衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】 作:神宮寺志狼
私は敢えてこの作品の士郎は本家の士郎より「ズレ」を作ってます。
どうズレているか一言で言うと、「甘い」。
自己を犠牲にするのは変わらないロボットではあるんですが
その根底には1話から何度も言って来た「切嗣やアーチャーとは別の道」を探しています。
簡潔に説明すると悪く言えば「切り捨て」に入るまで時間がかかる。
よく言えば「人間味が残っている」と言いますか。
これは幼年期、少年期の切嗣との過ごし方が原作と随分違う。
(とか言いつつどんな生活をしていたのか詳細はあまり描写されてないので都合の良い私の脳内設定)
(そんなんで変わるもんか、と思ったり言いつつ実際は「士郎自身の願いの根源が違う為」多少の変化がある)
原作はルート事に士郎の覚悟もバラバラだったりします(HFは除く)
Fateでは「自分を殺しにくる敵に容赦なんてしない」とセイバーに宣言、学校の結界内で慎二を容易く殺そうとしたにも関わらず
UBWでは葛木とアーチャーの一騎打ちを止めたそうにしている。(これは選択肢次第ではあるし、勝敗が見えていたからという所も大きいが)
とりあえず今作士郎はまとめると「人間味を多少なりとも残したロボット」になります。
じゃないと多分詰む(これだけはご都合)
いくら「子供」で「生徒」と言っても、サオリ達から銃口向けられて撃たれたら、間違いなく本家士郎は「敵」と認識して「排除」する、これは間違いない。
それはそれとして解像度高いって言ってもらえるのはありがたや。
一言、と言いつつ毎回前書きが長くなる。
「やっとつきましたねワカモちゃん。」
「そうですね。
道中追手に出くわさず、それにより戦闘が無いことも幸運でしょう。」
私とワカモちゃんは負傷したヒナタさんをトリニティまで運んできた。
橋を通り過ぎ、街へ入る直前。
人混みの中を走り抜ける彼女の姿が目に入った。
それは私達とすれ違い、橋の方へ向かっていく。
「アズサ....ちゃん!?
ごめんなさいワカモちゃん、ヒナタさんをお願いします!」
「ヒ、ヒフミさん!?お待ちなさい───!」
ワカモちゃんの静止を聞かず、その背中を追いかけた。
「アズサちゃん!止まってください────止まって!」
「─────!」
私の声に気づいた様子のアズサちゃん。
けれど───止まる素振りはなく、むしろ差を離そうと逃げるように足の動きが加速する。
悪寒がする。
見失ったら終わりだと。
焦燥に駆られ、私もその後を全速力で追った。
おそらく10分はそうして付かず離れずを繰り返しただろうか。
アズサちゃんは足を止めた。
2人ともその場で深呼吸をして、荒くなった息を整える。
「────ヒフミ。」
「アズサちゃん....!どうして私から逃げるんですか!?
今まで何処に......!」
アズサちゃんは私の質問に答えるどころか、目を合わせてくれない。
ずっと背を向けている。
「......ごめん。」
彼女は、唐突に謝罪した。
何に対してだろう?
最初に止めたのに会場へ向かったことだろうか?
逃げたことについてだろうか?
