衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】 作:神宮寺志狼
アコの絆ストーリー的なもの混じってね?
いやヒナです。
ん?マコト?知らんな。本編ゲームで万魔殿キャライブキしかいないし。私のところ。
なんならアコいないし。
悲しくなってきた。
GEHENNA Hina's Interlude「左腕にかけた責任」
時間の余裕が出来た俺はゲヘナを尋ねることにした。
マコトに相談したら───────
「あ?今は忙しい、その程度いちいち連絡を入れるな。」とかこの前までとは真逆のスタンスをとってきやがった。
なんなら「むしろなぜ見舞いに来ないのだ!」と怒られる。
なのでにミカンをたらふく持っていくことにした。
藤河達が知り合いから貰った多すぎるそれの在庫処分も兼ねてであるからして扱いがぞんざいであることを心の中で謝った。
(ガラガラガラ)
「よっ、マコト。
随分と元気そうだな。」
「.....これの何処を見て元気そうと言ったのだ!?」
頚椎損傷と言うのだから寝たきりを覚悟していたのだが、そこは神秘を纏う彼女達。
大した後遺症も残らないらしく、あと1週間安静にしていれば完治するらしい。
.....やっぱりキヴォトスの生徒達の耐久力は普通じゃない。
とはいえ、そんなこと言い始めたら、俺なんてバーサーカーの一撃で上半身と下半身がわかたれた事があるので説得力のない。
「こんにちは!!シロウ先生!!」
そんなくだらないことを考えていたら、隣から黄色い小悪魔登場!
ってな、感じでイブキがやってくる。
「イブキ、こんちには。でも残念だな。
俺、この後風紀委員会にも顔を出さなきゃいけ────マコト?」
風紀委員会、その名前を出しただけなのに、マコトの表情が様変わりした。
「貴様....イブキより風紀委員会を取るのか?」
「いやいや、仕事だし、あの戦いでお世話になった人達全員にこうしてるから。」
「えー、シロウ先生、もう行っちゃうの?」
とこちらを睨んでいるマコトとイブキ。
「悪いな。」
「うーん...お仕事なら仕方ないよね!
でも今度イブキにもお勉強教えてね!」
「....あ、あぁ....でも、イブキは俺より頭いいだろ?」
正直俺より頭のいいイブキに教えることなんてあるだろうか....?
「ううん、イブキ、先生のお仕事をお勉強したいの!」
「....そっか、イブキは偉いな、ちゃんと将来の事も考えてるんだな。」
イブキの頭の上に手を置いてやる。
「先生と一緒に未来の自分探ししたい!」
言われたことが言われた事なので戸惑ったものの、しっかりとそれに了解の返事をして、その場を後にした。
そして、時刻は20:00過ぎ。
「風紀委員長はあなたにはお会いになりません。」
俺は委員会の部室の前で天雨に邪魔されていた。
「.....は?」
全身全霊で天雨に非難の目を向ける。
「あなたのような何処ぞの馬の骨と委員長を合わせることなどできませんから。」
困った。
嫌がらせに対して嫌がらせをした結果、関係がこじれている。
「......あのなぁ天雨。
俺は今日アポをとった上で今此処に来てるんだぞ?
だって言うのに俺の邪魔をするってなるとまたヒナに怒られるぞ?」
「なっ....!?まさかヒナ委員長と直接....。
やりますね衛宮先生。
姑息な手段を使って私を回避しましたか。」
......別に避けてるつもりなんてないんだが。
むしろこのくだらないいざこざはさっさと終わらせるに限る。
「なぁ天雨。
俺は何もヒナの敵なんかじゃない。
むしろあいつの力になってやりたいと思ってる。」
「では、結構です。
ヒナ委員長のお傍には私がついていますから。」
と拒絶される。
だが、良かった。
これで天雨の事はおおよそ分かった。
単純に俺の邪魔をしたり、アビドスにちょっかいかけたのは、ヒナの負担を減らそうと努力した結果であり、天雨は色々な方面に敵を作りやすいヒナの唯一の信頼のおける側近、行政官なのだ。
「あぁ、お前みたいな優秀な奴がヒナの傍に着いていてくれるのは俺も凄い安心できる。
そのままアイツを支えてやってくれ。」
「───────────────。」
瞬間、あいつが石みたいに固まった。
「.....?おーい、天雨?」
目の前で手を振ってみると、手に持っていたボードで叩かれた。
「何を言っているんですか!?
