衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】   作:神宮寺志狼

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作品なんだからこんなクソ甘ったるい展開があったって許されると思うの。


#16 倒すべきもの、(まもる)べきもの

対策委員会の部室のドアを開ける。

 

 

「.....おかえり、シロウ。」

護衛のワカモと共に対策委員会の部室へと帰還する

 

「おかえりなさい!先生、お待ちしておりました!!」

「おかえり!士郎!」

「衛宮先生.....おかえりなさい。」

 

 

「.....ただいま」

 

皆が笑顔で出迎えてくれた、しかし──────

 

「全くもう!こんな夜遅くにひとりで出歩かないでくださいって当番の時から何度も言ってるじゃないですか!!

 

って、そうかワカモが隣にいたんでしたね。」

 

「.....お待ちしておりました衛宮先生。ご無事で何よりです」

 

そこに居たのは対策委員会の生徒だけではなかった。

 

「早瀬にハスミ!?なんでここに!

それにハルナまで!!」

 

ミレニアムの生徒会のセミナー数人に正義実現委員会の生徒達。

 

そして便利屋68と美食研究会が勢ぞろいしていた。

 

「ここにいる全員、衛宮先生と共にカイザーと戦うべく馳せ参じました。

今は学園の枠組み関係なく一律してシャーレの生徒です。」

 

そうハスミは告げた。

 

 

「....私達はあんた達が置いていった集金記録で目が覚めたのよ。

本当の敵は誰なのかがね。」

アルはそう言った。

 

 

「そっか.....シロコ達があの場にリュックを忘れていったのは無駄じゃなかったんだな....。

それで、ハルナ。どうしてお前達が?」

 

 

「私達はもう一度柴大将のラーメンを味わいたいだけですわ。

そうですね?皆さん。」

 

うん(はい)!」

 

その言葉だけで、もう心強い。

 

 

「よし、ここに居るみんなの気持ちはよくわかった。

 

改めて、俺たちの最終目標を伝える。

 

目標はアビドス砂漠PMC地下基地に拘束されている小鳥遊ホシノの奪還、それに伴う旧カイザーPMC勢力の殲滅だ。」

 

 

「え......」

「シロウ、どういうこと....?カイザーPMCの殲滅って.....」

 

不安そうなアヤネやセリカ、代表してシロコが聞いてくる。

 

 

「ん?言葉その通りの意味だぞ?

 

さっきの会合でカイザープレジデントと会って話してきた。

どうもあっちの社長も好き勝手やるカイザー理事に頭を抱えてたらしいんだ。」

 

 

「「え....!?」」

 

「ちょ、ちょっと待ってください先生!どうやってカイザープレジデントとコネを!?」

 

早瀬が痛いところを着いてくる。

 

「あ、いや、俺じゃなく知り合いにカイザープレジデントと繋がってる奴がいてさ...あ、あははは....」

 

疑いの目を向けられる。

当然だ。

 

なんせそんなコネがあったなら最初っから俺がグルだったか、方法がありながら放置していたことになる。

 

 

「あのさ士郎、あんた騙されてない....?」

 

「え?」

しかし疑いは疑いでも違う方面からのものだった。

 

 

「そうね....衛宮先生って騙されやすそうだし....そういった企業間の駆け引きとか向いて無さそうだしね。」

「でしょ!?士郎って馬鹿だから!」

 

セリカと早瀬が何故か意気投合してる。

 

「待て待て!とにかくだ、俺達の敵は旧カイザー理事の率いるカイザーPMCであって、プレジデントの率いる一個大体は敵じゃないからな!

 

えーっと『えふえふえふ』だっけ?」

 

「それを言うなら敵味方識別装置(IFF)です!」

早瀬にさらに怒られる。

 

「あ、悪い、早瀬。

そのIFFで判別できるだろ。」

 

 

「あの先生、大丈夫なの.....?」

「なんかこう、映像で見た時よりすごい頼りないんだけど」

 

 

そんな声がチラホラと。

 

「.....先生、本当に大丈夫なんだよね?」

 

カヨコにすら心配される始末。

「だ、大丈夫だ。

とにかくホシノを助けに行こう!!!」

 

 

 

その言葉に笑う対策委員会一同。

 

 

「 ....(しま)らないけどシロウらしい。

ん、行こう。」

 

いつも通りのシロコだ。

その目にはやる気が満ち満ちている。

 

「あぁ

ホシノを助けてここに連れ戻す。

いいなアヤネ。」

 

俺はアヤネの目を見て、確信した。

大丈夫だ、もう折れなどしない。

彼女達は本来、俺なんかよりずっと強いんだから。

 

「はい!!そうです!私達の手で連れ戻すんです!!」

 

 

「で、連れ帰ったあとごめんなさいって言わせる、そうだな?セリカ!」

 

「ええ!そうよ!自分で言ったことも守れないなんて委員長失格だもん!!