「アズサちゃんに謝られる理由が分かりません。
話してください.....何があったのか。
服がボロボロになっていることも、顔を合わせて話をしてくれない理由を。」
「.......。」
「.......。」
一体何秒沈黙が続いただろう。
振り返らないまま、アズサちゃんは話をしてくれた。
「.......シロウが
「.......え────?」
私が理解するのを待たず、アズサちゃんは1つずつ零した。
「私の目の前で撃たれたんだ。
血が舞った。
駆けつけるのがもう少し早かったら。」
嫌な想像は、嫌な現実となってやってきた。
私達は何度も衛宮先生が傷ついて血を吐いて、流して倒れる姿を目撃した。
その度に脳裏にその光景とともに恐怖が刻まれた。
「シロウを撃ったのは────」
「もしかして......「アリウススクワッド」......「錠前サオリ」....さん、ですか?」
「─────どう.....して、それを。」
彼女は振り返る。驚いているようだった。
けれどそう難しい事はしていない。知っていることを結びつけていっただけ。
学力試験の合間に起きた数々の事件とトリニティで起きかけたクーデターや襲撃の原因。
D.Uでの事件の裏側に居た者達。
極めつけは────
「.....私達は会場周辺で20mmの狙撃弾を使う生徒と会いました。
D.Uの事件の時も、衛宮先生やFOX小隊のオトギさんを狙った弾丸は20mmでした。
そしてその時の襲撃犯のリーダー、「錠前サオリ」さんと私は遭遇していたんです。」
符号が一致した。
足らないパズルのピースが簡単にはまっていく。
「そう....だったのか。」
「衛宮先生は....?」
「.......勝手に傷が塞がった、けれど最後別れた時まで意識は戻っていない。」
だから「死んだかもしれない。」と。
これまでも衛宮先生は致命傷な筈の状態で、何度も起き上がった。
ありえない話ではないとは思う。
けれど、都合のいい事が何度も起きるとは限らない。
アズサちゃんが見た衛宮先生の状態は、それほどまでに酷かったのだろう。
「式典会場にはまだたくさんの負傷者が取り残されている。
それだけじゃない。
このままではどちらの学園もキヴォトスから消されてしまう。
.......誰かが、止めなくちゃいけない。」
矢継ぎ早に開示されていく情報に追いつけない。
けれど、アズサちゃんの表情を見れば深刻な事、というのだけはわかる。
「アズサちゃん.....何をするつもり───」
今その手を掴んで──捕まえなければ私達は二度と会えないと。
同じ場所に居られない、そんな予感ばかりがして手を伸ばす。
「来ないでッ!」
「....!!」
けれど、その大声で挙動が止められた。
「....ありがとう、ヒフミ。
けど私たちが一緒にいられるのは、ここまでだ。
ヒフミ達はここから先には来ちゃいけない。
ここから先は、私の世界。
ヒフミのような心優しい人は、これ以上来ちゃいけないんだ。」
「.....どうして...私じゃ、いけないんですか?」
「平凡なヒフミには似合わない。
ただそれだけなんだ。」
内心、彼女の言っていることに納得してしまっている。
「普通」、「無力」。
結局また、それだった。
それを理由に、私はまた、蚊帳の外だ。
アズサちゃんについていっても足を引っ張るのだと理解してしまった。
「それでも一人でなんて────」
「────これから私は「人を殺す」。」
「........!」
その言葉が発された。
アズサちゃんの口から一番聞きたくなかった言葉が。
彼女は冗談なんて言わない。
それでも
「「人殺し」になった私と普は通の生活へ戻るヒフミとは、もう友達ではいられないだろう?」
「ア、アズサちゃんがそんなことをする必要が何処にあるんですか!
確かにこのままではいけないのはわかります。
でも、だからってアズサちゃんじゃなきゃいけない理由にも、「人を殺さなきゃいけない」理由にもならないじゃないですか!
他にもっと、別の手段が────!」
「ヒフミだって、あの「守護者」達と戦ったんだろう?
