衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】   作:神宮寺志狼

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前回から引き続.....かない、急に始まるシリアスブレイクからのシリアス。
あーー、話の書き方下手くそぉぉ(大声)
さてさて
着弾2発のミサイル。
けれど古聖堂の被害は1発分で済んだ。

しかし、それ以外は?
街はどうだろうか?

そして、遅れてやってきている、あの2人は?
すみません。ヒナ推しの方々。
ここからヒナの心はバキバキにへし折れていきます、というか折ります。

アコが本当に健気すぎる....。
士郎に対する怒りももっともだよ。
本当に士郎、お前が悪い。


#3 崩壊/灰と火に染まる日(Ⅱ)

Interlude 3-1 始まりの狼煙

 

「.....なるほど、D.Uではそんなことがあったのか。」

 

エデン条約調印式の開かれる古聖堂から少し離れた場所のカフェに私たち補習授業部は集まっていた。

 

「.....どうして私を呼ばなかった。」

 

誕生したのは膨れ面のアズサちゃん。

この前のD.Uの騒動で仲間はずれにされたことが不服らしい。

でも....

 

「いえ、別にアズサちゃんだけ、という訳では。

コハルちゃんもいませんでしたし、そもそも何処かに救援を呼ぶほどの余裕がありませんでしたかね。」

 

そう、アズサちゃんだけではなくコハルちゃんも蚊帳の外だ。

 

「....本当か?私に隠し事をしているんじゃないだろうな?ヒフミ。」

 

「えっ....!?」

 

名指しで呼ばれてドキリとした。

確かに隠していることはあるのだが...言えない。

アズサちゃんのお友達のサオリさんがテロを行った、なんて....。

 

「.....目が泳いでいるぞ。」

 

「あ、うぅ....その...実は───」

 

どう誤魔化そうか、とキョロキョロしてしまった。

これは隠し切れそうにない、と白状しようとした時。

 

「.....仕方ありませんね.....お話しましょう。

 

 

実はその夜衛宮先生と私達3人は大人の階段を登ってしまったんです......♡」

 

「───え!?」

「─────はい?」

 

ハナコちゃんがトンデモナイことを言い始めた。

誤魔化す内容にしては酷いもので、衛宮先生が三股したろくでもない先生、ということになってしまう。

 

「大人の階段....?

それはなんだ、ハナコ。」

 

案の定、アズサちゃんはその言葉の意味を知らない様子で、聞き返している。

ハナコちゃんも当然ノリノリで説明し始めている。

 

「大人の階段というのはですね...男の人と女の人が夜を同じベットで過ごし激しく抱き合い、貪りあい、体を───」

 

まぁ、この話にコハルちゃんが反応しない訳もなく.....。

 

「────ヒッ!?貴女達──士郎と()()の!?

ど、何処まで──!?」

 

「あら?「した」ときましたか.....。

やはりコハルちゃんには分かるようですね。

アズサちゃん、詳しい説明は後でコハルちゃんから聞いてください。」

 

「うん、了解。」

 

「あ....あぁぁ....ち、違う!私何も知らないから///!」

 

顔を真っ赤に染めたコハルちゃんをハナコちゃんが揶揄う。

いつもの光景だ。

 

「────全く....ここは補習授業部の部室でも、合宿所でも無いのですから。

もう少し弁えては如何です?」

 

「あら、ワカモちゃん、お待ちしてました。」

 

遅れてその場にやってくるワカモちゃん。

この手の話題ではもう顔を赤らめるなんて、純情さは見当たらない。

 

「コハルさん、アズサさん、今の話は全て嘘ですから。」

 

「.....?そう、なのか。」

 

「へ、へぇ....まぁそうよね

士郎はアレはアレでそういう所きっちりしてるし、私たちに手なんて出さないって、信じてた!」

 

「全く....ワカモちゃんは相変わらず釣れませんねぇ....。」

 

「貴女方の行いや品性は士郎さんにも影響しますので。

むしろ、貴女こそいい加減その「ファッション痴女」みたいなの、辞めたらいかがです?」

 

ワカモちゃんが釘を刺す。

が、この手の言い合いはハナコちゃんの方が上手だった。

 

「そうですか.....ですが、「ファッション」ならここで脱いでも仕方ありませんよね?」

 

「.....私が悪うございました....ですからその制服に伸ばす手を止めていただいてもよろしいですか?というか止めなさい!」

 

ハナコちゃんの人目をはばからぬ発言と、ワカモちゃんの着る百鬼夜行の制服が目立って周囲からの視線が余計集まっている。

 

「.....そういえば衛宮先生は23歳と若いですが....そっちのご経験はあるのでしょうか?

