衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】 作:神宮寺志狼
お待たせしました。
次からエデン条約編へ入ります。
あくまでこれは繋ぎだったのですが、間違いなくVol.4とする内容でした。
あと一部のセリフは『雪下』のオマージュというかファンサービスといいますか、ね。
名前があれだから。
あと、せっかくネルを出したのに「活躍してねぇじゃん!」ってなったらすみません。
本当に申し訳ない。
あと、ベアおば、
───お前は殺す(デデン!デデンデデデン!デデンデン!)
筆の折れる音
あの後不良生徒達は俺が呼び出したヴァルキューレ警察の生徒たちに逮捕された。
事態が収まると、美甘は姿を消していた。
ただモモトークで「また機会があったらよろしくな」と送られてきた。
そして今、騒動から数日後。
俺達は防衛室に呼び出された。
あれからニコやオトギ、クルミには名前呼びを許されるほどの仲にはなったのだが。
唯一作戦行動中に意識を失っていた七度だけは浦島太郎状態になっていた。
「.........私が、「災厄の狐」に助けられた、だと?
しかもあいつが、ニコやヒフミを助けるために所属不明の生徒と戦い撤退させた?
そこまではわか.....分かりたくもないが億に一で起こってもおかしく....ないこと....だ。
だが、垂直落下してくるビルを蹴り飛ばし。
100mはあるビルへ3人を抱えて跳躍したというのはなんの冗談だ。」
ワカモをシャーレに置いてきて正解だった。
多分、相性の悪さでいえばハスミを優に超えるだろう。
「ほ、本当なんですが....。」
「.....あれは夢じゃなかった、って信じて貰えないだろうけれど。」
実際のところ、俺は有り得てもおかしくないと思っている。
特にヒフミはその手の冗談は間違っても言わない。
ワカモは本当に物理法則をねじ曲げてしまったのだろう。
「それは置いといて、カヤ。
本当にFOX小隊を
そう問を投げかけると、彼女は残念そうに答えた。
「本当なら私もそうした方が良いと思いますがね、
けれど、それは世間が許さないでしょう。
ただでさえ、衛宮先生は危ない立場にいるのですから。」
そう、世間からのシャーレの評判が悪い中。
SRTという一種の爆弾材料を持つな、という連邦生徒会の相違によるものだった。
「でもお前が預かるって....大丈夫なのか? 」
「問題ありません。
本人達も考えた上で納得してくれているようですし。
そうですね?七度小隊長?」
その言葉に一瞬俯いた七度。
されど、顔を上げた時には迷いはなかった。
「...この男のいる場所など安心して眠ることもできません。
それならば防衛室の方が。」
「......。
随分と嫌われてしまいましたね、衛宮先生。
貴方にも懐柔できない生徒達かいるのですね。」
その懐柔とか言うの、やめて欲しい。
「......努力はするよ....。」
そう、誓ったのだ。
トリニティで、ハルナに。
一緒に居て欲しい、と思って貰えるように。
ただ、その努力の方向性は未だに分からないままだが。
ニコやクルミ、オトギとだって信頼関係を築けたんだ。
今はゆっくりと進んでいけばいい。
「俺達はこれで。
報告書はもう七神に提出済みだしな。
じゃあなFOX小隊。
頑張れよ。」
逃げ去るようで格好がつかないものの、その場を後にする。
「待って下さい、衛宮先生。」
それを、ニコが後ろから追いかけてきた。
「ん?なんか───」
「私達だけでなく────も気にかけてあげてください」
耳元で囁かれたその言葉に対して、俺は頷いた。
ウサギ公園。
ここは私たちの
今日も今日とて、自給自足を送る。
そこに風に乗って、1枚の新聞記事が舞い落ちてきた。
「お、いいな。
新聞は燃えやすいしな。
今夜の火起こしには調度良いじゃないか、ミヤコ。」
Rabbit2───空井サキはそう言った。
「えぇ、そうですね。
この新聞は有害物質も含んでいなさそうですし....?