なら、分かるはずだ。
あれは正攻法じゃ破れない。
どれだけ戦って減らしても、倒れた戦力分......いやその倍以上に戦力は補充されていく。それは部隊の損耗がないのと同義だ。
体力という概念も存在しないから疲れを知らない。
感情がないから恐怖心も抱かない。
弾薬切れを起こさない。
例えトリニティとゲヘナが手を組んで戦っても勝算は少ない。
あれを止めるには、もう従えて操っている者を倒すしかない。
アリウススクワッド───サオリ達に手加減なんてできない。ありとあらゆる手段を使って、「殺意」をもって挑まなければそちらも危うい。
それに元はと言えば、私のせいだ。」
「そんなこと────」
どうしてアズサちゃんのせいなのか。
彼女はただ私達と同じように過ごして勉強して遊んで。
「日常」を手に入れた。それだけの話なのに。
アズサちゃんは「言うまでもない」とその理由は話さない。
「私のせいでみんなが傷ついて、シロウが、撃たれた。
正義実現委員会、ティーパーティー、シスターフッド。
皆重症だった。
それに、原点に還ればセイアが昏睡状態に陥って、シロウとナギサの対立を引き起こしたのも。
そのせいで藤河マコが失踪したのも。
ヒフミ達が退学させられそうになったことも。
ミカの記憶が消えた原因。
D.Uでアリウススクワッドが動いたのも。
全部、私のせいだ。」
「そんなことはない。」と。
そう言ったところでアズサちゃんの気持ちは変わらない。
何もしてあげられない。
ただ私はいつものように聞いていることしか出来ない。
「私は補習授業部で手に入れた「日常」が好きだった。
けれど、ずっとそれに縋り付いて......そのせいで、皆の「日常」すら奪ってしまった。」
「そ、それでも他に手段が────」
「.......ヒフミ、そんなハッピーエンドは.....この世界にはないんだ。」
ずっと、思っていた。
「みんなが楽しく、悲しいことの無い日常を送れればいいのに。」と。
けれど、それは叶わない。
生きている限り辛いことは必ず起こる。
アズサちゃんやトリニティの「七転八倒団」の皆。
たくさんの借金を背負ったアビドス対策委員会の皆。
戻るべき学園、居場所を失ってしまったSRT・FOX小隊の皆さん。
幸せを取りこぼしてきたたくさんの人々。
わかっている。
おとぎ話は所詮おとぎ話。
現実は「めでたしめでたし」で終わらないことも多い、と。
「.....私はこれからサオリのヘイローを「壊しに」行く。
それを止めるならたとえ誰であっても、容赦しない。」
アズサちゃんは宣言した。
それは私たちでも、というニュアンスが含まれていた。
「これから私は人を殺す。
それが当たり前の場所で、それが当たり前だと教わり、それが当たり前みたいに動けるように訓練された存在。
それが、本来の、本当の私。
「真っ黒」な本性。
────こんな私は、元々ヒフミ達と一緒に居てはいけなかったんだ。」
ガスマスクを付けたアズサちゃん。
まるで、罰が当たったかのように、懺悔した。
「これが、最後になるから。
ヒフミ
「や、やめて───」
それを聞き終えたら、全てが終わる。
ガスマスクのレンズは、曇っていた。
そしてマスクと顔の隙間から流れる涙。
嗚呼。
アズサちゃん、覚えていますか。
衛宮先生を傷つけたナギサ様に対してワカモちゃんが怒っていた時。
なんと言って、アズサちゃんが引き止めたのか。
「い、いやです....待って、待ってください。
いかないで......行かないでください。
あ、あぁ......───」
確かに私は平凡だ。
そしてそれは私にとってのコンプレックスで。
「特別」を求めた。
けれど────こんな事は望んでいない。
私はその場で膝から崩れ落ちて、泣くことしかできなかった。
「やはり来たか、アズサ。」
「........。」
「教えてやろう。
衛宮士郎が、元いた場所で、何をしたのかを。」
「.........。」
現在深夜3時。
本来であれば液晶テレビの光が眩しいはずのゲーム開発部の部室。
しかし、その雰囲気は無く全ての電源が落ちている。
何故ならば、4人はモモイ達の寮の部屋に集まっていた。
エデン条約調印式会場で起きた事件。
自分たちがどうするか、その話し合いである。
「結局、会場はどうなったのですか?」
視線をセイアから目を離さずミネはゲーム開発部に尋ねた。
けれど、誰もが首を横に振る。
「ミレニアムだと情報がシャットアウトされちゃった。
掲示板とかも全部繋がらないし。」
「シャットアウト....ですか?」
ミネはミドリに聞き返す。
何故か。
寮にテレビはあったもののクロノススクールの報道は途中で切れてしまったからだ。
「.....士郎.....無事かな。」
マコが呟いた。
けれど、それは対岸の火事と思い込んでいたモモイ達に衝撃を与える。
「え!?士郎あの会場にいたの!?」
「.....うん、テレビで言ってたし。
多分士郎がトリニティに出張したのはこのエデン条約に関する事だった筈だから。」
それを聞いたユズはガタガタと震え、目尻に涙を溜めた。
ミドリの表情も青ざめる。
今回ばかりは助からないと、そう考えて。
「シロウならきっと大丈夫です!