どうなんです?ワカモちゃ───」

 

またまたトンデモナイ発言。

ワカモちゃんもこれには耐えられなかったようで、ライフルのストックでハナコちゃんの頭を叩いた。

 

「いい加減にしないと、銃弾でその口を縫い合わせますよ。

.....はぁ....全く。」

 

彼女はそうして席に座って一息ついた。

コーヒーは要らないと紅茶を注文しては香りに鼻を動かして楽しんでいる。

 

なんというか、補習授業部が始まった当初は「災厄の狐なんかが副顧問で大丈夫なのか?」なんて疑問もあったけれど。

こうしてみるワカモちゃんは立派に私たちの面倒を見てくれている。

 

「ですが、気になりませんか?

衛宮先生に「お相手」がいるかどうか....もしかしたらキヴォトスの外では婚約者が───」

 

バキン、と陶器の割れる音がした。

ワカモちゃんが持っていたティーカップの取ってが粉々に砕けている。

目の前の机が濡れることを気にすることなく、光の無い眼差しをして────

 

「いたら、その女を消して、私がお隣に。

士郎さんに相応しいのは、先生となった当初からその苦しみに寄り添ってきた───」

 

「あー.......そ、そうかもしれませんね.....。」

 

ワカモちゃんの目は本気だった。

ハナコちゃんはしり込みして適当な相槌をする。

 

 

その時だった────

 

「───ッ!?」

 

アズサちゃんが突如として立ち上がり、窓の方を向いては銃を持って駆け出した。

 

 

「あ、アズサさん?どちらへ!?」

 

「トイレでしょ?」

 

 

「ですが、トイレは───」

 

そう、アズサちゃんは御手洗になど行っていない。

その姿は、店の外へ向かっていたのだ。

 

「一体何が────。」

 

私達も同じように窓の方を見る。

 

「─────あれ、は....!」

 

私たちの眼下に映ったのは会場の方へ飛んでいく1...2発のミサイルだった。

 

 

急いで会計を済ませ外へ出る。

 

「きゃぁぁぁっ!」

「ビルが倒壊するぞっ!逃げろ!」

 

外の様子は、アリの巣をつついたような有様だった。

叫び惑う人々の逃げる方向はバラバラで。

何が起きたかも、それぞれ言うことが違っていた。

 

その中、激しい人の川の流れを逆流している白髪の生徒──。

 

「アズサちゃん──!」

 

「....!?ヒフミ!」

 

私はどうにかアズサちゃんの手を取って、その濁流から逃れた。

 

「ヒフミさん!

あぁ、アズサさんを見つけたのですね....。

ありがとうございます。」

 

ワカモちゃんがこちらを見つけてくれたので誘導してもらってコハルちゃんとハナコちゃんとも合流できた。

 

「全く!こんな状況でどこに行こうってのよ!」

 

「.....済まない、でも行かなきゃ。

私が止めなければ、始まってしまった。

 

やっぱり、何も終わってなんていなかった!

皆は安全な場所に────トリニティから出て!」

 

「「アズサちゃん!」」

 

私の手を、アズサちゃんは払い除け、再び人の渦の中へと消えていった。

 

ダメだ───ここでアズサちゃんと離れてしまったら。

何故か─────二度と会えない気がする。

 

そして、脳裏に浮かび上がる、衛宮先生が生徒に撃たれ倒れる姿。

 

そう思うと、震えていた掌を握りしめていた。

怖くなんてない。

何も───何も!

 

「ハナコちゃん!私もアズサちゃんを追いかけます!」

 

「ヒフミちゃん!待って下さい!

