衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】 作:神宮寺志狼
怒らせてもいいし、激励させてもいいし。
「ってな訳で紹介するよ。
今回の作戦に加わるミレニアムサイエンススクールの美甘ネルと各務チヒロだ。
中でも
「待った、先生。」
二人を紹介している途中、美甘は割り込んでくる。
.....なんだろう、何処が不満なのだろう....。
誇張し過ぎただろうか?
「...な、なんだよ、」
恐る恐る質問してみる。
「「ミレニアムだけ」じゃねぇ、あたしは中近距離ならキヴォトスで「最強」だ。」
「「........。」」
皆、押し黙った。
確かに美甘と戦った時、生半可な生徒では敵わないと心の底から思った。
だが、「井の中の蛙、大海を知らず」という言葉があるように、キヴォトスには無数の生徒がいる。
例えばヒナやミカ、ツルギなども筆頭候補に入るだろう。
「.....美甘にとって「勝利」の定義ってなんだ?」
少し気になったので話を広げてみる。
無論、あまり時間はないのだが。
「そりゃあもちろん戦って最後まで立ってることだろ。」
「──────。」
シンプルだった。
どれだけ怪我をしようと、血を流そうと、無様であろうと。
最後まで意志を持ってそこに立ってさえいれば。
「....そりゃそうだな、無粋なこと聞いた。」
「....お、おう....。」
さて、本題に戻そう。
作戦を練るためにも情報を整理しなければ。
「各務、結論を聞きたいんだけど。
今は防犯カメラのジャックと基地局の位置情報のハッキングはされてないって事でいいんだよな?」
「半分正解。
防犯カメラの件は私が出向いて解決してきた。
今の制御と権限はヴァルキューレ警察の手元にある。
でも位置情報の方はコユキが手元の端末で情報流してるみたいで、本人を確保しない限り流出は止まらない。
そう考えると、衛宮先生が携帯の電源もろとも切ったのは対策としては正解かもね。」
「なるほど。
では、衛宮先生を襲っている彼女達は「わざわざシャーレには戻らないだろう」という思い込みの為にここの監視は手薄になっていた、という所でしょうか。
今回は運良く上手く裏をかけましたね。」
浦和は現在に至る状況の考察へ移る。
「となれば、このまま衛宮先生の携帯の電源を切っておけば、
「......結局、奴らにとっての唯一の情報が途絶えた。
そう考えれば、いずれは手がかりを求めて
「そうです、ユキノさん。
恐らく今はそれぞれ分隊程度に別れてD.U内を捜索していることでしょう。
ですが、数時間経っても見つからない。
となれば、間違いなくそうなるかと。」
「....貴官....いや、貴女はそれがどのくらいと見立てている?」
「......早くて1時間.....遅くても3...いえ、2時間程かと。」
淡々と浦和と
そこへ、
「いや、幾らなんでも数時間は早いと思うよ。
だって彼女達はただの不良生徒で訓練されている訳じゃないじゃん?
数日後ふらっとやってくる、くらいにしか思えないんだけど。」
確かに、現状を鑑み、彼女達が「自発的に暴動を起こした」と都合よく考えるなら、そうなってもおかしくは無い。
「天神山、お前の言ってる事は概ね合ってる。
今回の背後に
「......それ、どういう事?」
俺の言っていることの意味を理解できていない。
それは当たり前というか。
恐らく俺と、
俺は七度に視線を投げかける。
すると、当人は吉野へ話しを投げた。
「
「了解。
衛宮先生、プロジェクターをお借りしても?」
「あ、ああ。」
正直、視線だけにしておいて良かった。
これがもし、彼女へ「説明してくれ」なんて言っていた際にはまるで無視されたかのようになって.....いや、もうこの時点で致命傷よりいくらかマシな程度だ。
して、七度を睨むような視線が1つ。
「........。」
美甘だった。
どうも、七度と馬が合わないのは俺だけじゃなくて彼女もらしい。
「.....こちらが、現在彼女達が使用している装備一覧。
中でも多く見かけられたのはAR-15をベースとして改良が施された物で個々でカスタムされた物は外見上見受けられませんでした。
そして、これまでヘルメット団が使用してきた武装の代表例がこちら。」
先程までスクリーンに表示されていたアサルトライフルは、まるで軍の使用する武装のようにフォーマルデザインだった。
しかし、次々に映し出される銃は、色、規格共にバラバラで正に「固有の武器」と言えた。
「というか吉野。
これだけの情報、何処から?」
「以前の鎮圧で押収された物品です。
いつか役に立つと思って写真を支給されていた端末に入れてありました。」
唐突な質問タイム。
俺の次に手を挙げたのは、各務だ。
「それ、どのくらい前の?
