衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】   作:神宮寺志狼

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さて、前書きです。
Vol.3はノンストップと言ったな?

あれは嘘だ

という訳で元々予定していたとあるイベントの魔改造ストーリーですが重要度が高すぎるのと、とある生徒達が活躍することにあたりVol.4扱いとなります。
して、この0章が終わり次第Vol.3 第3章に移ります。
一応短く3~5話程度でまとめる予定ではあります。

ただし、「イベントの魔改造」といいますが中身はほぼオリチャートといいますか、オリジナルシナリオに近いものとなります。
書いてる最中で想定より長くなったりするかもしれません。

ちなみにVol.4のテーマは「正義の在り方」になります。

この作品としては前回のイベントで1シーズン、一区切りした形になります。
というのも士郎が本人なりの「先生」への手がかりを掴んだので、ここから先はその点において士郎は悩まなくなるからですかね。
言ってしまえばこの章からスタートライン。

さてと。
先に告げておきますが、ここから先は以前と同じようにミスリード、伏線を大量に仕込む形になります。
「え?どうしてそうなった。」「え、何これ。」
と言った形で楽しんでいただけたらと思います。

ここでもう一度申し上げます。
「「本作の登場人物の仮定、考察」は絶対に真実である、とは限りません。」



以下設定、
前提条件更新。

衛宮士郎
カテゴリー「先生」
・年齢23歳
・身長167cm→169cm

スキル(ここだけ設定)
・直感:B → B+
・心眼(偽):C-
・魔術:D+
・カリスマ:C+(特定条件下のみA+)
・構造把握:A

使用可能な技能およびアイテム。
・無限の剣製、及びそれに付随する「投影魔術」「強化魔術」
・魔術:「展開」
・シッテムの箱
・大人のカード

New・呪縛:「先生概念」(オリ要素)
状態:弱体化、もしくは神秘との拮抗状態。
「概念」を理解し、逆手にとることで逆に生徒に対して「本音」を話したり、逆に「本心ではない言葉(弾丸)」などは切り捨てられるようになっている。
しかし、完全に解除とはいかず、本質に逆らおうとする時のデメリットは前と変わらない。

New・神秘:「ホルスの血」
過去に小鳥遊ホシノから輸血し、その血に含まれる神秘。
現在は士郎の意志により神秘の力は制御下にあり、尚且つ上記の「先生概念」による侵食を食い止めている。

なお、「神秘解放」した際は頭上にヘイローが出現し、左眼の虹彩は青く変色する。
また、神秘と「概念侵食」の影響により左腕が茶色く焼けている。

New・「永劫に尊き黄金の剣(エクスカリバー)
ミレニアムサイエンススクール、エンジニア部製の聖剣の模倣品。
光学迷彩を搭載しており、2つのスイッチで「風王結界(インビジブルエア)」のON/OFFが出来る。
なお、ミレニアムでの戦闘の一件からウタハによって音声認識での「真名解放」の再現も出来るようにされている。

ただし、現時点ではあくまで士郎は「約束された勝利の剣(エクスカリバー)の形をした現代兵装」であり本物とは別物、として扱っている。

New・Divi:sion system
G.bibleを入手した際に移された検索エンジンソフトと思われているもの。
ただし、最近は士郎の端末の制御を独りでに好き勝手している。
例「アラームを勝手に設定する」「生徒からの電話を勝手にとる」など。






Vol.4 ベルシラックの狐とカルバノグの兎編 第0章 狐の尾はいまだ揺れず
#1 起こり始める数々の問題


『衛宮先生...そろそろ良いでしょうか?』

 

アロナが改まって話しかけてくる。

よい、とは何のことだろう?と思いつつ、俺は彼女の教室(部屋)へ入ることにした。

 

「.....あれ?

なんか前より....。」

 

至る所はボロボロだ....。

いや、元より壁は砕け光が刺してたのだが。

置いてある机が欠けていたり、壁奥に見える海の波はコマ飛ばしのように断絶して動いている。

なんと言えばいいのか、ゲームで言う「フレームレート」が落ちている状態だ。

5秒に1回、波が動いている。

 

「な、なんだよこれ。」

 

「......え、へへ...ついこの前まで何ともなかったのですが....件の「ヘイロー破壊爆弾」の直撃を防いでから端末内のテクスチャがバグを起こしてまして....。」

 

「は!?そういやお前は大丈夫なんだよな?!」

 

心配になりアロナの肩を掴んで思いっきり揺すった。

 

「うわ、ああああ!わ、私は大丈夫ですから...!