状況が把握できるまで動くのは───」

「ハナコさん、コハルさんと共にトリニティへ。

ヒフミさんとアズサさんは私が──」

 

背後からハナコちゃんから声をかけられ振り返るも、そのまま走り出す。

 

「───会場へ向かうおつもりですか?!」

 

いつの間にか横には並走するワカモちゃん。

その手にはライフル一丁のみが握られていた。

 

「......はい!

きっとアズサちゃんもそこに!」

 

「承知いたました!

ですが.....今のこの街を把握しておかなければ危険です。

 

ですから、失礼。」

 

「───えっ!?」

 

そう言ったワカモちゃんは私を抱え、ビルとビルの壁を互い違いに跳ね登っていく。

 

そうして、そのビルの屋上へと降り立った。

この建物は()()()()()この街の周囲一帯を見渡せるほどには高さがあった。

 

「.....そんな.....。」

「──────。」

 

爆心地である古聖堂は未だに爆煙でよく見えず

周囲は何人もの生徒が倒壊した建物の崩壊に巻き込まれ、埋まっていた。

────いや、しっかりと見えたわけではない。

ただ無機質な灰色や銀色や黒の中に、幾つもの肌色が見え隠れしていたからそう思えただけの話。

 

ただ、それは古聖堂だけに限らない。

周囲数kmに及んで、瓦礫の山と化していた。

 

「ひ、酷い......何をしたらこんな....。」

 

ここまで酷い光景は生まれて初めて見た。

 

(ドガッ......ズザザザザッ!ズドォン!)

 

音の方向へ視線を向けると、崩れゆくビルが見えた。

まだ終わっていない。

爆発の余波で崩れたり、重心の狂った建物がひとりでに、または連鎖崩壊をしている。

 

『うわぁぁぁあっっ!

──────。」

 

「───うぅ....あぁ.....あ。」

 

思わず目を逸らした。

 

逃げる人々は自らの頭上。

倒壊するビルに気づけるほど冷静ではなく、目の前で、瓦礫の雪崩に飲み込まれていった。

 

耳に残る、断末魔を残して。

 

 

こんな所にアズサちゃんは一人で────

 

「この様子では、会場である古聖堂は────士郎さんは...!」

 

「────。」

 

ワカモちゃんは、見えるはずもない爆心地───爆煙の奥を見ようとして....目から涙を溢れさせている。

きっと不安で仕方ないのだろう。

 

彼女の涙するところなど、初めて見た。

 

「.......ワカモちゃん、衛宮先生なら無事です....。

そうに決まってます!

ナギサ様も、他の方々も....!」

 

真っ青な顔をしたワカモちゃんを奮い立たせるため虚勢を吐く。

怖くない───怖がってなんていられない。

 

「────そうですね、参りましょう。」

 

今ここで慌てふためいてなど居られないと、決意を新たにするワカモちゃんに体を任せ、ビルを飛び降り──

 

私達は古聖堂があった場所を目指した。

 

Interlude 3-1 始まりの狼煙 Out

 

 

Interlude 3-2 羽ばたく傷ダラケのツバサ

 

「────っっ.....。」

 

身体中が軋みをあげている。

気づけば車は横転───どころではなく影も形もない。

 

隣にいたアコも重症を負って意識がない。

 

「─────やァッ!」

 

ドカッ、と車の残骸を宙へ蹴り飛ばしアコの体を引きずって瓦礫の山から出る。

 

しかし───這い出ようとしたところで異変に気づく。

 

「.....右腕が、動かない...?」

 

ようやく自身の状況を把握し始める。

 

右肩は外れている。

左目はぼやけて視界不良。

羽も一部は折れ、動く度に激痛が走る。

頭も至る所が裂けて流血していた。

両足も長い間熱された鉄材に挟まれてたせいで水膨れのような火傷跡が出来ていた。

 

「.....ゲホゲホッ.........。」

 

唐突に咳き込んだ。

口元を抑えた手袋には血がついている。

 

「どうやら内蔵もやられたみたい.....。

一体.....何が───」

 

見回した辺り一帯は爆発の炎に包まれていた。

夕焼けの空でも、こう真っ赤にはならないだろうという程に。

 

「状況は───爆発。

攻撃された?」

 

気を失う前の覚えていることといえば、何が高速で飛翔してくる音。

それも2つの音が重なっていた。

そしてこの被害規模。

 

「巡航ミサイル.....。

それも対空防御システムが迎撃できない速度───いえ、()()()()()()ステルスミサイル....?」

 

ラムジェットエンジン....?