私たちにはない力も持っています。
味方になってくれる生徒だって沢山いるはずです!」
「でも....アリスちゃん。
それでも衛宮先生は.....普通の人なんだよ....。
あの爆発じゃ.....。」
慰めようとするアリスにユズは下を向いた。
「うわーん!モモイ、何とかしてください───!」
「え、そんなの簡単じゃん、皆でまた探しに行けばいいんだよ。」
「.......。」
「......危険すぎます。相手は命をも奪おうとする危険な集団かもしれません。
私たちの時のように。
関係ない貴女方が出向くのは───」
マコは無言を貫き、ミネは言葉でモモイを止めようとする。
けれど─────彼女の言葉で止まる程度であれば、モモイは問題児扱いなどされるわけが無い。
「ううん、関係なくないよ!
ここにはトリニティの2人もいるし、私たちも関係者だよ!
確かに命の奪い合いなんて私たちには出来ないけど.....。
それでも何もしないでここで待機なんて出来ないよ。
だって───士郎はもうゲーム開発部の名誉部員なんだから。」
宣言するモモイ。
アリスは「何時から士郎がゲーム開発部の部員になったのか」を聞いているが、返ってくるのは首を横に振ったミドリの反応のみ。
ここで今まで沈黙していたマコがモモイ達に問う。
それは否定ではない、肯定ではない。
「もし、それでこれから見る光景が、言葉を失うような地獄でも?」
「......急にどうしたの。マコ───」
「目を閉じて、少し想像してみて。」
そうしてミネを始めとしてモモイ、ミドリ、アリス、ユズも言われた通り瞼を閉じる。
マコは知っている。
小競り合いやちょっとした喧嘩などではなく、本気で意思と意思のぶつかりあった結果の果てを。
「真っ暗な夜に、一面見渡せば真っ赤。
燃え盛る炎が建物や人を次々と飲み込んで、巻き込んでいく。
助けを求める叫び声。
「一面見渡せば道端にいる助け出された人々の痛々しい傷と、表情。
何処にも貴女達の知っている
耳に入るのは激痛に悶え苦しむ悲痛な叫び声。
それをずっと聞き続ける。」
「見つけ出したその人は呼吸をしてない。息をしてない、脈動もしない。
冷たくなってるかも、いや───体すら見つからないかもしれない。
大事な人の、見るも無惨な姿。
見つからないことから生み出される最悪の光景。」
「戦場は一面、瓦礫の山。
建物の残骸と、瓦礫と煙で灰色に染まった視界。
そして、意思がぶつかり合う度に、その濃さは硝煙によって増していく。
耳に入るのは憎しみの声。
「理由があった戦い」は「戦う為に理由を探す」事に変わっていく。
一度開かれた諍いはどちらかが止まり、倒れ、敗北するまで終わらない。
それが現実。
それが、これから貴女達が向かう先、向き合わなければいけないもの。受け入れなければいけないもの。」
ミドリは難しい顔をして悩んでいる。
ユズは縮こまるように震えている。
けれど
「────私、難しい事は分からない。
けどさ、友達を助けたいってそんなに悪い事なの?
そこに行くなら確かに「関係ない」で済ませられることじゃない。
ちゃんと受け入れないと。
でもそれとこれは別だよ。
そんなの関係なく私は士郎を助けたいの!