絶対叱ってやるんだから!!」

 

そうだ、間違ってるなら、叱ってやらないと。

 

 

「おかえりって、言うまえにただいまって言わせるんだ。

だな?ノノミ。」

 

「はい!優しく、そしてきつく抱き締めてあげましょう!!」

 

 

 

「....え?」

なんだ?雲行きが怪しくなってきた。

 

「 ....え、え!?私やだ!そんな恥ずかしいこと!!」

 

「えー、皆さんしないんですか?」

「.....私は....えーっと....」

 

セリカとシロコは進行形で困り果てている。

しかし、

 

「わ、私はします!!

皆さんがしなくても、多分ホシノ先輩を助け出した時にはみんな涙でぐしゃぐしゃですから!!

多分嬉しくて抱きついてると思います!!」

 

 

と、アヤネが。

 

それで想像する。俺たちの勝利の光景を。

 

再び5人が揃い、互いを慰め合い、励ましあい、立ち上がるその時を。

 

 

「......そうだな。

俺たちは必ず、皆でここに戻ってくるんだ。」

 

切り替える。

 

「戦力を確認する。

 

アビドス対策委員会、4名。

便利屋68、4名。

美食研究会、4名。

セミナー、一個小隊。

正義実現委員会、一個中隊。

カイザープレジデント率いる()カイザーPMC部隊、一個大隊。

 

 

敵、旧カイザーPMCは一個旅団並の人員だ。」

 

 

 

「え......士郎、敵一個旅団も居るの!?」

「......一個旅団ととなれば6000人にも及びますよ!?」

 

ここに来てやっと敵の正体と規模が判明する。

 

しかし、こちらにも切り札がある。

それも3枚。

 

「衛宮先生、あてにできる戦力に心当たりはありますか?」

 

ハスミに聞かれ俺はすぐさま答え─────答えられない。

何故ならそれは─────

 

 

「あ!!風紀委員会なんてどうでしょうか!

この前の戦闘でこちらに借りが─────」

 

 

あ、まてアヤネ。ハスミの目の前でそれは──────。

 

「ゲヘナの風紀委員会....ですって?」

「待て!待つんだ!ハスミ!堪えろ!!堪えるんだ!!!」

 

俺の足は風のように走り出しハスミに駆け寄った。

慌てて羽交い締めにし、口元を覆う。

 

5分くらいしてやっとのこと落ち着いたハスミ。

 

「.....なるべくハスミの部隊とは別の場所に配置するようにするからさ。

今呼べる一番の戦力ともなると風紀委員会しか居ないんだ。」

 

「それともなんですの?

あなたが今からトリニティに戻り、正義実現委員会の本体を連れてこれるのなら分かりますが.....?出来ないのでしょう?」

 

そして火に油を注ぐハルナ。

やめろ、中華料理じゃないんだぞ。

 

「.....黙って聞いていれば───────!」

 

 

ちょっとした喧嘩が巻き起こる。

俺はその仲裁を生徒たちに任せ、端末で連絡を取ろうとした。

しかし。

 

「そういえば、マコトに許可取らないとまたいじけるなあの子は。」

 

マコトは生徒会を学校の窓口だといった。

その生徒会長としての意思を尊重し、マコトに電話をした。

 

『おぉ!衛宮先生ではないか!』

 

「マコト、首は大丈夫なのか?頚椎損傷したって、天雨から聞いたんだけど。」

 

『チッあの青ダヌキめ、余計な事を。

私はなんともない。

して、この万魔殿(パンデモニウム ソサエティ)のトップであるマコト様に何の用だ?』

 

俺は単刀直入に今の状況を説明した。

 

『な、何!?あのカイザーPMCと学校の戦争だと!!?

しかもカイザーグループ新体制と協力!?』

 

「あぁ、ってな訳でぶっちゃけて言うと戦力が欲しい。

ヒナと3人で──────」

 

その回線に割り込んで来たものが一人。

 

『......なんだかとてつもなく大変なことになったわね。』

 

その声の持ち主は、名前を聞かずともわかる。

 

「『ヒナ!! 』」

 

『マコト、この前言ったけれど、衛宮先生と小鳥遊ホシノには借りがあるから私たち風紀委員会は全面的にシャーレに協力する。

でもいいのかしら?このままだと協力要請に応じなかった不義者というレッテルを貼られてしまうけど?』

 

『な、何?!』

 

『だって、ミレニアムからもトリニティからも勢力が集まってきているのでしょう?

