衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】   作:神宮寺志狼

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今回は士郎がプレイするとあるゲームは洋風レトロゲーということにしておきます。

私はゲーム配信をしていた都合上、たまに丸ボタンとバツボタンを稀に押し間違えます。
何故かって?

海外ゲームはバツボタンが決定ボタンなんですよ。

これを利用して士郎にはとあるゲームの最初を突破してもらいます。


#1 冒険の始まり

「─────勇者、いえ魔法使いよ。」

 

 

なんだろう、この声は。

 

 

「あなたのことをずっと、待っていました。」

 

 

俺を待っていた....?

 

「私の名前は女神 「モモリア」」

 

モモリア....?一切聞いたことがないな.....

そんな女神、こっちの神話にいただろうか....。

 

 

「私達の世界「ミレニアムランド」は今、過去に類を見ない危機的状況に瀕しています。

 

この危機を乗り越え、生徒会の廃部命令からゲーム開発部を.....いえミレニアムランドを救えるのはあなただけです。」

 

 

 

ミレニアム....ランドってなんだ?

 

 

 

 

「過酷な道程になるかもしれません。それでもどうか、お願い致します。

 

これから始まる、あなたの冒険の、その先に、どんな試練や逆境が待ち受けているのか、今はまだ分かりません。

 

ですが、どうか最後まで、選択を間違えないでください。

あなたが救う生徒が、誰なのかを..

 

魔法使い様の傍には、旅路を共にする少女たちも、勇者様も居るはずですから。」

 

 

『選択』

それを聞いて一瞬頭が痛くなった。

 

何が間違いで、何が正しいのか、今の俺に、選べるのだろうか。

 

 

「そう、先生の救うべき生徒達......それは」

 

「お姉ちゃん、その辺にしときなよ。先生目覚めた時に困惑するよ?」

 

 

 

 

「お姉ちゃん....?」

 

瞳を開けると知らない天井がお出迎えする。

 

「ここは....どこだ?」

 

「あっ!目覚めた!?」

 

明るい少女の声に体を起こす。

 

「気がついたか?君は全くもって運がいいな!」

 

まるで無理やり言峰の話し方をしているような。黒と赤のネコミミ.....いや訂正、ネコミミの飾りが着いたヘッドホンを被っている少女。

 

「急に変な喋り方しないでよ、先生が戸惑ってるでしょ?」

 

隣に立つのは瓜二つの少女、そちらはヘッドホンのカラーリングは緑色である。

 

「へへっ、嬉しくってつい......先生、気は大丈夫?」

 

 

「なんだよ、気は確かか、って。

俺暴れでもしたのか?」

 

まさか、とうとう黒服の言う「先生」とやらに侵食されたのか....?

 

「いえ....でも本当に良かったです。

まさかお姉ちゃんが投げたプライステーションのコントローラーが、偶然とはいえ窓の外に飛んで行って、先生の頭に直撃した時は...........このまま殺人事件の容疑者になってしまうのかと思いました。

 

一向に謝らないこのバカ姉の代わりに謝ります。

 

ごめんなさい、衛宮先生。」

 

プライステーション?ってなんだ?

 

『先生、プライステーションというのはゲーム機、要はゲーム筐体の名前のようです。』

 

「そっか、ってことはゲームをする為のコントローラーが俺の頭に......。」

 

俺は窓から外を見る。

 

間違いない。1階ではない。

 

「......_ふーんだ!

そういうミドリだって、私が「え!?だれかに当たっちゃった!?」って叫んだ時の第一声「コントローラーは無事!?」だったじゃん!」

 

「「痛っ!!」」

俺は言い争う2人組に軽いゲンコツをお見舞いする、がむしろ俺の拳の方が痛かった。

 

.......いや体はなんともない。

流石に説教程度で俺の体がどうなる、ってことも無いみたいだ。

 

「物はちゃんと大事に扱わないとダメじゃないか。」

 

2人は涙目になりしっかりと

「「ご、ごめんなさい。」」なんて謝った。

 

「なんでコントローラーを投げたりするんだよ。」

 

「だ、だって、今プレイした『宿命:黄金の夜明け』の選択肢でありえないBAD END踏んだんだもん!何あれ!信じられない!」

 

「 ......私たちがそれを言うの...?お姉ちゃん。」

 

どうやらこの2人は双子のようだ。

 

「....もしかして、お前達が.....」

 

姿勢を正した2人は散らかった部室に向かって手を広げた。

 

 

「改めて、ようこそ!「ミレニアムが一を誇る」ゲーム開発部へ!!」

 

 

「って何よ、お姉ちゃん、「ミレニアムが一を誇る」って。私たちそんな」

 

姉、だと思われる生徒が、自称妹の口を塞いだ。

 

 

「わ、私はゲーム開発部、シナリオライターの才羽モモイ!

