衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】   作:神宮寺志狼

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#11 私達の物語/but We all over it ,unveil break words.

Interlude 11-1

「black?red?blue?No,that's....」

 

───冷たい、冷たい雨が降っている。

指先と共に感情も冷めていく。

それはまるで、私がこれから全てを「殺す」ことを良しと言うかのように。

ただ冷たい雨粒が、私の全身を濡らしていた。

 

瓦礫となった古聖堂の前。

そこに3人の姿があった。

 

「アズサ......よくも、よくも姫を...!

絶対に、許さない───」

 

こちらを睨むサオリ。

多少のかすり傷のみが、その肌に現れていた。

 

アリウススクワッドのアジトを襲撃した。

サオリと戦闘になり、計画通りに撤収した。

そして、置いてきた。

私の一番大事な「友情」の証を、自らを「人殺し」の定義として。

 

あれはもう、私には眩しすぎる。

あれを持っていては戻れない、忘れられない。

大事な思い出。それを炭にしてなお、守りたいものがあった。

 

けれど、サオリは倒れなかった。

古聖堂にいたのはサオリを始め、ミサキとヒヨリ。

サオリの言動からして、アツコが庇ったのだ。

 

「私は────止めてみせる。

例えサオリと刺し違えることになったとしても。」

 

それが、幸せを知った、私の義務。

それが、幸せを感じた、私の責任。

 

「お前にそんなことが出来るか!

私(・)た(・)ち(・)の怒りに、悲しみに、恨みに、虚無に!

耐えられるとでも思っているのか!」

 

降り積もった憎しみ。

私(・)た(・)ち(・)。

それはサオリや今のアリウス分校のみんなの分だけではない。

まるで呪いのような何百年も積み重ねた負の感情を纏ったサオリが、私を睨んでいる。

 

それでも────

 

「......私は───人殺しになる。

自分の意思で戦っていないサオリに、私は負けない。」

 

その言葉は、逆鱗に触れたのだろう。

 

「アズサァァァァッ!」

(ドガドガドガッ!)

 

「くっ.....」

 

もとより体はボロボロだ。

連戦による疲労もそうだが、何度もサオリに撃たれたダメージは当然回復などしていなかった。

けれど、「人殺し」は意志を持ってする行為。

であれば、───意思さえあれば後は自動的に動いてくれる。

 

 

サオリが差し向けた「戒律の守護者」を何十人と打ち倒す。

 

「チッ...!」

 

サオリとの交戦距離に入った。

 

「私は守る。

たとえ、あの世界に帰れないとしても。

サオリ、貴女を殺して(に勝って)、大事な人たちの日常を私が───」

 

「私に勝つだと......?

一(・)人(・)になったお前に、何ができる!!」

 

サオリが撃ち合いの中、手を上げる。

 

突如、身体が、頭がぐらついた。

それは衝撃を持って、私の行動を妨げた。

 

「えへへ.....ごめんなさい、アズサちゃん......痛いですよね、苦しいですよね。

なのに、どうして諦めないんですか?」

 

「....アズサじゃ、リーダーと私たちには勝てないよ。」

 

ヒヨリとミサキの視線が突き刺さる。

頭に20mmを受けたのだと、痛みで理解した。

立てない、ふらつく。

 

───それでも、足に力を入れた。

 

もとより一晩、雨に打たれていたのだ。

意識も朦朧としている中、ずっと戦ってきた。

 

────立てない。

 

ここで足掻かなければ、全てが終わってしまう。

 

 

「終わりだ、アズサ。

何故、それ程までに足掻く。

その行為に何の意味がある?

何を証明しようとしている?

 

思い出せ、全ては───」

 

そんなのは簡単だ。

 

「───例え、虚しくても、足掻くと、決めた。」

 

「そこに、何の意味があると──聞いているッ!」

 

銃口が再びこちらに向いた。

仰向けで、雨粒が、顔に降り注いでいる。

意識を保つのが限界だ。

髪は乱れ、服は汚れ。

こんな姿を、彼女(ヒフミ)達に見られでもしたら怒られるだろうか。

 

出来ることを、した。

「足掻く」という意地は突き通した。

けれど

 

「ごめん......ヒフミ.....私は.....」

 

「────何ッ!?」

 

(ダダダダダッ!

