衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】 作:神宮寺志狼
士郎的にも展開的にも。
通常戦闘は当然ながら投影と展開魔術のみでいきます。
予めご了承ください。
あの後。
アリスが正式にゲーム開発部の部員であることがユウカ、もといセミナーに認められた。
しかし、やはり成果が無ければ部活の存続が危ういということで、俺たちは再びG.Bibleをあの廃墟に探しに行くことになった。
「モモイ!後どのくらい引きつければいい!!」
「もうちょい!.......うん、今!
先生、伏せて!」
(ポンッ.....ドカァァァン!!)
(ダダダダダダダッ!!)
モモイの指示で頭を下げれば、ユズのグレネードが敵を足止めし、モモイとミドリの息のあった射撃によりロボット兵が倒れていく。
「■■■■■!!」
それでも、撃ち漏らした敵は数多く、こちらを攻撃しようと立ち上がった。
「うぅ.....先生、大丈夫ですか?」
「俺は大丈夫だ。
アリス!手筈通りに頼む!!」
ユズと一緒に後ろへ下がる。
「いいよ!アリスちゃん!やっちゃって!!」
「はい、目の前のモンスターを殲滅します!!
.....光よっ!!!」
(ガコン......ウィィィン....ズドォォォォッッ!!!)
その残った敵も、アリスの制圧砲撃により沈黙した。
「よーしっ!やった!!」
「流石アリスちゃん!凄い!」
「えへへ....アリス頑張りました!」
敵を倒して和む一同。
しかし─────
「ま、まだみたい.....敵の第二波が来てる。」
「えー!まだ来るの!?」
「ここで立て続けかぁ......
流石に不利だし、一旦撤退して、作戦考え直した方が良くない?」
「.......ううん。
ここは強行突破しよう!
敵も馬鹿じゃないんだし、一度使った作戦はもう通用しないかもしれない。
それにここで退いても、状況は悪くなる一方。
今の戦闘音で敵も集まってくるはず.....」
ミドリの意見を蹴ったモモイは突破を打診する。
「全部でどれくらい数がいるのか分からないけど、建物は目の前なんだし、今が一番手薄になったはずだよ。」
「......大丈夫かな....?」
姉が大胆な分、妹は慎重派だった。
そして客観的に現状を把握するユズ。
ゲーム開発部は全員1年生であるものの、かなりバランスのとれたチームだった。
「.....どう転んでも危険なのは同じだよ、ミドリ。
ここまでバレないように警備態勢をくぐってきたけどそれが出来なくなったから攻撃した....
だから戻るにしても戦わなきゃ。」
ユズの好戦的意見を聞いてミドリも態度を改めた。
「.....そうだね。
アリスちゃんと先生は大丈夫ですか?」
「....俺は大丈夫だ。
前衛は変わらず任せろ。」
俺はホシノの盾を見せつけて頷いた。
唯一、ゲーム開発部に足りないのは前に立って戦う生徒だった。
であるなら、俺の役目は自ずと決まっている。
「はい、どれだけ危険な状況であろうと、アリスがシロウを守ります。
マスター、行きましょう!」
皆の意見が一つにまとまり、迫り来る敵に向かって各々が銃を構え、走り出した。
「.....よし、じゃあゲーム開発部~、行くよ!!!」
「おう!」「「はい!!」」
「や、やったぁ......」
「何とか全員無事に辿り着けたな....。」
どうにか押し寄せた敵を殲滅してあの建物に再び入った。
とは言っても、前回入った入口は崩れて入れなくなっていた為に脱出に使った出口から入った訳だが──────
「侵入成功です。
ミッションをクリアしました。」
「アリス、侵入じゃなくて訪問だぞ......一応」
急にアリスがキョロキョロと辺りを見回す。
「どうしたの?アリス。」
「わかりません。
ですが、ここはどこか見慣れた光景です。
こちらの方に行かないといけません。」
「....?」
モモイ達が不思議そうに歩いていくアリスを眺めている。
おかしい。
彼女は最初「データがない」と言っていた。
記憶が無いのに、どうして─────
「アリス、覚えてるのか?此処を」
「わかりません。
アリスの記憶ではありませんが....まるで「セーブデータ」を読み込んだようにこの体が動いてくれます。」
肉体の記憶....?
聞いたことがある。
記憶を失っても、体が覚えこんだ動作をすることがある、という話だ。
「あ、あれ?あのコンピュータ電源がついてるよ!」
ここで、アリスの後ろを歩いているモモイが何かを見つけたらしく駆け寄っていく。
「ま、待ってモモイ....!」
コンピュータのモニターが1台点灯している。
俺たちが近づくと、まるで待っていたかのようにモニターに文字が表示された。
「「ディビジョンシステム?」」
俺とミドリが首を傾げる中、モモイは飛びついた。
「おっ!まさかの親切設計!
