衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】   作:神宮寺志狼

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藤河(仮称)

お披露目したい心が先に行きすぎて文章が....寝ぼけてこのお話投稿した気がする。

おかしい部分と足りない部分は後々追加で()


#10 幾つかの秘密、幾つかの提案

 

「それでさ、衛宮先生が魔法使っても大丈夫。って分かったわけだけど、これからどうしよっか。」

 

とホシノが言い出した。

 

「......具体的には3億の預託金と利息9130万....およそ1億。

......私たちの月の回収額が780万って事を含めてですね。」

 

アヤネが説明した。

状況は絶望的だ。

 

「というかもしかしたら騒動で手一杯で約束を守れてないのかもしれないしな。」

 

なんて言ってみたもののそれは望み薄だろう。

 

これまで口を閉ざしていたセリカが、火を切った。

 

「はぁ?そんなわけないじゃない!?「宝探し」だってどうせデマカセよ!

アビドスに、特にあの砂漠なんて何も無いのよね!?

アヤネちゃん!」

 

「はい ....石油や鉱物資源は何一つとして.....」

 

.....カイザーのあの動きはただ対策委員会を嵌める為に....?

 

いや、そうは思えない。

彼らには彼らなりの目的があるように見えた。

 

「...もう一度、今度は私だけで確認してくる。」

 

立ち上がったシロコをワカモが引き止めた。

 

「 .....離して。」

 

「.....結論も出ないまま目先の事に無駄な時間と体力を消耗するおつもりですか?」

「....」

 

「そうしてまた士郎さんに迷惑をかけるおつもりでしたら、ここで止めます。」

 

ワカモの目は本気だった。

 

シロコは目を逸らした。

向かった先で何があったのか、忘れたわけではないだろうに。

「....ッ。」

 

「またそれを咎められでもしたら?

さらに状況が悪化するのがお分かりになりませんか?」

 

「なら─────ならどうするべき?

.....借金はもう、まともな方法じゃ返せない。何か別の方法を....。」

 

「そ、それはダメです!」

 

ノノミの忠告に真っ向から対立するシロコとセリカ。

 

「ううん、私はシロコ先輩の意見に賛成!

学校が無くなったら全部終わりなんだから、もうなりふり構っていられないわよ!」

 

待て、それは────。

 

「それじゃあブラックマーケットの時と同じだよ!セリカちゃん!」

 

アヤネの窘める声は、セリカに届かない。

 

「じゃあ、どうするのよ!預託金利息合わせて4億よ!?

それにまだあるの。

士郎が戦った相手の損失分の金額を考えたらくだらないわ!!」

 

「えっ!?」

 

驚きの言葉がセリカから告げられた。

 

「見なさいよこれ!

士郎が全滅させた分の部隊損失の請求書!

プラス3億円の請求書が来てるのよ!!」

 

は?

 

「そんな馬鹿な話があるか!」

 

セリカから書類をかっさらうように眺める。

 

確かにその文面にはセリカの言った通りのことが書いてあった。

 

「うへぇ~。

先生、失敗したねー。

最初に「損失分の補填は半分出す」なんて言ったから奴ら調子に乗ってるよ、これ。」

 

 

「これで分かったでしょ!

アイツらはどんな手段を使ってでも私達の邪魔をする!

手っ取り早い手段が払えない額の金を請求して、立ち退かせることだったのよ。

 

他に道はないわ!

こうなったら闇銀行でもブラックマーケットでも襲って────」

 

「それでもダメだ!!1度でも無関係な人を巻き込んでしまったら本当に戻れなくなるんだぞ!?

