衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】   作:神宮寺志狼

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Divi:Sion systemがグー〇ルに!(ケイの擬態)
OK!ケイ!アリスの体重を教え────(文章はここで途絶えている)


#14 収束

 

「はぁ!?事情を知らないネル先輩と交戦して、アリスちゃんに指示した攻撃を相殺する為にミレニアムタワーを破壊したぁ!?」

 

(つぅ)っ────────」

 

ツーンと耳の中で甲高い音が暴れる。

 

「デカいデカい!!早瀬、声がデカいって!

あと要約され過ぎて故意に破壊したみたいになってるぞ!!」

 

 

俺とモモイ達4人、そして美甘は会議室で早瀬にみっちりと説教を受けていた。

 

「....いや、そのだな、面目ない...。」

俺は黙り込む他ない。

 

「いやでもさ、ユウカ、どうして私たちまで....」

 

「何で「さも自分達は関係ない」みたいな雰囲気を醸し出してるの!」

 

早瀬が怒るのは当たり前だった。

ウタハの製造した()の「宝具」は本物そっくりの威力と機能を発揮した。

それをアリスの攻撃を止めんと美甘が振りかざした。

その結果、ミレニアムタワーにおいてセミナー専用とも言えるの最上区画がビル本体からずり落ちるように両断されたのだ。

 

奇跡的に死傷者は出ていない.....が。

ただでさえ「経済的に厳しい」と言っていた彼女がそんな事をされて黙っている訳がなかった。

 

「早瀬、これに関しては本当にモモイ達に責任はないんだってば。」

 

庇い立てすれば、当然俺に怒りの矛先が向いてきた。

 

「衛宮先生もいい大人なんですから!加減ってものがあるでしょう!」

 

「そりゃごもっともだ。

 

って言ってもな早瀬。

 

演習にしろ訓練にしろやっぱり伝えるべき情報伝えてなかったらそりゃ死に物狂いで戦うのは当たり前じゃんか。

リオにしろヒマリにしろ制限も制約も禁止行為も決めてなかっただろ。

制限時間だってなかった訳だし.....」

 

いや確認を怠った俺も同罪なんだけどさ.....。

 

 

 

 

「話し合いの余地なんてなかったし、俺は生徒と戦えないし。」

 

 

 

「は?」「え?」

 

俺の放った一言に、早瀬、美甘だけでなくモモイやミドリ達まで食いついた。

 

「どういう事だよ。あんた子供相手だからって手加減してたって言いてぇのか?──────

......そういやあたしに攻撃しようとしたのに、何か思い出したように走る速度落としてたな.....。」

 

美甘がキレながら状況を分析し始めた。

 

「手加減してた訳じゃない....いや結果的にはした事になるのか...? 」

 

早瀬はズカズカとやって来ては俺の肩を掴んで揺らし始めた。

 

「衛宮先生!誤魔化さずちゃんと話してください!

 

ただでさえあなたは自分にとってマイナスになる問題を隠す癖があるんですから!」

(ユラユラ......ブンブンブンッ!)

 

彼女が勢いよく俺の体を揺する────いや揺らすなんてもんじゃない!

やめ───首が折れ───

 

「おい、その辺にしとけよユウカ。誰だって隠し事の一つや二つくらいあんだろうが。

お前らセミナーがここにいるチビ達に隠してることとかな。

 

あ、それとそのまま続けたらそいつの頭と胴体が離れるんじゃねぇか?」

 

「───あ!」

 

ようやくとまった。

 

「す、すみません!

 

....もし、私達が衛宮先生に無理強いしてたらと思うと....。」

 

─────ん?もしかして、俺は大事なことを言い忘れていたのでは?

 

 

「あぁ、いやお前達は悪くないよ。

.....なんて言うか、そうだな......

 

ここに居るみんなに分かりやすく言うなら。

俺は「先生」って概念に、縛られてるんだ。」

 

 

そうして俺はイリヤから聞いたことをそのまま話した。

 

冬木で何があったのか。

どうして、どうやってここに来たのか。

 

それにより、何を背負ったのか。

 

「......生徒と戦うと「侵食」される!?