こっちは妹の────」

 

姉に拘束されてた妹がそれを振り払い、行儀よく挨拶した。

 

「私はミドリ、そこにいるお姉ちゃんの妹です。

ゲーム開発部ではイラストレーター担当で、ゲームのビジュアル全般。担当してます。」

 

妹なら苗字は2人とも才羽か。

 

「じゃあモモイとミドリ、って呼んでいいか?」

 

「うん!」

「はい。」

 

強気な姉と気弱な妹。

まるで遠坂と桜みたいだな。

 

「後は今此処にいないけど、企画周りを担当してる私たちの部長であるユズを含めて......」

 

「「私たちがミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部!」」

 

 

「そっか。」

 

正直俺としては()()()()()()()()()()()()()()を作っているのがこの部活であるのならばどうして廃部に追い込まれているのかがわからない。

 

確かに学生による部活の指定人数は最低4人だった筈だ。

人数が足りていないのか?

 

 

「....早速で悪いんだけど、お前たちの作ったゲームってのをやってみたいんだが。」

 

「「え!!?」」

 

 

明るかった2人の顔に影が差し始めた。

 

「ええっと ....それはその....」

 

「....?この周辺に散らばってる奴のいくつかはお前たちの作ったゲームなんだろ?どれかひとつやらせて貰えないか?」

 

どうしてなのか2人とも冷や汗はかいてるし、何故かロッカーがガタガタ揺れ始める。

 

 

 

 

 

「どうして、2人が焦っているのか。

それは私から直接ご説明しましょうか?衛宮先生。」

 

 

ゲーム開発部の部室にとある聞きなれた生徒の声が響く。

 

「こ、この声は!!」

 

振り向くと、そこには1人の生徒が立っていた。

 

「お久しぶりです。衛宮先生。」

 

これまで幾度となく世話になり───いや、現在進行形で世話を焼いてもらっている早瀬ユウカ。

 

「おっす、早───」

「出たな!生徒会四天王(セミナー オブ フォース)の1人!!

「冷酷な算術使い」の異名を持つ生徒会の会計、ユウカ!」

 

 

 

 

[ステータスが更新されました。]

 

ユウカ「セミナー」

ユウカ「冷酷な算術使い」

 

「ん?セミナーオブふぉ.....?」

 

なんか聞きなれない単語が出てきたけど。

 

「早────」

 

「ちょ、先生の前で変な事言うの止めなさい!

人に勝手に変な異名を付けるのやめなさいって前にも言ったわよね!」

 

俺がその呼称について聞こうとすれば、早瀬は顔を真っ赤にしてモモイに対して怒鳴った。

 

 

「はぁ.....こんな形で先生をミレニアムにお迎えすることになるなんて。

 

先生、その子達はゲーム開発部。

部活を名乗っていますがその実態は「ただゲームをするだけの、ただでさえ多い部活の数の中、他部活の予算を食い散らかしている廃部が決定した部活」です。

 

まさか、廃部を食い止めるためにわざわざ「シャーレ」まで巻き込むだなんて...

 

でも先生を味方につけようと無駄よ。

いくら先生でも連邦生徒会長だろうと、他校の部活の運営事情に口を挟むことは出来ないわ。

諦めなさい。

ゲーム開発部の廃部はもうミレニアムで決定した事なの。」

 

早瀬が責め立てるように罪状と現状を並べていく。

 

「そ、そんな事ないもん!言ってたじゃんユウカ!

部員が規定人数に達するか、ミレニアムの部活として、見合う成果を出せれば....」

 

「そうね....それが出来ればよし、もし出来なければ廃部、部費は勿論の事部室も没収する。

そう、私は言ったわよね?

 

で?残りの部員と、成果は?

あなた達は部員数も足りない上に、部活としての成果を証明出来るような物も無いまま、何ヶ月もたってるんだから。」

 

早瀬は腕を組んで宣言する。

 

「廃部になっても、何も意見できない筈だけど?」

 

「異議あり!すごくあり!!私たちだって全力で部活動してるもん!!

何もしてないでおやつバリバリしてる訳じゃないし!

上場閣僚...だっけ、あれがあってもいいと思う!!」

 

 

「いや、あのな?モモイ、それを言うなら情状酌量だ。」

 

「そう!それ!

だからユウカ!お願い!」

 

 

いや言うに事欠いてあれだけ悪口言っておいてお願いするのは肝が座りすぎている。

 

「.....全力で部活動してる、ですって?

 

校内に変な建物を建てたと思ったらまるでカジノみたいに装飾してギャンブル大会を始めるし。

レトロゲームの題材になりそうなものを探す、とか言って古代史研究会を襲撃するし....

おかしいのよ!

「全力」かもしれないけど、部活動としては間違ってるわよ!!

それにこれだけ各所に迷惑をかけておいて、よく毎度のように部費なんか請求できるわね!?

 

真っ当な言い訳くらいしてみたらどうなの!?え!?

