衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】 作:神宮寺志狼
型月ファンからは誹謗中傷の嵐になりそうなんですが。
この切り札がないと、想定している展開に出来ないし、最終編で詰むので許して下さい。
逆に言うと「嘘だろ!?そんな手が!?」とも思えるお話です。
正直、神造兵装の概念として間違ってはいますけど、(神造兵装は星が鍛える物=人の望みによって作られながら、人の意志に影響されぬ物)「キヴォトスの生徒は普通の人間とは言えない。」って感じで。
このお話はややグレーゾーンになります。
でもミレニアムらしくていいじゃん?
ダメ?
そうですか。
ちなみに神造兵装って概念でランクダウンしたら投影できるようになると思います?
その辺についての感想ご意見お待ちしております。
「で!アリスちゃん連れてきてどうするのさ、お姉ちゃん。」
「そうだぞ。
そもそもだな──────」
俺達は部室まで無事たどり着いてモモイを問い詰めた。
「よく考えみてよ!
そもそも私達が危険を冒してまで、G.Bibleを探してた理由は何だったっけ?」
「それは部活を存続──────まさかお姉ちゃん。
この子をミレニアムの生徒にして、ゲーム開発部に入れようなんて思ってないよね!」
は?
「そう!さすがミドリじゃん。分かってるね!
良いゲームも作りたいけど、部活の維持も最優先。
つまり部活を存続させる方法は別にゲームを作らなくても部員さえいればどうにかなるんだ!」
これには膝から崩れ落ちた。
何か事情があって、ゲーム制作ができないのだと。
それにより廃部宣告をされたのだと、本気で信じていた。
「嘘だろ。なぁ、モモイ。」
「え?私は本気だよ?」
「─────────。」
その言葉で地面に手を着いた。
あの時ユウカを目の前に啖呵をきったモモイを見て安心していた。
─────だと言うのに.....。
「あれ?どったの先生──────」
「疑問、これはなんですか?」
俺の事を気にせず、何も分からないアリスは開閉式のゲーム機を開こうとして─────
(──────バキッ!!)
そのコンパクト鏡のような携帯ゲーム機を真っ二つに破壊した。
「あぁっ!!私の「ゲームガールズアドバンスSP」が──────。
8コア16スレッドカスタムCPUの8K解像度を誇る、キヴォトス唯一の16bitゲーム機がぁぁぁ.....
.うぅ......うわぁぁぁぁぁぁん!!!!!」
俺の隣で涙を流しながら崩れ落ちる
2人して土下座みたいな感じで情けないので、とりあえず立っておこう。
「アリス、もう少し力を抑えてくれ。」
「.....理解。両拳アクチュエータの出力を落とします。」
とりあえず理解して貰えたらしい。
「.....大丈夫でしょうか......」
なんて苦笑いするユズ。
「私も心配。
この子をうちの部員に偽装する、なんてどうやるつもりなのさ、お姉ちゃん。」
ミドリの質問に、ギャン泣きながらモモイが答えた。
「ゔぇりたすのせんぱいたちにおねがいするもーーん.....うわぁぁぁぁん.....」
ダメだ。モモイの心はへし折られている。
ヴェリタス....って何だろう。
「これ、大丈夫かな?」
「.......「大丈夫」の意味を確認.......。
「状況の悪化がなく、問題が発生してない安定した状況のこと」と推定。
肯定します。」
「いやいや...万一にも部員に偽装できたとしてもこの口調じゃ絶対疑われるよ....
止めようよお姉ちゃん。
それにさっきから先生がお姉ちゃんを見つめる目が凄い悲しい目をしてるんだけど!!」
モモイは立ち上がりヘロヘロとしたまま言う。
「今辞めるって選択肢の方が無理だよ......アリスは私の大事なゲーム機壊したんだから。
その分働いてもらうもん....!!
それに....部活を守らないと....ユズの居場所が...」
「確かに寮はダメだし.....無くなっちゃうけどさ.....」
「うぅ......」
どういう事だとアリスと一緒に首を傾げた。
「疑問。どうして部活を守れないと花岡ユズの居場所が無くなるのですか?」
「.....衛宮先生。それは....その。」
何か言いづらい事情があるらしい。
それも今度は本当に、部員の偽装までして、部活を存続しなければいけない事が。
「なんか理由があるんだな。
分かった。
ただ、ゲーム開発はすること!
これは俺が偽装だか偽造だかを見逃す条件だ。」
「うっ.....分かったよ。
ゲームはちゃんと作る。それでいいでしょ。」
と投げやりに傷心のモモイが言う。
「よし。」
「.....服装はミドリが、用意してくれたし。
学生登録と、学生証は私が何とかするからさ.....衛宮先生とミドリとユズはその子に「話し方」を教えてあげてよ。」
「.....仕方ない、やれるだけやってみるよ。」
「....わ、わたしはパスするよ!.....わたしが教えても....」
ミドリは肯定し、ユズは手を横に振って拒否。
「......大丈夫なんだよな?モモイ。」
「....任せてー.....それじゃ行ってくるねー......」
あんな調子で本当に大丈夫か?あいつ。
「うーん .....どうしましょう。」
「どうしましょう、って言われてもなぁ。」
「と、とりあえずアリス、ちゃん?」
「肯定。本機の名称、アリスです。」
「うん、じゃあアリスちゃんって呼ぶね。
それにしても話し方かぁ。
よく考えると、どうやって習得するんだろ。
普通は動画を見たり、周りの言葉を真似していくうちに自然に、って感じだと思うんだけど。」
「俺もそう思う。
でもアリスの場合は.....。」
何か俺たちのは別の────
「うーん、子供用の教育プログラム、ってインターネットに落ちてるかな?」
俺たちが思案する中、アリスはキョロキョロと辺りを見回している。
「?