(タタタタンッ!)

 

発砲音が聞こえてくる。

狼狽えるサオリの銃口が私から逸れ、彼方を撃っている。

 

援護......?

誰がどうして、こんなところに来てしまったのだろうか。

頭を動かし、サオリの銃口の先を見た。

 

「........。」

 

「.......どう、して。」

 

サオリを撃ったのは、ここにいてはならない筈の、ヒフミ達だった。

 

Interlude 11-1

「black?red?blue?No,that's....」out

 

「シロウ.....よかった、無事だったのか....。」

 

純白だった制服を煤と泥と雨と血で汚したアズサが一人、瓦礫の上に倒れている。

その目の前に立つ、見覚えのある姿。

黒いタンクトップに白いジャージ。

黒い帽子に黒いマスク。その間から見える鋭い蒼い視線。

 

「増員、ですね。

......数は5.....あれは.....!」

 

「お前は......衛宮士郎。やはり、仕留め損ねたか。

「災厄の狐」────狐坂ワカモ。

それに、D.Uで見かけた生徒.....。

「補習授業部」の生徒達。」

 

冷酷な視線と共に狙いをこちらに定めるサオリ。

けれど、違う。今は戦う時じゃない。

 

「コハルさん、ハナコさん!」

「言われなくても分かってるわよ!」

「わかりました!」

 

ワカモとコハルと浦和が牽制射撃を行う。

それでもサオリ達は退(さ)がる様子はない。

なら、もう一手、必要だ。

 

「停止解凍(セット)、撃発点火(オープンボルト)。」

 

牽制に、魔力消費の軽い剣を投影。

サオリ達の足元へ、当たらない程度に投擲する。

 

「クソ、噂の魔術とやらか──!」

 

想定通り彼女たちは、後ろ下がった。

 

俺達とサオリ達はお互いアズサに対して等間隔の一直線上にいる。

まだ、アズサを助けに行けない。

両者共々簡単には動けない───

 

「久しぶりだな、いやさっきぶりか、サオリ。

積もる話も聞きたいことも山程あるけどな。

悪いが、今のお前の相手は俺じゃない。」

 

───それでも尚。

一歩前へ進み出たヒフミがサオリと対峙する。

 

「......何なんだお前は。

D.Uでもここでも私たちの邪魔をする。

一般の生徒ごときが────」

 

「はい、確かに私はトリニティのごく普通の生徒です。」

 

体さえ貫くような冷たい視線。

彼女は動じずに見つめ返す。

 

「ヒフミ....どうして.....こんな所に。

シロウ....今すぐヒフミ達を....連れて....帰って....!」

 

アズサは苦しそうに頭のみを動かして、訴えてくる。

けど、その願いは聞けない。

無言を貫いて、ヒフミに促した。

 

「ここはヒフミのような....普通の生徒が居ていい場所じゃない.....今すぐ───」

 

「───はい、そうですね。

確かに私は平凡かもしれません。

ですが───アズサちゃんは1つ大きな勘違いをしています!」

 

ヒフミは携帯でメッセージを送ったあと、とある茶色い紙袋を取り出した。

 

「ここで私の真の姿をお見せします!!

私の正体、それは────」

 

彼女は唐突に紙袋を、頭から被った。

誰もが沈黙する。

被った紙袋は視界を確保するための穴が2つ開いている。

そして大きくマジックで書かれた「5」の数字。

 

「「覆面水着団」のリーダー

「ファウスト」です──!!」

 

「「───は?」」

 

アズサを始め、浦和やコハル、ワカモ。

果てはアリウススクワッド全員が困惑する。

まぁ無理もない。

本当に、ただ普通の紙袋を頭に被っただけだ。

人柄や体格が変貌する訳でもない。

 

「どうですか!恐ろしいでしょう!不気味でしょう!

アズサちゃんと比べてこっちの方が恐ろしいという人も居るはずです!

