衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】   作:神宮寺志狼

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今までの中で1番酷い駄文になりました。

これでは「どうにかなりそうなものを放置してる」と言われても仕方ない。


#15 乙女心/士郎 ゲヘナ学園へ(Ⅱ)

 

 

「....きて...ウ....」

 

 

揺らされる。

 

....揺らされる?

 

 

「...起きて、シロウ。」

 

 

気がつけば、俺は机の上に突っ伏していた。

 

パンフレットを読んでそのまま寝てしまったらしい。

 

アビドスという砂漠地帯の慣れない環境にさらされて思った以上に体が疲労していたようだ。

 

 

「「衛宮先生!!」」

 

大声にビックリしてそのまま背もたれ方向に椅子ごと倒れて頭を打った。

 

「いっ.....」

 

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「...すみません、そこまで驚くとは思わず...。」

 

そこに居たのは早瀬とハスミだった。

 

 

「あぁ...なんだ。ビックリした....どうしたんだ?2人して揃って。」

 

心配していた表情がいきなり怒張した。

 

「「あぁ....なんだ」ではありません!!!

何の連絡も無しに1週間以上先居なくなって、当番に来た私たちの気持ちにもなってください!!」

 

「ホントです!!....」

 

ボソッと聞こえたのは、当番を楽しみにしてたのに、と。

 

そういえば遭難していて気絶した5日間を含めれば7日以上立っている。

連邦生徒会に出張届けを出しはした。しかし、当番の生徒達には何も報告していなかった。

 

「....悪かった。心配かけたんだな。

おれはこの通り大丈──」

 

と、右腕に力こぶを作れば赤い包帯て傷だらけの腕を見せてしまった。

 

あ、と思った時にはもう遅い。

 

「!!?だ、大丈夫じゃないじゃないですか!!なんですか!?それ。」

 

「ひ、酷いのは見た目だけだ。」

 

 

「そんな訳ありません!!包帯が血染めになっているのに。」

 

と、ハスミに触れられるが、傷は痛まない。

 

それどころかそんなものは無かった。

 

「え....傷なんて、無いじゃないですか。」

 

 

言峰曰く、何らかの聖骸布らしいが、治癒効果が付いてるなんて聞いていない。

 

 

「....心配させないでください。

...全く、本当に子供なんですから。」

 

と、俺がまるでかまって欲しいと思われたのか。

それともカッコつけた子供のようだと思われたのか誤解されている。

 

「....黙って出ていったのは悪かったよ。

俺がいなかった間もしかして代わりに?」

 

 

「いえ、それは彼女達が必死にやってくれました。」

 

ハスミは隣の机で寝ている藤河に目線を向けた。

 

「.....そっか。」

 

「なんか、「士郎には帰れる家が無いんだからいない間は私達がここを守る」って張り切ってましたね。」

 

早瀬がそう言うと切嗣が旅で家を開けていた時の自身を思い出してフッと笑がこぼれる。

 

俺は藤河の頭をそっと撫でてやった。

 

「悪いな、また留守にする。」

 

 

「.....また出ていかれるんですか?」

「今抱えてる問題ってあれですよね?アビドス高校の──」

 

そうしてシロコに視線が向く。

 

「ごめん、まだ暫く先生は借りる。」

 

「いえ....それは良いのですが...。」

「どっちかって言うと心配というか....衛宮先生全く寝てないじゃないですか?

規則正しい生活を先生が心がけているのは知ってますけど、顔色良くないですよ?」

 

まだ顔すら洗っていないが、そんなに酷い状態なのだろうか?

 

助けたいのに、何も解決してあげられない自分。

生徒を撃った事による自壊。

幾度となく使った魔術による反動。

 

 

 

いくらでも不調の理由は出てくる。

 

 

「.....それでも休んでられない。

1日でも前に進まないと。」

 

頭を抱え出す早瀬。

 

「大丈夫だって、解決したらしっかり休息は摂るさ。」

 

 

「....先生の大丈夫は大丈夫じゃないって....分かっているんですが...。」

「まぁ、止められないわよね。立場としても一個人としても...」

 

「ん、シロウは言っても止まらない。」

 

俺は顔を叩いた。

 

「よし、顔を洗ってくる。

それから飯にしよう。」

 

 

まだ時刻は6:30。

 

少し遅いが朝の支度くらいどうとでもなるだろう。

そう言えばチナツの出迎えが何時になるか、聞いていなかった。

 

「え!?ご一緒していいんですか!?」

 

と嬉しそうな早瀬の表情。

 

「さんざん迷惑かけたお礼って言うには足らないかもだけど。」

 