なんですか!それ!!!?」

 

早瀬の余りの必死な態度にすこし罪悪感すら感じる。

 

「....やっぱ言ってなかったか。」

「本当に初耳ですッ!!」

 

モモイ達は必死で話した内容を理解しようと頭を抱えている。

当たり前だ。

何せ当人の俺ですら、今の自分を理解していない。

もしかしたら衛宮士郎という人間の人格性格の全てが置き換わってるのでは────

 

「なんてな、ハハハ....────」

 

(ボカッ!)

 

見えない恐怖を笑い飛ばしてみたら今度は早瀬に殴られた。

 

「笑ってる場合じゃないですよ!」

 

「つまりそれって....衛宮先生の自我とか「個人」が別のものに置き換わって別人になっちゃうってことですか....?」

 

ユズが、分かりやすく質問してくれた───が、俺はそれに明確に答えることは出来ない。

 

「あくまで知り合いが仄めかしただけで、そうと決まったわけじゃないんだ。

 

だけど明確にわかってるのは、俺自身が投影した剣で生徒を傷つけようとすると反動で腕が内側から爆発す─────」

 

「ちょ、ちょっといきなりグロテスクすぎない?!」

 

俺の言葉をモモイが言い切る前に止めた。

概念による侵食などという突飛で分かりにくい物より数段想像しやすいだろう。

 

 

「.....だからあんたの戦闘記録がほとんど見つからないわけか。」

 

美甘がボソッと呟いた。

なんか俺に対して調べ事でもしていたのか?

 

「......本当なの?イリヤちゃん....。」

 

とうとう、早瀬がイリヤに話しかけた。

 

『.....本当の話よ。ユウカ。

私はリオとヒマリがシロウを今回の一件に勧誘していた時点で何かおかしいと思っていたけれど。

 

そこのスカジャンを着た小さい生徒の話を聞く限りでは、風紀委員会同様にシロウの技量を測ろうとしたのね。』

 

「ハッ!?全然チビじゃねぇし!?

喧嘩売ってんのかゴラァ!?」

 

「小さい」という単語に反応した美甘。

 

「お、おい美甘。

反応したら余計に──────」

 

『あ!怒ったー、怖ーい。

背丈が低いの気にしてたんだ、ごめんなさ~い。

 

....ふ~ん。だからずっとモモイ達の事を「チビ」って言って自分は小さくないアピールしてたのねー。

そんな事で誤魔化せると思うだなんて可愛いーなぁ。』

 

「んだと!?

んな訳あるかッ!

 

てめぇ端末から出て来やがれってんだ!

ぜってー潰す!マジで潰すッ!」

 

 

ぐぬぬぬ、と言いながらシッテムの箱と格闘する美甘。

その小悪魔モードにはいったイリヤには誰も勝てないんだって。

 

 

 

「それより、早瀬。

ミレニアムタワーの復旧の目処はついてるのか?」

 

「は、はい....。

 

一応1ヶ月後までには何とか、と言ったところです。

.....ただやっぱりと言いますか....どうしても資金の関係上直ぐ様という訳には....。」

 

最上階フロアだけでよかったと言うべきか、被害者ゼロという点に感謝すべきか....。

 

「修理資金は俺の方で補填するよ。

今回の責任は全部俺にあるわけだし。」

 

「「え!?」」

 

丁度アビドス攻防戦で回収した物資を売却して余った使い道のない億単位の金がシャーレの口座に残ってる。

 

「おい、てめぇ。何自分がさもやらかしましたみてぇな話で進めてんだよ。」

 

と、美甘に睨まれる。

 

「いやだってそうだろ?事態をここまで派手にしたのは俺のせいなんだから。」

 

「だからってあんたがミレニアムタワーをぶった斬った訳じゃねぇだろうが。

 

あれを壊したのはあたしなんだよ、そのケツ持ちをあんたなんかにされると思うと正直身の毛がよだつんだよ。」

 

あんたなんか...って。

 

「衛宮先生....?報告内容と違うんですが.....。」

 

「そ、それはだな....」

 

まぁ、当然と言えば当然だ。

早瀬には俺が壊した、と最初に言ってあった。

 

とはいえ結果的には変わらない。

俺が馬鹿な判断をした結果ミレニアムタワーの最上区画が倒壊した。

なら責任の在り処など明白だろう。

 

「......確かに美甘が破壊したかもしれないけど、その状況を作り出したのは俺だ。

美甘はゲーム開発部の皆を守ろうとしただけだ。」

 

 

 

「ハッ!馬鹿なんじゃねぇの?