何せ私はブラックマーケットの銀行を襲わせた張本人ですからね!」

 

ノリノリで自己紹介するヒフミ。

.......クロノススクールのカメラとか、こっち向いてませんように。と心の中で祈った。

 

「......。」

「.....え、えぇ....。」

「.....何なの、あの女。」

 

アリウススクワッドはそれぞれ反応が異なっている。

サオリは無表情、おそらく驚きはしたものの所詮は紙袋を被った普通の女子高生だと冷静に認識しなおしただろう。

だが、残りの2人は混乱している。

 

───まだ、成り行きを見守ろう

 

「ヒフミ、一体何を────」

「だから───私達が違う世界の人間だなんてことはありません!」

 

アズサを説得するための材料だろう。

言いたいことではなく、理屈から詰めている。

 

けれど、アズサは信じなかった。

 

「.....私の為に、そんな嘘をつかなくていい。

私は知っている。心優しいヒフミにそんなことが出来るはず───」

 

そのアズサの否定の言葉をさらに否定するように。

とある集団が、現れた。

 

「───何が嘘だって?」

 

今のは間違いなくセリカの声───なのだが。

ヒフミの隣に立った彼女は「4」と書かれた赤い覆面を被っていた。

いや、セリカだけではない。

ホシノもシロコもノノミも、あ(・)の(・)時(・)の格好だった。

 

「......♪」

 

ホシノと視線が合う。

任せて良さそうだ。

 

見守ろう

 

「やー、「リーダー」。

今は「ファウスト」ちゃん、って呼んだ方がいいかな~?」

「お久しぶりです~「ファウスト」ちゃん♪」

「......久しぶり。」

 

「お久しぶりです、「クリスティーナ」さん。

それにシ.....えぇと....。」

 

「私の事は「覆面ライダー」って呼んで。」

 

 

『覆面水着団全員、ファウストさんのご命令で集合しました!』

 

この場にいないアヤネもホログラムで登場する。

 

現れた覆面集団(対策委員会)。

何処かで合流する手筈ではあったけれど、まさかこんな形で会うことになるとは思わなかった。

 

「よく来てくれました、皆さん。」

 

「な、何が何だか....。」

「士郎さん.....あれはどう見ても.....」

「衛宮先生....あれはどういう.....アズサちゃんの説得にしては少々手が込みすぎているような───」

 

こちらの3人も困惑している。

どうやらまだ狂言だと思っているらしい。

ヒフミが自らカミングアウトしたんだ、ここはその背中を押してやろう。

 

「あぁ、あれは本当に「覆面水着団」だ。

ヒフミはそのグループのリーダー「ファウスト」だし、「ファウスト達」がブラックマーケットの銀行を襲撃したのも事実だ。

 

実際俺はアイツらに銀行から誘拐されたし、事実膨大な札束と不正の取引の証拠書類を奪取してる。」

 

「士郎、よくこんな変な奴らに絡まれて助かったわね......。」

「まぁ、アビドスで対策委員会に助けられてさ。」

 

という訳で全部白状。

何一つ嘘は言ってない。

 

こんな面前で「あのメンツは実はアビドス対策委員会です」なんて言える訳も無いし、アイツらも身バレ的したくない筈なので流石に正体は明かさないだろう。

それにワカモは言うまでもないが浦和も何となく見覚えがあるらしく思い出そうとしている。

 

「.........わ、わかったけど.....士郎、それじゃヒフミは───。」

「そうだ、コハル。

ヒフミは立派な犯罪者、ってことだ。

 

というか元々優等生でもなんでもないしな。

ペロロのライブやグッズの為にテストサボったり、あの言峰さえ脅迫して言うこと聞かせる奴だぞ?」

 

そもそも、ヒフミ本人が「私はごく普通の生徒です。」って言ってる事の方が認識がおかしいんだ。

 

「まさかあの言峰神父ですら、ヒフミちゃんの部下───いえ、この場合、手(・)下(・)の方がそれっぽいですね。」

 

浦和が感嘆している。

がそれより気になったのは、予想外の奴がその名前に反応したからだ。

 

「......あ(・)の(・)言峰綺礼を手駒扱いだと...?」

「ふ、覆面水着団.....噂に過ぎないと思っていましたが....本当にいたんですねぇ....。」

「リーダー、あいつら他の奴等とは何が違う....。

注意して。」

 