衛宮、先生────落ち着いてください...っ。」

 

「そ、そうか....よかった。」

 

けれど、確かに、机の欠けている部分などはまるでデータが欠損したかのようにバグを起こしていた。

これは、この前被弾したせいなのか....?

 

「悪い、俺のせいで.....」

「この教室の事はいいんです....ですがイリヤさんが...。」

「イリヤが?どうしたって? 」

 

そういえばこの前、イリヤについて相談があるとかないとか言ってたな。

思いっきし忘れてしまっていたが。

 

「はい....どれだけ声をかけても起きてくださらないんです....。

で、色々調べてみたんですが....。」

 

アロナは俺に何かメモリの割り振りのようなグラフを見せてくれた。

 

「これは?」

「「シッテムの箱」のメモリ使用グラフです。

通常は40%なのですが.....」

 

アロナはどこからがグイッと別のグラフを持ち出した。

 

「こちらは現在、私とイリヤさんが全力稼働した場合のグラフです。」

 

そちらの表記は120%

つまり────処理が足りていない。

 

「私単体だけでも全力稼働すると占有率70%を超えてしまって。

おそらく今イリヤさんは自身の思考や意識を強制的に停止してスリープモードに入ってるんだと思います。

 

......私が、全力で動けるように....。

そもそも「シッテムの箱」のシステムO.Sは私A.R.O.N.Aなので....。」

 

──────。

そんな.....。

じゃあこれからはイリヤと話せないってのか?

 

「.......急にそうなったのはやっぱり()()()()の影響なのか?」

 

アロナは分からないと首を振る。

 

「ですが....イリヤさんが自ら閉じこもっているのにも、また別の要因がある気がするんです。

 

衛宮先生.....イリヤさんはもともと普通の人間だったんですか?

アビドスでのお話では人造人間(ホムンクルス)と言っていましたけれど....。」

 

「いや、詳しい話は知らないんだ。

ただ、イリヤの爺さんが聖杯の事しか頭にない典型的な魔術師でさ.....俺の親父のせいで肉体改造を受けて.......。

多分、人間ではあったけれど、()()()()はされてこなかったんだと思う。」

 

それでも、一時期共に暮らしていたイリヤは美味しそうに食事をし、珍しいものを見ては驚き、隙あらば俺に抱きついてきたり、嫌な事があれば全力で拒否した。

人間らしい振る舞いをしていた。

 

「........こういっては何ですが.....今のイリヤさんは人間なのでしょうか....。」

 

アロナのその言い方に自身の眉間に皺が寄っていくのがわかる。

余りにも嫌な言い方をされてしまったからだ。

そして、それは否定できない。

頭の片隅に、そういう考えがないと言えば、嘘になってしまう。

 

「アロナ、流石にそれは───」

「自身は一度死んでいて.....自らの願い────衛宮先生の為に力を使って呼び戻された。

 

けれど、今の彼女は───物を食べることも、眠ることも、物に触れることも........衛宮先生に抱きつくことも、ままなりません........。

 

私にはわかりませんが。

それで生きている実感というものは味わえるものなんでしょうか?」

 

「────────。」

 

 

何も、考えていなかった。

またイリヤと会えた、嬉しかった。

これからも、冬木の時と同じように過ごせるのだと。

キヴォトスで、独りの俺にとって、唯一無二の家族がそこにいてくれた事が嬉しくて、それしか考えてこなかった。

 

けれど、イリヤは?