大袈裟に言うなら数十年前のデータとか...」
「少なくとも1年未満の期間のものです。
そこまで古くはありません。」
「もう少しサンプルが欲しいところだけど、現状じゃ仕方ないかな。
あぁ、貴女達を責めている訳じゃないから。
その点、衛宮先生。
藤河組....だったっけ。
あの子達の武装はどんなものなの?」
各務はデータとしての信頼性がどの程度なのか知りたかったらしい。
ミレニアムサイエンススクールの生徒らしい行動だ。
「.....バラバラ....でも統一されてない訳でもない。
出身地域で同じメーカーの武装を使ってるって感じだな。
.....誰がどの型式の武器使ってるとか聞かれても分からないし、悪いけど写真とか画像なんてそんな上等なものないぞ。」
これには皆呆れて溜息を吐いたらしい。
「管理が甘すぎる」と。
七度の視線はいっそう厳しいものとなった。
睨まれてるだけまだマシだと思おう。
これが諦観に変わってしまえば、二度と会話もできない。
「......強いて言うなら「使い勝手の悪い銃」を安く手に入れてる奴が多いかな。
本来は扱いにくい武器は生産数が少ない分、元値を回収しようた高くなるらしいけど、曰くのある品々だから店に残ってても仕方ないってので安く手に入れたって。
まぁ ....あんまりはっきり言いたくないんだけど、ほら、アイツらの主な
その分生産数も当然少なく、ほぼワンオフの銃ばかりだったりする。
中には改造したり改修したりしてツギハギしていた奴もいる。
ただ、
ブルバップ式....?らしい。
一時期はそれで仲間と軋轢もあったそうだが。
水筒の様な
携帯性はとても良さそうだが、本人曰く「直ぐ
なんか....あれだ。
白髪のバニバニ言ってそうなトリニティの生徒が見たら間違いなく特徴的な顔になること請け合いだ。
「......やっぱり、その武器。
「支給」された物な気がします。」
ヒフミもそう認識していた。
「で、誰かに渡されたものだとして、それがどうして拠点を発見されることに繋がるの?」
「オトギさん、物事は常に最悪の想定をしておくべきです。
もし、彼女たちに指示している者たちがいるとして。
その人たちが「脅し」をしているとしたら?どうでしょう?」
「脅しって、何よ?」
浦和の思わせぶりな言葉に、
俺はある程度想定できている。
そして、恐らく、
「もしかして......「
「.....そういう事も有り得る、とだけ言っておきます。」
ヒフミはどうやら正解を引いたらしい。
というか、正直驚いた。
ヒフミなら『え、どういう事ですか?』みたいな事を言うだろうと思っていたのだが。
全く的外れ、という訳でもないらしかった。
「おう、変なカバン背負ったお前
案外勘が良いじゃねぇか。
見たとこ良いとこのお嬢様、って感じの見た目してんのに。」
同じ事を思ったのか。
美甘がヒフミに質問してくれた。
「へ、変なカバン...!?
これはペロロ様といって今大人気の───」
「え?ダサくない?」
美甘によって開けられた会話の穴。
そこへ、藪をつつくように天神山が爆弾を投げ入れた。
「──────。」
わなわなと震える、強く握りしめられた拳。
そして─────踏みとどまった。
「───ま、まぁ、人の好みはそれぞれですし。
ペロロ様を「可愛くない」という人も一定層いるでしょう。」
「いや、それだとまるで「可愛いと思わない人」が少数みたい────」
「オトギちゃん、少し、黙ろっか?
ごめんね、......ヒフミちゃん、だっけ。」
「は、はい。」
火種に油を注ごうとする天神山を、吉野が止めてくれた。
というか、ヒフミの仕返しの仕方がまるでナギサみたいになって言ってるというか......トリニティ特有の
「.....??」
俺の視線にきょとんとしている所からして、恐らく素でやっているのだろう。
その様子に七度も謝罪する。
.....なんなんだ、この流れは。
「.....隊員が失礼した。
話を続けてくれ。」
「おう。
で、ヒフミ。
どうしてそう思った?」
「え?ペロロ様の可愛い所ですか?
それはもう────」
「そっちじゃねぇ!