あたしらの気持ちは無視して責任一人で背負い込めば全部丸く収まるとか本気か?

 

責任持つってそういう事じゃねぇだろ。あ?

悪いことした奴がいるなら反省と仕置があって当たり前だろうが!」

 

俺の服を掴み、今にも殴り倒さんと拳を握りしめた美甘。

その目はブラックマーケットでのセリカを彷彿させた。

 

 

 

「は!?ここまで来て「全部自分が悪い」!?

あんたどれだけ自己中なのよ!?

どれだけ抱え込めば気が済むわけ!?

 

先生の献身がちょっとおかしいなって、心の中で思ってたけど!

 

責められて違うなら違うって言いなさいよ!

間違いだって言うなら私達を叱りなさいよ!

 

会って2日目の朝もそうだった!!

何?自分が折れれば全部上手くいくとでも思ってんの!?」

 

 

「........。」

「ケッ....それでもあんたは先生かよ!」

 

あぁ、そうだ。

余計かもしれない。

 

そんな事で全部が全部円満に解決できるわけも無い。

けど───

 

「.....あぁ、だからこそ、余計な重荷は俺が背負うんだって。

やった事の大きさに下向いてたら前に進めないじゃないか。」

 

俺が言葉を紡ぐ度、態度が豹変していく目の前の彼女。

 

「─────てめぇを見てるとアイツの顔が頭よぎって腹立ってきたわ。

 

差し出がましいつってんのが分かんねぇのかよ!

 

あぁ、そこの気弱なゲーム開発部の部長みたいな奴ならそれでもいいだろうさ。

 

───けどな、

一人一人の生徒のやらかした事の責任をあんたがとって何になるんだっての!

失敗だってミスだって経験じゃねぇか!全部そいつの得たもんだろうがよ!

それを奪ったらどいつもこいつも成長しねぇんだよ!」

 

(ガツンッ!)

「痛────」

 

美甘は襟首を掴んで俺の頭を下げさせては、頭突いてきた。

 

「いいか、よく聞け!

 

てめぇはてめぇの事しか考えてねぇ。

あたし達生徒の事を考えているようで考えてねぇんだよ。

 

機械みたいに「こっちの方がいい。」で全部答えを出してやがる。

 

んなわけあるかボケ!

てめえの自己中心的な偽善であたしらの選択を奪うんじゃねぇ!」

 

 

「───────────。」

 

そのまま最初からこうするつもりだったと言わんばかりに、拳が俺の顔面に迫る。

 

ホシノや美甘の言う通り、俺は生徒の姿を見ていなかった。

なるべく、価値観を押し付けないようにしては来たが.....。

 

(パシッ!)

 

「やめてください!チビメイド先輩!」

 

勢いよく突き出された拳は、目の前に立ちはだかったアリスによって防がれた。

 

「あぁ?そこどけ、チビ。」

 

「その言葉、アリスがそのままお返しします!アリスの方が身長高いです!」

 

「あ!?んだとゴラ!」

 

 

「てめぇはてめぇの事しか考えてねぇ。

あたし達生徒の事を考えているようで考えてねぇんだよ。

てめえの自己中心的な偽善であたしらの選択を奪うんじゃねぇ!」

 

叱ってくれた美甘。

庇ってくれたアリス。

心配してくれる皆。

 

なんて────恵まれた環境か。

 

 

「アリス、ありがとう。

でもいいんだ。

確かに子供の成長の機会を奪うのは大人のすることじゃないな。

 

悪かった。

それとありがとな、怒ってくれて。」

 

「──────は?」

 

 

目をぱちくりさせている美甘。

 

「か、勘違いしてんじゃねぇぞ!

 

あたしがキレたのは単純に言いたいことを言っただけだ!

お前こそ大人としてのプライドとかねぇのかよ?!」

 

いや別に大人のプライドって簡単に謝るなとか頭下げるなとかそういうことじゃないと思うんだが?