「いえ、是非ご一緒させてください。」

 

藤河達は皆寝ている。

俺の代わりにずっと動いてくれているんだから。

 

品行が修正されても、生活習慣が正されなければ意味が無い。

ホシノ達やこの子達の為にも早く解決しなければ。

 

俺は洗面所で顔を洗う。

 

俺がいない間、シャーレは整えられていた。

 

物資の配置の最適化。清掃、備品の確認。

 

ギリギリの環境で生きてきた藤河達のなせる技だろう。

グレーな世界で生きてきた彼女達の人生が無駄ではなかった証だ。

 

そんなこんなで時刻は6:30、

厨房に立ち、冷蔵庫の中を漁る。

 

卵とパスタと...なんか大量のエビ。

 

「うわ...これ何処で調達してきたんだ...」

 

新鮮な海老を解体し身はパスタの具に、殻はそのまま捨ててしまうのは勿体ないので出汁を取ってスープにする。

 

「という訳で今朝はエビの和風クリームパスタでございます。」

 

と取り分けた料理を食卓に並べる。

 

俺と、シロコとハスミと早瀬.....あれ?1人分多い

 

「?.....なんで5人分出したんだっけ?」

 

 

「うわ....朝から贅沢だ....。」

 

「えぇ....ほんとね。」

「......。」

 

ハスミと早瀬の生唾を飲む声が聞こえる。

 

 

「「いただきます。」」

 

 

 

「相変わらず先生のお料理は美味しいですね。」

 

ハスミがご満悦と言った表情で感想を述べた。

 

いや、本当ならあと1品ほど出したいところだが、チナツが来るタイミングが掴めないのであまり時間はかけられなかった。

 

 

一方、俺の料理はラーメンしか食べたことないシロコは驚愕していた。

 

 

「.....これは確かに大将が気になっているのも頷ける味。」

 

アビドスにおける問題は借金だけではなく食物の品質もあるようだった。

 

「...なんか、私だけ食べてるのはずるい気がしてきた。

いつか皆にも振舞ってあげて。 」

 

「あぁ、全部終わったらアビドスでもシャーレでもいいからパーティをみんなで開こう。」

 

 

そんなたわいも無いことを口にして。

 

 

早瀬とハスミにはそれぞれの学園に戻ってもらった。

せめて帰ってくる時は連絡すると、伝えて。

 

ただ大問題だったのは─────

 

 

「ゲヘナに行く....ですって?」

 

 

ゲヘナ行きの話を持ち出した時にハスミが全力で止めて来たことだ。

 

「え、いや。

相当危ない自治区だって聞いてるけど、護衛もいるし迎えも頼んだし、大丈夫だって。」

 

「正気ですか!?

あんな────な場所に───に。」

 

取り乱している、絶対に乙女が使ってはいけない言葉を口にしてる気がするぞ、ハスミ。

 

「全く、知らないんですか?トリニティとゲヘナは不仲を通り越して互いを目の敵にしてるんです。

そんな正義実現委員会の生徒の目の前でそんなこと言ったらこうなるに決まってるじゃないですか。」

 

と早瀬が教えてくれた。

 

以降、ハスミの目の前でゲヘナの話題を出さないように気をつけよう。

 

「ええと....では私達この辺りで。

 

先生が今取り扱ってる問題に関しての情報がありましたらご連絡します。」

 

と、ハスミと早瀬が示し合わせるように提案してくれた。

 

 

「....あぁ、悪いな。

ロビーまで送っていくよ。」

 

そう言うとハスミは言った。

 

「そうですか?

エンジェル24に寄ってからトリニティに戻りますが...?」

 

「ん?

全然付き合うぞ?最近顔を出してないしな。」

 

 

 

エンジェル24

 

この建物の1階にある24時間営業しているコンビニエンスストアである。

 

品ぞろえが豊富過ぎるのでコンビニの領域は超えている。

このキヴォトスにおいて必要不可欠な銃器、弾薬はもちろんのこと、家電、高値なロボットの玩具からゲームカセットまで売っている。

 

とはいえやはり値段は高い上に、D.U周辺であってもこんな辺鄙な所のコンビニを利用する人物もいない。

──筈だったのだが、藤河組のみんなのお陰で開店当初に売れ残った弁当の廃棄などもだいぶ少なくなったという。

 

 

 

自動ドアの先、店内1歩足を踏み入れると、オドオドしつつも元気な声が聞こえてきた。

 

「い、いらっしゃいませ!」

 

店員は中学生。苗字は知らない。

名札にソラ、と書いてあったのでそう呼んでいる。

 

シャーレ開業の折に挨拶をした程度の関係だ。

 