───待って下さい、この記事は....?」
そこには数週間前にD.Uで起きた事件の顛末が書いてあった。
私達も異変を察知はしていたものの、戦闘における武器弾薬やバックアップの装備。
それらを掻き集めた頃には全てが解決していた。
「....あぁ、私達が出遅れた事件じゃないか。
どれどれ......─────。」
サキが苦い顔をした。
それは私も同じで、心の中で2つの感情が入り交じっていた。
「解決したのは「シャーレ」、協力者に「
.......。」
「.......。」
私たちの学園の前にわざわざ「元」とつけているのが憎たらしい。
それにまだSRT特殊学園は完全になくなったわけではない。
「私達の学園は「閉鎖」されただけです。
廃校になってはいません。」
「ま、それを人は「なくなった」って言うんだけど。」
Rabbit3───風倉モエはわざわざ分かりきったことを嫌味のように言ってくる。
それを、敢えて無視した私たちは話を続ける。
「「尚、今回の事件はシャーレに対し不満を抱いた不良生徒による犯行で、世間では「連邦捜査部シャーレ」の存在意義に疑問を呈する声も大きい。
しかし、顧問の衛宮士郎先生は元々彼女達不良生徒や問題を抱える学校の改善活動に極めて誠実に務めている為意見は別れている。
今回の事件に関して衛宮士郎先生は「今回の騒動を納めることができたのは一重にSRT・FOX小隊の活躍とヴァルキューレ警察学校の助力のお陰」とコメントしている。
FOX小隊が活躍した影響もあり、市民からは「SRT特殊学園の再度開校を求める声も上がっているが、連邦生徒会は現状を維持しつつ議論を重ねていくとの方針を発表。」.......。
チッ....これだから頭の硬い上層部は。」
「あれ?今すごい自爆した音が聞こえた気がするけど。
誰の頭が硬いんだって?」
「し、失礼な!
私はただ基準や規則に従っているだけで、石頭なんかじゃ───」
「またまたー。
いつも頭に
「ぐぬぬぬ....っ!」
モエがサキを揶揄うよくある光景だ。
それより、私もサキの意見には全面的に同意する。
「.....ヴァルキューレのような実力も権力も乏しい学校では、このD.U───いえ、キヴォトスを守っていくことなど出来ないのは誰が見ても明らかです。
それなのにSRT復興───いえ、
互い物理的に頭を押さえつけあっているモエが私の発言に切り返した。
「そりゃあ誰も彼も責任取りたくないからでしょ。
SRT全小隊の火力使えば簡単にD.Uなんて制圧できる位の戦力にはなる訳だし。」
「───情けない、いえ、もはや愚かですね。」
「そうだそうだ。
それにこの「衛宮士郎」って奴。
なんかいけ好かないよな。
大人ならさ、手柄なんて全部自分のものにしそうなのに。
なんだよ、「全部生徒のおかげ」って。
私は相当無能な奴と見た。
これがSRTの後釜のシャーレの先生でいいのか?」
サキは衛宮士郎の写真を指差した
しかし、丁度その記事は顔の部分は敗れていて視認できない。
私達は衛宮士郎の顔どころか声さえ知らなかった。
「.....どうだろ。
仮にも一人で旧カイザーPMC一個大隊分の戦力でしょ。
まぁ、本当かどうかは知らないけど。」
そう、噂で聞いたその戦闘。
「魔術師」である彼はその能力を使い、カイザーの魔の手から学校を一つ、守ったという。
色々な所で中継されていただろうが、ウサギ公園周辺にはスクリーンなどは全くなかった。
私達は彼の実力を全く知らない。
だからこそ───
「.......いえ、逆に
この記事に書いてあるコメントも上辺だけのものでしょう。
恐らくFOX小隊やヴァルキューレ警察学校へ媚びを売ろうとしているのだと思いますが。
そんなやり方で先輩方が懐柔出来るわけありません。
.....汚いですね。
どちらにしても所詮醜くて汚い大人です。」
「.......あ、あの...この集めた装備はどうしましょう...?」
Rabbit4───霞沢ミユは椅子に座りながらテントの中と私を交互に見ている。
それはこの前のD.Uの騒動で鎮圧の為に用意した装備品。
色んな地域へ赴いて頭を下げ、タダ同然で借りてきた装備品だった。
「いやせっかく集めたんだし、わざわざ返しに行く必要性もなくない?」
「.....そうだな、緊急時用の─────」
「例えばさ───」
ここで、モエがとある提案をした。
それは、今後の私たちのこれからの事に直接影響するものだった。
「この武器は、公にデモとして活動する時の備えにしておけばいいんじゃない?
このままだとSRTは本気で
「......確かに、少しくらいは私たちの意志を表明しておく必要があるな。」
「.......SRTの生徒によるデモならヴァルキューレも鎮圧せざるを得なくなるでしょうし......。
いいかもし────」
(きゅるるるぅぅぅ....)