あなたは、どうあれ私に殺されかけているんですよ!?
それを「優秀だから~」の一言で済ませるなんてどうかしてます!」
....?
なんだろう。天雨は何を言いたいんだ?
確かに俺は死にかけたけど、自殺衝動みたいなもんだったし。
藤河達の到着が遅れていたらどうなってたか分からないけど。
俺はこうして生きている。
「いや、だってお前はお前で処罰を受けたんだろ?
なら俺がそれに対してとやかく言うのはそれこそどうかしてるって。
それに殺すつもりなんて無かったんだろ?
なんなら俺が無茶しようとした時に、風穴開けてでも俺の行動を止めようとしてくれたじゃないか。」
「────────────────────は?
あれはあなたに死なれるとヒナ委員長が悲しむと思って────」
「それでも事実は変わらないだろ?
むしろあの時売り言葉に買い言葉で挑発まがいなことをした俺の方こそ馬鹿だった。
反省してる。」
この通り、と頭を下げる。
「.....うわ.....大人のプライドとか無いんですか?」
キッパリと答える。
「そんなもん無い。
ただでさえ皆には無様な格好ばかり見せてきたんだ。
今更体裁だけ整えたって何にもならない。」
あいつは明らかに困惑した状態でため息をついた。
「あなた、変わってるって言われません?」
「それもよく言われる。」
そうですか、と呟いたあいつは、少し考えた後に俺に告げた。
「........今日は通します。
ですが委員長に連絡するのはやめてください。」
やはり、拒否される──────のかと思えばそうでは無いらしい。
「次からは私を通すようお願いします。
何せ私は────」
「ヒナの優秀な側近、懐刀だもんな。
分かった、状況によりけりだけど心に留めておくよ。
これからよろしくな天雨。」
右手を差し出したがあいつは握らずに
「ヒナ委員長は仕事に追われているので用件はお早く。」
と、拒否された。が、これが天雨なりの俺への接し方なのだろう。
あいつは風紀委員会の部屋の扉を開いてくれた。
「いらっしゃい衛宮先生。遅かったわね。」
「....ちょっと天雨と話をしてた。
悪い、これは菓子折だ。みんなで食べてくれ。」
とD.Uで買った土産を渡した。
目に映るヒナはやる気を出している。
ただ目下にはクマが出来ておりやはり山積みの書類と格闘している。
まずい、このままではそもそもの本題を果たせない。
「ヒナ、今日こそは書類の片付け、手伝うぞ。」
「え....でもそれは──────────」
強引にヒナの机の前に椅子を持ってきて座った。
「これは私の仕事で、先生がやるのは─────」
「俺の受け持ってる生徒の手伝いをどうして俺がしちゃいけないんだ?」
「 ........衛宮先生って思っていたより強情なのね。
そういえば、あの時私をシャーレに連れていった時もそうだった。」
「分かったなら結構結構。
仕事回してくれないと勝手にパクってやっちゃうからな。」
そう言うとヒナはその書類の山の半分を俺にスッと差し出した。
「.....衛宮先生がそれに私の名前でサインするのは非常にまずい.....だからカテゴリ別に分けて欲しい。」
「分かった。その程度なら俺でもできる。」
それから約1時間程。
俺が捌いてヒナが処理し、仕事はひと段落ついた。
そう、終わってはいない。
しかしもう夜の10時を過ぎている。
「ヒナ。」
「何かしら、先生。」
「実を言うと食堂を借りる約束をしたんだ。
もし晩御飯が済んでないなら一緒にどうだ?」
俺の言葉に目を輝かせた。
「まだだけど....
.....え?衛宮先生って、料理できるの?」
「あぁ、一般家庭料理くらいだけどさ。」
俺の提案に少し困った風な表示をする。
「ん?どうしたんだ。」
「 .....仕事が片付いてない上に、私だけって言うのは.....それに。」
ヒナの視線の先を追うと、凄い冷気をまといながら虚ろな瞳で睨んでいる天雨の姿。
「ん?なんだ?天雨もまだなのか?
