショットガンの引き金を引いて、あらぬ方向へ弾が飛んでいった。
美食研究会とトリニティで戦った時は、盾の経験値に即応出来ず、ジュンコに背後を取られかけた。
「借り物の技術をあてにしていると身を滅ぼすよ。
だからシロウは一から学んだ方がいい。
私としてはあまり前には立たないようショットガンや有効射程の短い武装は持って欲しくない。」
鋭い目をしながら、こちらを睨むアズサ。
あまりにも的確なアドバイス過ぎて何も言えない。
「シロウは生徒を撃ちたいか?」
「 .....どうだろう、まだその覚悟がしっかり持てるかと言われたら....。」
生徒を止めるは兎も角、魔力を弾丸に乗せて撃てばどうなるか検討もつかない。
「少なくとも、"殺し"はしない。」
「......よかった。
ならシロウは対兵器戦闘での援護射撃だな。
想像しやすい所で言うなら、スティンガーやパンツァーファウスト、対物ライフルだ。」
「......。」
絶対にノーだ。
シャーレはいわば調停者のような立ち位置。
それが完全武装の先生が事件に介入しようものなら各学園からの印象をさらに悪化させかねない。
なるべく銃はチラつかせたくない。
となれば一つ。
「なぁ、アズサ。
戦車を一撃で行動不能にする掌サイズのピストルなんてないか?」
なんて、軽い気持ちで聞いてしまった。
それがアズサの怒りに触れたらしい。
「シロウ.....
「
酷い耳鳴りがして、頭を押さえ込んだ。
なんだ。
誰だよアズサのこと氷の女王とか言い出した奴!
そんなもん大嘘だ。
「やはりシロウは大馬鹿だ!
現代の銃器戦闘を舐めている。
威力の強い弾丸を使うならそれ相応の反動を抑えるための形状の工夫や強度が必要になる!
前者は
後者はどれだけ大きく頑丈に作れるかにかかっている。
それを───」
「まぁ、待ちたまえアズサちゃん。
これならどうかね?」
噛み付いてくるアズサ。
それを黒犬の、左目に眼帯をした老人店主が止めてくれた。
ついでに俺の要望を揃えた銃まで用意して。
それは5発装填式のリボルバー。
しかも、シリンダーに空いている穴は大きい。
「ええと ....
これはまさか─────。」
「12.7mm弾、5発を単発装填する化け物リボルバー。
反動もさることながら、撃ち続ければ銃本体がダメになりかねない代物。
人呼んで、「マテ
どうだ?これなら戦車の装甲も簡単に貫こうぞ。」
「─────!」
正直リボルバーよりピストルのほうが利便性があっていいと思っていた。
しかし、これは────
「
そんな兵器としての信頼性や安全性を置いてけぼりにした化け物銃なんて────」
「幾らだ?