聖杯戦争中、彼女はサーヴァントが倒される度、肉体機能を失っていった。

けれどそれは一時的なものだ。

それに長期耐えられるように人間は作られていない。

 

だって、彼女は切嗣(親父)の娘なのだ。

人として生まれたのなら、人として生きていけなければならない。

 

「......。」

 

それが、今の彼女は0と1の数値で出来ている。

────聖杯の器より質が悪い状態だ。

 

「せめて、イリヤさんをどこか別の端末に移動させることができれば、私達はそれぞれ動くことができるのですが.....。」

 

「────ミレニアムのエンジニア部に相談してみよう.....。

正直、シッテムの箱がオーパーツである以上、望み薄だけどな....。

 

でもデータ転送したり、イリヤもまがりなりにも魔術がまだ使えたんだ。

それでどうにかこうにか....。」

 

切り替えろ、イリヤは居なくなったわけじゃない。

どうすれば助けられるか、この状況を打開できるのか。

まだ、俺は出来ることを最大限してないんだから。

 

「......少しだけイリヤと話せるか?」

「........呼びかけては見ますが....。」

 

「珍しくシロウがここに来てると思ったら、なんだその話なんだ。」

 

 

「「!?」」

 

なんとも。

ここに居るのが当たり前という様子で。

教室の扉にイリヤは寄りかかっていた。

 

 

「イリヤ!

お前は何ともないんだな?」

 

駆け寄った。

けれど、イリヤはそれを手で制した。

 

「何も。

ただアロナの言った通り、感覚はないし、存在もふわっとしてて。

やる事もないし、起きていても意味無いし。

ならアロナの為に落ちて(寝て)た方が良いじゃない?」

 

「──────。」

 

こんなに卑屈になっているイリヤは初めて見た。

いつから、苦痛に思えていたのだろう。

 

そういえば、どうしてイリヤはシッテムの箱に触れた最初の日から起きてこなかったのだろうか?

 

もしそれが─────イリヤが息を引き取った日から俺がキヴォトスに来るまでなら。

 

何年、彼女は独りでいたのだろうか。

 

「最初から────お前──、」

「でもずっと辛かったかって言えば、それも違うわ。

 

だって、ここにはシロウがいるもの。」

 

イリヤは歩み寄ってきては、俺の頬に触れる。

 

「......おかしいよね....触れてもいないのに、「暖かい」と思えるなんて。」

 

あぁ、なんて、俺は馬鹿だったのだろうか。

そういえば、これまで幾度となく攻撃的だった時があった。

元々、イリヤは人見知りというか、人嫌いする子ではあったけれど、行き過ぎていた時も多々あった。

 

「それに、当たり前なのよ。

だって私は「幽霊」みたいなものなんだもの。

 

「身体」があったら、それはただの「生きてる死体」よ。

でしょ?」

 

「─────。」

 

 

そうして、頬から手を離したイリヤはくるりと翻り、教室を去ろうとする。

 

「シロウも成長して、()()も固まったみたいだし。

もう心配事はないかなぁ。

基本的には寝たきりでいいわよね

あ、当然緊急なら私も手伝うから.....だから。

()は任せるわ、アロナ。

 

シロウを、よろしくね。

 

「イリヤッッ!!」

 

どこか寂しそうに笑う彼女へ手を伸ばす。

しかし青い粒子が散り、姿は忽然と消えてしまった。

 

「クソっ!なんで────」

 

(ドンッ)

悔しさのあまりに握りこんだ拳で机を叩いた。

どうして、もっと、イリヤのことを気にかけてやれなかったのか。

俺は、知っているはずだ。

日常というものがどれほど簡単で、突然に壊れてしまうことを。知っているはずだ、大切なものを失ってからでは遅いのだと。

 

「衛宮先生.....。」

 

「ちくしょう....これじゃ、兄貴失格だ。」

 

いいや、そんなもの、名乗ることすらおこがましい。

イリヤと全く話をつけられていない。

 

あいつはずっと辛かっただろうに、俺のことを心配して、ずっと手助けしてくれた。

なのに、俺といえば、今何も───してやれない。

 

「大丈夫ですよ!衛宮先生───!」

「───え?」

 

アロナの元気いっぱいの声に顔をあげる。

 

【挿絵表示】

 

俯いていたのは一瞬なのに、彼女の笑顔はとてつもなく眩しくて.....。

それでも、目を逸らすことは出来なかった。

 

「大丈夫です!

これまでもそうだったんですから、今回も何とかなります。

いいえ、私達で解決するんです!衛宮先生!」

 

「実は私、イリヤさんと暇な時にゲームしてたこともあってずっと対戦ゲームでは負け越してるんです!

ずっとコンボを練習したりしてますけど....それでもまだ ..。

衛宮先生のサポートもそうです!