『G.Bible』って入力したら出てくるかな?」
「いやいや、怪しすぎるでしょどう見ても。
なんで1台だけ端末が動いてるのさ。
ようこそお越しくださいました。って事はここはお店だったのかな?」
.....division.
英語で「分割する」と言った意味や「部署、課」の意味を持つ英単語。
データを分割し、保存する媒体かシステムからつけられた名前なのか?
考えてる最中に、アリスが端末のキーボードを触り、単語を入力した。
「「G.Bible」と入力しました。でも、画面が....」
画面にはノイズが走り始める。
「え!アリスちゃん検索したの!?」
「こ、壊れちゃった!」
ミドリの質問に首を横に振るアリス。
「いえ....Enterキーを、まだ押していなかったので....検索はまだしていないはずです.....」
「ま、老朽化してたんだろ。
廃棄された建物の中の端末なんてそんなもんじゃないのか?」
「なーんだ....オンボロが壊れただけか。」
「び、ビックリした....でもこれで振り出しに戻───」
モモイとミドリが納得して離れようとしたその時、画面を注視してたユズがそれを止めた。
「待って....何か文章が....」
「え?」
再度見た画面の内容は質問だった。
「.......」
「これって ....アリスちゃんの....。」
AL-1S。アリスの正式名と思われるその名前がどうして────
何か見落としている?
嫌な予感がする。
「アリス!その端末から離れろ!」
「え ....ですが...」
「───────」
アリスの様子を見るが、特に何も無い。
俺の、考えすぎだろうか.....。
アリスはこの施設で眠っていた。
何のためにここに居て、どういう子だったのかは分からないが。
だと言うのであれば、ここの施設の登録にアリス、正確にはAL-1Sという名前が登録されていてもおかしくない。
「アリスの事を知っているのですか?」
システムは肯定した。
「あれ?どうしたんだろう....。」
壊れかけのテレビを治すように、モモイが端末にチョップした。
「痛っ!」
「何馬鹿なことしてるのお姉ちゃん!!ほんとに壊れちゃったらどうするの!!」
「だって、手がかりまで後少しなのに....」
確かに壊れていた。がそれはモモイのせいではなく─────
電源が落ちると本システムは同時に消失します。]
「「えっ!?」」
単純に、この施設全体が、限界を迎えていただけの話だった。
「えぇっ!?だ、ダメ!せめてG.Bibleについて教えてからにして!!」
モモイの祈りが届いたのか。
Divi:sionシステムはメッセージを映した。
「!?やった!!」
「YES!」
ミドリがキーボードのEnterキーをすぐさま押した。
ライブラリNo.193、廃棄対象データ第1号。
残り時間あと40秒。
データ転送のための保存媒体を接続してください。]
「えっ!?どうしよう!そんなもの持ってきてないよ!!」
「ど、どうしよう!」
慌てふためく2人。
悩んでいるこの瞬間にも時間は流れている。
しかし現在システムは消滅間際です。
本システムを新しい保存媒体へ移行することを提案します。]
悩んでいる場合じゃない。
シッテムはダメだ。
なら──────
「ユズ!俺の個人端末ってデータを入れられるのか?」
彼女はバッグから接続コードを抜き出した。
「はい!大丈夫だと思います...!」
俺がユズにタブレット端末を渡すとコードでシステム端末と接続した。
!?
システムの転送って、そんなに早く終わるものなのか!?
いま2秒とかからなかったぞ!?
「.....あ、電源切れちゃったみたいだね。」
施設のコンピュータは、その役目を終え、眠るように真っ暗になった。
そのコンピュータにそっと、手を置いた。
「お疲れ様。」
こんな言葉をかけるのが正しいのかはわからない。
ただ、人の都合で廃棄され、整備もされぬまま何年も放置され。
それでも、訪れる者か、はたまた主を待っていた。
例えそれが機械であろうと、労う者が1人くらい居ても良いだろう。
そして、端末の通知メッセージが画面に写った。
モモイやミドリ達も俺の端末を覗き込む。
「「おぉっ....!」」
「帰ってPCにデータ転送しよ!
これで勝った!
待ってなよ、ユウカ!
私達のテイルズ・サガ・クロニクル2はミレニアムプライス.....ううん。
キヴォトスゲーム大賞を勝ち取って評判も部活の地位も何もかもひっくり返してやるんだから!!」
そうして、俺達はアリスと出会った日と同じように、ゲーム開発部の部室を目指して歩き始めた。
本編と違うところと言えば。
データ転送に使われたのがゲームガールズアドバンスSPでないところ。
あのコンピュータから転送されたシステムが、何であったかは皆さんご存知の通り。
つまりあの子はこれから─────