キヴォトスでそこまでの技術を持っているのは....ミレニアム....?」

 

いや違う。

そう単純なものでは無いだろう。

それにしては被害規模が大きすぎる。

 

初めから、爆発物が仕掛けられてでもいない限り。

しかし、周囲はトリニティからの要望で何重にもなる見回りのチェックが行われていた。

 

「まさか....トリニティの罠?

私たちを油断させる為の───いえ、それも違う。」

 

クロノススクールの配信を見る限り、ナギサはもう到着したと情報がでていた。

トリニティ内の内紛にしたって、巻き添えが大きすぎる。

ではシスターフッドか、といえばそれも違う。

シスターフッドのリーダー、歌住サクラコも到着していた。

 

「委員長......。」

 

足を掴まれる。

 

「───アコ!気がついたのね。」

 

そうだ。

そんなもの、後でもいくらでも考える時間はある。

先にすべき事は───

 

「.......行ってください、ヒナ委員長.......。

私は、大丈夫.....ですから。」

 

「でも!貴女をここに一人───」

 

「衛宮先生──は!」

 

アコが振り絞るようにかすれた大声をあげる。

その単語に、頭が真っ白になると共に全身の痛みがシャットアウトされた。

 

そうだ、彼も当然古聖堂───爆心地にいた....。

アビドスの時の、死にかけた彼の姿が脳裏にフラッシュバックする。

 

「衛宮先生は....生身の人です。

ですが.....ですが、彼なら....。」

 

そうだ、キヴォトスの外から来たとはいえ、衛宮先生は普通の人ではない。

 

「....探し、て...ください。

貴女の....希望が.....尽きない、ように....。」

 

足を握っていた力が弱まっていく。

再びアコの意識は途切れたようだ。

 

「─────ごめんなさい...。

ありがとう────!」

 

私は、アコをその場に置き去りにし、彼を探すため走り始める。

 

 

が、それは数秒で、炎の中から突然現れた生徒達に阻止された。

 

「......すみませんね....ここから先にあなたを行かせる訳にはいきませんので.....。

リーダーからは念入りにヒナさんを仕留めろ、と命令を受けてまして。」

 

 

「貴女達の仕業なのね......アリウス.....分校

 

ガスマスクを付けた生徒の集団。

その先頭に立つ、薄緑色の髪の少女。

 

この状況で何が楽しいのか、笑っている。

 

「......すごいですねぇ....それだけの傷で立ち上がるなんて....強いですねぇ....。

 

───なのに、どうして立ち上がれるんです?戦えるんですか?

痛くて痛くて、苦しいはずなのに。」

 

そんな問答に付き合っている暇など───ない。

「──

そこを退きなさい──!」

 

様々な弾丸が体に直撃する。

されど、その程度で怯まない。

 

痛みも痛覚も、麻痺している。

 

止まれない。

 

だって、士郎を失うことの方が。

これまでの私を分かってくれた唯一の....。

憧れた、あの人が、居なくなることの方がよっぽど、私には耐えられないのだから。

 

左腕を、重心を落とした腰と脇腹に固定して、引き金を引きながら振り回す。

 

「────やっぱり....辛いことばかりですねぇ....」

 

掃射と共に倒れゆくアリウスの生徒達。

 

何を思って言っているのかは知らないけれど。

それには私も同意したかった。

 

本当に酷いことばかり。

仕事も人生も。

 

「衛宮.....士郎先生───!」

 

体を引きずるように、意志だけで足を動かした。

 

(ズドォォォン!)

 

今度は空中から爆発音。

 

「あれは....マコト達の乗ってる飛行船....。」

 

あれも撃ち落とされたのか、火を吹いて墜落しつつある。

でも、気にしてられない。

目指すのは、爆心地の古聖堂だ。

 

()()()()()()()()前に....。

 

「待っていて.....し、ろう....必ず、私が.....。」

 

Interlude 3-2 羽ばたく傷ダラケのツバサ Out

 

 

 

 

 

「───────生」

 

「衛宮─────先生!!」

 

 

パチン、と頬を叩かれて意識が戻る。

 

「ア、ロナ?」

 

そこは以前と変わらない、テクスチャのバグったアロナの教室だった。

「どうしてここに。

......!」

 

そうだ、馬鹿言ってる場合じゃない!