 

大事な時に、いつも私はお役に立てなくて、なのにイリヤさんは一歩先を行ってるんです。

必要な時に必要な言葉をかけられて.....必要な事をいつも先にやってくれて......。

 

アロナは「シッテムの箱」のスーパーAIなのに ...。

 

でも、だからこそ、イリヤさんを尊敬してるんです。

私にとってイリヤさんは「先生を手助けする」事において「先輩」ですから。

 

...はい、認めたくありませんが、イリヤさんに比べたら私はポンコツです。

私にできることなんて、衛宮先生を信じることくらいです。」

 

「─────。

そんな事────。」

 

ない。

そんなことは絶対に。

 

だって、お前は、キヴォトス(此処)に来てからずっと俺を守ってくれた。

心配をかけた。

仕事をしてくれた。

生徒を俺と同じように心配してくれた。

 

「それでも....これまで何とかなっていたのは「先生」が「衛宮先生」だったからです。

なので、私は「衛宮先生」を信じます。

大丈夫です、生徒さんに接したように、話してきたように。

イリヤさんともしっかり話せる日が来ます。

 

だから.....私達の明るい未来を見上げましょう!」

 

【挿絵表示】

 

アロナは俺を安心させる為か、手を取るどころかウインクまでしてみせる。

けれど、力いっぱい握りしめた彼女の手は震えている。

 

「────あぁ....そうだな。」

 

そうだ、嘆いても何も変わらない。

俺より小さな女の子が苦しみに耐え笑ってるんだ。

 

「涙は次にイリヤさんと会えるまで取っておきましょう!」

「え?いや泣かないし....と言うか男ってのはそんな簡単に泣くもんじゃないぞ。」

 

「えー?今の衛宮先生は今にも泣き出しそうな赤ん坊みたいでしたよ~?」

 

「お?大人を揶揄う悪い口はこれか、これか!」

 

アロナの後ろに周り、その頬を摘んで引っ張る。

 

「い、いひゃいれす(痛いです)っ!」

 

報復のつもりなのか、俺へ手を伸ばすアロナ。

しかし、腕の長さが足らず、俺の顔へは届かない。

可愛らしくその場で腕を振りまくって暴れているだけだった。

 

「.......ありがとな。

いつだって、俺はお前達に助けられてきた。」

 

摘んでいた指を離した。

もう大丈夫だ。

 

「そろそろ戻るよ。」

 

やる事は山積み。

躓いてなんていられない。

ここまでイリヤが繋いできてくれたものは、無駄にできない。

 

「衛宮先生!」

 

教室の扉を開けると同時にアロナから声をかけられた。

 

「───いってらっしゃい!」

 

「────あぁ、行ってきます。」

 

教室を出ても、また端末の画面越しに会話できるってのに律儀に挨拶をした。

けれど、本当の意味はわかっている。

 

『頑張って』と。

俺は、励まされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと。」

 

そろそろ、俺も覚悟を決めなきゃいけない。

シャーレで過ごす生徒たちも多くなってきた。

 

その原因はと言うと、未だに就学出来ていない藤河組の皆である。

というのも、彼女達はホシノからのアビドス高校への入学だけに飽き足らず、ナギサからの勧誘まで断ってしまっていた。

 

まぁ、今回ばかりは分からなくもない。

何せ元々苦手意識のあったトリニティからの誘い。

しかもナギサは自分たちのリーダーである藤河マコを傷つけられ、その本人は未だに行方知れず。

 

これでトリニティに行きたい、なんて言う奴もいないだろう。

 

ミレニアムから声でもかかれば良かったんだが、その力を示す機会はなかった。

更に言うとゲヘナは嫌だって言い出すし。

 

「やっぱりアビドスが一番収まりもいいし、ホシノ達の環境改善にもなって、一石二鳥なんだけどなぁ。

 

というか、もうやってることトリニティ自警団の延長だよな。」

 

藤河組はあちこちでパトロールや問題解決に一役買っているものの、連邦生徒会に正式認められた集団ではないのは確かだ。

 

む?待てよ、つまりこの問題を解説する近道って連邦生徒会公認の立場にしてしまうことなのではないだろうか。

 

「でもそれには連邦生徒会に案を提出して認めてもらうしかない。

顧問就任の印鑑を押してもらうのとは天と地くらい差があるしな....。」

 

なんて考えている内に携帯がなり始める。

発信者は────これまた相談にはうってつけというか、現在連邦生徒会で一番頼りにしている奴だった。

 

Divi:sion systemより早く応答した。

 

「お久しぶりです、衛宮先生。」

 

「あぁ、お前と話すのがまるで1年ぶりくらいに感じるぞ、カヤ。」

 

不知火カヤ。

連邦生徒会においてキヴォトスの平和を司る防衛室、その室長。

お堅い七神リンや扇喜(おき)アオイと違い話の分かるやつである。

 

「それで?