.....食材は2人分。
よし。」
俺はヒナと扉の前でスケジュール整理を行っていた天雨の手を取った。
「衛宮先生?何故私を。」
「2人ともこんな時間までお疲れ様、って労いたいだけだ。
それにもうこの時間は晩飯じゃなくて夜食になっちまう。
となると腹が減って衝動的に適当に外食したり変なもん頼んだりすると炭水化物や脂肪ばっかりで栄養が偏りやすくなる。」
「.......。」
「....委員長は少しくらいその....」
天雨の言いたいことは分かる。
むしろヒナは食べていない、まである。
それはやせ細っている、という隠語ではない。
単純に丁寧な食事、では足りないのだ。
「2人とも風紀委員会のトップなんだからもっと贅沢しても良い筈なんだ。
だから今日は俺がご馳走する。」
俺の言葉に2人は反論することなく着いてきた。
さて、こんな時間なので肉料理を振る舞うのは戴けない。
そして冷たい飯等論外である。
油をよく切ったカキフライやエビフライにワカメ、モズクなどの海鮮スープに豆腐を投入。
「え、衛宮先生。
どうしてそれほど海鮮類にこだわるのですか?」
天雨が目を見開きながら困惑した表情で聞いてくる。
「どうして ....って言われても。
海の幸ってのは読んで字のごとくバカにできないんだぞ?
塩分はしっかり取れる上に不足しがちな亜鉛とか鉄分を吸収できるし、疲労とクマ取りにはうってつけなんだ。
そして何しろ太りにくい。
安易に肉を食べるより魚の揚げ物の方が脂肪少ないんだぞ?」
2人とも口をあんぐり開けている。
「衛宮先生......良かったら今度ここの給食部を助けてあげて欲しい。」
学内の手助けも風紀委員会の仕事なのだろうか....。
ヒナがそんな注文をしてきたので俺は二つ返事で了承した。
「俺なんかで頼りになれば何時でも。
っと、お待ちどうさま。」
「「頂きます」.......」
最初はおずおずと口に米とフライを含んでいたが噛んでいる内に徐々に箸の動きが格段に早くなった。
あぁ、ヒナが凄い美味そうに食事を食べている。むしろこれが俺の栄養源と言っても過言では無い。
一方、天雨は凄い苦い顔で飯を食っていた。
「悪い、口に合わなかったか?」
「 ......大丈夫?アコ。
ダメなら私が代わりに────」
「い、いえ!
ですがこう.....何か決定的なものに敗北したような気がして....」
なんて目を点にしていた。
こうして2人は食事を食べ終わり満足して、自分の部屋へと帰宅して行った。
天雨が帰ったあと、ヒナの部屋の前で呼び止められた。
「.....先生。
衛宮先生だと長いから良かったら「シロウ」って呼ばせてもらっても.....いい、かしら...」
「....いいぞ?別に呼びやすい方で呼んでくれて。
でも長いなら先生で良かったんじゃ─────」
実際呼び止めた時に俺のことをそう呼んだじゃないか。
「........!」
あ、みたいな感じで顔を赤らめ「やっぱり今のなし」なんて言う。
「でも信頼のおけるパートナーとかのことを名前で呼ぶのは基本だろうしな。
ヒナに敬称なしで呼ばれるのは違和感あるけど頑張って慣れるよ。」
「 .....うん。」
「じゃあおやすみ、ヒナ。ちゃんとベッドで寝るんだぞ。」
俺がさよならと言うと、俺のスーツの袖をひっぱってくる。
「......シロウ....私が寝る前まで.....ううん、なんでもない。」
珍しい。
思ったよりこの子は甘え上手だったらしい。
「何よ....そんな目で見ないで。
あなたが「疲れた時は休んでいいし甘えてもいい」って言ったんじゃ無い。」
と。
訂正、甘え上手ではなく勇気をだして、ヒナは頼んできている。
「....分かった、寝るまでヒナのベッドの横で見守ってやるから。」
「.....寝巻きに着替えるから待ってて。」
俺が了承すると、ヒナは着替えると言った。
風呂は疲労でそれどころでは無いのだろう。
バタン、と布団に倒れ込むヒナ。
「......ダメ、おやすみなさい、シロウ....」
「あぁ、おやすみ。ヒナ。」
そうして俺はヒナが目を瞑り、就寝を確認したところで帰っ──────
「終電、終わってやがる.....。」
と、駅のホームで漠然と絶望し。
徒歩で朝まで掛けてシャーレに帰ったのだった。
アリスの士郎に対する呼び方。
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「士郎」、「士郎先生」
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「シロウ」、「シロウ先生」
-
「マスター」、「先生」
-
「衛宮先生」、「先生」
-
「エミヤ先生」、「先生」