 

「あぁ、よかっ────あぁ....気を緩めて....力が......」

 

アロナが床にペタリと尻もちを着く。

が、駆け寄るより先にアロナが膝歩きで近寄ってきて肩を掴んだ。

 

「よく聞いてください.....これから先は、しばらく衛宮先生を守ってあげられません.....ごめんなさい。

 

ですから、何があっても自分の身を優先してください.....」

 

「お、おい待ってくれ───」

 

 

気づけば、瓦礫の下敷きになっていた。

真横には頭から血を流して倒れているナギサがいる。

 

「出血は.....よし、止まってるみたいだな。」

 

俺は魔術回路を起動して自身の身体の状態を調べたものの怪我ひとつない。

間違いなくアロナのお陰だろう。

 

「........興味深い。

あの一撃を持ってしても、死なぬとは。」

 

「────ッ!?」

 

不意に声をかけられる。

耳をすませばギコギコと、木材の軋む音が聞こえてきた。

 

目の前にたったのはスーツ姿の男性....のような何か。

「何か」と表現したのはそれが人ではなかったから。

 

「お目覚めのようだ。

状況は理解できているかね?」

 

敵.....?

いや、それにしては何もしてこないのが一層不気味さを増している。

かと言って味方ではない。

一切俺へ手を差し伸べないその態度。

 

あぁ、そうか。

この事件の裏側にいたのは─────

 

「お前......っ!ゲマトリア....だな!」

 

「黒服」と同じように。

この世界を理解し、支配し、利用しようという大人の集団。

 

「おぉ....おぉ!

一目見て私を言い当てるとは.....流石だ.....歓喜溢れるというもの。」

 

瓦礫から少しだけ這い出て、その頭を見上げた。

人形の首が2つ。

いや、体そのものが、人形だった。

 

「改めて。

お初にお目にかかる、衛宮士郎先生。

 

私は其方(そなた)の友人ではないが、敵でもない。

そして其方(そなた)を助けることもなければ邪魔をするつもりもない。

 

私は「マエストロ」。ゲマトリアの中ではそう呼ばれている。」

 

 

「ご挨拶どうもな、こんな格好で申し訳ないな───!」

 

あぁ、お前にとっては良かっただろうよ。

俺がこの状況じゃなきゃ、まともに話すら出来なかっただろうからな。

 

血が上りすぎて爆発した頭とは裏腹に体は動けないが故に冷静さを保っている。

 

「───一つ訂正を。

()()を行ったのは私ではない。

私の同志だ。

 

ゲマトリアの中では珍しく()()其方(そなた)に対して敵対的だ。

今回もすすんで協力した訳では無い。

むしろ拒否したかったのだが、其方(そなた)と競い合えると聞いて足を運んだ。

私が働くのはこれからなのでな。」

 

「彼女───だって?

それにこれからって────なにする、つもりだ....!」

 

ジタバタ瓦礫の中で足掻いてみるものの、これ以上はどうにもならない。

 

「そのような殺意を向けられても困る。

────おっと、「彼女」がこちらに気づいて見ているようだ。

私はもういかねば、其方の居場所が露呈してしまう。」

 

そう言って「マエストロ」と名乗ったそいつは立ち去ろうとする。

 

「待て───コノヤロウッ....!」

 

足掻く。

止めなければ、止めなれければ、何もかもが終わる予感がする。

 

「嗚呼、一つ手がかりを残そう。

何しろ私の特技は「複製」なのでな。」

 

人形の軋む音がまるで笑い声のように聞こえる。

瓦礫の山から這い出られず、奴は立ち去った。

 

「クソ....待ってろナギサ、今───」

 

頭に硬い物がぶつかって、俺の意識はまた、そこで途切れた。

 

 




アコ.....気合いだけでミサイル2発のダメージにたいして意識を保つ。
もう頑張んなくていいよ....。

あと、マエストロ、お前絶対楽しんでるだろ。
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