 

これまでアビドス高校が続いてきたのは先人達の────」

 

 

ここで俺とセリカの間に、ホシノが割って入った。

 

「まぁまぁみんな落ち着こうよ。

頭から湯気出てるし。

でさ、私としては藤河ちゃん達みんなが集まってる理由が知りたいかなぁー。」

 

「......」

 

 

ホシノの殺気は突如として藤河達に向けられた。

 

「.....アビドスを見捨て、別の学校に行った挙句、退学になって不良に堕ちた子達が、なんの用?」

 

「ほ、ホシノ、お前。」

 

「─────先生は、黙って。」

 

その殺気に俺を含め皆が言葉を失った。

 

「責めてるわけじゃないよー。

でも、セリカちゃんじゃないけどさ、アビドスを見捨てて行ったのに、

まさか、今更になって手助けしたいなんて、言わないよね?」

 

「────ッ」

 

ホシノのその目は藤河達を殺した。

比喩なんかでは決してなく、

援助を申し出ようと集まった全員の意気地と気持ちを叩き潰したのだ。

 

誰も口を開けなかった。

 

それは、天雨を黙らせたヒナの姿とよく似ていた。

いや寧ろこちらは赤の他人だ。なればこそ反論など容易くできるわけが無い。

 

───────藤河組、もといカタカタヘルメット団はそもそもアビドス出身の生徒たちで構成された不良グループだ。

 

アビドス出身でありながらアビドス高校に通わず、不良に身をやつした理由。

こんな状態の対策委員会(彼女達)に会わせる前に考えておくべきだった。

 

「.......セリカちゃんと、ノノミちゃんの手当をしてくれたことには感謝してるよ。

でも、それだけ。

居場所だって仮初。

ただ衛宮先生に偶然拾って貰えただけの子達から施しを受けるつもりはないよ。」

 

「.......」

 

彼女たちは、アビドスから逃げ出したのだ。蜘蛛の子を散らすように。

 

「 .........そうだね。私たちが首を突っ込んでいい事じゃなかったかもしれない。」

 

藤河が折れた。

 

「そっか。」

 

「それでも、なにかさせて欲しい。

今更アビドスを故郷なんて言うつもりはないけどさ....」

 

「.........」

 

ホシノの視線は藤河に刺さる。

いや切り裂いている。今この瞬間にも。

 

「.....なら衛宮先生を守ってあげて。」

 

「え?」

 

 

ホシノは渋々了承した。

 

「今日のところはおしまいにしないー?

このまま話し合ってても結論出ないと思うよー?」

 

「え、....そ、そうだな。」

 

 

「は?何言ってるのよ!ホシノ先輩!!7億よ!?何するにしても早い方が.....」

 

「大丈夫大丈夫~、おじさんがいい方法考えてくるからさー。

 

解散解散~。一回頭を冷やしてさぁ。また明日集まることにしようよ。

 

これは委員長命令ってことで。」

 

そんなホシノの一言で会議はお開きになる。

 

 

「あー!!!チビるかと思ったー......。」

 

なんて言う藤河。

 

 

「.....あんなに怒ったホシノ先輩は初めて見ました.....。」

ノノミもよく見れば冷や汗をかいている。

本当に驚いたのだろう。

 

「そうなのか....?」

 

「はい...基本的にのほほんとされている方ですから.....でも、本当に何があったんでしょう....今のホシノ先輩は、どこか.....。」

 

「ん、絶対におかしい。」

 

そういって、シロコが1枚の紙切れを出してきた。

 

 

「なんだ?それ。」

 

 

「これはホシノ先輩の退部届け及び退学届け。」

 

 

そのシロコの言葉に部屋にいたノノミとシロコ、そしてセリカ以外の人間が声を上げた。

 

「え...!?ちょ、ちょっと待ってくださいシロコ先輩!」

 

シロコから紙を奪って確認するアヤネ。

 

「ホシノ先輩のバッグから見つけた。

本人曰く要らなくなった遺書って言ってる.....」

 

「....ホシノ先輩も、アビドスを見捨てて出て行っちゃうのかな....」

セリカが拳を握りしめた。

 

いや、それは違う。

 