「言われるまでもない、ミサキ。」

 

やや、アリウススクワッド3人の警戒水位が上がった。

何でお前たちが言峰の名前に反応するのか。

理由は想像にかたくない。

ある程度予想はしていたとはいえ、今は目の前の生徒たちの事に集中しよう。

 

「目には目を、歯には歯を。

無慈悲に、孤高に、我が道のごとく魔境を行く。

それが「覆面水着団」であり、「ファウスト」なんです!」

 

「「ファウスト!ファウスト!ファウスト───!」」

 

「まったく、こんな時に貴女達は。

一体何をふざけているの?」

 

低くも、明確な強い声で、非難が飛んできた。

ヒナ達、風紀委員会がこの場に合流した合図のようだった。

 

「げっ....?!ゲヘナの風紀委員会!」

 

セリカが思わず声をあげる。

ついでに睨む視線の先はヒナの隣にいる天雨。

未だに苦手意識があるのか。

 

「あー、ごめんごめーん。

ちょっとね~。」

 

そして、その場で「覆面水着団(対策委員会)」が覆面を取った。

────シロコ以外。

 

「シロコ先輩も早くとって、風紀委員長がこっち睨んでるでしょ!」

 

セリカが強引に「覆面ライダー(シロコ)」の覆面を剥ぎ取った。

 

「......このままでいいと思うのに。」

 

そういう訳で。

少なくとも補習授業部とアリウススクワッドには「覆面水着団」=「アビドス対策委員会」とバレてしまったのだ!

 

なんでさ!

 

「ま、そんな訳で対策委員会全員、ヒフミちゃんの助けに来たよ~。」

 

「......全く。

────先生。風紀委員会、準備完了。

何時でも指示を頂戴。」

 

 

さて、問題は────

 

「....衛宮先生。」

 

多分、何処かで今の話を聞いていた可能性のあるナギサの心配だが。

ツルギ達だけがここに来たのが少し不安だ。

 

「ツルギ、ナギサは?」

「ナギサ様はティーパーティー本隊とシスターフッドをまとめて後の合流です。

先行して正義実現委員会、到着しました。」

 

「了解だ。」

 

少しだけ、安心した。

こんな話、ナギサにバレたならどうなるだろう。

想像がつかない。

 

 

今こそ、先生として

 

ここで1歩前へ出た。

 

「サオリ、銃を下げて投降してくれ。

「シャーレ」の権限を使ってでも、お前たちを悪いようにしないって約束する。

 

お前達が電撃侵攻して体勢を崩した風紀委員会も正義実現委員会もティーパーティーも立て直した。」

 

「─────。

それで、勝ったつもりか。

無限に増殖する「戒律の守護者(ユスティナ聖徒会)」の前ではそんな戦力など等しく無意味だ。

 

思い上がったお前達に、もう一度教えてやる。

この世界の真実を.......殺意と憎しみに満ちたこの世界で。

あらゆる存在と努力は無意味、無価値、無駄なのだということを。

どう足掻こうが、お前たちに未来はない。

希望等という幻想、光。

それらはなんの意味もない、全ては無駄なのだということを!!」

 

 

 

「───衛宮先生。

このタイミングでなんですが.....。」

 

ヒフミが俺に耳打ちする。

 

「言いたいことがあるんだろ?

大丈夫だ、撃たせやしない。」

 

サオリと対峙する役割を請け負った。

まだ、誰も動けない、動かない。

この場の主導権を握っていたのは、誰でもないヒフミだった。

 

「アズサちゃん。

私今すごく怒ってます。

 

いいえ、私だけじゃないです。

衛宮先生もワカモちゃんもコハルちゃんも怒ってました。

ハナコちゃんは内心ショックを受けてると思います。」

 

「.......。」

 

ヒフミの顔から、アズサが視線を逸らした。

何について咎められているのか、本人は理解しているからだろう。

 

「ですが.....それ以上に私は安心しました。

アズサちゃんが無事でいてくれたことに。

 

ですが、悲しいです。

元々お友達で、大事だった筈のアリウススクワッドの皆さんとアズサちゃんがお互いに傷つけあっていることが。

 