敵の生徒達は脅されてる、って話の方だ。」
あぁ、もう!と美甘は完全にヒフミの流れに乗せられている。
......ここにはツッコミ役がほぼ存在してないせいでもある。
強いて言うなら高倉ぐらいか?
「あぁ、それでしたら....なんと言いますか。
数週間前に「そういう人」達に関わる機会がありまして...
ちゃんとした生活を送りたいのに、それが出来なくて困っている。
悲しいですが、そんな生徒達がキヴォトスには沢山いて。
手段を選ぶほどの余裕がないから、騙し騙されて、奪ったり、傷つけたりして、時に奪われて。
そんな人達は「悪い大人」に利用されやすいのかな...と。
そして、黒幕がいると仮定した場合、これほどの生徒の皆さんに武器を支給するとなると大企業か裏を牛耳ってる企業だと思いました。
でも、こんな大それた犯罪がバレてしまえば、旧カイザーPMCのように潰れてしまいますから。
「自分達と繋がりのある生徒」はシャーレはおろかヴァルキューレ警察にだって捕まって欲しくないと思うはずです。
となると、一番簡単なのは、こう....首輪というかチョーカーに爆弾つけて....ボン....みたいな....
あ、あはは....何言ってるんですかね、私。」
美甘の表情が強ばった。
こいつですら恐ろしいと思えるほどのことをヒフミは素で考えて言ってやがる。
「......筋は通ってんな。
けど、考えすぎだと思うけどな。
少なくとも、アイツらはあたし達生徒の尊厳を踏みにじっても命を奪う程の根性は持ってねぇ。
第一あたしらはその程度じゃ死なねぇしな。
あ、この場合は「そこまで捻くれてねぇ」って言うべきか?「先生」さんよ。」
『爆弾』。
その発言に内心恐怖を覚えた。
なんせここ最近俺自身がキヴォトスの生徒すら殺しかねない『爆弾』の直撃を受けている。
だが、彼女達の首にチョーカーは見られなかった。
「....そうだな。
俺も美甘の言うことに賛成だ。
ただ、騙されてってのはあながち間違ってないと思う。
契約書を偽造したり、無かったことにしたりする奴も多くないって聞いてる。
生活支援の代わりに依頼されてる、と考えれば違和感はないな。」
尚のこと「大人」に対して助けを求めにくくなっているはずだ。
話し合いも、まともに出来ないだろう。
ここで、七度が冷たい視線で、最終決定を委ねてきた。
「黒幕がいるにせよ、彼女たちを討伐しない事には何も解決しません。
制圧するという方向性で、よろしいですね?」
「─────。」
これが、機械の反乱だったり、暴走したマシン相手ならどれほど良かったことだろうか。
しかし、現実で相手にしているのは、俺がこの手から零れ落とした生徒達だ。
それを、俺達の都合で一方的に倒してしまうのはおかしい。
そう、思ってしまう。
「─────おい、先生。
ちょっとツラ貸せや。」
煮え切らない俺の態度に思うところがあるのだろう。
美甘は俺のネクタイを引っ張り、強制的に立ち上がらせた。
「ま、待て!自分で歩くから...く、苦しいっての!」
「いいから来いっての!
悪りぃな、お前ら。
ちとばかし先生を借りてくぜ。」
「お、おい...待て!」
七度の静止も聞かず、美甘は俺を連れ出す。
そうして俺は一時、美甘と
(ドガッ!)
「.....っ!」
廊下の壁際に、そのまま叩きつけられた。
身長差なんて関係ない。今は、美甘の方が上だった。
「おい、テメェ。
この期に及んで「戦いたくない」なんて言わねぇよな?」
「.........。」
「当ててやる。
アンタは暴動を起こしてるあの生徒達全員を「自分が救わなかった生徒」だと思って強硬策に出れずにいるんだろ?」
バレていた。
美甘にバレているのだから、浦和はおろか七度にだって恐らく気が付かれているに違いない。
「やっぱか.....なぁ、馬鹿なんじゃねぇの?
助けてください、って求めてきたのを袖にしたなら罪悪感湧いても仕方ねぇけどよ。
助けを求められても居ねぇのを「アイツらが不幸なのは俺のせいだ。」ってのは無茶苦茶失礼だと思うんだわ。あたしは。」
宙ぶらりんになりながらも、反論する。
「──っ....だけど..キヴォトスの生徒は、「誰かに」....特に「大人に助けを求めらない生徒」が多くいる....。
その日の食料に困り、大人に騙されて一銭も入らない汚れ仕事をさせられる奴だって。
自分の置かれてる状況を知らずに、ただ流されてる奴だって.....。
俺を襲ってきたあの生徒達だって.....本当は仲間の為に必死で戦ってるだけかもしれない.....!