ここで4人一斉に腹の虫がなった。
「.....今すぐ、ってわけにはいかないね。」
「あぁ....腹が減っては何とやら、か。」
日々あちこち食料を探して回っている。
が、当然都合よく見つかる訳もなくこうして小腹を空かせている。
手持ちの金銭は少ない。
非常食である缶詰などには極力手をつけないようにしている。
しかし、そうなると厳しかった。
誰も私たちに手を差し伸べてくれるものもいなかった。
───が、それはつい数日前までの出来事である。
「よっ。」
「お、待ってましたぁ~!」
片手を上げて挨拶をする、数週間前から見かける
赤髪の彼は、ツナギを着込んで両手に箒と塵取りを手にしている。
このウサギ公園の清掃活動に勤しんでいる清掃員だそうだ。
出会いはそう複雑ではなく。
お腹を空かせて四苦八苦している私達に声をかけてきたのが彼だった。
最初は私やサキなんか訝しみ冷たく接していたのだが、近場で嫌がらせのようにお弁当を開いて食べ始めたのを見てモエが文字通り噛み付いた....。
お弁当の食材に。
さらには、彼は私たちの目の前でモエの要求する
しかも中身は私たちにとって意味のある
モエは一瞬にして懐柔され、ここ最近の治安に関する情報交換すら行う始末。
......サキの『もし毒が仕込まれていたらどうするつもりだ!』という忠告に耳を貸そうともしない。
幸いなことに、その清掃員は人畜無害な方で、ただ「気まぐれで貧しい者に施しを与える」大人だった。
それが、1週間も続けば、私達2人の牙というか、毒気も抜け。普通に話す間柄へと変化していった。
その彼はいつも弁当の余り物の材料から作ったミニお弁当を持ってきてくれる。
「これは餌付けされている訳じゃないからな!
私達だって本気を出せば───」
「はいはい、分かったから。」
「くっ子供扱いして....!////
み、見てろよ.....いつか必ずギャフンと言わせてやる....!」
もはやサキの強がりは軽く躱されている。
それで、そういう私はと言うと、そこまで仲良く、愛想良く接しているわけではない。
「こんにちは。
今日も話を聞かせてくれるか?
月雪ミヤコさん?」
歳上なのにわざわざ揶揄うように敬称をつけて呼ぶその声に溜息を吐いた。
「......D.Uの情報を貴方に話すかわりに、物資を提供する。
それが、私達の取引ですから。」
逆に言えば個人としてではなく、外面を保ち、距離を取り、Rabbit小隊の
......そういう物の、実は彼の利点より私達の利点の方が大きかった。
色々な場所を見て回る私達は「どこで何があった」や「危険地域」の情報を彼に話している。
けれど、逆に彼も私達に対して色々な場所で得た話をしてくれる。
食事と情報を彼から受け取っているフェアでは無い取引だったのが、彼との関係における唯一の不満点だった。
「────ですから、この地域にはあまり近づかないようにしてください。」
「ん、了解だ。
でもその辺の道は今、水道工事中だから、この方面に行くためには随分遠回りしなきゃいけないな。」
「.......。」
どうしてただの公園の清掃員がD.Uの現状について詳しいのか不思議には思っていた。
しかし、頭のどこかで考えないようにしていたのだ。
だって─────
「ほい、お前さんの分。」
「......ありがとう、ございます。」
風呂敷に包まれた弁当箱を開ける。
そこには美味しそうに整えられたご馳走があった。
────だって、彼の作るお弁当は非常に美味しいのだから。
「.....相変わらず栄養バランスまで考えられている....。
やはりこれは余り物ではありま───」
「作ってる人間が余り物って言ったら余り物なんだよ。
子供が変な心配するんじゃない。」
そうして彼は私の頭の上に手を置いた。
それを、気恥しさと馴れ馴れしさからくる少しの嫌悪感で払い除ける。
「私達は子供ではありません。
それと、ちゃんとミユの分はありますよね。」
「あぁ。
初日は悪かったよ。
どうにも3人組にしか見えなかったから。
ほい、ミユの分。」
「ど....どうも....。
ですが、いいんでしょうか.....。
私みたいな価値のない存在が、こんなお上品なお弁当を....。」
「む、知り合いの神父の言ってた事なんだがな。
「この世に無価値な人間がいたとしても無意味な人間などいない」って。
誤解しないで欲しいんだが、俺はこの言葉の本質を
「────人として大事なのは価値じゃなく生きる意味」だと思ってる。