私は、トリニティの生徒です。

実際のアリウス分校がどのような学校で、どれほど過酷な環境にあるのか、それは分かりません。

それは当事者であるアズサちゃん達にしか、分からないことです。

 

確かにこうして、この場を見れば皆、戦うために集まって。

得たり失ったりを繰り返し。

結局世界というのがいつだって残酷で、理不尽なものだって、改めて実感します。

辺り一面を見回しても、灰色の瓦礫ばかり。

確かにそれこそ世界の黒い面です。」

 

「貴様.....何を───」

 

困惑するサオリに立て続けに──いやさらに力強く、ヒフミは叫んだ。

 

「ですが!皆さん!上を見てください!」

 

ヒフミはサオリ達を真っ直ぐ見つめながら、空を指さした。

 

「上?」

 

アズサやコハルもワカモも空を見上げる。

その様子に、風紀委員会や正義実現委員会だけでなくアリウススクワッドも視線を上へ。

 

「空がどうして赤色や青色になるか知っていますか?

私は補習授業部での勉強で知りました!」

 

「ヒフミ、急に何を....?」

 

ヒフミはアズサの言葉をスルー。

思いの丈を口にした。

 

「それはそれぞれの光の波長が違うです。

角度によって色は違います。

 

私たちもそうです。

光の当たり方さえ変われば色だって変わります、変われるはずです!

何が光に意味は無いですか!笑わせないでください!

 

貴女達が人殺し?

─────いいえ!なりませんし、させません

 

私はそんな暗くて憂鬱なお話、嫌いなんです。

それが真実だって、この世界の本質だって言われても、私は好きじゃないんです!」

 

「戯言を────!」

 

まるで、聞きたくないと、耳を塞ぐように。

サオリは「守護者」に指示を出し、射撃を開始した。

 

「投影、開始──」

 

瓦礫の上に立つヒフミに向けられる銃口。

そこから飛ぶ弾丸は、全て阻まれ、ヒフミから逸れている。

 

「なんだと!?」

 

......熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)───。

 

飛び道具に関して無敵の守りを、ほぼ最後の魔力を振り絞った。

赤い光、それは壁のように。

3枚の花びらが、ヒフミを守護していた。

 

撃たせない。

それがこの場の俺にとっての役割、出来ること、したいこと。

言いたいことを全て言えなかったヒフミ。

アズサをここまで追い詰めたのは、アリウススクワッドと、この俺だ。

だからこそ、俺にとって出来る最大限のことを。

彼女達と同じように。

その願いを叶える手助けを。

 

俺は「正義の味方」失格かもしれない。

「先生の概念」としては間違っているかもしれない。

 

それでも、だからこそ俺にできる「責任」を果たす───!

 

 

「私には、好きなものがあります!

平凡で、大した個性もない私ですが……自分が好きなものについては、絶対に譲れません!

 

友情で苦難を乗り越え

 

努力がきちんと報われて

 

辛いことはお友達と慰め合って……!

 

苦しいことがあっても……誰もが最後は、笑顔になれるような!

 

そんなハッピーエンドが私は好きなんです!!

 

誰が何と言おうとも、何度だって言い続けてみせます!」

 

そして、ヒフミはサオリに向かって、人差し指を向けた。

 

「私たちの描くお話を、私たちが塗る色を決めるように!

 

あなた達の物語を、誰かに決めさせてはいけません!

 

確かに....今が灰色や黒色に見えて、絶望することもあるでしょう

 

───けれど、未来(明日)は違います!

 

私は信じています

 

どれだけ濃い闇が目の前にあっても、それを打ち消す光は必ずあると───

 

「無い」、と言うなら私がその光になります──!

 

終わりなんてありません!まだまだ皆で描いていくんです!

 

私たちの物語……

 

私(・)た(・)ち(・)の色鮮やかな物語(Gradation Archive)を!!