それを何も聞かず、何もせず、ただ「悪」として片付ける事が正しいのか....?」
ここで彼女たちを「討伐」してしまえば。
もう二度と助けを求めてくれないかもしれない。
頼ってくれないかもしれない。
助けられない、かもしれない。
導く事も、出来なくなる。
正義の味方としても。
先生としても。
手を差し伸べられなくなる。
それは逆を言えば「生徒との繋がり」を失うことになる。
「.......責任を背負う、ってのは正直あたしにはよく分からねぇよ。」
腕1本で宙吊りにされていたのが、床に足が着く。
美甘は、首から手を離した。
「あたしらC&Cは任務となりゃ容赦しねぇ。
建物破壊しようが、潰そうが気にしねぇ。
その責任を背負う「セミナー」に全部押し付けてるようなもんだからな。
して、倒したやつをどうするかもセミナーの連中だ。」
「........。」
「あぁ、確かに、その点でいえば今回あんたに対して、偉そうに文句は言えねぇよ。
けどな、ここでアイツらを止めなきゃ被害は増える。
アイツらの罪も増える。
D.Uで大っぴらに戦闘して闊歩してあんたに銃口向けるのがどんぐらいの罪になるのか知らねぇけどよ。
悪化したあとじゃ遅せぇんだよ。
なぁ、「
「────────。」
それは、ミレニアムで、アリスが強盗していた生徒達に行った行為。
それを知ってか知らずか。
美甘は同じことをしろという。
「それによ、企業に脅されてるとか知らねぇけど。
ここで一人残らずヴァルキューレに送りゃ、アイツらはキヴォトスでも屈指の安全地帯に逃げられるじゃねぇか。
その間に黒幕なんて探しゃいい。
それに、アイツらの衣食住はある程度保証もされるしよ。
幾らなんでもこんだけの暴動起こしゃ数日、数週間程度の投獄で済むとも思えねぇ。
何も力づくで解決することが全部ダメってわけじゃねぇよ。
お前自身の問題は─────」
コツンと、俺の胸を叩いた。
それも、満面の笑みを浮かべてだ。
今回、俺は美甘に怒られた訳じゃない。
励まされた、1歩、進むための勇気を、こいつはくれたんだ。
「
お前がどう苦しんで、アイツらをどうしてやりたいか。
そこがハッキリしてりゃいい。
道を踏み外すことなんてねぇよ。
ま、奴らの考えも聞かずに「正しさ」とか「幸福」を押し付けるっていうならそれは話が違うけどな。
その時は全力でそのお節介を止めてやる。」
軽やかに俺へ笑いかける。
「躊躇うのも悪くねぇ。
けど、責任の重さと優柔不断は繋がらねぇし繋げちゃいけねぇ。
あんたが躊躇してる、その時点でもう「責任」なんてのは背負う覚悟は出来てんだよ。
まぁ、あたしはそこまで深く考えねぇけどな。
やりたいようにやってるし。
けど、先生は違うだろ?
これまでだってアンタはずっと「悩みながら」前に進んできたんだろ?
なら同じさ。
責任なんてのはな取れねぇ奴は取れるやつに任せときゃいいし、てめぇが責任者だってなら取れる時にとりゃいいんだよ。」
「.......あぁ...。
そうだな.....。」
(バンッ!)
背中を、大振りで叩かれる。
大人としては、良くないのだろうが。
美甘「頼りがいのある生徒」だと思ってしまう。
なればこそ、これ以上甘えては、いけない。
「────行けそうか?」
「.....あぁ!」
オフィスに戻ると、高倉から早速質問が飛んできた。
「で、方向は決めたわけ?」
頷いて、自身いっぱいに答える。
「あぁ、一人残らずとっちめる、
「───な、に?」
七度がここに来て初めて驚愕の表情を見せる。
まるで、俺が想定外の選択をしたかのように。
予想外だと言わんばかりに。
「全員まとめてヴァルキューレに引き渡す。
社交辞令だろうけど、ヴァルキューレの公安局長も一応「手助け」してくれるって言ってたし。
部隊展開までは交渉してみる。」
「それで、作戦はどうする訳?」
各務が見透かすように聞いてくる。
思いついていることはある。
けれど、それは随分危険な手段だ。
「1人たりとて溢れずに捕まえたい。
となると、全員1箇所に捕まえて包囲殲滅ってのが妥当だ。」
「そうなると「誘導」する形になる訳ね。
で、策はあるわけ?」
「あぁ、決め手はこれだ。」
高倉の質問に、携帯端末を見せる。
「.......まさか!