藤河を睨んだあの目には間違いなく恨みが篭っていた。

だと言うのにアビドスを捨てて出ていくなんて選択肢をとるわけが無い。

 

「俺が少し話してくる。この場は俺にひとまず任せてくれ。」

 

「シロウ、ホシノ先輩を、お願い。」

 

シロコの言葉にただ無言で頷いた。

 

 

教室を出る。

 

皆不安げだった、絶望していた。

当たり前か。

 

事実上の死刑宣告。敗北だ。

 

でも───────

 

 

「最悪な状況、って言えばそうだけど、これ以上下に落ちることはない。

確かに7億なんて膨大な金を生み出すのは無理だ。

シロコの言う通り真っ当な方法じゃ返せない。」

 

俺の出せる案は1つだけ。

カイザーを潰す。

そんな幼稚な結論しか、俺には出せない。

 

 

「あ、先生。どしたの?」

 

 

ホシノの教室に入る。

 

窓際の机に帰りの支度を済ませ今にも帰ろうとしているホシノの姿があった。

 

「ホシノ。何を考えてるんだ?」

 

「.....もしかして見ちゃった?」

 

 

俺はシロコに渡されたものをホシノに見せる。

 

「あぁ、バッチリな。

もしかして何かこの状況を打開する手立てがあるのか?」

 

あったとしても、それは皆の許すものでは無いのだと、薄々わかっていながら俺はそんなことしか聞けない。

俺とホシノは似たもの同士で、互いに自分の事が勘定に入っていないのだ。

だから俺がホシノと同じ立場にあったのなら、自分を犠牲にしてでも──────

 

「.....無いことは無いよ。

うーん....でももうそれをするつもりは一切ないんだよね。」

 

バッグを机に下ろし、椅子に腰をかけてホシノは話し始めた。

 

「.....話すと長くなるんだけどね。

私以前からある取引を大人から持ちかけられていたんだー。

 

私がアビドスを離れて、そこでお仕事すれば大半の借金と毎月の利息を肩代わりする。って契約。」

 

 

それは人身御供ではないのか。

 

「ホシノ、お前....」

 

言峰が言っていた、ゲマトリアに狙われている少女。

それが今になってやっとホシノの事だったと、判明した。

 

「あ、もちろん断ったよ。

でも万が一って時もあるかなーって。

あれも捨てようと思って持ってきたんだ。

まさかシロコちゃんに先に見られるとは思ってなかったけど。」

 

.......嘘だ。

ホシノは分かっている、このままではアビドスが無くなると。

自分たちの努力が無駄になると。

 

 

「.....ホシノ。借金の件は──────」

 

俺の言葉は電話の着信音にかき消され。

 

「ま、大丈夫だって、おじさんがいい方法考えてくるからさ。

じゃね、衛宮先生。」

 

 

ホシノは教室のドアをくぐる。

(ガラガラガラ)

 

その時に「さよなら」と、まるでもう会えないかのような別れの挨拶を切り出した。

 

「ホシノ!!」

 

扉を開けて、彼女を追う。

見当たらない。

 

「....で、誰だよこんな時に連絡なんて....。」

未だうるさく鳴り続ける端末。

 

『非通知なので分かりませんでした。先生。』

 

と言うアロナと────

 

『早く出た方がいいと思うわよ。シロウ。』

 

イリヤがそう告げる。

 

俺は端末の通話ボタンを押した。

 

「もしもし、衛宮です。

どちら様で.....」

 

苛立ちを、表に出さないように務めて話す。

 

 

『────嗚呼、出てくれないのかと思いました。

 

私は.....そうですね。

私の事は「黒服」とそうお呼びください。』

 

 

 

アリスの士郎に対する呼び方。

  • 「士郎」、「士郎先生」
  • 「シロウ」、「シロウ先生」
  • 「マスター」、「先生」
  • 「衛宮先生」、「先生」
  • 「エミヤ先生」、「先生」
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