 


 

Gradation Archive

 


 

 

Aoharu

Unlimited Colors

 

ヒフミが指を指し示す先。

 

「天候が......。」

 

いつの間にか銃声どころか雨は止んでいた。

さらにヒフミを中心に雲に穴が開き、光の柱が辺りを照らし始める。

まるでスポットライトのように。

光は広がり、朝焼けの真っ赤な空が見えたと思えば、段々と青空へ変化していく。

 

「気象の操作でもしたのか....馬鹿な。」

「......まるで奇跡みたいですねぇ.....。」

「っ.....奇跡なんてこんな世界に起こる筈ない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「────あぁ......誰かを一方的に苦しめ排除して裁くことでしか得られない。

そんな平和なんて、オ(・)レ(・)達(・)は、要らない。」

 

ヒフミと2人でアズサを起こす。

 

人々は助け合っていける。

例え、どんなものにも終わりが来るとしても。

その終着点が、努力の結末が、虚無で終わるだなんて思わない。

 

選択によって、何かを得て、何かを失うように。

 

人の営みは、誰かに何かを繋いでいくのだと。

 

過ちを犯し、人を傷つける。

それが世界の真実だと言うのなら。

そこから省(かえり)みて、繋いでいけるものがあるはずだ。

 

 

 

「そんな条約なら、要らない。

ここで破(・)戒(・)する!」

 

エデン条約が上書きして締結したと言うなら。

それをさらに上書きして、塗り替える。

 

魔術破りの歪な形の短刀を、地面に突き刺した。

戒律の守護者達の影がブレを見せ始める。

 

「連邦捜査部シャーレの顧問衛宮士郎が。

ここに、エデン条約の締結を、宣言する!!」

 




だいぶ長い後書き。
最後には一応連絡がございます。


原作のヒフミはただアズサを傷つけられた怒りでサオリ達の過ごしてきた全てを否定しました。

ですが、今作のヒフミは違います。
キヴォトスの闇を知って、そこにいた色々な生徒達(藤河組、七転八倒団、FOX小隊)と触れ合い寄り添って理解しました。

故に、悲しい、と。
「アズサちゃんの友達も、どうにかしてあげたい。」
だからこその否定だけではなく、「確かにそういう側面もある」「けれど自分は嫌いだ」「だから助けたい」という意識の変化が起きています。

そして、タイトル回収、「GRADATION ARCHIVE」。


「貴女達は確かにこれまで黒や灰色の人生を送ってきたのかもしれません。
それを否定するつもりはありません。
ですが、そこで諦めないで。」

上記のような思い。
ヒフミのブルアカ宣言ならぬグラアカ宣言にはこのような意味が込められています。

(ちょっと唐突に空の雑学し始めた事についてはちゃんと何処かで伏線仕込めばよかったと私後悔してます。)

もともとタイトルには「GRADATION ARCHIVE」はありませんでした。
が、作品そのもののタイトルとして「衛宮士郎"先生概念"」だけでは不十分だと内心考えていました。
「GRADATION」を採用するに至った理由は投影魔術の英名です。
私も調べていて知ったのですが、投影魔術は型月設定の英名では「グラデーション エア」と呼ぶそうです。

これを知った私は「ブルー=色」と結びつけ、このタイトルが誕生しました。
対策委員会、第1章半ばの頃の事でした。

この話のタイトルも「私達の物語」にするか「彼女達の物語」にするか迷ったのですが。
この話しの主人公は間違いなくヒフミだったので。


さて、これまで「ブルーアーカイブ」だったこの作品は「グラデーションアーカイブ」になりました。
これには非常に大事な意味があるのですが、それはまたおいおい。





個人的な話になりますが。
恐らく10月は出筆活動が停滞します。

まぁというのも、私が待ちに望んだ役10年待ったゲーム、「ACECOMBAT8」が発売されるからですね。

この作品、最低限終章までは考えてあります。
そして書きたいものが書けてません。
エデン条約編3章の後には4章が控え。
その後にはVol.5の0章。
さらにそこからVol.4の一章。
そしてVol.2、2章です。

して、実はVol.2の2章のストックが馬鹿ほど溜まってまして。
時系列順でいくと投稿が当分先になるのです。
停滞することはあっても、止めることはありません。

走ることは止めますが、歩くことは止めるつもりはありません。
今後もよろしくお願いします。
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