正体不明の物を発見。
これはなんですか?」
アリスが指し示したのは、俺がプレイした後そのままのゲーム機とテイルズ・サガ・クロニクル。
「あ!!そっか!ゲームをプレイさせて人の話し方を覚えてもらえばいいんだ!!
せっかくだし、アリスちゃん、私たちのゲーム、やってみない?」
「え......?」
あの誤字と文章違いのゲームをさせるのか.....?
「まぁいいか....会話しながら間違いがあったら指摘してやればいいし。」
「.... 肯定、アリスは『ゲーム』をします。」
「ほ、本当に!?
じゃあすぐ始めよう!」
片付けをしていなかったことが幸いしたのか、ミドリがゲーム機の電源ボタンを押した。
──────そして、俺を部室の玄関まで押しのけた。
なんでさ。
「ちょ、ちょっと待ってくれミドリ。
なんで俺を追い出そうとするんだ!!」
「衛宮先生は居たら絶対アドバイスと口出しするからダメです!!
出てってください!!
アリスちゃんには初見殺しを成功させるんです!」
かなりの力で押し出された。
(バタン!)
まぁ、ミドリの言うことも一理ある訳で.....
「仕方ない。色々見学してみるか......。」
俺はミレニアムサイエンススクールという場所を一通り見て回ることにした。
「......?なんだこの工場みたいな建物。」
歩き回っている最中、俺はウィーンとかブーン、とか中から聞こえる建物を発見した。
少し扉を開いて覗いてみると、ゴーグルをかけた、全身煤まみれの少女が1人金槌を握っている。
「こんにちは〜.....ちょっと見学させてもらってもいいか?」
「あぁ良いとも。」
彼女の紫色ともピンクとも言える瞳が、俺を捉えた。
「......もしかしてあなたは.....創造の魔術師「衛宮士郎」だろうか?」
まて、なんだその早瀬みたいな異名は。
「それ、言い始めたの、モモイか?」
「.... 出処は、恐らくそうだろうな。
しかしあなたの名前はミレニアム中にその名前とともに広まっている。」
うわ、恥ずかしくすぎて自分で言ってないにも関わらず穴があったら入りたい。
そんな俺を気にせずに笑みを浮かべ、手を差し伸べる彼女。
「私は白石ウタハ。
このエンジニア部の部長を務めている。
ウタハと呼んでくれ。」
その手を握って挨拶を返す。
「あぁ、よろしくなウタハ。
で?ここはエンジニア部なのか?」
「あぁ、依頼されたものを過不足なく作っている。」
製鉄機に精錬機、ドリル、溶接機。
色んなものが置いてある。
俺がここに惹かれた理由の一つが製鉄機だ。
「物を生み出す者同士、お会いできて光栄だ。」
「やめてくれ。俺は所詮贋作者に過ぎない。
存在したものをそのまま同じに作ることしか出来ない、言わばコピーだ。」
それを聞くと一瞬ガッカリしたような表情を見せるウタハ。
「それでも同じものを同じように作るのなら、元の製作者の考えや技術を理解した上で創るのだろう?
であればそれはやはり創造者に他ならない。」
まぁ、確かに剣を作った者の考えや技術を理解して投影する訳だから、間違ってない。
「驚いたな。
あぁ。
投影六泊って言ってな。
これを全部理解してやっと投影が出来るんだ。」
「いや、参った。
1部は日頃考えてきたことだが、思いや蓄積年月まで理解し制作するのか。
確かにキミが今言い並べたものはエンジニアとしてもマイスターとしても重要だ。
メモさせていただこう。」
投影理論を説明したらだけで熱心にメモし始めた。
「凄い熱意だな。
ウタハはエンジニア部が好きなんだな。」
「あぁ、当然だろう?
自分の部活なんだ。
ここでの部活動は楽しいし、何より人の笑顔が見られる。」
「あぁ、そりゃ無粋な質問だったな。納得だ。」
彼女は満面の笑みで俺に答えてくれた。
「衛宮先生は作って欲しいものなどあるかい?
お近付きの印に何か具体案があれば制作しよう。」
「....って言われても──────」
いや、ずっと心に残っている剣がある。
しかし、それは俺が手に取って、許される剣なのか。
俺の表情を見て何かを悟ったのか彼女は俺にメモ帳を渡してきた。
「どうやらあるようだね。
私たちの成長や経験になると思って言ってみてくれ。」
「.....ウタハはずるいな。そんなこと言われたら断れない。」
俺は彼女の剣を想像し、全てを書いていく。
「ふむ、全長1.15m。
刀身約0.95m。
材質は不明だが、通常は風を纏って光を屈折させる不可視の剣で所有者にしか見えず。
風を解放して真空の竜巻のような風を起こし飛び道具にできると。
尚力を解放すると、刀身が黄金に輝いて光線を放ち光の断層により対象を切り裂く能力のある西洋剣か。
やけに具体的だね。
本物を見た事あるのだろうにどうして材質や構造が不明なんだい?」
「それは、俺じゃ看破できない。
なんて言えばいいのかな。
簡単に言うと神様が作った再現のできない剣なんだ。」
それを聞いてウタハの目付きが変わった。
どうやら「再現できない」という言葉にエンジンがスタートしたようだ。
「あ、無理なら無理って言ってもらって構わないからな!!」
「いや、その剣、絶対に再現してみせる。
1日.....いや3日程欲しい。」
「み、3日!?」
たまげた。
あの剣を3日で再現し創るというのだ。
「任せて欲しい。
では早速材料の選別に取り掛かる。
また3日後に来てくれ親方。」
「わ、分かった....ん?」
なんか今変な呼ばれ方したような....。
とりあえず俺はウタハと別れた。