俺はこれに決めたぞ。」
「ふん、衛宮士郎先生と言ったか。
お主、ロマンがわかっておるのぉ。」
頭を抱えるアズサを置いてけぼりにして、俺はその銃を購入した。
「シロウ、教えて欲しい。」
帰り際。
アズサは背中を向けたまま、話しかけてくる。
「なんだ?」
次の言葉を、促した。
それでも、振り返らないアズサ。
それはまるで俺に心配かけまいと、表情を見せたくないかのように。
浦和は、一番心のケアが必要なのはヒフミだと言った。
だから、アズサに重い悩み事なんてないんだと、思っていた。
そんな訳が、なかった。
先程までの軽やかな会話とは違う。
ずしりとした重みを載せて、言葉を紡いだ。
「....私のした事は正しかったのか。」
「お前────」
アズサがしたこと。
そんなの、俺にはひとつしか思いつかない。
頭に浮かぶことが、アズサの示すそれなのかは分からない。
けれど、認識が正しいかどうかなんて、聞けない。
それを言葉にしては。
受け取れるような「形」を作っては、いけないような。
そんな気がして何も言えなくなった。
しかし、その思いとは真反対に、アズサの方が、それを
「私は.....ハナコやミカの言う通りの「裏切り者」だ。
本来こんな幸せな生活を手にしていてはいけない。」
「────。」
違う、なんて。否定の言葉なんて、言えない。
述べてしまえば、それはただの嘘になる。
ただ、考えないようにしてきただけだ。
ただ1人救われた自分は、誰かの為にならなければならないと。誰かを幸せにしなければ、守らなければ、助けなければならないと。
「自らの幸福」を考える暇を、潰してきた。
それは、何故なのか。
他人の犠牲の上で幸せになる事は己自身が許さなかったから。
つまるところ───
「───────。」
幸せの形なんて、笑顔しか知らない。
幼い頃の俺の身体を瓦礫からすくい上げた
俺は笑っていることが幸せなのだと、そう思った。
だから他人を笑わせられれば、その人は「幸福」であるのだから。
それでいいのだと、自身にいい聞かせてきた。
そして、己は、その「幸せ」の中身を知らないまま。
─────そう。
何度も口にしてきた「誰かに幸せであって欲しい」と言うその願い。
それは根本的に矛盾だらけだった。
目指す場所が見当たらないのではなく、最初からそんなものは無く、形だけだったから。
中身が空っぽなら、その目指す
その結果がこの有様。
「───。」
何かを言おうとして口開いているのに、息一つ吐けやしない。
馬鹿面の、出来上がりだ。
「
このままではいけないと思っていた。
トリニティと、アリウスの溝を深めたくなかった。
ただ、それだけだったのに。
生き抜く為に、アリウスでは厳しい訓練にも耐えてきた。
けれどヒフミ達と過ごした日々が、私を変えてしまった。
私は我儘になってしまった。」
ヒフミ達が悪いわけじゃないと、そう言う彼女。
「.........。」
「だから、
こんなことを聞くのは見当違いだとわかってる。
それでも教えて欲しい、シロウ。」
そうして彼女が理不尽に対して思う気持ちが顕になった。
その言葉は。
そっくりそのまま返したかった。
「......悪い、分からない。
答えられないんだ。
俺が至らなかったっていうのもあるけど。
そもそも、何故アズサがサオリじゃなく、トリニティ側に着いたかも理解できなかった。
アズサにとって、サオリは───いや、アリウスの皆ってそんなぞんざいなものじゃないだろ。
だから、分からなかった。
どちらも大切なのに、片方だけ切り捨てなきゃいけないなんて。
俺には────」
まだ迷いのある俺には、出来ないだろうから。
彼女は振り向いて、過去を思い返すように、語る。
「...そうか。
うん。
私にとってサオリ達───アリウススクワッドはどうでもいい存在じゃない。
これまで共に苦しみ、助け合い、守られてきた。
確かにシロウの言う、「家族」なんだろう。」
「俺にはわからない。
でも───」
そう、言葉にしようとして、躊躇った。
その結果、今の俺はどうなったのか。
間違いだなんて思わない。
間違いだなんて想わない。
そんなこと、一欠片だって思ったことは無い。
それは、今までの自分の否定そのものだ。
切嗣に救われて。
俺1人、生き残った事も。
切嗣の
今の「俺」を形作る大事なものだ。
けれど、それは縛られる事に近い。
それを、責任のもてない、俺が、決めてしまっては────