何か用か?

俺も実を言うとお前に相談したいことがあったんだ。」

 

「そうですね、では単刀直入に申し上げます。

衛宮先生が提案し私が承認した無学籍生徒保護プログラムのことです。

このままでは少し不味いかと。」

 

不味い....?

なんでさ。

 

「別に藤河達はおろか、ワカモだって今は大人しくしてるし、こっちは問題ないんだけどさ.....あれか、予算の都合とかか?」

 

実際、かなり無理をいって押し通した案件なので問題点はそこら辺に転がっているものではあるけれど。

 

「.....そうですか、衛宮先生はご存じないようですね.....。

電話では何ですので、宜しければ一度お越しください。

改めてお話しましょう。」

 

....何が起きているのかは分からないが、カヤが話をする為に俺を呼び出すくらいなのだ。

電話だけでは解決しない話なのだろう。

 

「わかった、今からそっちに行く。」

「宜しければ迎えを───。」

 

「いや、そこまでしてもらう必要はない。

......ただ、何人か連れていくけど、いいよな。」

 

そう言うと即答、とはいかなかった。

もしかしたら一般生徒には聞かれたくない話なのかもしれない。

 

「悪い、ただ────」

 

「分かりました。

まぁ、()()D().U()のことを踏まえるならむしろその方がいいでしょう。

さして機密事項でもありませんし?

分かりました、お待ちしております、衛宮先生。」

 

そうして、通話が終了した。

最後、彼女は気になることを言っていた。

 

「今のD.U」。

それは不穏な言い方をわざわざしたように思えるし、自身を納得させるために絞り出したようでもあった。

どちらにしろ、カヤを含めシャーレで暮らす生徒達の風向きが悪いということだろう。

 

 

 

「........あら?衛宮先生、難しい顔をしてどうかしたんですか?」

 

そこに現れたのは、浦和とヒフミだった。

 

「丁度いいとこに来たな。

これから防衛室に行くんだけど、2人とも着いてきてくれ。」

 

「え?わ、私なんかが連邦生徒会へ出張ですか?」

「.......どのようなご要件で....?」

 

不安そうなヒフミ。

対照的に訝しむような浦和。

 

「今藤河組がここに居られるのは現状施行されている防衛室が立ち上げたプログラムによるものなんだけど。

それが瀬戸際らしい。

あれがないとマコ達はおろか、ワカモやお前達もここにいられなくなっちまう。」

 

「一大事じゃないですか!

私にできることであればお手伝いします!

行きましょうハナコちゃん!」

 

浦和の手を取るヒフミ。

されど彼女の表情は芳しくない。

 

なんせ、政治に関わることを嫌い、他人に利用されるのを嫌う彼女を、今無理やりティーパーティーの補佐の立場に縛り付けている。

だというのに連邦生徒会の案件に対してよい感情を持ってるはずが無い────無い、のだが....。

 

「はぁ.....仕方ありませんね....大体現状のシャーレの立場は理解しています。

私も微力ながら手助けします。」

 

了承してくれた。

 

「ありがとう!恩に着る!」

 

そうして、アズサとコハル、ミカには別途メッセージを送って俺の不在を伝え、3人でD.Uへ向かうことになった。

 




この話の書くにあたり影響を受けたのは「空の境界」と「シュタインズ・ゲートゼロ」です。
前者は「痛覚残留」から「感覚がない、というのはどういう事なのか。」
後者は「一度データに置き換えられた人間は、本当に人間なのか。」

と言ったところです。

「おい、作者。イリヤを雑に扱いすぎだろ。」
「連れてくる必要、あった?」

と思われている方もいるでしょうねぇ......。
全部が全部その通りとも言えませんが、全くです。

ですがvol3、vol4後に書くVol2の2章、(最終章の手前)では胸熱展開を仕込むつもりですので悪しからず。
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