だから自分が無価値だと思うなら、生きる意味を探せばいい。
それが難しいなら「今自分がしたいこと」を考えてみてくれ。」
「.......「自分の、したいこと」.....ですか?」
「あぁ。したいことだ。」
「......。」
彼の私たちをからかう姿は少年そのものだが。
時々、随分と大人びた態度を見せることがある。
それは決まって、私達が何か悩んでいる時に限ってだ。
今回のその言葉も。
上辺だけの言葉ではなく、本心から出てきたような。
用意していた言葉でないことが伝わってくる。
「わ、私は.....皆と楽しく過ごせていたらそれで.....。」
「なら大丈夫だ。
お前にはこんなに仲の良い友達が、仲間がいるんだから。
楽しく幸せにやっていけるよ。
どんな事があっても。」
「....そう、でしょうか....?」
顔を赤らめて発言するミユの頭を、彼は優しく撫でている。
それはまるで兄弟のようにすら思える。
たまらず、私は呟いてしまった。
「え?今なんか言ったか?」
「....なんでもありません。」
くだらない思考を隅に追い込み、弁当を残らず平らげた。
「.......ご馳走様でした。」
非常に失礼な事なのは分かっているが、顔を見ず、弁当箱を突き返した。
そうして、みんなが食べ終わった頃。
彼は真面目な顔をして、変なことを言い始める。
「........で、だな。
唐突な、食事提供の中止の報を聞き、全員頭が真っ白になり、石のように固まった。
「あー.....なんだ、その .....。
仕事で急に以前から上がってた清掃活動の知らせが来て。
トリニティに行くことになったんだ。
......can you're hear me?
もしもーし、聞いてますか?」
最初に口を開いたのは、モエだった。
「~~だよねぇ!
おじさんが大事なのはお仕事だし。
私達のことなんてどうでもいいよね。」
いつもどうりあっけらかんに諦観した。
「あ、いや違───」
その発言に、ひねくれたサキは、彼を睨みつける。
「.....そうだな、お前もそういえば大人だったな。」
忘れていた、大人とはそういうものだったことを。
良く考えればフェアな取引ではないと思っていたのは私だけで、彼は頭が悪く、これが「公平」と思っているのかもしれない。
そうだとしたらどれだけ間抜けな大人なのだろうか。
「あー.....良かったら誰かに頼んで届けてもら───」
「いいえ、わざわざ貴方の為に誰かの労働力を使うなんていう勿体ないことをさせるくらいなら要りません。
.........見損ないました。
事前の通達も出来ないなんて。
Rabbit小隊はこれまでどうりこの公園でお腹を空かせたまま過ごしますので。」
「.......あの、皆さん怒ってらっしゃいますよね....?」
「そうですが何か?」
分かりきっていることを聞いてくる彼に、とうとう私は開き直った。
「......もしかして、トリニティへは....エデン条約の....」
「.....!
よく分かったなミユ。」
ミユの発言にモエも「あー、あれか.....」なんて呟いている。
エデン条約.....。
それは確かトリニティとゲヘナ間における平和条約の事だったはず。
「式典会場の清掃をする事になってな。」
───少し反省した。
彼も彼なりにキヴォトスの平穏に関わっている。
「......急で本当に済まないと───」
「いいですよ。
貴方が居ないと生きていけないほどでもありませんし......。」
「......ありがとう、それじゃ俺はこの辺で。
帰って準備をしなきゃいけないしな。」
「えー、もう行っちゃうのかい?
もう少しゆっくりしてけばー?」
「俺もそうしたいところなんだがな。」
モエの声掛けにすら明確な答えを返さずにはぐらかして背中を向けた。
ただ、あのミユが、最後に一声をかけた。
「あ、あの.....お、お気をつけて....。」
「───あぁ、じゃあな。」
彼は笑って満足そうに公園を去った。
そして、沈黙が訪れる中、再度ミユが口を開いた。
本当に珍しい。
「......そういえば、彼の名前.....。」
それは疑問というより、どうして気が付かなかったのか、と言うくらいの今更の話だった。
「確かに聞いてないな。
モエは知ってるのか?」
「いいや?知らないよ。
だってあの人自分の周りのことしか話さないし。
「今日誰とどんな会話をしたー」みたいな?
まぁ、趣味は分かりきってるけど。
ただ、お姉さんの名前が「藤村タイガ」って言ってたから「藤村」さんなんじゃない?