いけない。
彼女達の未来を、言葉1つで、
「救われた事の────
吐き気が襲う。
今にも「そんなことはわからない」と。
俺も迷っているのだと、告げてしまいたい。
でも、それもできない。
それをしたら多分俺は先生ではなくなってしまうだろうから。
今声に出そうとしているのは、真っ赤な嘘
全くのデタラメで、形だけ取り繕った、正しいだけの、間違った
「────シロウ?」
息が乱れて、空気が吸えない。
どうして冬場でもないのに、寒いのか。
身体が震える。
嗚咽にまみれながら形にするこの言葉を、
この口から紡がれる
「そんな、もの────
無くたって────構わ、ない。
お前達は、自由に、生きるべきだ────
背負ったもので、生き方を選んではいけない。
人は、生き方を選んだ上で、その責任を背負うんだ。」
己で決め己で背負わなければいけないものなのだから。
「何故、私だけがここにいる?」
不公平だと思った。
理不尽だと思った。
私だけ、光の当たる場所でのうのうと、「普通」の生活を手にしている。
裏切ったから、それは当たり前の話。
覆らない、現実だ。
誰かに尋ねることが、そもそも間違いだ。
この道は、私が選んだもの。
責められても、誰かを責めることは間違っている。
シロウは、言った。
『.....救われた事の
そんなもの、無くたってかまわない。
お前達は、自由に、生きるべきだ────
背負ったもので、生き方を選ぶんじゃない。
人は、生き方を選んだ上で、その責任を背負うんだ。』
彼は、いつの間にか、泣いていた。
顔は俯いていて見えなかった。
けれど、苦しむような、途切れ途切れの声が。
荒く早い息遣いそのものが。
そう思わせた。
その言葉は、重みを感じさせず。
かと言って絞り出したような、苦しみながら言葉にしたそれは軽くは無い。
「それが、「選択」か。」
「必要なのは、本当は「過去」じゃない。
明日を掴む為の「選択」だ。」
明日。
そんなものアリウスにいた時には考えすらしなかった。
「けれど、それは俺にはまだ出来ない。
自分ができないのに、他人に教えるっていうのも、おかしい話では、あるんだけどさ....。」
「.....シロウ、貴方は.......。」
顔をあげた彼は微笑んでいる。
それは、純粋な笑顔ではなく、自らを顧みての、自嘲だった。
「シロウ、一体貴方の過去に何があったんだ?
貴方はおかしい。
いつもシロウは、私達のために、いつ死んでもおかしくないこの場所で、自らの身を張っていた。
理屈が通らない。
どう考えても大事なのは自身の身の安全だ。
けれど────」
彼はそうしなかった。
私を助ける為に、身を張り、ティーパーティーの生徒に重機関銃の
美食研究会に自らの歩む道を示す為、一人で戦おうとした。
コハルの支援がなければ、危うかった。
自身に危険が迫ることも厭わず、桐藤ナギサへ説教をした。
その結果として自身の胸を、弾丸に撃ち抜かれたとしても。
ミカと対峙した。
彼女に本物の殺意があったのなら、今ここに彼はいないだろう。
「シロウ。
これも、私が言うのはおかしいけれど。
貴方は異常だ。
一度病院で診てもらった方がいい。」
言い方が悪かったとは思う。
けれど、何処かおかしいと、本心で思った。
「──────。
そうだな、あぁ。
どうかしてるって、自分でも思うよ。
でも、悪いな。
これが俺の形なんだ───歪だけど、これが俺なんだ。
どうしようも無く歪んでて、どうしようもなく矛盾してる。」
次の言葉は、シロウの本心から出たものだった。
しかしそれは────
「....諦めるの?」
「─────。」
それは、諦めだ。
自身が
何故なら、彼はワカモに言った。
「なら私はこう言おう。
────『それはまだ、別の自分を知らないだけだ。』」
「─────。」
シロウの目が、大きく開かれる。
「───参った。
まさかアズサに一本取られるとはな。」
「.......。
難しい事なのは承知している。
けれど、諦めないでほしい。
私も、スクワッドやアリウス分校の皆の事を諦めるつもりなんてない。」
ただ、魔が差しただけだ。
そうして、彼の口から出てきたのは、私が片時も忘れたことがない────
「「例え結末がどうであれ、全力を尽くさない理由にはならない」だな。
あぁ。
それに関しては全力でフォローするし、俺に出来ることをさせてもらう。
サオリとお前は同じなんだろ?