 

昔を思い出す。

俺も切嗣が亡くなってから大学卒業まで、仕事をさせてもらっていた場所がある。

始めたのは確か12歳あたりの頃だ。

 

身寄りがないこと以外、世間一般では普通の小学生である俺を雇ってくれるところはコペンハーゲン以外には何処にもなかった。

唯一、そこの親父さんだけが俺を手伝いと称して雇ってくれた。

 

気づけば10年超えていた。

その度に「正式にここで働かないか?」と誘われたが断り続けた。

 

そうして、今俺はなりたい職に就いている。

 

 

「よっ、ソラ。調子はどうだ?」

 

そう話しかけると彼女は顔をひきつらせながら答えた。

 

「あ、え、、衛宮...先生。

こんにちは!

だ、大丈夫ですっ、大丈夫....」

 

自分に言い聞かせる様に言う。

何かが起きたことは明らかだ。

 

 

「....何かあったのか?」

 

「い、いえ....その新しく───」

 

 

 

 

「士郎さん....?」

 

聞き覚えのある声。

 

皿を5枚分出した理由。

居るべきはずの人物が見当たらなかった。

 

そして、今朝の起こされた時の違和感。

シャーレに居る時は毎日のようにアイツが起こしてくれた。

 

「ワカモ!?どうしてエプロンなんて────

いやそれより───────。」

 

 

 

 

 

 

アビドスでも彼女の存在を忘れた。

 

どうして、ここまで彼女のことを頑なに頭の中から消そうとするのか、ようやく気づいた。

 

付き従う姿。

 

その容姿。

 

自分を慕う姿のその全てが、置いてきたものを連想させるからだ。

 

 

 

俺は生徒しか見ていない。

生徒個人を見れていない。

 

 

未練?後悔?

 

そんなものはしないと、

アイツ(自分)に誓った筈なのに─────

 

 

「シロウ....!?どうしたの!?」

「士郎さん!?お顔が真っ青ですが....」

 

 

シロコとワカモの声で我に返る。

 

「いや、大丈夫だ。

でも、ワカモ。なんでここに?」

 

 

───忘れろ。その逡巡は今必要ない。

 

 

「そ、それは......」

 

ワカモからエンジェル24で働くまでの経緯について聞いた。

 

便利屋68との戦闘の後、素直にシャーレに戻ったらしい。

 

らしいのだが、彼女の仕事は無い。

ワカモはいつも俺の周りの世話をしてくれていた。

 

書類の整理なども今では藤河達がやってくれているのでワカモの仕事はほぼ存在しないのだ。

 

そこに舞い込んできた「アルバイトの人員不足」というコンビニからの依頼に応えたらしい。

 

「何か少しでもあなた様の為に出来ることがないかと.....。

それにあの娘達がお手伝いをしていると言うのに私だけ何もしないのは───。」

 

いたたまれない、と。

 

俺のように幼い頃に引き取られ、養子になるならまだしも、

他人であり血の繋がりもない男に引き取られて不自由なく暮らすのは良心が痛むのだろうか?

 

それはそれとして、結局は学生に戻らなければならない点では藤河達と同じである。

 

 

「いいんじゃないか?

ワカモだって、いつかは復学してシャーレから離れていくわけだから貯金はできる時にした方がいいし、いい社会経験にもなる。」

 

「...ぇ......。」

 

泣き出してもおかしくない悲しげ表情を見せるワカモ。。

 

「えっ...と、....悪い、なんか変なこと言ったか?」

 

 

 

「....いえ、あなた様にとって私はその程度の存在なのですね...」

 

そう言うワカモをシロコ達が慰めた。

 

「ん、今のは100%シロウが悪い。」

「衛宮先生。いくらなんでもそれは酷いのでは?」

 

 

味方が居ない。

 

 

「なんでさ。」

 

 

ハスミの買い物が終了した後、気が弱いはずのソラにコンビニから追い出された。

 

どうもワカモはソラと上手くやっているらしい。

 

 

 

 

「では衛宮先生、私たちはここで失礼します。

くれぐれも、何かあった際は当番の生徒に連絡をしてくださいね?」

 

「先生、何かあればぜひ私まで御一報を。

どこに居ても駆けつけますので。」

 

 

「あぁ、2人ともありがとな。気をつけて帰れよ?」

 

早瀬とハスミを見送り、シャーレの部室に戻ってからチナツの迎えが来るまでシロコとハスミに投げられた言葉の意味を考えた。

対策委員会編第2章終盤で士郎には

  • 無限の剣製を使って欲しい
  • カタルシスにはまだ早い(固有結界未使用)
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