ほかには「妹のイリヤがここに居たら、ミユに対してお節介焼いてそうだな」とか言ってた。」
「.....お姉さんと妹さんがいたんですか.......そうですか。」
どうしてか、モヤモヤとした気分になる。
「ん?ミヤコ、お前何膨れ面になってるんだ?」
「え....そんなことは。」
頬に触れると、確かにむくれていた。
「なになにーミヤコ。
もしかして私と「藤村」さんが仲良い事に嫉妬してる?」
モエのその発言に今度は顔を真っ赤にして怒鳴った。
「そ、そんなことありませんから!」
確かに優しくて、時に厳しいことを言う人で。
少し抜けている部分はあるけれど、紳士な態度で私達に対して接してくれる大人である彼に、少し憧れを抱いていた。
「......「藤村さん」....ウサギは寂しいと死んでしまう生き物だそうですよ。
まぁ、私達は───」
本物のウサギでは、ないのだが。
「そうですか。
失敗しましたか。」
「申し訳ありません、マダム......。」
私は狐坂ワカモに、ヒヨリがFOX小隊の
アリウス分校へと、戻ってきた。
私は報告のため、片膝を砕けた石畳につき、頭を下げ報告をしていた。
「........敗北したことそのものは気にしておりません。
貴女達では、
「........。」
冷たい声は、当たり前の様に私達の存在を否定する。
彼女の名は「ベアトリーチェ」。
このアリウス分校の
「ですが、貴女と戦った、「災厄の狐」....狐坂ワカモの情報や
ヒヨリの観測した「衛宮士郎が
彼は本気になれば取るに足らないであろう生徒達を制圧するどころか、操って襲わせたトリニティのティーパーティーの生徒に対しての対応や貴女方への対処。
やはり、あの「シャーレの先生」は生徒に対して何か誓約の様な縛りがあるようですね。
けれど、条件がわかりません。
あの聖園ミカに対してだけは剣を交えた.....。
チッ.....「黒服」め....。」
何かに対してイラついている様子の彼女に、恐る恐る話しかける。
「........あの件の計画は────」
「.....。」
話しかけるも無視同然の扱い。
何かを考えている様子の彼女に、二度目の声はかけられない。
「────サオリ、支援しましょう。
例の巡航ミサイル、もう1発用意させましょう。
」
「────今....なんと....?」
ここに来て、彼女は私に協力する、と言ったのだ。
それが聞き間違いでは無いことを確認したかった。
「二度聞き返すような間抜けと思わせないでください。
貴女の計画は予定通り進めなさい。
せいぜい頑張ることです。
「ぐっ....、わかり....ました、マダム...。」
その言葉通り、私は体を動かされ、部屋を追い出された。
扉の外に出ると、ようやく体が自由になった。
「.......リーダー....大丈夫だった?」
表情を変えることなく聞いてくるミサキ。
「あぁ....いつも通りだ。
「特に期待していない」だそうだ。」
「.......そうでしょうね.....所詮私達なんて道端の石ころのようなものですし.....。」
ヒヨリも
「いや、お前の情報のおかげだ。
ヒヨリ、確認したいのだが、衛宮士郎は本当になんの前触れもなく突然に倒れたんだな?」
「は、はい。
観測している限りでは....生徒と話し込んでいる最中に揉め事になったような感じだったのですが。
あの「先生」本人が撃たれた様子もないのに、胸から血が溢れていました。
苦しかったでしょうねぇ.....えへへ....。
トリニティの生徒がFOX小隊の隊長に手を出して、返り討ちにあっていたから、私も最初は仲間割れかと思ったんですが。
その隊長、銃は背中に背負っていたんですよね。
まるで呪いの言葉でも呟かれたかのように。」
「──────。」
小さい声ながら、
「わ、私がFOX小隊の
ええと.....その....確かに1発攻撃は貰ってしまいました。
あれは痛かったですね.....えへへ.....。
けれど.....その....1番の理由は.....空腹で意識を失ったことでしょうか?」
「「───────。」」
皆して、その発言を目を丸くして聞いた。
───いや、聞かなかったことにした。
「........「呪いの言葉」か....言い得て妙だな。
しかし、不確かな事をマダムに告げ口する訳にはいかない、姫の言う通りだ。
情報不足なのは私達も同じ。」
「──────。」
仮面を被ったままのアツコはそのまま頷いた。
「あと、マダムがもう一基、ミサイルを手配してくれるそうだ。
.......発掘するのは恐らくスバル達だろう.....。
ここで失敗したら、もう私達に後は無い。」
この場所から後ろ指を刺されれば、もう私達の生きていく世界などどこにも無いのだから。
決意を新たにアリウスを出る。
この手で阻止しなければならない。
「あ.....私の事は無視ですか.....悲しいですねぇ.....」