ならあいつも、アズサが得た「日常」を、分かってくれる筈だ。」
シロウは、私の言葉を覚えていてくれた。
その上で、アリウス分校を助ける、と。
そう言ってくれた。
「────うん。
その時が来たら、頼りにさせてもらう。」
「くそっ...」
アズサが帰った後。
洗面で顔を洗った。
「ったく。
藤姉のヤツ、何が「士郎なら立派な先生になれる。」だ。」
全くもってそんなビジョンは見えない。
「正義の味方」と「先生」は全く違う。
そもそも先生は生徒を救わない。
そういう仕事では無い。
生徒を導くのが、先生の仕事だ。
「
そんなの最初からわかってた事じゃないか。」
先生とは、人として真っ当な道を歩んでこそ、なれるもので。
人として何処か履き違えている、間違えている俺が「先生」になるには、俺が真っ当な生き方をする他に道はない。
つまり先生を目指す事は。
過去の自分を、あの日の自身を許す事────
背負った罪で道を決めてしまった俺の────
あの出来事と、ケジメをつけることに、他ならない。
選んだのは俺だけど、選択肢を増やしたのは藤姉だ。
「.....全くもって無理難題を用意しやがったな、藤姉のヤツ。」
教職を、俺に勧めたのは別の意図があったのかもしれない。
なんて、少し姉心を理解した。
む、藤姉のいつもの意地悪だと思うと俄然やる気が湧いてきた。
藤姉より「先生」らしくなって、次に会った時は誇らしげに胸張って自慢話してやる。
2026.3.27追加
士郎固有の銃。 「マテリアル・バースト」
通称・マテバ。
【挿絵表示】
モチーフはマテバ社のリボルバー、MATEBA2006M
ぶっちゃけます。
元々はRSH-12(またはRSh-12)をモチーフにしたものにしようと考えてました。
※ロシア製のリボルバー
元々アンケートに「どうせ二丁拳銃に票が入るだろ」「まぁ、もしかしたらSGとか、SRかも」と思っていたのが予想が大外れ。
なんでさ。
急遽「オートマ拳銃ではダメで、リボルバーじゃなきゃいけない理由」を考えなければなりませんでした。
という訳で、拳銃で撃てる最大口径弾丸である12.7mm弾を使用する「RSH-12」が候補にあがり、ほぼ確定でした。
それを決めたのは2月の半ばから少し前です。
Xでも報告させて頂きました。
さて、ではどうしてそうならなかったのか。
2月の最後、バイオハザードレクイエムが発売されました。
(私は買ってないしやってない)
まさかのカプコンというか、開発陣営がタイムリーで「RSH-12」を登用。
私個人としても「被ってしまった」というちょっと言葉に表せない気持ちと。
読者さんに「あ、レクイエムの銃じゃん!」みたいな「そこからもってきた」風に思われる方も沢山いると思って、それは本意ではありませんでした。
で、どうしたのかと言うと、
使う弾丸の種類はそのまま、趣味走らせていただきました。
私は小学生の頃に親にGHOST IN THE SHEELを見せられてから攻殻機動隊のファンになってまして。
トグサの愛用武器、マテバも同様に好きでした。
RSH-12もマテバ2006Mも同じくシリンダー下側から弾丸を発射するので。
外見はマテバそのまま、RSH-12の性能にしたわけです。
銃のイラストが下手なのは勘弁してくれ....上手く描けないんだ。
ちなみに「どうしてアンケートの中に単発装填式のカテゴリがないんですか。」
みたいな質問を2人ほど頂いたのですが。
それは、秘密です。(意味深)
アズサとの絆エピソードの前半はとある理由で士郎を怒ったアズサが士郎をガンショップに連れていく話です。(今のところ)さて、士郎はどんな銃を買うでしょう。
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回転式拳銃(リボルバー)(一丁)
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自動式拳銃(オートマチック)(二丁)
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サブマシンガン(一丁)
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マシンガン(一丁)
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アサルトライフル(一丁)
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スナイパーライフル(一丁)
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ショットガン(一丁)
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ショットガン※レバー式(二丁)
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アンチマテリアルライフル(一丁)
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買わない