 

始めてみるくらいの早瀬の圧。

モモイは見る見る縮こまっていく。

 

「と、時には結果よりも、心意気を評価してあげることも必要.....」

 

「負け犬の言い訳なんて聞きたくない。」

 

 

いや、聞きたいのか聞きたくないのか、どっちなんだよ、早瀬。

 

 

「無意味な言い訳なんて聞きたくないの。

ミレニアムでは「結果」が全て。」

 

「け、結果ならあるもん!

私たちだってゲームを開発してるんだから。」

 

 

少し意地の悪い早瀬を正面に状況の分からないままモモイに加勢する。

 

「そうだぞ、早瀬、この散らかってるゲームカセットとか棚に置いてあるシリーズだって、こいつらが作ったんだろ!?」

 

「「「え!?」」」

 

 

なんだろう、なにか悪いことを言ったのか?

 

 

「衛宮先生は、何も知らないみたいですね。

 

私の知っている限り、この子達が作ったゲームはただ一つ。

 

「テイルズ ・サガ・クロニクル」。

 

「今年のクソゲーランキング1位」を受賞した、ゲームとも言えないガラクタです。」

 

 

早瀬が言葉を紡ぐ度、ロッカーがガタガタとモモイやミドリと同じように揺れている。

 

「クソゲー、ってのは、アレか?「つまらない」とかそんな奴か?早瀬はプレイしたのか....?」

 

今度は早瀬が汗だくになる。

 

「え、わ。私はネットの書き込みを見ただけでプレイは....」

 

 

よし、気合いが入った。

 

「なぁ、モモイ、ミドリ。

そのテイルズ・サガ・クロニクルって奴をやらせてくれ。

 

まともにやった事ない奴が文句や評価つけてるんならそんなもの「結果」ですらない。」

 

 

「あ、ちょっと衛宮先生....その、なんていうかやるだけ時間の無駄に....」

 

なんてアワアワしている早瀬の顔を見て、俺の意思は決定した。

 

 

「断る。俺はやるぞ!」

 

モモイとミドリが涙目になっている。

あぁ、そんなに自分たちの汚名が返上されるのが嬉しいのか。

 

「モモイ、準備してくれ。」

 

「う、うん.....」

 

 

帰ろうとする早瀬の腕を掴んだ。

 

「な、何するんですか!衛宮先生!!」

 

「悪いけど付き合ってもらうぞ。

お前が言い始めたんだからな。成果を見せろって。

ならプレイしなくてもプレイ画面を見るくらい、お前の責任だろ。」

 

 

「え、えぇぇ .......。」

 

 

 

 

 

 

そうして、プレイ画面。

 

最初の段階でBボタンを押してくれ、と書いてある。

 

 

手元のコントローラーを見たが、アルファベットなんて書いてない。

 

「あ。先生!それは .....」

「.....多分Bってのは×ボタンの事だな。」

 

(シャキィン!!)

「えっ!!」

 

ゲームのログには「武器を装備しました」と出てきた。

 

「ん?なんか間違えたのか、俺。」

 

「うそ.....信じられない。」

「え、衛宮先生、って初プレイなんだよね!?

そっか、先生のコントローラー、NB-OXのコントローラーじゃなくて、プライステーションのコントローラーだ!!

だから押し間違えたんだね!!

 

何!?先生ゲームしたことないの?」

 

なんて疑われる。

だから俺は言ってやった。

 

 

「あぁ、このゲームどころか、俺はこれまでひとつすらゲームをプレイしたことないぞ?」

 

 

「「─────────」」

 

「ど、どうせビギナーズラック、ってヤツよ!衛宮先生、進めてください!どうせ次だって。」

 

早瀬に推し進められるまま、ボタンを押す。

 

「ん?「エンカウントが発生しました」

 

「野生のプニプニが現れた?」....?」

 

なんだ?敵はスライムなのに銃を持っている。

対してこちらは剣だし、自分と相手のステータスの差もわからない。

 

....ここは防御か回避して様子見だろう。

なんかスキル欄に「秘剣:燕返し」なんてのがあるが、いくらあのアサシンであろうと射程距離が敵より短ければ攻撃など当たらない。

 

[防御に成功しました。]

 

(ガキンッ!!)

 

「ッ!!?」

 

「嘘!防御コマンドなんて、乱数で1%以下の、成功率 ....なのに。」

 

 

「これがテレビゲーム。ふむ、中々面白いじゃないか。」

 

 

「.......」

「.....。」

 

「ちょ、ちょっと?衛宮先生?」

 

 

俺はその後何故か困惑する皆を置いてけぼりにして、サクサクとゲームを進め、1時間足らずでテイルズ・サガ・クロニクルをノーデスとやらでクリアすることに成功した。

 

 




ありえない選択をする士郎だからこそ、クリア出来るゲームがあるんですよ!!

(異論は認めん。)
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