 

「いや、お互いに言いたいこと言って、俺が「あ、お前の言い分の方が正しいな」って思ったから謝ったわけで......

 

早瀬、俺この場合どうしたらいいんだ?」

 

正直、押してもダメ、引いてもダメな気がする。

 

「さ、さぁ?

 

あ、でも一つだけ提案がありますよ!

責任は衛宮先生とネル先輩の2人が持つという形にしてミレニアムタワーの修理を手伝えば気も晴れるんじゃないですか?」

 

「別にあたしはいいけどよ.....」

仏頂面で返事をした美甘が俺をチラチラと横目で見てくる。

 

なるほどな。

本当に美甘は言いたいことを直接、相手が誰であっても臆せず言えるさっぱりとした奴なのか。

 

「俺もいいぞ。

そうすればセミナーにとっても人件費が浮いて楽になるんだろ?」

 

「べ、別にそんなことは考えてません!!」

 

顔を真っ赤にして否定した早瀬を見てこの場の全員が笑った。

 

かくして会議室での反省会はお開きとなり、俺は美甘と連絡先を交換して仲直り。

 

 

「じゃあ!いよいよG.Bibleとご対面だよ!」

「...これで、私達の...」

 

「TSC2が....」

 

モモイもミドリもユズも期待に胸を膨らませていた。

 

全く、昨日あれだけの事があったってのに厳禁なもんだな....

 

「ま、いっか。」

俺達は部室へと足を運んだ。

 

 

 

「じゃじゃーーーん!!ゲーム開発部のちびっ子たち!

お待たせ!

マキちゃんからプレゼントのお届けだよ!」

 

そして小塗が俺の端末を持ってやってきた。

 

「おおーー遂に!」

 

アリスが受け取り、端末のロックを解除した。

 

─────ん?

どうやって俺の端末のロック解除したんだ?

 

(ピコンッ!)

端末には「G.Bible.exeを実行しますか?」と表示されている。

 

「ようやく、G.Bibleが私たちの手に.....!」

 

「遅れてこめんね~!

「鏡」は使用後にセミナーに返すことになってさー。

ちょっともめてたんだよねー。」

 

それもそれで、どういうことだ?

 

「返すのか?」

 

「うん、セミナーでも有効活用できないかって、コピーした後解析するんだって。」

 

セキュリティソフトを無視してデータをコピーするような違法ギリギリのツールを?

 

「.......」

 

「あれ?どったの?先生。」

 

小塗に覗き込まれる。

 

「あ、いや。なんでもない。」

 

正直セミナー、いや────調月リオと明星ヒマリ。

あの2人の話す言葉は逐一なにか引っかかる。

 

「あ、それと先生さ。

この〈Divi:Sion system〉ってのと〈Key〉ってフォルダなんなの?」

 

小塗に端末のアプリタイルを指差しされた。

 

「.....〈Divi:Sion system〉はあれだな.....あの廃墟の....でもなんだ?〈Key〉って.....キー?鍵?」

 

 

違う。

これは────

 

「......ケイ?」

 

アリスがその文字をローマ字読みした。

「.....これさ、何をどうやっても開かないんだよね。

 

端末の容量を食ってるから、データが壊れてるとかソフトが動かないわけじゃないみたいなんだけど......。」

 

「ん?「鏡」は試してみたのか?」

 

小塗は首を横に振った。

 

「G.Bibleはスパッと開いた「鏡」がこの2つは全然手も足も出なくて────」

 

「マスター。

 

〈Divi:Sion System〉が起動しました。」

 

「「え?」」

 

起動したそれはネット検索ブラウザのようになっていた。

試しに「シャーレ」と検索してみればしっかりと連邦生徒会公式サイトへと繋がった。

 

「.....あれ....なぁんだ!検索ブラウザか!」

小塗と端末を覗いているとモモイが耐えかねて暴れだした。

 

 

「そんな事より!

 

G.Bible!早く見せてよ!」

 

 

「あ、あぁ....。」

 

 

そうして俺は〈Divi:Sion system〉を落とし、G.Bibleを起動した。

 

 

そうして俺達は───────

 

 

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