先生、貴方わざと位置情報を敵に伝達して1箇所に誘き寄せようって言うの?」
「そうだ、
引き続き、囮役は俺が行う。
心配しないでくれ、防御手段は幾らか持ってる。」
「....なるほどね。」
「悪くねぇな。
ならその護衛にはあたしがつくぜ。」
美甘や各務は納得して頷いている。
けれど、そうじゃない奴が一人。
「......衛宮先生...それはあまりにも危険です。
先生は何時、どのタイミングで
ヒフミが反対する。
それも予想内というか、浦和も反対すると思っていたんだが、どう考えているんだろうか。
「.....ヒフミの言うことも最もだ。
浦和はどう思う? 」
「.......特に異論はありません。」
「ハナコちゃん!?」
不安そうではあるものの許諾してくれた。
「なぁ、ヒフミ。
俺はアイツらを止めたい。
これ以上、
それにはどうしても必要なんだ。」
「......はい....わかりました。
衛宮先生がそういうのでしたら...。
でも、本当に気をつけてくださいね!
もう、
「......留意する。」
同調圧力というのもあるのだろうが、最後は納得しないままで許諾した。
「........それで、ポイントはどうしますか?」
「.....これから説明する。
アロナ、悪いけどD.Uのホログラムを机の上に最大展開してくれ。」
『わかりました!』
即座にデスクの上に、立体マップが展開された。
「.....え、今の誰?」
「気にするな、高倉。
D.Uは現在避難も進んで無人と化してる。
そうだな.....地図上なら、この公園辺りが妥当だ。
場所の選択条件はいくつかある。
1つ、被害が最小限に抑えられるような所。
1つ、FOX小隊と美甘の戦闘スタイルを行かせる場所。
これは周囲に建物が少く
それでいて少し遠い所に高層建築が幾つか存在し、部隊単位で囲める場所。
それと、D.Uの中央に位置してヴァルキューレが展開しやすく、また各地域にバラバラになって存在しているヘルメット団全員を誘導できる場所だ。
それを考えればここが1番近い。
「.....うん、いけるよ。
ポイントに対して直線上に邪魔な
3つ以上あるし。
なかなかいい目のつけ所だと思うよ。
作戦が夜中だったとしても、回収してもらった暗視ゴーグルもあるし、いけるいける。
何、もしかして衛宮先生も
素直に
ニマニマして聞かれるとどうにも調子狂う。
「.......似たようなことを前にアビドスでやっただけだ。
それに俺のは狙撃手というより.....まぁいいだろ、そんなこと。」
「となるとこの無人区画を利用して敵を翻弄して、誘い込む形で包囲殲滅、って所か。
良いじゃねぇか、走りがいありそうだ。」
美甘もやる気満々の様だ。
......以前アビドスで共闘した時はあれほど嫌々だったと言うのに。
そんなにも俺の印象は変わったのだろうか?
「じゃあ、差配する。
囮役は俺と美甘、それと
狙撃は
現場には
3人に
基本は建物内からの連続射撃。
こっちの人数を悟らせないようにあまり姿は見せず射撃する場所を変えて撹乱しながら数を減らして欲しい。
で、各務。
お前には悪いが、ヴァルキューレに戻って監視カメラで各自治区のヘルメット団の場所の伝達と取り残しがないかを確認して連絡して欲しい。
一番重要な役を任せることになる。
以上が俺の作戦だ。
異論はあるか?」
皆に問うも、帰ってくるのは沈黙のみ。
それも様々な表情で。
七度なんかのFOX小隊メンバーは目を見開いて驚いている。
正規のブリーフィングとはいかないが、あまり見くびらないで欲しい。
これでも命の取り合いでの作戦立案を聖杯戦争中に何度もやってきた。
こういうのは慣れてる。
浦和は目を瞑って頷く。
どうも脳内でシュミレーションしているのだろうか。
「へっ、まぁ上出来だ。
後はアドリブ入れるなり予定にないもんは片っ端から叩いて回る。
それでいいよな。」
美甘が足りない説明を補ってくれる。
「あぁ、異論がないならこれで行く。
現在時刻23:30。
24:00には移動する。
作戦開始は深夜3:00。
寝ている子を起こすつもりで行こう。」
「「了解。」」
それぞれ不安要素のある中、全員の意見が一致した。