だと言うのにこちらからは風紀委員会だけ。

万魔殿(パンデモニウム ソサエティ)は何も動かなかった。ということになるけれど?』

 

『ぐぬぬぬぬぬっ.....』

 

俺はヒナの言葉を思い出した。

 

「別に悔しくないって言ったら嘘になるけど、隙を見て倍で返してるから気にしないで。」

 

そうか、ヒナはヒナで上手いことマコトの性格を利用しているわけか。

 

そんなことを呟いていると電話相手がマコトからイブキに変わる。

 

『こんにちは!シロウ先生!大丈夫だった?あの後イブキ先生のことが心配でよく眠れなかったの。』

 

「あぁ、イブキ。俺は元気だよ。

攫われたのも大したこと無かった。俺が珍しかったんだってさ。

連絡できなくて悪かったな。」

 

『うわー!!シロウ先生!人気者だー!!』

 

喜んでいるあの顔が目に浮かぶ。

電話先なのが悔しい、撫でてやりたくなる。

 

しかし今はそれどころでは無い。

 

「イブキ、悪いんだけど俺はこれからヒナ達と悪い人たちを倒しに行くんだ、だからマコトとも大事な話をしてるからマコトに変わってくれ。」

 

 

『え、衛宮先生、悪い人懲らしめに行くの?』

 

「あぁ、そうだよ。とんでもない悪い人達だ。」

 

そう言うとイブキの声が遠ざかる。

 

ごちょごちょとした話が終わる。

すると再び電話相手がマコトに切り替わった。

 

 

『私はまだ入院中だ。

 

しかし、万魔殿(パンデモニウム ソサエティ)の戦力をそちらに向かわせることは出来る。

 

それでいいか、衛宮先生。』

 

マコトの態度が一変した。

多分その原因は黄色い笑顔の可愛い悪魔っ子だろう。

 

 

「あぁ、ありがとうマコト、。それで十分だ。」

俺はマコトとの通信を切った。

残るは─────

 

「ヒナ。」

 

椅子をガタッと震わせ姿勢を正したと思われるヒナ。

 

「ありがとう。ヒナがいてくれて良かった。

もしかしてこっちの動向をずっと見張っててくれたのか?」

 

『.....べ、別に。でも先生。』

 

「??」

 

ヒナは溜める。

言いにくいのか、恥ずかしいのか。

 

 

『よかったらまた、ゲヘナに顔を出してくれると、嬉しい。』

 

 

「────そっか、約束する。今度こそヒナの仕事を手伝いに行くよ。」

『.....楽しみに待ってる。』

 

 

そしてその通信の直後。

またも端末が鳴る。

 

『もしもし!!衛宮先生ですか!? ティーパーティーのナギサ様が衛宮先生と話したいと!』

 

「ティーパーティーの?」

 

 

そしてキレていたハスミが俺に向き直った。

 

「ナギサ様はティーパーティーのホスト、トリニティにおける()()()()()です。」

 

その言い方に少し引っかかりを覚えるものの、俺はその相手と話し始めた。

 

 

『あなたが衛宮先生ですね、お話はヒフミさんから聞きました。

私は桐藤ナギサと申します。

 

我が学園の生徒を不良生徒から助けていただいてありがとうございました。

 

つきまして、ヒフミさんから頂いたデータを拝見したところカイザーPMCとカイザーローンは我が校の生徒たちに悪影響を与えているご様子で。

そちらに正義実現委員会のハスミさんへ向かっていただくことにしました。

 

後日榴弾砲の射撃訓練(ピクニック)としてこちらのティーパーティーの人員を数名預けたいと思うのですが如何でしょう?』

 

「へ?」

 

榴弾砲の射撃訓練をピクニック扱い....!?

 

「いや、そのありがたいんだけどさ、俺返せるものなんて何も無いぞ?」

 

『あら、聞いた通り純粋なお方のようで。

ご心配なさらず、これはあなたに課された試練とお思い下さい。

 

私の期待に答えてくれれば御の字。

そうでなければ─────』

 

敵に回る、とこの生徒はそう言っている。

 

「......わかったその生徒は何時こっちに?」

 

『アビドスへの出発準備はいつでも、明日の朝到着でよろしいでしょうか?』

 

「 .....わかった。それでよろしく頼む。」

 

『では、またいずれお会いしましょう。』

 

これまでと無い総勢力。

なされるがまま流れに乗って。

でもそれでいいんだと思う。

 

 

 

結局最後に決めるのは俺自身なのだから。

 

 

『おーーい!!!衛宮先生!!』

 

その声にグラウンドを見ればそこには柴大将が屋台を引いてやって来ていた。

 

全員してグラウンドに集まる。

 

「柴大将!!」

 