だってあいつ言ったんだ。
「いつかお前の作ったゲームで最高に笑いたい」って。
だから大丈夫。
あいつ言ったことはきちんとやるもん。」
「......モモイ。」
心配そうなマコを他所にクッションの上に座り込んでいた彼女は立ち上がる。
銃とバッグを持って。
「私は一人でも行くよ。
後悔したくないもん。」
「........私も....嫌だ。」
モモイの次に立ち上がったのはユズだった。
「ユズ、無理しなくていいよ!?」
「ううん、私も行くよモモイ。
衛宮先生に会えなくなる方が、どんな光景より怖いから......。
だから.....信じるの。衛宮先生を.....。」
私にはもうそれしか無い、と言うように。
ユズには覚悟は出来ていない。
「もし、士郎が死んでしまっていたら」「その姿が見当たらなかったら」、それらを考えないようにしている。
そうしなければ恐怖で押しつぶされてしまう。
それを考えないように、信じたことが正しかったと安心するために向かう。
それが唯一、彼女に出来る精一杯のことだった。
「アリスは当然向かいます。
シロウと私達は運命を共にすると誓い合った仲間です!」
「.....皆が行くなら、どんな光景が待っていても....一緒に。」
ユズの決意に押され、アリスはおろかミドリも覚悟を決める。
マコは頭を抱えてため息を吐いた。
「貴女達ねぇ.....。」
そして、目覚めた声が告げる。
物語の中断からの再開を。
ここから始まる、物語を。
その桃色の瞳が開かれる。
全員が、閉口した。
これまで沈黙を貫き横たわっていた存在が、ここに来て再起する。
「セイア様......お目覚めになったのですね。」
「ミネ団長、面倒をかけたね。」
小さな体が力なく上半身を起こす。
けれど、その瞳に宿る意思は強かった。
「同行するよ。
私は......いかねばならない。」
「それは承諾できかねます。」
セイアの発言に真っ向から即座に拒否したのはミネだった。
無理もない。
彼女は半年以上の寝たきり。
たまにマッサージなどで筋肉を動かしていたもののそれでも動くには足らぬ体。
上半身を起こすだけで眉を顰めるというのに、どうしてかの戦場へ赴くことができようか。
しかし───
「君の思うことはわかる。
が、それでもだ。」
セイアは行くと、再度告げた。
「.......どうしてですか。
自分の状態は貴女が1番わかっているはずです。」
「.....強いて言うなら....「このままではいられない」と言ったところだろうか。
感情的な意見で申し訳ないが、私は今心底機嫌が悪い。
いい大人に「引きこもり」「現実逃避」「怖がり」と馬鹿にされ─────」
その言葉を聞く度にミネの表情が辛辣になっていく。
それは恐らく彼女にその言葉を投げた相手への、怒り。
「─────「来ると信じている」と、言われてしまった......。
これに答えなければ、私はただ勘違いを抱いたまま負ける前───
嗚呼、それでもいいだろう。
けれど、それを許せない私がいる。」
そして告げる。「私は私自身に、負けたくないのだ」と。
セイアはその場にいる全員を見渡した。
「今の私には恩に報いるだけのものを持たない。
けれど、それでも.....すまない。
私を、あの忌まわしき地に、どうか連れて行っては貰えないだろうか。」
自分で決めるより重い選択。
誰かに頼る。それを自身ができていなかった。
人と真正面から対話をしてこなかったことを、ナギサやミカ、アズサの
そして忌々しいが、あの大人に言われたことを思い出す。
そして、今まで自身が望み1つすら言ったことがないことも。
(他人が、世界がと────私はそれしか見てこなかったのだね。)
「なんだかよく分からないけどさ──!」
この場にいるのが現実ばかりを見ている者なら、却下され、無謀だと否定されるだろう。
けれど違った。
元よりこの者たちは「ゲーム開発部」。
現実ではなく、「夢」に生きるものなのだ。