最初に駆け寄るは対策委員会。

 

「お前さんたち無事か、よかった。」

 

しかも、柴さんだけでは無い。

街の人たちがみんなやって来ていた。

 

「 .....どうしたの皆?避難してきたの?」

 

とシロコが聞くと街の住民達はいった。

 

 

「いや!陣中見舞いだよ!あんた達アビドスを取り返そうとしてくれてんだろ?」

 

「あんな横暴な奴らが街の主になるなんてゴメンだね!」

「金も無いし....わたしらには何も出来ないけどせめて料理を振る舞うことくらい。」

 

と柴大将だけではない、色々な屋台が総揃いしていた。

 

 

「衛宮先生....!!」

 

ノノミが目を輝かせこちらを見てくる。

 

「だから言ったろ?無駄なんかじゃないって。間違いなんかじゃないって。

皆にはその頑張りは届いていたんだ。」

 

ただ動けなかっただけだ。敵は巨大すぎる。

普通ならそう。

 

しかし、少女5人が立ち上がった。

だからこそその背中を見て街の住民達もかつての願いを取り戻したんだ。

 

ここで暮らしたいと。ここに居たいと。

 

「よし!今日は皆でパーティーだ!」

 

「はいよ!腕によりをかけて作ってやるぜ!!!」

 

 

その夜はキャンプファイヤーの如く校庭を囲んで何が起ころうと、この光景はもう二度と見られない最後の晩餐を過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

「起きてください、士郎さん。お時間です。」

 

「あぁ、いま行くよ。」

 

 

校門前にやってくればみんなが勢ぞろいしている。

 

「ん、準備完了。」

「補給もお菓子もたっぷりです!!」

「私も大丈夫!!睡眠もしっかり取ったし、お腹もいっぱい!どっからでもかかってきなさいっての!」

「強奪したヘリの準備も出来ました!」

 

アビドス対策委員会。

 

「補給やバックアップは私らに任せてな!」

「アンさんたちは前線で思いっきり暴れてーな!!」

 

「士郎、私達の運命あんたに全部預けるから。」

 

「なに言ってるんですか?士郎さんと私が前線に出るのですから、勝利は確実でしょうに。」

 

藤河組とワカモ。

 

 

「前払いで昨日たくさん食べさせてもらったからちゃんと働くわ!!」

「あんな美味しいラーメン、久しぶりに食べたよ!!」

 

「やはり誰かと食べる料理が一番 美味しい。ソウデスネ?、ハルナさん。」

 

「ええ、やはり確信しましたわ。

あの雰囲気、一流料理屋とはまた違う美味しさがありましたから。

ですが次頂く柴大将のラーメンはもっと美味しいでしょう。何せ私達は勝利して帰るのですから。」

 

美食研究会。

 

「先生が言ってた情報によると囚われてるアビドス生徒会長はカイザーPMCの第51地区の中央、地下数mに囚われているみたいね。」

 

ミレニアムサイエンススクールセミナー。

 

「各自周囲の警戒は怠らないよう。よろしくお願いします。」

 

トリニティ 正義実現委員会。

 

「孤高なアウトローを目指していたけど、たまには敵同士手を取り合って強大な敵に挑む......これもクールよねぇ....」

 

「いやいや、アルちゃん。これクールっていうかホットだよ?」

 

「.....衛宮先生とアル様の障害は全部私が....」

 

「はぁ......まぁいいっか。

 

先生、便利屋68、準備完了だよ。いつでも。」

 

便利屋68。

 

 

そして......。

 

「はぁはぁ....すみませーーーん!!遅くなりました!!」

 

トリニティ ティーパーティー後方支援分隊。

 

 

 

そして、俺の前に立った柴さんたちみんなの思い。

 

「俺は引退しようと思ってたんだけどな、まだ食べたいって言ってくれるこれだけの子達がいる。

 

そうだったな.....ダメになったってもう一度やり直せばいい。

衛宮先生。あんたには1番大事なことを教わったよ。

お客さんがいる限り店は消えない。

同じように住民がいる限りアビドスだって消えやしないんだ。

 

だからよ。」

 

柴大将は対策委員会を見つめて言った。

 

「....行ってこい対策委員会、皆。帰ったらまたラーメンをご馳走してやる。」

 

「「....はい!!」」

 

 

 

 

「良し、全員揃ったな!

ホシノ救出作戦、もといカイザーPMC殲滅作戦!開始だ!」

 

アリスの士郎に対する呼び方。

  • 「士郎」、「士郎先生」
  • 「シロウ」、「シロウ先生」
  • 「マスター」、「先生」
  • 「衛宮先生」、「先生」
  • 「エミヤ先生」、「先生」
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