「行きたいところがあるなら私たちが連れてってあげるよ!」
「.....安請け合いしちゃって....もう...。」
「でも私たちも.....衛宮先生にそうしてもらったから....。」
「護衛
ゲーム開発部全員が、承諾した。
それに頭を抱えるミネはマコの表情を伺う。
「マコさんなら止め───」
「いいんじゃない?動きたい時に動けないのって辛いでしょ。
ならそれを支えてくれる人がいれば、何も悪くない。」
が、期待はあっさりと裏切られた。
さて、ここで没ルート(初期プロット)の紹介。
①vol.3第2章、ミカVS士郎で士郎の「スイッチ」が入ってバリンバリンの全開になるルート。
これがどういうことかと言うと、HFにおける鉄心と同じ形ですね。
ようは「ミカは
ちなみに止めるのがワカモやハナコの役目でした。
(身を挺してミカを庇って寸止め)
というお話です。(当然没ルート)
尚没ルートでミカは無抵抗なのですが、こちらは「先生概念の呪いで傷つきながら自らの命を奪いに来る士郎に恐怖した」事からです。
完全に化け物と化してたので今作の本編よりもっと酷い。
で一度はミカと士郎のタイマンが消えたんですけど、ここだけは書きたかった。
けれど、没ルートですとこの後の流れにおいて「一度火がついてしまうと簡単には消せない」(AC6小並感)と言った形で今後の士郎が
「敵に回る生徒達は徹底的に手段を選ばずに叩き潰す」とかいうBADENDまっしぐらになる構図が私の中で出力されてしまったので。
「ミカの本心を見抜いた士郎が止めたいが為に戦闘をする」というのが主軸となりました。
(「先生」が1人で問題を力技で解決してはいけない(戒め))
これの酷いところは「一度裏切られたら切り捨てる」という残酷さ。という所でしょうか。
でも、最後まで悩んだくらいには有り得た話なんですよね。
合宿当日のミカの「裏切られたのに何も感じないならそれは最初から期待してなかったってことだよ?」という話に繋がっていく、という所の伏線を取り込んだ形なので。
酷い話「期待通りに動かなかったから切り捨てる」とかいう畜生。
でも結局は「それでも信じる」に落ち着きました。
いまでも没ルートにしなくてよかったと思ってます。(多分チャート崩壊していた)
あぁ.....今更だけど、私ミカに手心加えたんだなぁ(遠い目)
②士郎VSサオリ
これはヒナ達を逃がし単身残った士郎とサオリのタイマン。
最終的に撃たれる所はほぼ同じなんですが正直これも最後までどうするか迷っていた。
アズサの代わりに士郎がサオリの言葉の節々から「おかしい」と気づく流れ。
とはいえ戦闘態勢ではなく一刻もこの場から逃げなければならないとヒナ達を優先にした結果、無防備に反応する暇もなく撃たれた、と現実を加味して書きましたが今では少し後悔している。
(少しくらい時間を稼がせればよかった)
ただ「無抵抗な先生を撃った」というのもこの後のサオリの心境の変化には必要ではあったのでこれはこれで良かったのかもしれない。
まぁあるがままを書いただけなんですが。
③アリウススクワッドをアズサが単独で襲撃する際、士郎&アズサVSサオリもしくは士郎VSアズサVSサオリ。という構図。
これは何を意味するかと言うと、本編と違いヘイロー破壊爆弾でサオリ達を攻撃しようとするアズサを士郎が止める構図です。
2パターンあるのは協力するか非協力的にペロロぬいぐるみからサオリを庇う、みたいな形でしょうか。
本作の士郎のスタンスは「生徒に魔術を教えない」=「生徒に人としての道を外れて欲しくない」という形でして、それで行くとアズサの本編の行動はまるっきり士郎の願いから外れる形になるのです。
なのでそれを汲んだ展開です。
これをしなかったのは脳内シュミレーション上、どう足掻いてもこの展開にたどり着けないから、という簡単なもの。
どうにか盛り込みたかったけど不可能だった、士郎が間に合わない。